私は、ひとり。
生まれた時からずっとひとり。
親には捨てられて、誰にも愛されることのないまま死んでゆく、哀れな少女。
私のお父さんとお母さんは、物心つく頃には私を殴っていました。
たくさん殴られました。たくさんの罵声を浴びました。
『お前なんて産まなきゃ良かった』
『あんたの存在不愉快だわ。さっさと死ねばいいのに。』
『ごめんなさい。』私はいつも謝るばかりでした。
そしてついに私は家から追い出されてしまいました。
お父さんとお母さんに、捨てられました。
私は雪が降る中、階段で寒さに震えていました。
お父さんとお母さんに服など買ってもらったことはありません。
薄い半袖の服で、ただうずくまり寒さに耐えていました。
『君、大丈夫?こんな冬に半袖で外なんて...』
だれ?
声かけられた頃にはもう、意識は朦朧としていて......なんだか...あった...かい...
私の意識はなくなりました。
暖かい温もりにつつまれて、目が覚めました。
『あ、目覚めたかい?』
側で男の人の声がします。
男の人...
私の頭にはお父さんが浮かび、ぶるりと震えました。
『寒いのかい?ならこの毛布を被っているといい。』
そう言うとお兄さんは私に毛布を被せてくれました。
『...あったかい...』
『それは良かった。あんな寒い中に薄着の半袖では体を壊してしまうよ。』
お兄さんは微笑みながら私にココアをくれました。
『お兄さんは、私を殴らないの?』
私はいつ殴られるか怖くて聞きました。
お兄さんは私の頭を撫でながら答えてくれました。
『殴らないよ。撫でたりはするかもだけど。』
お兄さんは笑いました。
『君、名前は?』
『......メア。』
『そっか。メア。君のお家はどこだい?きっと家族が心配しているよ。』
『お父さんとお母さんは私の心配なんて...してないよ...だって私は、捨てられたんだもの........お父さんと、お母さんに。』
お兄さんは目を見開きました。
そして柔らかく微笑むと、私の頭をもう1度、撫でてくれました。
『そっか...。辛かったね...』
私の目には涙が滲んでいました。
『行く宛がないなら、僕のところにいればいい。ここにいれば君を殴る人もいない。好きなものも与えてあげる。...きみの...メアの好きなようにしていいんだ。』
私はびっくりしてお兄さんを見返しました。
『お兄さんは...どうして私なんかにそこまでしてくれるの?』
『会ったばかりだから嘘くさいかもされないけど...』
私はお兄さんのこの言葉をきっと...ううん。一生忘れることはないと思った。
『メアが...大切だからかな...』
私の目からは、涙が溢れました。
『め、メア!?な、泣かないで...僕はなにか、メアを傷つけるようなことを言ってしまったかい?』
『違う...違うの...大切だなんて言われたの...お兄さんが初めてで...』
『そうか...』
お兄さんはそう言いながら私を抱きしめて背中をぽんぽんしてくれました。
これが私とお兄さんの出会い。
そして、私の運命のはじまりでした。