イナズマイレブン 〜サッカーやりたくないのか?〜   作:S・G・E

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唐突に意欲が湧いてきたので始めます。勢いだけの作品ですが温かく見守っていただけたらと思います。


プロローグ

 私立海隣中学学生寮。その一室で少年、葦川(あしかわ)創良(そら)は夕刊の一面に大きく載った記事を読んでいた。

 

「エイリア学園か……」

 

 カテゴリはスポーツだが明るい話題ではない。

中学生サッカー日本一を決める大会FF(フットボールフロンティア)決勝戦から一週間。激戦を繰り広げ優勝杯を手にした雷門中学。栄冠を持ち帰る彼等を迎えたのは、見るも無残に破壊された校舎とそれを行なった張本人、エイリア学園だった。

 

「お兄ちゃん?もうすぐご飯できるよー!」

「ああ、すぐに行くよー!」

 

 戸の先の廊下から妹の日天(まひる)が呼び掛ける。すぐに行くと答えた創良だったが未だ暫くは新聞を読み続けていた。

 

「てか何で宇宙人が中学サッカーなんだよ?」

 

 誰に言ったわけでもない創良の一言は正論に尽きるが、ともかく現実としてエイリア学園はサッカーを破壊活動に利用した。

 日本中の中学校サッカー部に試合を仕掛け、圧倒的な力で勝利した後に校舎をまとめて破壊する。

 既に木戸川聖修、千羽山といった全国区クラスの強豪校が襲撃を受け、前述の雷門中学も傘美野中学という中学校の代理でエイリア学園のジェミニストームと名乗るチームと試合を行い、結果惨敗。選手の数名は病院での治療を余儀なくされたとのことだ。

 

「まあ、今の俺にはほぼ関係無い事だな」

「お兄ちゃーん⁉︎」

「はーいいま行きますよ〜!」

 

 流石にこれ以上妹を待たせるのは不味いと判断し、階段を降りていく。食堂は既に生徒でごった返していた。その中から何とか二人分のスペースを確保して並んで食事を始める。

 

「ねぇお兄ちゃん、今度の休みヒマ?」

「学校があれだしな。平日も休日みたいなもんだろ」

 

 二人は同名私立の中学校と小学校に通っている。海隣学園。四国では名のある名門校。サッカー部はFFには毎年決勝、準決勝には到達するレベルの中堅〜強豪クラスの実力だが、漏れ無くエイリア学園の標的にされた。全国区のチームが足元にも及ばない相手に結果はお察しの通り、3桁に届くほどの点差を付けられ惨敗。校舎は破壊され生徒の安全を考慮して自宅待機という名の長期休暇。寮は無事だったので寮生活の学生、葦川兄妹のような者はここで共同で暮らしている。

 

「じゃあさじゃあさ、今度奈良に行かない?」

 

 日天は今年3年生に上がったばかり、今年初めての遠足旅行は奈良だったのだが、間の悪いことに前日に風邪を引いてしまい参加を断念しなければならなかった。無期限の休校という凶事にかこつけてそのリベンジを考えている。

 

「ああ、お前行けなかったもんな……よし、行くか」

「やったあ!お兄ちゃん大好き!」

「ははは、こやつめ〜」

 

 その後も他愛もなく、そして家族らしい会話を続ける。そうして、いつも通り二人の食事は進んでいく……

 

「はい、ありがとうございます叔父さん」

『済まないな。こっちにはこれくらいしか出来ないが待ってるよ』

「気にしなくていいですよ。現に僕が元気に話してるじゃないですか……ええ、ええ、それじゃあ今度の日曜昼頃にそっちに行きます」

 

 創良達には非常に年の離れた叔父がいる。都合の良いことに奈良で働いていたので今回の日天のお願いがスムーズに通った理由の一つになっている。

『後見人の叔父に無事なところを見せたいんですぅ〜』と同学年でも指折りの優等生に入る創良と日天が教師に頼めばすぐに許可が得られた。

 

「奈良か〜鹿とか大仏か?」

 

 そうと決まれば日程表の作成開始。日天が学校からの課題に取り掛かる隣で可愛い可愛い妹のためとリサーチに励む創良。奈良で行われるイベントを調べるうち、気になるものが見つかった。

 

「財前総理とアメリカ大統領の落成式?あ、丁度今度の日曜だ」

 

 奈良の観光スポットの一つシカ公園で何か新しいオブジェが日米首脳二人の手によってお披露目されるという。だが朝から開始という日程の関係上、創良達はニアミスになるだろう。まぁ取り敢えずと創也は『行きたい場所リスト』にシカ公園を追加した。

 

 そうして迎えた日曜日……の前日土曜日。早朝の高速バスに乗るため夜時間に葦川兄妹は出発しようとしていた。『四国』からではそうしなければ着くのがかなり遅くなるため仕方がない。

 

「水筒良し、財布良し、パンフレット良し、リスト良し、真昼?酔い止め持ったか?」

「んー」

 

 目をこすりながら感情のこもらない返事をする日天。彼女のエンジンが入り出すのは名前が示す通り正午からなのでそれまで創良におんぶに抱っこである。

そして二人は奈良へ向けて出発した。

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