メア   作:漆黒のマカロン

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4話

お祭りから次の日。

お兄さんに呼び出された私は、リビングで本を読んで待っていました。

 

『メア、呼び出したのにまたせてすまないね』

『お兄さん!大丈夫だよ。話ってどうしたの?』

 

お兄さんはとても真剣な顔でした。

 

『メア。これを受け取ってほしい。』

 

そういって渡されたのは、銀製の綺麗な...ナイフでした。

 

『お兄さん?こんなものをどうするの?お料理でもするの?』

『メア。これは僕達が世界で一番の幸せ者になる為の【道具】だよ。』

 

そしてお兄さんはとんでもないことを言うのです。

 

『メア、これで人を裁くんだよ。』

『さ、裁く?』

『そう。裁くんだ。その為にこの【道具】は必要不可欠なんだよ。』

『さ、裁くって...どうするの?』

 

お兄さんは淡々と告げます。

 

『その【道具】で、刺すんだよ。僕らの幸せを邪魔するものを。』

 

私は頭が真っ白になりました。

だって...これで...ナイフで刺すってことは...つまり...

 

『おにい...さん?なにを...いってるの?』

『メア。いいかい?これは殺人ではない。裁きだよ。僕らが幸せになるためなんだ。』

 

お兄さんがなにを話しているのか、わかんなかった。

 

『自分の幸せを阻むものを、裁くんだ。』

『お兄さん...む、無理だよ...人を、そんな...刺すなんて.....』

 

『心配しなくても大丈夫だよ。メア』

 

お兄さんは私に言い聞かせるように言います。

 

『これは、僕達が幸せになるために必要なことなんだ。...メアは、幸せになりたくないのかい?また前のような...苦しい生活に戻りたいのかい?お父さんからは殴られ、お母さんからは罵倒を浴びる、愛とは無縁の日々に。』

 

私はお父さんとお母さんにされたことを思い出して、ぞわっと震えました。

 

『い、いや...いや...私...も、もう...やだよ...あんな生活には...戻りたくないよ...』

『そうだろう?そんな恐怖を取り除くために、この【道具】が必要不可欠なんだ......できるかい?メア。』

 

『僕達の幸せのために。』

 

その言葉が、私を頷かせてしまいました。

 

『うん。いい子だね、メア。』

 

お兄さんは私に優しく笑いかけました。

 

私はそんな風に笑顔のお兄さんが、怖かったです。

だって、これから私たちは人を...殺そうとしている。

殺人鬼になろうとしているんだから...。

ほんとは人殺しなんてしたくない...。

けれど。

 

『前の生活に戻るのは...もう...いやなの...』

 

私はナイフを抱きしめて呟きました。

私は、殺人鬼になってしまうことよりも、今ここにあるお兄さんとの生活が、幸せが崩れてしまうのがなによりも怖かった。

 

ーー幸せになろうねーー

 

お兄さんのその言葉をしんじて。

その日私は、お兄さんのために人を裁くことを決意してしまったのでした。

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