あたしは小さい頃、よく泣く子だった。
淋しかったんだ…
物心つく頃には父はおらず、母と二人の生活が始まっていた。
あたしを養うため母は働きに出る、、、いつも明るく笑顔を絶やさない…そんな人
再婚することも出来たと思う。娘のあたしから見ても母はとても綺麗だ。
だが、母は働くことを選んだ。
幼稚園から小学校に変わり、保護者参観は相変わらず、あたしだけ誰も来ない。
クラスメイトに聞かれた
「真琴ちゃんて、参観日にいつも誰も来ないのなんで?」
「おかあさん、お仕事でいそがしいから、来れないの」
「じゃあ、おとうさんは? おとうさんも来れないの?」
「わかんない…」
皆のことが羨ましかったのと、単純に疑問だったのもあって母に尋ねてみた
「おかあさん、あたしにおとうさんはいないの?」
今でもその時の母の顔は、はっきり覚えている。
いつも笑顔の母がその瞬間、とても悲しそうな顔をしていた…すぐに笑顔になったがまだ悲しさが抜けていないように思えた。
「う~ん…お父さんはいるよ?でも、お父さんはとっても忙しいお仕事をしているから、お母さん寂しくて悲しくて、お父さんとケンカしちゃったの…そしたら仲直り出来なくなっちゃって…真琴、ごめんね…真琴のが寂しいよね?」
「ううん…あたし寂しくないよ。おかあさんがいるもん」
そう言いながらもあたしは泣いてしまった。
母はあたしを抱き締め泣きながら「ごめんね」と謝り続けた。
それからあたしは母の前では泣かないと誓った、あたしが泣いたから母を泣かせてしまった、、、そう思ったからだ。
だが…母が仕事で居ないとき、どうしても寂しくて、あたしは泣いてしまっていた。
「~~~~~~~~~~!!!!!」
いつからだろう…何処からか聞こえるようになった力強い声、なんて言っているかは分からないが間違いなく声だ。
聞こえだした当初あたしはビックリして、泣き止んでいた。
普通なら誰も居ないのに声が聞こえるのは怖いことなのだろう…でも、その時のあたしにとっては怖いより"一人じゃない"と思わさせてくれるその声は嬉しかった。
今更だが凄い思考だと思う。
母に嬉しさを伝えたかったが、泣いていたことを知られてしまうことに気付き伝えるのは止めた。
あの声を聞かなくなって、つまりあたしが泣かなくなって「あの声の人は誰だろう?」と考えていた。
会って「ありがとう」と言いたかった
「あたしは貴方の声に元気をもらって、いつのまにか寂しくても泣かなくなったんだよ。」
と、お礼を言いたかった。
思いは日に日に大きくなり…ある日、不思議な夢を見た、、、
どこだか分からない場所…でも、何故だか怖くはない。
まるで、自分家の中に居るみたいな感覚…でも知らない。
周りを見渡すと…なにかとてつもなく大きいものがあった…これは一体なんなんだろう?
少し離れて見る
「(もしかして、寝っころがってるのかな?)」
「(すごいゴツゴツしてる…)」
「んぁ? 誰か居やがるのか?」
「あ、ごめんね、、、起こしちゃった??」
「うぅん?聞き覚えのある声だな」
彼?が起き上がり動く度に凄い音と振動があたしに伝わってくる。
あたしを見つけ、こちらを向き胡座をかいた
音と振動が止んでから恐る恐る上を見上げる
目が合うがあたしは驚きで声が出ない……
「ここに居るってこたぁ…もしかしてお前か?ピーピー泣いてやがったのはよ?」
「(!!!…この声って、、、あ)」
「ありがとう!!!」
気づいたら声に出ていた、でも仕方ない、ずっと言いたくて堪らなかったのだから…
「(この人だ! 人…じゃないけど、何度も聞いたあの声だ!絶対そう!!)」
「おぉぅ、、、いきなりどうした??ビックリするじゃねぇか」
「(お、お礼は言えたけど、、、えっと…えっと…)」
「ふむ、まぁなんだ…オレ様は暫く寝てばっかだったからよぉ おめぇさんがいきなりオレ様に「ありがとう」って言った訳を聞かせちゃくれねぇか?」
「うん!!」
それからあたしは彼"ゴルディーマーグ"にあたしの今まで思ってたこと、泣いた時に声が聞こえたこと、その声に元気をもらい感謝していること等々、不思議なほどに出てくる
