遂に迎えたレーティング・ゲーム当日、この日はリアス眷属VSソーナ眷属、サイラオーグ眷属VSゼファードル眷属、そしてシーグヴァイラ眷属VSディオドラ眷属、計3試合が全てブリッツ形式(制限時間が短めに設定された試合形式の総称。今回は3時間まで)で行われる。
今回の組み合わせは、レーティング・ゲームの運営委員会が『王』と眷属を含めての平均的な強さから付けた評価のランキング上位3陣営と下位3陣営が見事にばらけた格好となり、3位であるリアスと5位であるソーナの幼馴染対決、2位であるシーグヴァイラと4位であるディオドラの対決、そして1位であるサイラオーグと最下位であるゼファードルの、元は次期当主でなかった者同士の対決となった。
この組み合わせとなった事を受けての下馬評は、上位3陣営が勝つのは確定的に明らか、という物。
それも当然と言える、上位3陣営は、既に自らが最上級悪魔級と言って良い戦闘スペックを有する上に眷属も精鋭を揃えたサイラオーグ、サイラオーグと同様に眷属を精鋭で固めつつ自らの知略で最大限の力を引き出すシーグヴァイラ、各々が仮面ライダーの力を取り入れた事で急成長を遂げ目覚ましい活躍を見せるリアスと、錚々たる顔ぶれなのだから。
一方の下位3陣営、特に5位のソーナと最下位のゼファードルは、王のスペックは兎も角としても眷属の大半は特別な力を有していない普通の人間から転生した存在ばかり、しかもソーナの眷属は全員が駒王学園高等部の生徒で生徒会所属、ゼファードルの眷属は過半数がゲーマー『Z』としての弟子と、実力よりも縁故で眷属にしたとしか言えない状態だ。
一応ゼファードルの眷属にはヴァルキリーから転生した女王のリースと、純血悪魔である騎士のナッシュと僧侶のメラグのベリアル兄妹がいるし、ソーナにも戦闘において有用な神器を持った眷属が何人かいるが、精鋭で固めている上位3陣営には遠く及ばない、というのが委員会の、世間の評価である。
だが彼らは目の当たりにする事になる、奇跡が起こってもあり得ないと言われていた大番狂わせを…!
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まずはリアス眷属VSソーナ眷属の試合を見ていこう。
2陣営のバトルフィールドとなったのは、駒王学園の近所に建てられているデパートをモデルとした物、お互いに見知った場所を模したバトルフィールドとする事で地の利を公平にしようという考えで選定されたのだろう。
その2階東側フロアがリアス眷属の本陣、1階西側フロアがソーナ眷属の本陣に設定、レーティング・ゲームにおいて兵士が相手の本陣に辿り着く事で出来る様になる昇格は今回も行え、リアス眷属は一誠とイリナ、そしてゼノヴィアが、ソーナ眷属は元士郎を含めた2人がその対象となる。
仮面ライダーの力を得た事で精鋭揃いとなった上に、兵士の駒3個で転生したゼノヴィアという例外を除いて駒1個で眷属として来ながら、未使用の駒は戦車1個に兵士3個のみと粗方揃えて来たリアス眷属に対し、同じく兵士の駒を複数使用(此方は4個)させた元士郎を除いて駒1個で転生させて来ているが、騎士が1人、兵士が1人少ないソーナ眷属、質量共に優位なリアス眷属の勝利は揺るがない、寧ろリアス眷属にとってこの試合は消化試合という声まで聞こえる状態である。
だが、いや、だからこそと言うべきか、ソーナ眷属サイドはこのレーティング・ゲームでリアスから勝利をもぎ取れば、ソーナの目標である学校設立に向けて大いに前進するであろうとやる気に満ちていた。
とは言えやる気だけで勝てる程甘くは無い、よって準備時間の合間に綿密な戦略を練り上げた。
まずは、リアス眷属の目を担うと考えられるギャスパー、及び気配察知が使える黒歌・白音姉妹への奇襲攻撃。
今回のレーティング・ゲームにおいて、ギャスパーの神器は暴走に対する懸念が残っている事から使用が禁止されており、故にギャスパーは吸血鬼としての能力の1つである蝙蝠への変身等を駆使した偵察としての役割に回らざるを得なくなる。
それを見越し、ギャスパーを真っ先にリタイアさせる事でリアス眷属の索敵能力は大幅に削がれる。
その為に吸血鬼にとって天敵であるニンニクを生鮮食品売り場から調達、口に入れやすい様に加工しながら、その様子を敢えてギャスパーに察知させ、其処で彼に食べさせる事でダウンさせるという物だ。
またニンニクは、生態的に猫と良く似ている猫又だった黒歌・白音姉妹にも有効だ。
実を言うとニンニクやネギ、玉ねぎやニラといったネギ類の野菜を猫が食べると、それに含まれる成分が赤血球を破壊、貧血や呼吸困難、嘔吐等の症状を引き起こしてしまう、それ故に2人もネギやニンニク等を使った料理は食べられないのだ。
ギャスパーを倒した後、予め仕掛けて置いた術式を発動させる事で黒歌達の意識を其方に向かわせ、その隙に此方は引き続きニンニクを用いて2人をリタイアさせる、幾ら仮面ライダーに変身していようとニンニクに弱い体質まではどうにもならない。
こうして状況把握の術に長けた3人を撃破した後は、幾重にも張り巡らせた罠や幻術を駆使して時間切れ、或いは疲弊したタイミングを見計らっての撃破を狙う、それがソーナ眷属の戦略である。
(誰が何と言おうと兵藤一誠はあのクズ野郎の兄、アイツだってとんでもないクソ野郎に違いない!リアス先輩達はアイツに騙されているんだ!俺がこの手で会長を勝利に導き、皆の目を覚まさせねぇと!)
