ウソダドンドコドーン
なんてしてる場合じゃなかった…。遅れて申し訳ありません。感想お待ちしてます。
「ふあぁ〜」
思わず欠伸が出てしまう。
気付けば、女の子に落し物を届けたあの日より既に2年が経過していた。
以来、砂場のあるあの公園には近づいていない。
そもそも同じ小学校の生徒に一人で遊んでいるところを見られたくなくて、少し離れた公園に来ていたので何ら問題はないのだ。
よくあるラブコメ作品や青春モノにおけるお約束の〝再会〟なんてことは微塵もなく、平和な生活を送っていた。しかし…
「暑い」
その一言に尽きる。本当に暑いのだ。
小学6年生の夏、自分の通う小学校は遠足という名目で近所にある大きな公園に来ていた。大きさを東京ドーム基準で表したいところだが、東京ドームの大きさなんて行ったこともないのし知っているわけがない。何平方センチメートルだとか言われても全然想像がつかない。算数なんざ糞食らえ。だいたい面積とか図形とか覚えて人生にどう役立つんだよ!計算はできないと困りそうなのはわかる。分数とか少数はまだ大丈夫だ。けど図形ってなんだよ!絶対に使わないぞ!しかも中学に入ったら図形がすごい複雑になって、面倒臭くなるらしい!やっぱ算数なんて要らない!
話が逸れた。暑さに頭がやられたのかもしれない…。
そうそう、この遠足は毎年近隣の小学校と合同で行っている。なんでも、このあたりには中学校が一つしかなく必然的にほとんどの児童がそこへ行くから、前もって面識を作るためにこのような合同イベントを開いているらしい。友達100人出来る子からしたら良いイベントなんだろうけど、別に友達を作る気のない児童…俺みたいなやつからすれば無駄なイベントだ。変に輪に入って乱すよりかはこうして離れて過ごしている方が気楽だ。
まあ、これは俺が受けるべき報いなんだ。別に寂しくなんて無い。ホントだよ?ハチマン、ウソツカナイ。
各校の児童がカバンやレジャーシートを敷いて集まる場所は日陰が少なく太陽からの攻撃に耐えることはできそうに無かったので、密集地帯がギリギリ見えるくらい離れたところにあった木の陰へと逃げ込む事にした。
いくら日陰といえども身体中を覆うこの暑さから逃れることは叶わないが、直射日光を浴びない分マシではあるだろう。心地よい風でも吹かないだろうか。
「あっつーい!!暑いよ!!」
逃げた先の木の根元に腰を下ろし、マシにはなった熱気と仲良くしていると女の子の声が聞こえた。
割と離れている場所に来たはずなのに、人がいたとはびっくりだ。ここは割と集団から離れてるし、避暑地を求めてくるにしても木は向こうにも沢山ある。まさか…俺のストーカー!?いや、わかるぞ!最近少し目つきが悪くなったと妹に言われたことと、目が生け簀に入れられた魚みたいに濁って来たことを除けばイケメンだもんな!いやーストーカーなんていてもおかしくない!サインでもしてやるか!この前小町が読んでた目が顔の半分をも占めてた漫画…名前忘れたけど、それに出てた王子様系男子みたいなこと囁けば良いんだろう!?
根拠もなく自信満々な顔で横に座っていた女の子を見てみるが、見覚えは無い。他校の可能性が高いが、同じ小学校に通う女子児童でさえ全く知らないので実は同じクラスにいるのかもしれないが。
それにしても暑い。こんなにも暑いという単語を繰り返し言っているのだ。それほどまでに暑いということを理解していただきたい。不謹慎ではあるけど、熱中症で誰かが倒れて来年よりこの行事自体廃止にならないだろうか?…けど来年以降居ないんだった。これからもこの大切な行事続けるんだぞ!!仲良しごっこ大事!!
