ハイスクールDevil×Ex-aid   作:不知火新夜

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74話_知性と感性の共生、その名はW!

「あ、あれ?此処は一体…」

 

同時刻、一誠と同じく目が覚めたイリナは、これまた目前の光景に己が目を疑った。

 

「昨日の夜は確か、私の部屋で寝ていた筈なんだけど、今私がいるのは庭。私ってそんなに寝相が悪かったかな、それとも寝ぼけて外に出ちゃった…?

あれ、でも建物が全然違う…」

 

イリナが今いる場所は何処かの邸宅と思しき場所の庭先、その状況から、自らの寝相が余りに悪くて此処まで転がって来たか、或いは寝ぼけて此処まで彷徨ったかして外に出てしまったのではといった考えが浮かんだが、それは直ぐに捨てた。

何故なら彼女の目前に見える建物は、新居のそれではなく、東京上野の地に建てられた某博物館にそっくりな帝冠様式の邸宅であったのだから。

 

「どうやら私の身に何か起こったみたいだね。となれば、ガシャット…

良かった、ハリケーンニンジャガシャットはある。って何だろう、このガシャット…?」

 

その光景から緊急事態だと察したイリナは、それに対処する為に己の戦う術であるガシャットの有無を確認、何時もホルダーに差していたハリケーンニンジャがあった事に一先ずは安堵したが、一方でもう1つ差さっていた、緑・銀・黒の3色を並べたカラーリングの、ラベリングがされていないガシャットの存在に彼女は疑問を覚えた。

尚、そのガシャットの代わりにジュージューバーガーガシャットが無くなっていた事には、元々戦闘用では無かったのも相まって全く気にしていなかった。

 

「おや、気付いたか。ようこそ、私の世界へ」

 

謎のガシャットが何故ホルダーに差さっているのか、これは一体何なのか、考えを巡らせるイリナだったが、それを遮るかの如く、某古代王家の末裔である大佐らしき人の声がした。

その声に反射的に振り向くイリナ、其処にいたのは、何処か恐怖を煽るかの様に強大なオーラを放つ異形だった。

黒い肌を晒した筋肉質な上半身、巨大なマントが付けられた青銅の顔を模した冠、バックル部分に黄金の球らしき物が嵌め込まれたベルトで固定された赤い袴、と此処までなら辛うじて人間に見えなくもないが、上半身から所々生えた棘の様な物、胸にある髭を生やした髑髏、そして骸骨がマスク型の防具を身に着けている様にしか見えない顔は、異形としか言いようが無かった。

そんな強大さを有する異形がこの事態を引き起こした張本人だと判断、戦う為にホルダーからガシャットを取り出したイリナだったが、

 

「察しが良い。だがどんな抵抗も無駄だ、現に君は今、私の力にあてられて怯えているではないか」

「え…!?」

 

その意志とは裏腹に、彼女の手は、脚は、ガタガタと震えていた。

まるで今異形が指摘した通り、恐怖に怯えるかの如く。

 

「無駄だと言った筈だ。それを分からせてやるとしよう」

「くっ!?い、いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

それを抑え込むかの様にガシャットを持つ手に力を入れて変身しようとしたイリナ、だがそうはさせまいと異形が放った黒い粘液状の波動を受けた瞬間、恐怖心が一気に増大化、それに耐えきれなくなったのか彼女は跪き、蹲ってしまう。

 

「いや、来ないで、来ないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「恐怖に囚われたか。もう二度と、立つことは出来まい」

 

恐怖に囚われ、何かに怯える様な悲鳴を上げる事しか出来ないイリナ、そんな彼女の様子からもう抵抗出来ないと判断した異形は、トドメを刺すべくゆっくりと近寄っていった。

 

(大丈夫だ、イリナ。俺が、俺達がいる!)

「い、イッセー君…!

