『お帰りなさいませ、リアスお嬢様!』
リアス達を乗せた列車が、冥界のグレモリー領にある駅に到着し、ホームへと降りると其処に広がっていたのは、グレモリー家が出迎えに送ったであろう数多の執事やメイド達の挨拶、楽器隊らしき隊列の演奏、兵隊らしき隊列の礼砲、それらが轟音となって響き渡ると言う、異様な光景だった。
「ありがとう、皆。帰って来たわ」
だがそんな光景は慣れっこだと言わんばかりに普段通りの態度を崩さないリアス、背後で驚きを隠せない一誠達を他所に出迎えた面々に対して満面の笑みで礼を言うと、それに応じるかの様に1人のメイド――リアスの義姉であるグレイフィアが前に出た。
「お帰りなさいませ、リアスお嬢様」
「ただいま、グレイフィア。元気そうね」
「お嬢様も、随分と元気そうで何よりです。それでは皆様、馬車を何台かご用意しましたので、お乗り下さい。グレモリー家本邸までご案内致します」
そのグレイフィアに、馬車(物凄くデカい)へと案内された一行は、それに従うまま乗り込んだ。
「私は電車の時と同じく、イッセーとアーシア、イリナとゼノヴィアと乗るわ。不慣れでしょうから」
無論と言うべきか、乗る馬車の割り振りはエレベーターの時と同じである。
------------
「さあ、着いたわ」
それから十数分、馬車での移動を終えたリアス達が降りると其処には、何処ぞの王宮かと言わんばかりの巨大な城が聳え立ち、その周りに広がる庭園、その正門から本邸と思われる城を繋ぐ道にはレッドカーペットが敷かれ、その両端には先程の駅と同じ様にグレモリー家の使用人が整列して並び、リアス達を待っていた(リアスが降りた瞬間、先程の様な出迎えの展開が繰り広げられたが、余談とする)。
「では皆様、どうぞお入り下さい」
そんな光景に未だ戸惑う一誠達への助け舟になるかどうかは兎も角、現れたグレイフィアの案内で、本邸へと入って行く一行。
「お帰りなさい、リアスお姉様!」
其処へ、リアスやサーゼクスに似た、しかし年相応に可愛らしい顔立ちに、リアス達と同じく赤い髪の少年が、リアスに抱き着いて来た。
「ミリキャス!ただいま、久しぶりね」
恐らくは血の繋がった親族であろう少年――ミリキャスの姿を見たリアスもまた、ミリキャスを抱きしめていた。
「あの、部長さん、その子は?」
そんな光景にふと、アーシアが尋ねて来た。
「この子はミリキャス・グレモリー。お兄様、サーゼクス・ルシファー様と、グレイフィアの子なの。ほらミリキャス、挨拶をしなさい」
「はい、ミリキャス・グレモリーです!宜しくお願いします!」
アーシアの質問に答えるべくリアスがミリキャスを紹介すると共に、ミリキャスに挨拶を促した。
「アーシア・アルジェントです。部長さ、リアスお姉様の僧侶です。宜しくお願いします」
「ゼノヴィアだ。リアス様の兵士をしている。宜しくな」
「私は紫藤イリナ。リアス様の兵士だよ。宜しくね!」
「俺は兵藤一誠、リアス、様の兵士を」
「あ、貴方まさか、天才ゲームクリエイターのISさんですか!?」
「え?あ、ああ、ISは俺だが?」
それに応じて挨拶したミリキャスに、自分達も挨拶を返そうとした一誠達だったが、一誠の番になった時、突然ミリキャスが興奮した様子でそれを遮った。
「僕、大ファンなんです!握手して下さい!あと出来ればサインも!」
その様子からして、一誠のゲームクリエイターとしての一面も知っていて尚且つ、ISとしての一誠の大ファンらしい、どうやらミリキャスもまた一誠が作り上げたゲームに熱中している様だ。
「この前配信されたマイティブラザーズXXも、凄く面白いです!余りに面白くて寝る間も忘れて楽しくプレーしています!まさか生でISさんに会える日が、こんなに早く来るなんて…!」
その、自らの半分位しか生きていない少年の年不相応な気迫におされたのか、握手に応じた一誠、それに喜びを隠せず、興奮を隠す気もない口調で話すミリキャスだが、
「…ミリキャス、また一時間を超えてゲームをしていたの?」
「あ、ご、御免なさい、お母様…」
その興奮は、母親として聞き捨てならない事を耳にしたグレイフィアによって鎮火された。
「全く。ゲームは一日一時間、外で遊ぼう元気良く、僕らの仕事は勿論勉強、成績上がればゲームも楽しい、僕らは未来の社会人…
と、人間界において伝説となったゲーマーの名言にもあるでしょう、ミリキャス。一誠様が作り上げたゲームが時間を忘れる程面白いのは分かるし、ゲームをしてはいけないとは一言も言っていないけど…」
と、グレイフィアのお説教が長くなりそうなので、ミリキャス達と一旦分かれ、リアス達は先に進む事にした。
------------
何やかんやあった末に、其々の部屋に案内された一誠達。
お風呂にキッチン、冷蔵庫にトイレ、挙げ句テレビにベッドと生活する上で必要な設備が全て揃った、最早住居と言っても差し支えない状態の部屋の中で、一誠は列車に乗っていた時と同じく、持ち込んでいたパソコンで作業をしていた。
「イッセー、ちょっと良いかにゃ?」
其処に、黒歌が尋ねて来た。