授業参観及びその後の騒動も終結し、サーゼクス達魔王の面々が冥界へと帰って幾ばくか経った頃、オカルト研究部の面々は、旧校舎内のとある部屋に集結していた。
縦横無尽に張り巡らされた『Keep out!』と書かれているテープ、無数に刻まれた封印の術と思しき術式…
「アーシアにイリナ、ゼノヴィアにはまだ話していなかったわね。実を言うと私の眷属はもう1人、アーシアとは違う『僧侶』がいるの。ただ、その子の能力が強過ぎる上に自分自身でもコントロール出来ない不安定な物、私では扱いきれないと考えたお兄様の指示で、此処に封印されているの」
「この中に、私と同じお姉様の『僧侶』が…」
言うまでもなく、ギャスパーが封印されている部屋である。
現在はそろそろ夕方に差し掛かると言って良い時間、この時間では封印は解放されず、ギャスパーが部屋の外に出る事はかなわないが…
「とはいえそれも今日までの事、ライザーとのレーティングゲームや、先日のコカビエルとの一件から、もう大丈夫だろうと、さっきお兄様から告げられたわ。よって今日、この子の封印を解くわ」
「成る程、封印が必要だった程に強大な存在が此処に。果たして鬼が出るか蛇が出るか」
「ゼノヴィア、斬ったら駄目だからね。私達と同じ、リアス部長の眷属なんだから」
どうやらその封印を解除する許可を得た様で、ならば善は急げとばかりに此処に皆が集結したらしい。
リアスの話を聞いて戦意を漲らせるゼノヴィアと、それを窘めるイリナを他所に、朱乃達が術式の解除に取り組む。
そして難なく術式解除は完了、リアスは中にいるだろうギャスパー達に会うべく、扉に手を掛ける。
「そうだ、何事もネガティブに考えてはいけない!神器は持ち主の想いに呼応する物!後ろ向きに考えれば考える程、良からぬ働きをしてしまう!それを自分の所為と捉えてしまっては、負のスパイラルに陥ってしまう!だが、自分はやれる、自分なら出来る!そう信じてゆけば神器もまた君の想いに応え、想いの通りに動いてくれる!そう!勝利のイマジネーションだぁぁぁぁ!」
「は、はい!クロトさん!ボクはやれる!ボクなら出来る!そう、ボクはライダー世界のキング!」
「2人揃って何処の列車戦隊だ、全く」
扉を開いた先には、某列車をモチーフとし、イマジネーションを駆使して戦うスーパー戦隊みたくメンタルトレーニングを行っているギャスパーとクロト、そしてそんな2人にツッコミを入れるマサムネの姿があった。
「あら、随分と精が出るわね。どんな状況か心配したけど、杞憂だったかしら?」
「リアスママ。ああ、此処まで持ち込むのは随分と試行錯誤したものだがね」
「リアスお姉様!はい、クロトさんの指導、凄いんです!今ならボク、何でも出来そうな気がします!」
想像していた物と全く違う光景に驚きながらも、様々なトラウマを抱え引きこもっていた己の眷属がこうも明るい姿を見せてくれる事が嬉しくもあって複雑な表情を浮かべたリアス、一方でリアス達が部屋に入って来た事に気付いた2人が、リアスに近況を報告していた。
「この様子なら、大丈夫かしらね。あの時、イッセーに頼んで正解だったわ。本当にありがとうね、イッセー」
「構わないさ、恋人の頼みだし、何よりリアスの眷属仲間、同じ主人の下に集った家族だ。家族を助けるのに、理由はいらない」
「うふふ、男気に満ちたイッセー君も格好良いですわ。また惚れ直しちゃいました。それはともかく、そんなイッセー君に追加でお願いがあるのですが…」
「どうした、朱乃?」
以前のギャスパーを知る者から見れば信じられないと驚く位に明るくなった
とはいえ一誠にとってこれは眷属仲間の、家族の問題、苦労の内に入らなかった。
「実を言うと私と朱乃と黒歌はこれからお兄様達との打ち合わせに行かないといけないの。お兄様から近々、三大勢力のトップ同士による会談を、此処で行うそうなのよ。この前のコカビエルの一件もあって、ね。その会談についての事前の打ち合わせが急遽入っちゃって…
だから私達が打ち合わせに行っている間、ギャスパーの事を頼めないかしら」
「分かった、リアス。大変だな、急に打ち合わせの予定が入るとか…」
そんな一誠に何処か言いづらそうにしながら、問いかける朱乃、どうやらリアスと朱乃と黒歌は、近々この駒王学園にて行われる三大勢力の首脳会談についての打ち合わせに行かなければならないらしい。
其処でギャスパーの面倒を見てはくれないかと持ち掛けたリアス達、勿論一誠の答えはOKだった。
「そうそう、祐斗も同席してほしいと、お兄様から指名があったわ。何でも、貴方の禁手について知りたいそうなの、一緒に来てちょうだい」
「分かりました、部長。イッセー君、ギャスパー君の事は任せたよ。まああの様子なら大丈夫みたいだけどね」
「任せろ、木場」
「じゃ、留守番頼むのにゃ」
どうやら祐斗も同席を要請された様だ。
一誠からの返答を受けて、4人は魔法陣で転移していった。
「イッセー。少し良いか?」
こうして部屋には、一誠、アーシア、イリナ、ゼノヴィア、白音、ギャスパー、クロト、そしてマサムネが残ったが、いの一番に声を上げたのはゼノヴィアだった。
「マサムネから聞いたが、ギャスパーも仮面ライダーに変身出来るそうだな。それも仮面ライダーの『王』たる存在になれる、と。折角の機会だ、此奴と試合をしたいのだが、良いか?私もいざと言う時にイッセー達を守れる様、仮面ライダーの力に慣れて置きたい」
「ゼノヴィア…
其処まで言うなら。ギャスパーは、どうだ?」
「ゼノヴィア先輩ですよね、良いですよ!今のボクは、たとえ相手がエクソシストだろうとデュランダル使いだろうと、負ける気がしません!」
「言ったな、流石に仮面ライダーの『王』を称する事はある。だが私も負けんぞ!」
『ステージ・セレクト!』
ゼノヴィアから提案された、ギャスパーとの試合。
一誠を想うが故に、リアスや眷属仲間を思いやるが故に、仮面ライダーの力に慣れる為にとの提案に、一誠は了承、ギャスパーも快諾した。
その際のギャスパーが発した言葉を挑発として受け取ったかはどうかは分からないが、それを合図にゼノヴィアは、自らの腰に巻かれたゲーマドライバーのステージ・セレクト機能を作動させた。