「あれ?此処は何処だろう…?」
同じ時間、祐斗もまた、目覚めたばかりの自分の眼に映る光景に戸惑いを見せた。
祐斗が目覚めた場所、其処は巨大なビルの影となっている、広場みたいな所だった。
「何処かのオフィス街かな?少なくともうちの近くにこんな場所は無かった筈…
どうやらナイトオブサファリガシャットは無事みたいだね、でも何だろう、このガシャットは…?」
その光景から己の身に何かあったのだろうと察知し、急いで懐を確認した祐斗、其処には今の自分が振るえる最大の力と言って良いガシャットがあった。
一方、ガスバーナーの炎らしき青いガシャットの代わりに差さっていた、紺色をベースカラーとしたブランクのガシャットに、祐斗は疑問を抱いた。
「貴様か、木場祐斗とか言う奴は」
その祐斗を呼び止める声がした。
それに振り向くと其処には、元パティシエなご当地アイドルとそっくりな、だが雰囲気は正反対と言って良い、黒と赤を基調とした服装の青年がいた。
「ああ、僕が木場祐斗だ。僕の名を知っているなんて、君は一体…?」
「何処の誰かと勘違いされたままという訳にも行かないからな。俺の名は
剣士としての性分故かその呼びかけに応じた祐斗、それに返す様に青年――戒斗が何処かメタい発言をしながら名乗りを上げ、敵意を露わにした。
『タドルクエスト!』
『バナナ!』
「術式レベル2」
「「変身!」」
『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!辿る巡る!辿る巡る!タドルクエストォォォォ!』
『ロックオン!カモン!バナナアームズ!ナイト・オブ・スピアー!』
その敵意に反応し、何時もの手順でブレイブへと変身した祐斗、だがそれと同時に戒斗もまた動いた。
祐斗がガシャットを取り出すのと同時に、懐からバナナの絵柄に『L.S.-08』という型番らしき文字が書かれた南京錠らしき物を取り出し、側面のスイッチを動かして解錠、腰に装着されたベルトの、暗い色合いのバックルに装着・施錠し、右側の小太刀らしき機構を振り下ろすと錠前が斬られた様に開き、戒斗の身に赤と銀を基調とした西洋の鎧らしきデザインのライダースーツが装着された。
「え、バナナ?バナ、バナナ?」
「バロンだ」
その直後、上空の何もない所がまるでファスナーを開く様にめくれ上がり、其処から巨大なバナナと思しき物体が戒斗の頭に装着、戸惑う祐斗に戒斗がツッコミを入れたのを見計らってその物体が開き、鎧となって戒斗――仮面ライダーバロンに装着された。
「せいっ!やぁっ!」
「ふっ!はぁっ!」
両者が変身し、己の得物を手にしたその瞬間、戦いは始まった。
ガシャコンソードに、夏休みの特訓が功を奏して発動したまま一週間維持する事が出来る様になった禁手『双覇の聖魔剣』の力で作り上げた小太刀型の聖魔剣による二刀流で斬りかかるブレイブに対し、鎧が装着されると共に右手に装備された西洋槍と、鍔が銃の機構となった直刀らしき武器で遠近どちらにも対応した立ち回りを見せるバロン。
ロングレンジから直刀の鍔によるけん制の銃撃を放つバロンを、ガシャコンソードから放たれる炎でかき消すブレイブ、ならばとミドルレンジから槍の一撃を放てば、小太刀型聖魔剣或いはガシャコンソードで受け流しつつ接近、接近戦に持ち込んで使わなかった方を振りかざしたかと思ったら、直刀で鍔迫り合いになり、打撃で距離を空け…
と、戦いは拮抗していた。
「手強いな。コカビエルと戦った時以来だ、なら!」
『ナイトオブサファリ!』
『ガッチャーン!』
「術式レベル5!」
『レモンエナジー!』
「ならばコイツだ!」
『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!辿る巡る!辿る巡る!タドルクエストォォォォ!アガッチャ!ライオン!シマウマ!キリン!真夜中のジャングル!ナイトオブサファリ!』
『ロックオン!ソーダ!レモンエナジーアームズ!ファイトパワー!ファイトパワー!ファイファイファイファイファファファファファイッ!』
バロンの実力を見て、ギアを上げるべくベージュのガシャットを取り出して起動し、サファリクエストゲーマーレベル5にレベルアップしたブレイブ、と同時にバロンもベルトを外し、代わりに何処からともなく手にしたジューサーみたいな形状のベルトを装着し、スケルトンカラーにレモンの絵柄、『E.L.S.-01』という型番らしき文字が書かれた南京錠らしき物を取り出し、側面のスイッチを動かして解錠、バックルに装着・施錠し、果物を押し潰す様に右側の機構を動かすと錠前が開き、ベルトを外した時に同時に解除された鎧の代わりと言わんばかりに上空から巨大なレモンと思しき物体がバロンの頭に装着、新たな鎧となって装着され、これまた消えた西洋鎧の代わりに赤い弓らしき武器が装備された。
