流石に殆ど同じ展開ばかりというのも…ね(汗
「あ、あれ?此処は一体…」
「おや、目が覚めたかい?」
同じ時、黒歌も見知らぬ場所で目覚め、その光景に戸惑った。
其処には同じ状況に放り込まれたであろう、1人の男性がいた。
「あ、アタシは黒歌。アンタは?此処は一体何処?」
「おいおい黒歌、初対面のおじさんに向かって随分な聞き方だな。まあ良いや、俺の名は
とある惑星の近衛隊長とよく似た風貌の壮年男性――石動もまた黒歌と同様、目覚めた時にはこのだだっ広く、所々柱がある以外に何もない、然し天井の存在から辛うじて建物の中だと分かる空間にいたそうだ。
己に何か緊急事態が起こった事、この状況を打開する為に相手と協力すべきと(石動はどうか分からないが)寝起きでありながら瞬時に考え付いたのか、お互い見ず知らずの間柄ながらあっさり話し合いを始めた黒歌と石動、
「おや、のんびり自己紹介している暇は無さそうだ。俺達を閉じ込めた輩が放った刺客か、あれは?」
「どうやらそうみたいね」
だが、お互い自分の名を名乗った所で中断せざるを得ない事態が発生した。
壁の存在すら認識できない程の広さを有する空間、その遥か遠方から、2体の戦士が真っすぐ向かって来たのだ。
暗い色合いのライダースーツ、全身を覆う様に装着された漆黒の装甲、片や左半分の頭部・胸部から左腕に至るまで装着された水色の歯車らしき物体、片や右半分の頭部・胸部から右腕に至るまで装着された白の歯車らしき物体、そんな風貌をした戦士達の姿を見た黒歌も石動も、2体が己の命を狙って来た刺客だろうと判断し、戦う準備を始めようとした。
「あ、あれ、ガシャットギアデュアルαが、無い…?
ガシャットギアデュアルαだけじゃない、メテオブロッカーガシャットも無い!」
「どうやらそっちは武装も無くなっている様だな、何処の誰が俺達を閉じ込めたかは知らんが、随分と用意周到な事だ。此処は俺が頑張るしかないか!」
懐に入れていた筈のガシャットギアデュアルαを取り出そうとした黒歌、だがある筈のガシャットギアデュアルαは無く、しかも己をレベルアップさせる灰色のガシャットも無かった。
あるのは変身する為の空色のガシャットのみ、思わぬ状況に狼狽える黒歌の様子から察したらしい石動は、自分が踏ん張らなければと気持ちを新たにし、黒をベースカラーとした武骨な作りの拳銃らしき武装を構えた。
「アンタだけに手間は掛けさせないにゃ!ハテサテパズルガシャットだけでも戦う!」
とはいえ黒歌も戦闘が出来なくなったわけではない、石動に負担は掛けさせられないと平静を取り戻し、空色のガシャットを起動させようとした。
「そのアイテムは…!
黒歌、良かったらこれを使ってみてくれ!」
それを、黒歌が構えているガシャットを見た石動はふと、彼女に声を掛けると共に何かを投げ渡した。
「『KAMEN RIDER BUILD』…?