女の子のことや世界平和について考えていると、ふと喉が渇いた。これはいけない。こんな暑さの中水分を摂取しないなんて自殺行為も同然だ。すぐさまカバンの中からアクアリアスの入った水筒を取り出し、喉を潤す。あぁ…生き返る…。
喉の問題が解決して、ストーカーのことを思い出し、横の女の子を見ると、女の子は水筒付属のコップに飲み物を注ごうとしていた。しかし、待てども待てども水筒の中から出てくるはずの液体はなく、ただ無の空間が生じていた。女の子は持参した水筒を何度も振って、中から目当てのものが出てくるのを待っているが現実は厳しく、何も出てこなかった。こんな時魔法の力や便利な道具があれば…。助けてよド○えもーん!!
「むぅ…」
女の子はふくれっ面で水筒を睨んでいた。あれ、この顔どこかで見たことある気がする。この可愛い怒った顔、どこで見たんだっけ…。
まあそのことは置いといて、この暑さの中水分もなしに過ごすのは非常に危ないな。赤の他人とはいえ、放置した結果熱中症などで倒れられでもしたら寝覚めが悪い。情けは人の為ならず。いいことが帰ってくると信じて、女の子を助けよう。
「これ…飲んで」
アクアリアスを水筒付属のコップに移してあげ、未だ不貞腐れた顔をしている女の子に差し出す。
「…」
すると、女の子はキョトンとした顔で見つめて来た。あれ、これもデジャ(ry
隣に座って来た、もしくはいた奴から突然コップを差し出されているんだからな。そりゃこんな顔するわ。
「…いいの?」
女の子は意図に気づいたのか、受け取ることを躊躇しているっぽい。まあここで確認を一応とる辺り、いい子なんだなぁと思う。
女の子はコップを受け取ると、一気に中身を飲み干した。よほど喉が渇いていたのだろう。
「はー!生き返るー!」
仕事終わりにビールを飲むサラリーマンかお前は。
「ありがとっ!水筒の中お昼ご飯の時に全部飲んじゃったみたいで…えへへ」
照れ臭そうに笑った。
まあ暑かったから仕方ないけど、昼ご飯の時に全部飲んじゃうのはバカだなぁ…」
「あー!今バカって言ったな!バカっていう方がバカなんだよ!パパもそう言ってたもん!」
「今自分で言ったじゃん」
「えっ、あっ、そ、それは数えないもん!」
「やっぱバカじゃん」
「だから違うもん!」
「バカって言う方がバカなんだっけ?」
「そっ、そうだけど違うくて…。あぁ!もう!」
忙しい表情の変化に思わず笑ってしまう。…そういえば笑うのは久しぶりだな。いつぶりだろう。
「「…ふふっ」」
2人のくすりと笑う声がハモった。
「ねぇ!名前教えてよ!」
「名前を聞くときは先に自分が名乗るって習わなかったか?」
「あっ!ごめんね…。私はかおり、折本かおりだよ!」
「八幡、比企谷八幡だ」
「はちまんね!よろしく!私のことはかおりって呼んでね!」
彼女…かおりは笑顔の似合う女の子だった。
「ところでさ!なんでこんなところに…」
この子は人と話すのが好きなのかな。
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互いのことや家族のこと、好きなものや小学校での出来事などの話は積もり、気づけば長い間話をしていた。時間のほとんどは女の子…かおりが話していたのだが、時たま俺にも話題をふって来た。自分自身のことについては面白さも無いし、基本話したく無いのだが、この子と話していると自然と出て来た。かおりは聞き上手なんだろうな。
夕暮れ時の公園で児童が徐々に集まり始めているのが見えた。そろそろ解散の時間なのだろう。時が経つのが早いと実感するのはこういう時なのだろうか。
カラスが鳴くから帰りましょ。
「あっ!もう帰る時間だね!」
「そうだな」
「お別れ…だね」
先ほどまであんなに楽しそうに喋っていたのに、急に顔が暗くなった。
「…また会えるさ」
その悲しい顔が見てられなくて、根拠もないことを言う。けど、本当になんだかまた会えそうなのだ。
「…うん!また会おうね!」
「おう!」
返事をすると、かおりは先に走ってみんなの集まる方へと向かって行った。
今日は、久々に笑えた気がした。
次からは中学編の予定です!皆さんの知ってる俺ガイルじゃないかもしれませんが、見守っていただけたらなと思います。
原作でも割とターニングポイント扱いされている中学編ですが、ほとんど創作で書き上げるのは楽しみです。