小説を書いていて気付いたのですが、私は情景描写が物凄く下手なようです。想像力が無いのでしょうね。
【追記】11/7加筆修正しました。
1、一生に一度の出会い
目の前にはプラハ城すら霞むくらい立派な城が出来ていた。今日一日この砂場に居座り作り上げた城。小学校に入りたての妹に是非見せてやりたい。さぞ驚くだろう。
外観は何と無く姫路城に似ている気もするが、そんなことを指摘するのは野暮ってもんだ。
「我ながら見事だ」
達成感に浸っていると、作業中は気付かなかったが同じ砂場で女の子が遊んでいた。住宅街の外れの方にある小さな公園の小さな砂場なのに、気付かないものなんだろうか。
目を女の子の方に向けてみると、その子は俺の作った立派な城を眺めていた。足元には自分で持ってきたのだろうバケツやスコップが置いてある。あ、これ同じやつじゃん。こいつもダ○ソーで買ったんだな。いいよなダイ○ー。大体のものはそこで揃っちゃうし。けどドン○ホーテもいいよなー。安いし便利、激安ジャングルなんて公式の歌に入れるのも納得だ。そういえば店の名前とセルバンテスの作品名の間に何か繋がりはあるのか?元ネタとか?
そんなことに思考を巡らせて女の子の方を見つめていると、俺の視線に気付いたのか女の子はハッと視線を足元のスコップやバケツに落とし、それを使って何かを作り始めた。大方、姫路城を再現するつもりなのだろう。しかし、建てる上で一番大事な水の存在を忘れている。それが手元にない時点で城など諦めるんだ。
バケツに砂を詰めてはひっくり返しを繰り返し、土台を作ろうとしているが上手くいっていない。だから水が必要なんだって。
この小さな公園には幸い水道が通っている。そこから水を汲んでこればいいのだ。そのことについて教えてやったほうがいいのだろうか。しかし、もしかしたら女の子は水が必要と知った上で砂のみで城を建てるという難題に挑戦しているのかもしれない。そうならば気遣いなど無用で、むしろ恥をかいてしまう。ええいどうしよう。話しかけるべきかそっとしておくべきか。実に難しい。
「むぅ〜〜〜!…バンッ!」
度重なる失敗に嫌気がさしたのか、ついに女の子はバケツを砂場に叩きつけた。どうやら前者で正解だったようだ。
自分のバケツを持って水道の通っている所まで水を汲みに行く。水で重くなったバケツを持って砂場の方に行くと、女の子はまだ不貞腐れた顔で目の前にある砂の山を見つめていた。ほっぺを河豚のようにぷくっと膨らませたその怒った顔は不覚にも可愛いと思ってしまった。
「これ使うといいよ」
水で一杯になったバケツを差し出しながら女の子に声をかけると、その子はキョトンとこちらを見つめた後、バケツの方に目を向けた。そのキョトンとした顔もすごく可愛かった。
「…水?」
「砂と水を混ぜると砂が硬くなって壊れにくくなる」
「そうなの?やってみる!」
女の子は水の入ったバケツを受け取ると、そこにスコップですくった砂を入れていく。えぇ…この子もしかしてアホの子…?
