というより村人を落とし穴にハメることは出来ないのですか…?
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4、一生に一度の再開
回想
ウェストミンスターの鐘が鳴る。
「じゃあ今日の授業はここまで。教科書の17ページから20ページを次の授業で扱うから予習しておくように。では日直の方お願いします。」
宿題は今読んでいる『少年の日の思い出』をもう一度読んでくること。〝そうかそうか、つまり君はそういう奴だったんだな〟というセリフで有名なあの作品だ。もちろんうちの中学校でもそのセリフはものすごく流行っている。年代など関係なく、この年頃にはものすごく印象的なのだろうか。まあ、会話の途中で無理やりそのセリフに繋げるのはやめていただきたいのだが。
「起立、礼」
「「「ありがとうございました」」」
「着席」
まだ中学校が始まって一月ほどだが、もう授業は本格的に始まっている。全く、少しは休みをくれてもいいじゃないか。
「○○ちゃーん!ご飯食べよ!」
「よし!外行くぞ!」
先生が教室を出て行くや否や、それを待っていたと言わんばかりにクラスの男子生徒は挙って外に向かって走り出し、一部女子生徒もそれに続いて行った。残りの女子生徒たちは一箇所に固まって、お昼ご飯を食べる準備をしていた。気づけば、教室には俺と女子集団だけがいた。これは不味い。さっさと移動するとしよう。今日も忘れずに持ってきた弁当を手に取り、休める場所へと向かう。
うちの中学は給食制度ではなく、弁当を持参する制度だ。俺は小学生の時も弁当を持参するのが普通だったから特別違和感を感じているわけではないが、小学校が給食制度で、中学でも同じ制度だと思っていた友達には違和感バリバリらしい。え?俺に友達がいるわけが無いって?見栄を張るなって?ふん!…非常に残念なことに、俺にも友達がいるんだ。もちろん向こうから友達と呼ぶことを強要されているのだが…。俺に友達とか世界の終わりでも近づいているのか?
朝母親から貰った弁当を、某タヌキ型ロボットが腹のポケットから出す時間を操作する風呂敷に似たもので包み、人気のない場所…屋上の方へ向かう。人気のないところと聞くとなんかすごい悪いイメージあるな。よくある漫画の展開としては学園バトル系なら決闘とか、ラブコメ系ならカッコよく主人公がヒロインを悪役から救うシーンとか。コメディ系に行くなら弁当がタ○ムフロシキで宇宙飯みたいなゼリー状のなんかに変わって出てくるとか。…ということは現代の10秒飯さんは未来の先取りでもしてるんかな?。まあ結局ライトノベルや漫画なんて高校が中心なんですけどね。話が逸れた。
うちの中学校は校舎が4階まであり、各学年の教室は2~4階に収められている。そして上の階に行くほど学年が下がるので、俺たち一年生は4階だ。1年間限定とは言え週5で一番上まで行かなきゃいけないとかまじ重労働。学校いきたくない。ましてや屋上は4階から階段をもう一階層分上がったところにある。…つまり、俺は毎回昼ごはんを食べるためだけに1階層分余分に上り下りしていることになる。これは残業なのでは?絶対サービス残業だよね?あぁ、中学生なのに早くも立派に社畜している父の気分を味わっている。
そんなこんなで屋上前の階段を登っていると上から声が掛かった。
「おっそーい!」
そこにはフグみたいに膨れた顔で俺を待つ『友達』がいた。別に怒っているわけではないと思うが、こういうのは謝っておくのが吉。
「ごめん、授業が長引いてた」
ごめん嘘、言い訳します。だって悪いことしてないのに謝るとかおかしくない?
「嘘!さっきAちゃんとかB君が走って階段降りて行くのちらっと見えたもん!」
「そのAちゃんとかB君が誰か知らないけど、俺のクラスはチャイム鳴っても授業続いてたぞ?」
「二人とも八幡と同じクラスだよ!?」
「なら絶対見間違えだな。お前、その2人の顔確認したわけじゃないんだろ?」
「ま、まあそうだけど…」
「ならお前の勘違いということでこの話は終わりだ」
「う、うん…あ、じゃあご飯食べよ!」
こいつが少し頭の残念なやつでよかった…。A,Bが誰かは知らないが、クラスメイトとか興味がない。というよりも、今の発言でこいつの交友関係がうちのクラスにまで及んでいることがわかった。俺は2組、あいつは6組。複数クラスでの合同授業や体育も2組と6組はまず一緒にならないし、こいつは帰宅部に所属していたはずだ。こいつと同じ小学校出身の知り合いが2組にいれば話は簡単だが、2組の教室に入ってくることを見たことがない。つまり…こいつはコミュ力のバケモノなんだ!ひゃあ怖い!一緒にいれば友達がどんどん増やされるんだ!このぼっちの天敵めっ!
