僕の家は代々殺人術を受け継いでいる。
先代当主である僕の父、
その死体を見た感想は、「人はこういう風に死ぬのか」である。
小学校の先生は、「命は大切だ」とか「かけがえのない命」などと道徳の時間に言っていた。
まさしくその通りだと思う。
だから、そのかけがえのない大切な命が失われる瞬間は、何よりも尊い。
人の死は何よりも美しい。
かつて聖人が一度死に神聖化されたように、全ての命は死ぬことでより高潔な存在になる。
「錆透、覚悟ッ!」
しかし、それイコール死にたがりかと言われると、答えはノーだ。
「全刀流、刃取り」
僕は背後からの攻撃を完璧に読み取り、最小限の動きで受け流した。
ガツン!とバールのようなものが廊下に突き刺さった。
奴さんは完全に殺す気である。
「こんな時代に白昼堂々殺人未遂とは、穏やかじゃないですね」
「……お前が病子を誑かしたヤツか」
その言葉と声で相手が誰かすぐに分かった。
「おやおや、そういう貴女は
「あたしのことを知ってるのか?」
「ええ、病子さんの双子のお姉さんですよね。こうして面と向かって話すのは初めてですが、いつも病子さんを迎えに来てますよね」
「……病子は渡さない」
「妹を守るために人殺しも辞さないとは、かなりのシスコンですね」
「う、うるさい!」
「まあ、そういうところも魅力的なんですけど」
「うるさ……──はあ⁉︎」
「僕は貴女が、否、貴女たち姉妹が好きなんですよ」
「あたし、たち?」
「ええ。できることなら三人で人気のないところへ行き、あんなことやこんなことをしたいのですが、まだそういう関係ではないので自重しています」
「い、いきなり二股宣言とか、頭沸いてんのか⁉︎」
「おや、付き合うこと自体はいいんですか?」
「──ッ!」
あ、逃げた。
(なんだあいつなんだあいつなんだあいつなんだあいつ!)
訳が分からなかった。
あたしは病子の想い人を抹殺しようと、病子が通う学校に乗り込んだ。
対象の特徴は来るまでにリサーチ済み。
背は170cmに届かないくらい。
そして抜き身の刀のような凛とした雰囲気。
その全てが合致する後ろ姿が、ちょうどよく人通りのない廊下を歩いていた。
あたしは来る途中で拾った何故か落ちていたバールのようなもので殴りかかった!
しかしその攻撃は見事に受け流された。
そして二股宣言しながら告白された。
もう一度言おう。
訳が分からない。
「や、病子ぇ」
「あ、おかえり、おねぃちゃん。錆くんとは会えた?」
「会えたっていうか、殴りかかったらなぜか告白されて、しかも二股で、えーと、とにかく! あんな奴と交際なんてあたしは認めないよ!」
「おねぃちゃん、嘘はダメ。錆くんに告白されて嬉しかったんでしょ?」
「そ、そんなわけ──」
「そもそも錆くんに告白されて好きって言われて嫌な気持ちになる女の子なんて存在しないし、最初に好きって言われたのが私じゃなくておねぃちゃんだったのはショックだけどまだ許せる。でも許せないのは錆くんに殴りかかったことと『あんな奴』呼ばわりしたこと。でも大丈夫。おねぃちゃんが自分に素直になれないのは知ってる。だから素直になれる『お薬』を注射してあげるね。この『昏睡昇天のインジェクション』で」
病子は虚ろな目で『注射器』を取り出した。
「ま、待って病子。謝る、謝るから」
「謝る必要なんてないよ? 逆におねぃちゃんの性格知ってて焚きつけた私こそごめんね。大丈夫、痛くない。むしろ気持ちいいはず。そして錆くんのことしか考えられなくなって、錆くんが世界の全てで、錆くんが大好きになるよ」
「だから、おねぃちゃんも、