ゲームが開始されてから数分、ソーナの兵士である元士郎は、同じく兵士で、眷属で唯一の1年生である
すると、
「兵藤か!まずは一発食らいやがれ!」
仕掛けていた囮へと向かっているであろうエグゼイドを発見、相手側が気付いていないと確信し、このチャンスを逃してなるものかと神器による黒いワイヤー状の物体を突き刺そうとした。
が、
「な、なんdぐぁぁぁぁ!?がはっがはっ!?目がぁぁぁぁ!目がぁぁぁぁ!」
「こ、これhけほっけほっ!?か、辛いぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
それが触れようとした瞬間、突如としてエグゼイドの身体が爆発、血とは似ても似つかない黒褐色の液体がまき散らされ、元士郎達にも大量に降り注いで来た。
余りに唐突な事態に防御が間に合わずその液体をもろに被ってしまった元士郎と留流子は次の瞬間、鼻から感じる激臭、目や皮膚を突き刺す強烈な痛み、そして口内を襲う猛烈な辛味が炸裂し、のたうち回り出した。
「どうかな、私特製のウルトラデ○ソース製デコイの威力は?」
其処に、身体にハンバーガーを思わせる鎧、右腕に赤、左腕に黄色の調味料入りボトルを思わせる武装、両足にインラインスケートを装着した風魔――バーガーニンジャゲーマーレベル3が姿を現し、やらせていただきましたァンと言わんばかりの様子でそう説明していた。
尤も、余りの辛さにのたうち回る彼らは聞いていなかったが。
「さあ、私達を怒らせた事を、決して触れてはならない逆鱗に触れた事を後悔しながら地獄を楽しむと良いわ!
ウルトラデ○ソースビーム!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ウルトラデ○ソース、某ホットソースといえばこれと称される程有名なシリーズの中で、市販されている物では最も辛いと言われているソースである。
そのスコヴィル値(カプサイシンを含んだ食べ物の、辛さの指標)は1173000、何と市販されている催涙スプレーの数倍から数十倍、そんな武器にも使える強烈な辛さを有したソースだがしかし「これは調味料だよ」という風魔の主張が通ってしまい、左腕の調味料発射装置に充填されたのだ。
ただでさえそれをもろに浴びてのたうち回っている所に、口内に思いっきり噴射されたらどうなるか。
『ソーナ・シトリー様の兵士2名、リタイア』
人間と比べて色々と強靭な悪魔の身体であっても耐えられる物ではなく、口内で更に猛威を振るう辛味に苦悶の様子を見せながらリタイアによる転移の光に包まれていった。
「何とも不思議な物だ。凄惨な光景だと言うのに、これっぽっちも戦慄が走らないのは。イッセーを侮辱された怒りは、これ程と言う事か」
「そりゃそうでしょ。私、前にコイツがイッセー君にしでかした事を聞いた時、私もお仕置きしたかったなぁって思ったんだもん。主であるソーナ会長の夢を否定されてキレていたけど、自分も否定した人達と同類じゃん、ねぇ?どの口が言うんだか」
「ダブルスタンダードという奴だな」
その光景を見届けながら、風魔と、日本の武者を思わせる姿となったレーザー――チャンバラバイクゲーマーレベル3は、元士郎の言動についてボロクソに非難していた。
尚、この一件がトラウマとなったのか、元士郎と留流子は辛い物が一切食べられなくなり、また一誠への非難を、考えること自体しなくなったらしい。