「というかお前じゃない!かおりって呼べ!」
こいつとの『出会い』…というよりは『再会』は1ヶ月前の入学式まで遡る。
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つい先日小学校を卒業し、今日から中学生だ。入学式までの春休み期間は妹とゲームをするか寝ていた気がする。中学校に入ったからと何かが変わるわけではない。この辺りには中学校が一つしかないから、引越しや受験でもしない限り近隣の小学校にいた奴らがくる。だから、人間関係に大きな変化は生まれないし、ただ元あったコミュニティーが合体して拡大するだけだ。
そんなこんなで憂鬱な気持ちになりながら、真新しい制服に袖を通して中学校の方へと向かう。
「はぁ〜」
入学式当日に遅刻しちゃいそうで、パンをくわえながら走っていたら曲がり角で女の子とぶつかるみたいなラブコメ展開無いかな。あるかも。ちょうど目の前に曲がり角あるしやってみるか。けど肝心の食パンがない。何か四角くて薄くて噛めそうなもの…あっ。
どんっ!!
派手にぶつかったな。というよりも本当に人にぶつかるのかよ。ラブコメの神様も捨てたもんじゃないな。中学生初日の曲がり角から始まるラブコメ生活…。日本の未来は明るいようだ。さあ、女の子と仲良くなるぞ!
「大丈夫かい僕!?」
「だ、大丈夫で…」
ん?声が大分渋い気が…そう、お父さんみたいな…。女の人って声もっと高いよね?だ、大丈夫!声が低い女性の方だっているんだから!諦めたらそこで試合終了!一応確認しておこう。
「ほら、手貸して。立てる?」
前言撤回、やっぱラブコメの神とかいねぇわ。目の前には錆びれた肌とカサついた唇、太陽の熱を反射させてスペシウム光線を出せそうな頭頂部が広がる男性…そう、おじさんがいた。
「大丈夫です!」
勢いよく立って、自分が怪我をしてないことをアピールする。実際怪我してないし本当に大丈夫です。こういう風に心配してくれるあたり日本は本当にいい国だな。しかし驚くくらいパッと立てたと我ながら思う。起立世界選手権なんかあったらいい線いけるんじゃないか?
「本当に大丈夫?」
「はい!」
「そ、そう?じゃあおじさん急いでるから行くね?」
急いで行くおじさんに手を振って見送ることにした。はぁ、やっぱりこの世に希望などないのだ。落とした食パン擬きを拾って早く学校へ向かうとしよう。
「ねぇ!!なんでノートなんて咥えながら走ってたの!?」
ん?この声は…女の子!?ぶつからなきゃ(使命感)!
声に反応して後ろを見てみると女の子がいた。良かった、女の子だった。女の子は何か面白いものを見たかのような興味津々な素振りでこちらを見つめる。辞めて、照れちゃう。
「…」
というかこの女の子見覚えがある。制服を着てはいるが、こやつ、小学校の遠足で一緒に話していた例の女だ。しかも服装がうちの中学校指定の制服。これは下手に関わらないほうがいいだろう。とすれば逃げるが吉。逃げるは恥なんていう輩もいるが、恥の多い生涯を送ってきている俺に怖いものなどもう無いのだ。
後ろを向いて思いっきり学校に向けて走り出す。
「あっ!待って!!」
ここから学校の距離はそんなに離れていないはずだ!振り切れば後はどうにかなる!俺には何も聞こえない!風になれ!
気付けば、中学校の校門を少し抜けた所にある建物の陰で乱れた呼吸を整えていた。どうやら振り切ったようだ。
何事もなかったかのように昇降口へ向かい、クラスを確認する。俺は…2組か。まあ知り合いがいる訳でも無いのでどこのクラスでも変わらないのだが。一応あの女が同じクラスでないことだけは確認しておこう…。よし、あいつは6組だ。なら、奴が学校に来る前にここから退散しておこう。
始業式が終わって教室に戻ってきたところで今日は解散。クラス委員や自己紹介などは明日やるらしい。今日終わらして明日休みにしてくれよなほんと。2日に分けるのがなかなかに腹立たしい。
特に周りに声をかける必要も無いし、もう帰ろう。お家が待っている。
カバンを持って教室から出ようとすると、突然目の前の扉が開き、目の前には俺より小さめの女の子がいた。あっ、こいつ。
「ねぇ八幡!ちょっと来て!」
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それ以来よく話しかけられるようになり、ご飯も一緒に食べることになってる。
「あっ、じゃあ私次体育だから先行くね!」
「おう、いってら」
「また放課後ね!!」
全く、どうして俺はこんな奴と仲良くしてしまったんだか…。
そろそろ更新せねばと焦って書いたので、割と後半が駆け足です。また時間が取れ次第少し加筆修正したいと思います。
話は変わりますが、先日中学時代の友人と久しぶりにお会いしました。何年経っても意外と変わらないものですね。
次の更新は12月初旬中に出来ればなと思ってます。よろしくお願いします!