万能全刀のラスティ・ハート   作:四季式

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第四話。

「やあやあ、よく来たね。話は二人から聞いているだろうが、自己紹介は大切だ。僕はこの大学で教授職をしている(スメラギ)(カナエ)。親しみを込めて教授(プロフェッサ)と呼んでくれたまえ、(サビ)(トオル)君」

 

「はじめまして。病子(ヤマネ)さんと同じクラスの錆透です。病子さんと法子(ホウコ)さんのお二人とお付き合いさせていただいてます。よろしくお願いします」

 

「ほう、しっかりした挨拶だ。ふたりのことをよろしく頼むよ。なにかと危なっかしい子達だからね」

 

教授(プロフェッサ)が普通なことを言ってる、だと……?」

 

「……偽物?」

 

「ははは、酷い言い様だなふたりとも。なんなら透君に君らの自慰の頻度や妄想ノートの隠し場所を教えてもいいんだぜ?」

 

「やっぱ掛け値無しの変態だな。そしてやめろ」

 

「やっぱり本物。そしてやめて」

 

 それらの情報は非常に興味があるが、ふたりが嫌がっているので泣く泣く断念。

 ……後でこっそり聞いておこう。

 

「まあ挨拶はこのくらいにして、透君。このふたりは片方だけでもじゃじゃ馬だ。なぜ妹だけでなく姉まで要求したんだ?」

 

「……それは、私も気になる」

 

「そういえば理由は聞いてなかったな」

 

「それは────

 

 

 

 

 姉妹丼って、ロマンじゃないですか」

 

 

 

 

 

「……は?」

 

「……おお」

 

「あっはっはっはっは!! そうか、ロマンか。それなら仕方ないね!」

 

 さすが学者さん。

 ロマンの重要性を分かっている。

 

「いやいやいや。じゃあ何か? あたしはその『ロマン』とやらのためだけに恋人にされたのか⁉︎」

 

「いえ、さすがにそれだけが理由ではないですよ」

 

「それでもかなりのウェイトを占めていそうな物言いだな!」

 

 それは勿論。

 漢のロマンのひとつである『姉妹丼』なのだから。

 

「病子も何か言ってやんな!」

 

「……ロマンは正義」

 

「裏切られたーーー⁉︎」

 

 病子さんもよく分かってらっしゃる。

 まあインドア派っぽいし、オタク趣味(そういうの)にも精通してるよね。

 ああ、僕はそこまでがっつりオタクというわけではないよ。

 ある程度ネタが分かるくらいのレベルだ。

 とりあえず、ドリルはロマンの塊。

 

「さて、面白おかしいギャグパートはここまでにしといて、透君。君は殺害遺品(キリング・グッズ)権利者(オーサー)だね?」

 

「はい。おそらくは」

 

 なんでもないように僕は答えた。

 

「なッ──⁉︎」

 

「──えっ?」

 

 病院坂姉妹には、しかし予想外の事だったようで、目を見開いてこちらを向いた。

 

「やはりか」

 

 教授(プロフェッサ)はニヤリと笑った。

 

「ふたりから聞いていた話の中にもヒントはあったが、確信したのは君の眼を見た時だ。君は人を殺したことがあるね?」

 

「はい」

 

 先程と同じく、なんでもないように(・・・・・・・・・)、僕は答えた。

 

「しかし分からないこともある。君は殺人経験のある権利者(オーサー)のはずなのに、人を殺すことに執着することも忌避することもないようだ。殺人衝動が無く、人を殺したことに罪悪感も持ってない。これは殺害遺品(キリング・グッズ)の特性から見てもあり得ないことだ。君のグッズはいったい何なのか。様々な推測と考察の結果、ひとつの答えに僕はたどり着いた。

 

 

 

 

 君の殺害遺品(キリング・グッズ)は、君自身(・・・)なんだろう?」

 

 

 

 

「正解です。いえ、確信はあっても確証はないので『正解だと思う』が正しいですね。ですが敢えてこう名乗りましょう」

 

 僕は仰々しく口上を述べる。

 

「我こそは伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が打ちし血刀、全刀『(サビ)』──万能全刀の錆びた心(ラスティ・ハート)

 

 


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