「
「昨日、女王のとこにいた男子。隣のクラスだった」
「へぇ。同じ学校なのは分かってましたが、世間は狭いですねぇ」
「少し、様子を見る。たぶんまた女王のとこに行くだろうから」
「了解です。お供しますよ、
「ん」
「……やっぱりまたいた」
放課後。
すると予想通り灰村くんが少女とイチャついていた。
「あ……、び、病院坂さん」
「灰村とやら」
少女の呼びかけを無視して、法子さんは灰村くんに話しかける。
「昨日は言い忘れたが、こいつにこれ以上関わるのはよせ」
「……なぜだ」
訝しげに、けれど確信しているかのような表情で問いかける灰村くん。
ああ、これは髪のことを知ってるな。
「その様子だと話は聞いているようだな。こいつは呪いの元凶の子孫。一緒にいると不幸になるよ」
「……そんなの
「こいつの父親だって、もう死んでる」
「おとう、さんは、あなた達が殺したんじゃないの?
少女、祝ちゃんの言葉に病子さんと法子さんの表情が軋む。
殺人衝動に苛まれ続ける妹と、それを見てきた姉に、その言葉は
「あぁそうか、なるほどね。父親の代わりってわけだ、そいつは。変わり身早いねぇ?」
「違っ、私はそんなこと──」
法子さんは祝ちゃんに近づくと、その長い髪を掴み、思い切り床に引き倒した。
「……つらかったら、自分ひとりで耐えなさい。あんたの重荷を他人にまで背負わせるな。髪の女王!」
「お前っ──!」
「──そして、灰村切。あなたは何もすべきでない。……何もできない」
法子さんの凶行に激昂しそうな灰村くんに、病子さんが
「もし、
「ごめんなさい」
屋敷をあとにし、昨日と同じくバス停へ向かう途中で、病子さんは唐突に謝ってきた。
「えーと、謝られることをされた覚えはないのですが」
「……ほんとは灰村を怖がらせて手を引かせるだけのつもりだった。でも髪の女王があんなこと言うから、つい脅してしまった。錆くんも
「それで僕が不利益を被るなら、謝られることには納得です。しかしあの二人に怖がられたところで、僕にはプラスもマイナスもありません。だから謝ることはないんですよ」
──それに、その認識はあながち間違いではありませんから。
僕の小さな呟きは、彼女らの耳には届かなかった。
「一般人を女王から遠ざけるのもあたしらの役割だからね。灰村には悪いが、これ以上関わるなら──実力行使だ」
「あれ、僕は一般人には分類されてないんですか?」
「あんたはあたしらの、こ、恋人だろう? 立派な関係者さ」
「……おねぃちゃん、
「あ、やべ、忘れるとこだった。あたしらの後継人、ってか身元引き受け人があんたに会っておきたいって言っててさ。どうする?」
ふむ。
「つまり、親御さんに挨拶に行く感じですね!」
「違うわっ!」
「違うんですか、ちょっと残念。それで、その人はどんな方なんですか?」
「……修身大学文学部、犯罪史学講座の教授をしている
「それはまた、個性的な方ですね。おふたりの成長具合を考えれば、ある意味安全ではありますが」
と言いながら僕はふたりの体つきをチェックする。
「ヤラシイ目で眺めるな!」
「……えっち」
「恋人なんですから、そのくらいは」
「TPOを弁えればな」
「……雰囲気は大事」
では、その