このガシャット、一体どうしたのにゃ?」
「ガシャットって言うのか、それ。此処に落ちていたのを見つけて拾ったんだが、ラベルを見たら俺ん所に居候している奴が変身する、仮面ライダーと言う戦士の姿が書かれているもんだから、何かしら関連する力が入っているんじゃないかと思う。是非とも役立ててくれ!」
それは、赤と青のリバーシブルなカラーリング、『KAMEN RIDER BUILD』の文字と、赤と青が入り混じったカラーリングの仮面ライダーが構える姿がデカデカと描かれたラベルが貼られたガシャットだった。
それがきっと今の黒歌にとって心強い物となる筈、そう思って投げ渡した石動だったが、それに対して黒歌は、この得体の知れないガシャットを使って大丈夫なのか、これはひょっとしたら自分達を此処に閉じ込めた存在が撒いた罠なのではないのか、という疑念が頭を過り、それを使おうとしなかった。
「何を躊躇っている、黒歌!?君には大切な家族が、恋人がいるんじゃないのか!?自分が守りたい大切な物の為に戦うんじゃないのか!?それとも全部嘘だったのか!?」
そんな黒歌の姿が我慢ならなかったのか、石動が彼女を叱り飛ばした。
何故か全く説明していなかった筈の、彼女の家族や恋人の存在を引き合いに出して。
「…それもそうね、こんな弱気じゃ、守れるものも守れないわね」
『ハテサテパズル!』
『仮面ライダービルド!』
石動の言葉にハッとなった黒歌は、何で言ってもいない家族や恋人の存在を彼が知っているのかという疑問が浮かぶ事無く、受け取ったガシャットを構え、起動した。
「私は戦う。
『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!運命の鎖、解け!ハテサテパズル!』
背後にハテサテパズルのスクリーンと共に『KAMEN RIDER BUILD』のタイトルと、赤と青の仮面ライダーが決めポーズを取る姿がデカデカと描かれたスクリーンが出現したのを受けて黒歌は、何時も通りの手順でパラガスに変身した。
『アガッチャ!有機物と無機物!イェーイ!スーパーベストマッチ!ヤベーイ!完全無欠!仮面ライダービルド!スゲーイ!モノスゲーイ!』
すると、某ファンキーなラジオDJそっくりな声で発せられる音声と共に、パラガスの背後にプラントらしき設備が構築、そのラインにボトルを思わせる物体が多数運搬され、所定の位置まで運ばれたと同時にパラガスを突き刺す様に無数のラインが伸び、それに乗ってボトルが1本ずつ運ばれ、パラガスの身体に次々と刺さって行き、パラガスの身体の色合いが正に赤と青の仮面ライダーのそれと化した。
「勝利の法則は、決まったのにゃ!」
そうして変化した新たなる姿――ビルドパズルゲーマーレベル7となったパラガスは、決めポーズを取りながらそう、戦士達に向けて言い放った。
「さて、俺も行きますか!」
『コブラ!』
「蒸血!」
『ミストマッチ!コ・コブラ!コブラ!ファイヤー!』
と同時に石動も動いた。
構えていた武装の、銃口下に設けられた何かしらのスロットに、パラガスに刺さっている物と同じ種類かと思われる薄紫のボトルを装填、掛け声と共に銃口を上に向けてトリガーを引くと、銃口から黒煙が噴出して彼の身体を包み込み、花火と共にそれが晴れた後には、赤を基調としたボディカラー、コブラを模した緑の、胸の装甲が特徴的な戦士がいた。
「そ、その姿は一体?」
『この姿の名はブラッドスターク。まあ、仮面ライダーとはちょいと違う戦士と考えてくれ。と、喋っている暇は無いな、行くぞ!』
石動が変身したと思われる戦士――ブラッドスタークがパラガスの疑問に答えたのもつかの間、黒い戦士達がパラガス達に攻撃を仕掛けた為、2人は意識を切り替えた。
パラガスに攻撃して来たのは水色の歯車を有する戦士、ブラッドスタークが持っていた物と何処か似ている紫色の拳銃で銃撃を仕掛けて来たが、パラガスは咄嗟に左手を突き出し、其処から結晶状のシールドを展開して防ぎ、そのまま右手に炎を纏いながら突進、接近戦を仕掛けた。
黒い戦士も応戦するも、突如として右腕だけが極端にマッシブ化して吹っ飛ばされたかと思ったら、左手を翳したパラガスに引っ張られるかの如く戻され、今度は無数の棘を生やした右手を突き刺され…
と、何時にも増して変幻自在な猛攻を繰り広げるパラガスの前には成す術が無かった。
『ガシャット!キメワザ!仮面ライダー・クリティカル・ストライク!』
『ライフルモード!コブラ!スチームショット!コブラ!』
それを見てトドメを刺そうと、手慣れた動作で赤と青のガシャットを左腰のスロットに装填、と同時に此方も優勢だったのか、何処からともなく取り出した配管設備を思わせる武装を分解し、拳銃型武装と合体させたブラッドスタークが薄紫のボトルを再び装填した。
「はぁぁぁぁぁ!」
『食らいやがれ!』
パラガスの飛び蹴りと、ブラッドスタークの銃撃、2人の必殺技を其々食らった黒い戦士達は、それまでのダメージも相まって耐え切れず、爆散した。