其々が新たな姿に変わったと同時にバロンは弓からエネルギー状の矢を放つが、ブレイブもまた光弾を放って相殺しながら接近し爪らしき機構で斬りかかるも、接近戦に対応する為か刃が付いていた弓で迎撃して距離を空け…
またも戦いは拮抗、どちらが優勢かまだまだ分からなかった。
「やるな、木場祐斗。その強さを以て、何の為にお前は戦う?」
互いに決め手が無く睨み合う2人、そんな中、己と渡り合う実力を見せつけたブレイブに、その強さに興味を持ったのか、ふとバロンが尋ねた。
「何の為に?愚問だ、僕は部長の、イッセー君の、皆の夢を叶える為に、守る為に戦う!」
「誰かを守る為、誰かの夢の為か。その強さなら出来るかも知れないが、自分の為に振るおうとは思わなかったのか?」
その問いかけに素直に答えたブレイブ、その答えに疑問を覚えたのか、バロンが重ねて問いかけた。
「自分の為に、か。ああ、以前の僕はそうだった。この力が己の物であると思い込み、復讐の為に、自己満足の為に振るおうとしていた。けど、色々な出来事を経て思ったんだ。
力とは、自己満足の為に振りかざす物じゃない、己が信念に、理想に、大義に則って振るう物なのだと!僕にとっての信念、それは僕の命を救ってくれた部長の、大切な人達の夢が叶う様尽力し、その成就を見届ける事!その為に僕はこの剣を振るう!」
そんなバロンにブレイブは言い放った、聖剣計画の被験者として苦難の日々を送った末に処分されかけ、死に際をリアスに救われ、復讐を企てた末に知った仲間達の想い…
そんな紆余曲折を経て至った、己の想いを。
「『TOUKENDEN GAIM』、僕に似合いそうなガシャットだ、使ってみるか!」
『刀剣伝ガイム!』
『ガッチャーン!ガッシューン』
そのブレイブの想いに呼応したかの様に、謎のガシャットが突如として発光、それに気づいて取り出すと、既にラベリングされていて、『TOUKENDEN GAIM』というタイトルと、オレンジを模した鎧を身に着けた武士らしき姿の仮面ライダーと思われる存在が構える姿がデカデカと描かれたラベルが貼られていた。
それを起動すると、ブレイブの背後に『TOUKENDEN GAIM』のタイトル、武士らしき仮面ライダーが構える姿がデカデカと描かれたスクリーンが出現した。
「術式レベル7!」
『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!辿る巡る!辿る巡る!タドルクエストォォォォ!アガッチャ!オレンジ!イチゴにパイナップル!バナナ!ブドウ!メロン!ソイヤ!ガイムゥゥゥ!』
ベージュのガシャットを抜き取り、そのガシャットを装填、何時も通りの手順で起動させると、レベル2の姿に戻った直後、上空から様々な果物らしき巨大な物体がブレイブの周りを飛び交い、それがブレイブを押し潰す様に集結すると爆発するように発光、それが晴れた後にはフルーツの絵柄が入った胸当てを始め、銀色の装甲を纏ったブレイブ――ガイムクエストゲーマーレベル7の姿があった。
「此処からは僕のステージだ!」
「その姿…!
それが、貴様が今出せる全力と言う事か。ならば、オォォォォォォ!」
その姿が、名乗りを上げるブレイブが何かを想起させたのか、突如としてバロンが雄叫びを上げると、その身が蔦らしき物に覆われ、異形と呼ぶしかない禍々しい姿――ロード・バロンに変貌した。
そして三度始まる戦闘、最初の時と同様に二刀流で戦うブレイブに対して何処からともなく装備した剣一本で戦うロード・バロン、しかもブレイブの背後からオレンジを模した刀、バロンが使っていた物とそっくりな西洋槍、ブドウを模した拳銃、スイカを模したガトリング砲…
様々な武器が雨あられという表現がぴったりな状態でロード・バロンに飛来していた。
ロード・バロンも流石に剣一本では分が悪いと、蔦の様な物を出現させて迎撃するものの手数の差は明らかで、次第に押されて行ってしまう。
「これで決める!」
『ガシャット!キメワザ!刀剣伝・クリティカル・フィニッシュ!』
「ぐぁぁぁぁぁ!」
優位と見たブレイブは何時も通りの手順で紺色のガシャットをガシャコンソードのスロットに装填してその力を解放、ロード・バロンを両断した。
「強いな、お前は…
ならば守ると決めた奴らを、意地でも守れ!」
「ああ、駆紋戒斗。僕は、大切な皆を守る為の剣だ!」
そう言い残し、オレンジの切り身みたいなエネルギーが飛ぶという奇妙な爆発と共に消え去った戒斗、その言葉に、ブレイブは己の決意を改めて宣言した。