そうだった、私にはイッセー君が」

『ガシャコンニンジャブレード!』

「皆がいる!」

「ぬぉ!?君も、恐怖を克服したのか…!?」

 

が、その手の間合いにまで近寄った所で(異形にとって)予想だにしない事態が起こった。

己の想い人である一誠の声を何処かから耳にしたイリナ、それによって増大した恐怖を振り払った彼女はガシャコンニンジャブレードを装備、近寄っていた異形を切り裂いたのだ。

 

兵藤誠次郎(あのクズ)に襲われた時も、進むべき道が罪なき人々の亡骸で舗装されていた事を思い知った時も、イッセー君は私を救ってくれた。何時だってイッセー君は、私にとっての心の支え、ヒーローだった。そんなイッセー君の為に、私は強くなると、彼を守り抜くと、絶望しないと決めた!」

 

想定外の状況に狼狽えつつも、追撃を避けるために飛び退いて様子を見る異形、それに対してイリナは、己の決意を言い放つ。

 

「私は守って見せる、イッセー君を、家族の皆を、故郷の街を!大切な存在を泣かせる奴は、誰であろうと私が許さない!」

 

そんなイリナの決意にあてられたと言うべきか、謎のガシャットが突如として発光、それに気づいたイリナが取り出すと、

 

「『MEITANTEI W』。へぇ、こんなガシャットもあるんだ。折角だから使ってみよう!」

『ハリケーンニンジャ!』

『名探偵ダブル!』

「チャプター7、変身!」

『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!マキマキ!竜巻!ハリケーンニンジャ!』

 

既にそのガシャットはラベリングされ、『MEITANTEI W』というタイトルと、目が赤く、左半身が黒、右半身が緑の、シンプルなデザインの仮面ライダーと思しき存在が仁王立ちする姿がデカデカと描かれたラベルが貼られていた。

それを、藍色のガシャットと共に起動すると、イリナの背後にハリケーンニンジャのスクリーンと共に『MEITANTEI W』のタイトル、黒と緑の仮面ライダーが決めポーズを取る姿がデカデカと描かれたスクリーンが出現、それを受けて彼女は2つのガシャットをゲーマドライバーに装填、何時も通りの手順で風魔に変身した。

 

『アガッチャ!サイクロン!ジョーカー!二人で一人!サイクロン!ジョーカー!二人でエクストリーム!』

 

すると、風魔の正中線を境として二手に分かれる様に、データ状のエネルギーが噴出、それが晴れた後には、ライダースーツが銀色に、右半身の帷子が緑色に、左半身の帷子が黒に変色(同時に、顔面や髪も同様に変色)し、胸のディスプレイは『W』を象った装甲で覆われた姿――ダブルニンジャゲーマーレベル7に変化した。

 

「エクストリーム…!

君もまた地球(この星)の意思に選ばれたという事、選ばれる資格があったという事か…!」

「さあ、貴方の罪を数えなさい!」

「ぐぉ!?な、何と言う速さ…!」

 

その姿に驚く異形に言い放った風魔だったが、次の瞬間にはガシャコンニンジャブレードで異形を切り裂いた後だった。

 

『シュ・パーン!』

「はぁぁぁぁぁ!」

「ぬぉぉぉぉ!?」

 

その余りの速さに対処が間に合わない異形、それを見て行けると確信したか、手裏剣の様な形に変形させたガシャコンニンジャブレードを手に、縦横無尽に切り裂いてゆく風魔。

 

『ガシャット!キメワザ!名探偵・クリティカル・ストライク!』

「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「見事…!

家族の元に戻るとするか…」

 

そして風魔は何時も通りの手順で緑・銀・黒の3色が並んだカラーリングのガシャットを左腰のスロットに装填しその力を解放、自らの身を包む様に発生した竜巻に乗る形で浮かび上がり、ある程度の高度に達した所でドロップキックを放ち、異形に直撃した。

その一撃を受けた異形はその言葉を最後に爆発、跡形も無く消えた。

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