「いやいやいや、砂をバケツに入れた後に少し水を混ぜるんだって」
「えっ?そうなんだ…えっと…」
イマイチ理解できていなかったので、女の子が使っていなさそうだった空のバケツを取り、そこに砂を入れていく。砂がある程度入ったら水を注ぎ、砂を全体的に湿らせ、固くしていく。
「……」
女の子はまるで工場見学で複雑な商品の生産ラインを見ているかのようにこちらを興味深く眺めていた。そんな顔も素敵だった。女の子からの視線を感じて少し顔をそらす。
「…こんな感じ」
男の照れた顔なんざ需要がない。先ほどできた硬くなった砂を女の子の前に置き、後ろを向いて赤くなった顔を手元の水で濡らした。
女の子はバケツを先ほど自分が何度もしていたように逆さに置き、慎重に、慎重にバケツを引き抜いていく。
「わぁ!できた!」
女の子の前には少し形が崩れてはいるが、台形の山ができていた。俺の2段台形、即ち姫路城には遠く及ばないが、それでも達成感溢れる作品であった。
「ねぇ!できた!できたよっ!やったぁ!」
女の子はすごく嬉しそうだ。やっと成功したのだ、そりゃ嬉しいだろう。
「おめでと」
「ありがと!!」
女の子は自分が作り上げた台形をずっと眺めている。まあ、バケツに混ぜ合わせたの私なんですけどね…。
けど、謎の達成感に浸っている女の子の笑顔はやっぱり可愛かった。
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「…!帰るわよー!」
公園の入り口の方から砂場の方に呼びかける女性の声が聞こえた。俺に声をかけてくるような相手はいないので、おそらくこの子のお母さんかなんかだろう。
「はーい!」
元気な返事だな。その元気を幾分か分けていただきたいものだ。
女の子は自分が持ち込んだスコップやバケツなどをかき集め、小走りでお母さんの元へ向かって行った。しかし俺は見過ごせなかった。あの女は走って通り過ぎる際、砂場の中央に堂々と建っていた姫路城を踏み潰して行ったのだ。これは流石の俺でも怒ってしまう。
女の子に文句を言うために砂場を出ようと今日持ってきていた道具をかき集めていると、夕暮れの公園の砂場の中に微かに輝くものを見つけた。
思わず手に取って見ると、それは腕にはめる貴金属…ブレスレットと言う類のものであった。お母さんがつけてるのを見かけた気がする。それにしてもこのブレスレットどこかで見覚えがある。お父さんがこの前家でやってたゲームの…アレ…えっと…。
「『ほしふるうでわ』みたいだ」
驚くくらいにていた。今ここでつけたら足早くなんねぇかな?そしたら今度の運動会で大活躍できるじゃん。あ、けど目立っちゃうからパス。
ブレスレットを両手で大事に掴んで見ると、それは砂で汚れながらも新品のようであり、目立った傷も見当たらなかった。大事にされているみたいだ。
きっと先ほどの不届き者の落し物なのであろう。文句を言うついでに届けてやるとする。
自分の荷物と、拾ったブレスレットを持って足早に公園の出口へと向かった。
幸いにも公園から住宅街への道は一本道であり、2人もそこまで進んでいなかったためすぐ目についた。
やはり、あの女の人はこの子のお母さんだったようだ。お母さんは電話に出ているのか、携帯電話を耳に当てて女の子から少し離れて立ち止まっている。
何か問題があるわけではないが、変に心配させるわけにもいかない。ささっと腕輪を渡して帰ることにしよう。もちろん文句も。
「なあ」
「…」
女の子は道端に咲いていた花に興味津々で、こちらに気付く気配はない。少し離れた所にいるお母さんに聞こえないようにもう少し声の大きさをあげる。
「おーい」
すると女の子がこちらに気付き、驚いた様子で俺のことを見た。さっきまで砂場で一緒にいたことを覚えているだろうか…流石に覚えているか。気付いて貰えたことに安堵しつつ、砂場の中で見つけたブレスレットを女の子の前に差し出す。あれ?これデジャブ感すごいな。さっきは水入りバケツだったけど。
「忘れ物」
そう行って腕輪を女の子に差し出す。それにしても本当にほしふるうでわにしか見えないな。
女の子はキョトンとした顔で腕輪を差し出す俺を見ていた。あれ、これもデジャブ感すごいな…。女の子は差し出されたモノの存在に気づき、自分の左腕を確認する。
「…あっ!パパから貰ったプレゼント!」
女の子が差し出された忘れ物が自分のものであることに気付き、受け取ってくれる。良かった、この子のものであってたみたいだ。
「ありがとう!これパパから誕生日に貰った大切な宝物なんだ」
そんな大事なものを砂場に忘れるんじゃありません!全く…次からは気をつけていただきたい。
「渡せてよかった」
「うん!本当にありがとっ!」
そう言う女の子の笑顔は今日一番に、先程女の子が見ていた向日葵のように明るかった。
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女の子の笑顔を眺めていると、視界の端に電話を終えてこちらに近づいてくる女性が見えた。こちらには気づいているが、話しかけられるのは不味い。目的も果たしたし、撤収だ。
「それじゃあ」
と言って顔の前に手を出し、女の子にお別れの音葉をかけながら公園の方向へと走りだす。
「あっ!またね!」
女の子の元気そうな声が後ろから聞こえてくる。あの女の子のことだ。漫画ならブンブンと効果音がかかれるくらいに大きく手を振っているのだろう。
ちらりと後ろを見るとこちらの方向を指差しながら嬉しそうに女性と会話する女の子が見えた。
今日は良い1日だった。
最近は小学生すらスマホ持っているんですね。高校生からガラケーを持ち始めた筆者には驚きでした。
反面、インターネットを利用する上での注意喚起などは勧めてほしいです。現場からは以上です。