思いの丈をぶちまけた
彼は、たまに相づちを打つ位でほとんど黙って話を聞いてくれた。
「成る程なぁ、まぁ…その、なんだ」
「(言えた、、、やっと…やっと)」
ずっと…親にも言えず、溜まりに溜まっていた感情を爆発させたあたしは開放感や達成感などが入り交じった状態だった。
思考は一時的に停止し、上記した顔で見上げながら、彼の言葉を待っていた。
「真琴、おめぇさんが元気を貰ったって声なんだがなぁ」
「うるせぇ、寝れねぇじゃねぇか…って言ってたんだ…せっかく面と向かって礼まで言って貰ったのに…なんか悪りぃな」
「(だから泣いちゃった時しか聞こえなかったんだ)」
自分のことを「オレ様」なんていう人だ、"うるさくて寝て居られないから怒鳴った" 複雑な気持ちだったが腑に落ちた
「そ、そうだったんだ…でも、ゴルディーマーグ?最近はぐっすり眠れてたでしょ?」
「そういや、そうかも知れねぇな…」
「だって、あたし最近は全然泣いてないもん!」
「そうか、真琴は勇気を出せたんだな それからオレ様のことは、"ゴルディー" でいい」
「ゴルディー、、、わかった!」
「でも、ゴルディー?あたしは勇気を出したんじゃなくてあなたに元気を貰えたから泣かなくなったんだよ?」
「いや、だからよ?あーなんて言えばいいんだぁ?……ダメだぁ こういうのを説明するのはどうも苦手だぜぇ」
「とにかくだっ!真琴は勇気を出したから泣かなくなったってことなんだよ。 前の泣き虫な真琴だったら、オレ様とこうして面と向かって話せたか?」
「(たしかにそうかも知れない、でも…でも…)」
先ほどから栓を開けられたままの感情は簡単に溢れてしまった。やり場の無い気持ちが涙となって…
「う、うぉいぃ!!ど、どうしたんだよ…」
「(いきなり泣き出しちまいやがったぜ……訳がわからねぇぞ!?)」
「(五月蝿くはねぇが……だあぁ!!!どうすりゃいんだよ!?こんなときゃあ!?? う~む、、、そうだ!!)」
♪僕の星に舞い降りる♪
♪君をいつも 夢にみる♪
♪今も一人 空を見上げて♪
♪僕をさがしているの♪
「(う、た、?なんだかとっても落ち着く……)」
♪会いたい気持ちなら♪
♪きっとそうさ 負けてない♪
「(どうやらアタリだったようだな…昔、氷竜から聞いたことが役にたったぜ "災害救助の際、救助後に被災者をリラックスさせる為にはどうしたら良いか"だったか? 氷竜は歌で、炎竜は確か…ギャグだったか?お笑い番組ばかりみて研究してやがったなぁ)」
♪銀河に飛び立つ♪
♪翼 僕らに届けて…♪
♪大人になる頃♪
♪いつか星の海で…♪
「どうだ?ちったぁ、落ち着い……」
「う、、、ん…Zzz…」
「なんだ…寝ちまいやがったのか」
目覚ましが鳴っている。
目を開けると、見慣れた私の部屋だった
「(あれは夢だったのかな…?)」
「ゴルディー…」
「〈よぉ、起きたようだな〉」
「え!ゴルディーなの!?」
「〈他に誰がいるんだよ〉」
「(夢じゃなくて良かった~)」
「あれ??ここ、あたしの部屋だよね? なんでゴルディーと話せるの!?」
「〈そういや、言ってなかったな。 オレ様はお前の中に居るんだよ〉」
「〈だから、わざわざ喋らなくても言いたいことを念じればいい。 じゃなかったらおめぇはずっと独り言を言ってるように見られるぞ?〉」
「〈ゴルディー…念じるってこれでいいの??〉」
「〈あぁ、それでいい。今までのやつらと比べても筋はいい方みたいだな〉」
「〈今まで? あたし以外にゴルディーとお話出来る人がいるの?〉」
「〈いる、じゃなくて、いた だかな…それより真琴、学校行かなくていいのか?〉」
「〈学校……支度しなきゃ!〉」
「〈こっちでも、学校にいく時間は変わらないらしいな…早く支度しちまえ 帰ってきたらさっきの続きを話してやるよ。それまでオレ様は寝る〉」
「うん、いってきます!」
こうして、あたしとゴルディーは出会った
この時のあたしは何故だかとてもワクワクしていたんだ…
後にあんなことに巻き込まれるとも知らずに