イナズマイレブン 〜サッカーやりたくないのか?〜 作:S・G・E
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「チッ、使えねー奴らだ。ねぇ総帥?」
「使えないのはお前だ不動」
「はあ!?」
試合も終わり、影山は逃げ去るために潜水艦もろとも証拠を海に消し去ろうとしている。真・帝国学園のメンバーも例外なく……
「私は一流の選手を集めろと言ったはずだ。だが集めてきたのは二流ばかり。お前も含めてな」
「二流……?テメエこの俺が二流だとぉ!?」
「その証拠に葦川創良の所在を掴んでおきながら積極的に動こうとはしなかった。あの方の目に留まるために自分より明らかに自らより実力が上の選手を恐れた。その程度の魂胆を見抜けないとでも思ったか?」
影山にとって不動は大した価値のある選手ではなかった。いざという時の保険程度のものであり、それが腹に一物抱えていては面白いわけもない。そして今回の敗北で不動は完全に『用済み』となった。
「失せろ、最早お前に用はない」
「くっ……覚えていろよ影山ァ!」
捨て台詞を残して不動は逃げる様にその場から走り去っていった。
『次は俺と話してもらいましょうか』
入れ違いで現れたのは創良だった。
「葦川創良か。今更私に聞くことがあるのか?」
「エイリア学園とどこまで関係がある?」
創良の目的を叶える上で影山が持っているであろう情報は非常に価値のあるものだった。沈みかけの船でやり取りするリスクを無視するほどに。
「ククッ、それを聞いてどうするつもりだ?」
「俺が知りたいのは一つだ。『エイリア学園は宇宙人ではない』この確証が欲しい」
創良の問いに答えるべきか、少し悩んで影山は結論を出した。
「よかろう、勝者の権限だ」
「いいや、そこからは我々が話そう」
後ろから気配なく現れた声に創良は咄嗟に身構える。赤いゴーグルを付けた三人の男、その姿には見覚えがあった。
「フン、好きにしろ」
男達の乱入に興を削がれたのか不機嫌な顔で影山は去っていく。
「あ、待て!……TV局にいた連中か?」
「君のことは以前から目をつけていた。取引をしよう葦川創良君、君の力は我々にとっても非常に大きな価値がある」
「いきなりだな。俺にエイリア側に付けとでも?」
「選択肢は無いと思うが?」
派手な爆発音とともに船体が大きく揺れた。すでに潜水艦は沈み始めている。今から脱出しようとして間に合うかどうか。
~~~
潜水艦を抜けた先には警察が辺り一帯を取り囲んでいた。
「影山……!」
「さらばだ鬼道、我が最高傑作よ!」
だが影山はそれを想定していたのか上空から降りてきたヘリに救出されて愛媛を離れていった。
「葦川は、まだか!?」
全員が船から脱出し、残すは創良のみとなった。だが船体が沈み始めても創良が戻ってくる気配は無かった。
全員が埠頭で待つ中、日天の携帯に突然連絡が入った。
見間違えることは決してない、兄からの番号だ。
「もしもし!」
『ああ日天、俺は大丈夫だ。影山が逃げていったのとは別にもう一つ上の方にヘリが見えるか?』
「う、うん見えるよ……?」
『そのヘリに乗って逃げるから、お前は雷門のみんなと一緒にそこを離れるんだ。いいな?』
そこで通話は切れた。
「あ、お兄ちゃん!?お兄ちゃん!」
「葦川からか!何だって?」
「あの、上にいるヘリから逃げられるって…………」
それは目視で見ることができた。たしかにもう一機のヘリコプターが沈み始めた潜水艦に降りていっている。
「今は彼の言葉を信じましょう、ここにいては私達も危険です!」
「は、はい!みんな逃げるぞ!」
埠頭の入り口、警察が待機している場所まで全速力で駆け抜ける。全員がたどり着いた瞬間、最後に一番大きな爆発音を上げて真・帝国学園を掲げた影山の野望は海に沈んでいった。
その沈没を見届け終わった頃、響木の携帯が鳴り響いた。
「もしもし?」
『響木か!今の爆発音は何だ!?』
電話の奥からヘリのプロペラ音が聞こえた。
「アンタどこにいるんだ。潜水艦が沈んだ音だよ」
『何だと!クソッ、また影山を逃してしまったか!あと少し
「何?おい待て、お前さん今ヘリに乗ってこっちに来ているのか!?」
電話越しゆえに気付かなかった認識のズレ。響木は最後に降りたヘリが鬼瓦の物だろうと考えていた。だから要件が済み次第創良の安否を確かめようとしていたが、そもそも鬼瓦は現場に到着すらしていなかった。そして埠頭の状況を把握していないということは当然最後のヘリのことも知りはしない。
「じゃああのヘリは一体……」
