リアス眷属VSソーナ眷属のゲームは、前評判通りリアス眷属が圧倒的と言って良い地力と、ガーディアンウォーズゲーマーの力を利用した周到な事前準備で完全勝利を収めたが、他のゲームはどうなったか。
まずはシーグヴァイラ眷属VSディオドラ眷属のゲームを見てみよう。
此方も途中まで、いや最終盤まで、前評判通り地力で勝るシーグヴァイラ眷属が優位に立っていた。
が、ディオドラ眷属で残るは王であるディオドラ自身のみとなり、トドメを刺すべくシーグヴァイラが総攻撃を仕掛けた所で事態は急展開を迎えた。
「さて、そろそろ本気出しちゃおうかな!」
「な!?一体何なの、この膨大な力は!?」
突如としてディオドラの魔力が、此れまでとは桁違いと言って良い位に強大化し、それによる攻撃でシーグヴァイラの眷属達が瞬く間に蹂躙され、
『シーグヴァイラ・アガレス様、リタイア!よってこのゲーム、ディオドラ・アスタロト様の勝利です!』
それに驚いた隙を突かれてシーグヴァイラ自身もディオドラの攻撃を諸に食らい、まさかの逆転負けを喫したのだ。
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次にサイラオーグ眷属VSゼファードル眷属のゲームだが、此方は徹頭徹尾、信じがたい展開が続いていた。
「どうなっているんだ、これは!?俺達の動きが、全て読まれていると言うのか!?」
己の描いていた物とは全く異なる惨状となった今の状況に、焦りを隠せないサイラオーグ。
それも当然だろう、前評判ではシーグヴァイラ眷属やリアス眷属同様、いや彼女達以上に自分達の勝利は当然と見られていたにも関わらず、戦況は此方の圧倒的不利なのだから。
戦力的にはあの会合に参加した若手悪魔6人の中で最下位だった筈のゼファードル、一方でサイラオーグは6人中で他を寄せ付けないトップ、これでサイラオーグの負けを予想する評論家がいる筈もない。
勿論ゼファードルの眷属にも、元は北欧出身の半神ヴァルキリーで、主神オーディンに仕えていた頃は若手有望株と目されていたリースに、元72柱の一角を占めるベリアル家出身の純血悪魔で、レーティング・ゲームのチャンプとしてその名を轟かせているディハウザー・ベリアルの親戚であるナッシュとメラグの兄妹と、警戒すべき存在がいない訳じゃなかった。
北欧独自の術式による魔法を駆使し圧倒的火力を誇るリースに、ベリアル家の特性である『無価値』を有するナッシュとメラグの存在は、サイラオーグも頭に入れていた。
リースの圧倒的火力には『
だがいざゲームが始まると、彼の思惑とは逆に戦況は動いてしまう。
まるでこっちの意図などお見通しだと言わんばかりに少しずつ、だが着実に脱落していくサイラオーグの眷属達、注意していた面々への対策だった筈のクイーシャ達も、逆を突かれてリタイアとなってしまい、今残っているのは王であるサイラオーグ自身と、とある理由から出撃出来ない、己の側で佇む仮面をつけた少年兵士レグルスのみ、制限時間も残すはたったの数分間。
思い描いていたのとは全然違う絶望的な状況に焦りが募るばかりのサイラオーグ。
『よぉ、バアル家の兄ちゃん。だいぶ焦ってるみてぇだな』
「この声、まさかゼファードルか!?」
そんな彼の神経を逆撫でするかの如く、屋内競技場を模したゲームフィールドのスピーカーから、ゼファードルの声が響き渡った。
『アンタは確かに強ぇさ。今の俺、いや若手のどいつも足元にすら届かねぇ位にな。今回のルールが普通の奴で良かったぜ、アンタ倒さなくても勝てるんだからさ。
だがな、幾らアンタが強かろうと、今以上に強くなろうと、その強さを示そうと、アンタが魔王になる事は絶対ありえねぇ』
スピーカー越しに聞こえるゼファードルの声、それはサイラオーグの実力を認めながらも、サイラオーグの目標である魔王就任などありえないと断じた。
『だってアンタ悪魔じゃねぇし。悪魔のトップである魔王に、悪魔じゃねぇ奴がなれる訳ねぇだろ』
「…何?」
そんな事は無い、力を示す事で誰もが魔王になるに相応しい実力を有していると認めれば絶対になれると反論しようとしたサイラオーグだったが、それを見越したかの様に言い放ったサイラオーグの言葉は、信じがたい物だった。
『バアルの家をオン出された時、実の親父から出来損ないとバッサリ捨てられた時どう思った?見返してやりてぇ、ぶっ殺してやりてぇと思ったんじゃねぇのか?』
「違う」
『自分の親父、兄弟、仕えていた連中、アンタを馬鹿にして来たバアル家の奴らをボコして、そいつらの目の前でその恋人の開通式と洒落込みてぇと思ったんじゃねぇのか?だから何処ぞのミスター・アンチェインみてぇな筋肉達磨になるまで鍛え上げたんじゃねぇのか?』
「違う!」
その言葉に動揺するサイラオーグに対して畳みかける様に、屈辱の日々に対する鬱屈を指摘するゼファードルの声。
然しながらその指摘は、サイラオーグにとっては事実無根と言っても過言では無い、故かゼファードルの挑発には乗らないと言わんばかりに、気丈な様子で否定した。
『此処でああそうだと心から思えねぇ様じゃあ、悪魔じゃねぇって事だよ』
「…え?」
だがゼファードルはそれを最初から見抜いていた上で、そんなサイラオーグを悪魔では無いと断じていたのだ。
『こんな事、態々言わずとも分かっているだろうが、悪魔ってのは欲望を尊ぶ存在だ。特に、己の心の内から欲する、己の為の欲、我欲をな。だがアンタにはそれがねぇ、何時だって誰かの為、自分ではない何かの為に動いていやがる。悪魔にとって、こんなにも気持ちわりぃ奴は他にいねぇなぁ!』
「黙れ…」
『魔力云々の前に、我欲のねぇアンタは、己の欲望のままに動こうとしねぇテメェは悪魔じゃねぇ、ただ外面が良いだけ、悪魔の間に生まれただけの人形だ!』
「黙れ…!」
『俺ら悪魔様のてっぺんに立とうなんざ烏滸がましいんだよ、ウァプラの操り人形風情が!』
「黙れェェェェェェェェ!」
純血悪魔だった筈の自分を、悪魔であった筈の自分を全否定するゼファードルの言葉、それは実の父親から出来損ないと否定された時以上にサイラオーグを苛む。
さしものサイラオーグも、周りにレグルスしかいなくなったフィールド内で叫ぶ事しか出来ず、
『3時間が経過しました、制限時間一杯となりましたのでゲームを終了します。ゼファードル・グラシャラボラス様、
そして、サイラオーグの敗北を、絶対に無いと言われていた大番狂わせが成し遂げられた事を知らせるアナウンスが、無情にも響き渡った。
ハイスクールD×Dの原作アンチ作品は数あれど、サイラオーグアンチの作品は聞いた事が無い、という方が大半だと思います。
それは何故か、それは正に『漢』と言って良い生き様からでしょう。
原作主人公であるイッセー以上に主人公なサイラオーグ、その生き様に尊敬する方も多いと思います。
ですが、そんなサイラオーグに尊敬する僕達って、悪魔じゃなくて人間ですよね?
では、人間である僕達にとっては尊敬出来ても、悪魔、それも純血悪魔はどうなのか。
今話は、そんな視点で書いてみました。