動揺で響木は混乱している。それを見かねた瞳子が指示を出す。
「……私達は一先ず海隣学園に戻りましょう。みんな一度休む必要があります」
「葦川……よし、ここにいても仕方ない。戻ろう」
円堂の言葉で皆がキャラバンへと乗り込む。だがその足取りはどれも重いものだった。
「瞳子監督、俺はエイリア学園の調査に戻るつもりだが、葦川創良は行方不明になった可能性がある。恐らくは……」
「エイリア学園の関係者……!」
「アンタは今いる選手達に気をやってくれ。あいつらはまだ中学生だ」
「分かっています。あの子たちを守るのは私の責任ですから」
~~~
爆発する潜水艦から離脱するヘリの中。創良は宇宙人の
「兄妹仲が良いようで何よりだが、決して悟られないようにしてもらうぞ?」
「分かっているさ……」
行き先が分からないようにガラスが覆われ、揺れるヘリの中でただ目的地へと連れて行かれる。
「ようこそ、我らの拠点。星の使徒研究所へ」
創良の目に飛び込んできたのはまるでSF作品の基地の様な近未来的な建造物。
「これは……こんなものがあるなんて」
感動と動揺、全く異なる二つの感情が創良の心を埋め尽くした。常識とは一線を画すその構造に呆然と立ち尽くす。
「面食らうのも無理はないな。ほら、進め」
見掛け倒しではなく、本当に研究所の様で人型のロボットが廊下を警備しているなど、宇宙人の根城と言われても否定しきれなくなってくる。
「研崎様、葦川創良を連れてきました」
「ほう?それはでかした」
ソファーに座って寛ぐスーツ姿の男。不健康そうな顔つきでいかにも何か企んでいるといった悪人面だ。
「はじめまして葦川創良君。私は研崎竜一、この施設の……まぁ副所長といったところだ。ようこそエイリア学園へ」
研崎と名乗った男は手を差し出してくるが創良は先にやることがあるはずだとそれに取りあわなかった。
「問いに答えてもらう。その約束を果たしてもらうぞ」
「うむ、それはもちろんだがねぇ、君が雷門から送られてきたスパイではないかという疑念があるのだよ。それを晴らすところから始めなければ」
「何だと……?」
研崎の言葉に創良は露骨に不快な表情をする。他人ごとではないがこういった猜疑心の強い性格は直接向けられる側からすると非常に腹立たしい。
「それで、俺は何をすれば?」
「うんうん、君の様に冷静な考えが出来る子供は手がかからなくていい。先ずは……次のイプシロンと雷門の試合に参加してもらおう。それで君が本当に此方に付いたかどうか確かめさせてもらう」
涼しげな表情で研崎は残酷な指示を出した。
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海隣学園へと戻ってきた雷門イレブン。だが精神的な疲労が強く、誰もが意気消沈している。
「今日は解散とします。明日に備えて疲れを残さないように。それと染岡君は保健室でしっかりと治療を受けなさい」
「……分かってるよ」
誰もが葦川の消失に戸惑っている。響木の電話で勘の良いものはある程度察してしまっている。
だが一番衝撃受けているのはやはり他の誰でもない日天だった。
「日天ちゃん、だったかしら?少しお話をしましょうか」
「ひっ、ごめんなさい!」
ずっと寄り添ってきた兄が居なくなったことで精神的なバランスを崩しそうになっている。キャラバンに乗ってからずっとこの調子だ。周囲のすべてに怯えているかのように体を丸めて耳を押さえている。
「木野さん、音無さん、あの子をお願いします」
「は、はい」
木野と音無、マネージャーの二人に手を引かれて寮へと帰っていく。
それを見届ける瞳子と夏未。それから少しして今度は夏未の携帯に電話がかかって来た。
「もしもし、お父様?……ええ、はい、分かりました。監督と代わります」
相手は夏未の父親にして雷門中学の理事長、サッカー協会理事の肩書を持つ男。雷門総一郎だった。
「もしもし、代わりました」
『ああ瞳子監督、こちらの調査でどうしても耳に入れてもらいたい情報があってな』
「はい―――大阪ですか?分かりました。出来る限り早く向かいます」
通話を終え、瞳子は夏未に携帯を返す。
「今の内容からすると。何か見つかったんですか?」
「ええ、次は大阪へ向かいます」
強大な敵を前にして止まることは許されない。雷門中は心強い助っ人を失いながらも新しい道を進んで行くことになる。
三人称文で過去が明らかになってないオリ主はロクな行動をしない。これお約束。
次回から少しだけ雷門sideとエイリアsideでストーリーを並行して進める予定です。