イナズマイレブン 〜サッカーやりたくないのか?〜   作:S・G・E

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この小説はゲーム展開5割、アニメ展開3割、オリ展開2割の比率で構成されています。


脅威の侵略者編
1話 シカ公園にて


 四国 ~ 大阪間 高速バスにて

 

『お兄ちゃん、気持ち悪い……』

『酔い止め忘れてるじゃないか⁉︎』

『うぷ、もう無理……』

『あー!待て待て袋!袋ここだから!』

 

 大阪 ~ 奈良間 JR大和路快速

 

『快速ー!はやーい!』

『あとは奈良に着くの待つだけだな』

『ジャーン!お饅頭買っちゃった』

『いや帰りに買えよ』

 

 そして~

 

「奈良だぁー!」

「ちょっと早いけど到着だな」

 

 道中の寄り道含めて現在午前12時過ぎ。到着の連絡を叔父にしようとした瞬間、向こうから携帯に掛けてきた。

 

「もしもし『創良君良かった!日天ちゃんも一緒か!?』ええ、丁度今着いたところですが……」

『ああ良かった!二人に何かあったら彼奴らに何て謝ればいいか』

「落ち着いて下さい。何かあったんですか?」

 

 突然電話をして来たかと思えば創良達の安否確認。何か良からぬことが起きたのだろうと察するに難くない。

 

『あ、ああ。ゴホン、創良君はエイリア学園を知ってるか?』

「ええ、うちの学校も狙われましたか『何!?怪我はないのか!?』いや大丈夫ですから落ち着いて」

 

 こちらを本心から心配してくれているのは伝わりありがたいがこうも取り乱されては本旨が分からない。

 

「それで、そのエイリア学園がどうかしたんですか?」

 

 子供の気遣いとはいえ気が動転している大人には良い鎮静剤になるらしい。ようやく本題を語り始めた。

 

『そのエイリア学園が奈良に出てきたんだよ!狙いは今までの中学校じゃない、シカ公園でイベントに出ていた財前総理だ!』

 

 それまでの学校破壊とは明らかに違う、国のトップ一人を狙った襲撃。

 

(でもこっちの方が宇宙人っぽいよな……)

『とにかく、シカ公園の辺りには近づかないように!何かあったらお互い直ぐに連絡しよう!』

 

 叔父はそう言うなり一方的に電話を切った。向こうも向こうで忙しいようだが結局役に立つ情報は『シカ公園に近付くな』だけだった。

 

(つまり奈良県全体が危ないわけじゃない、と)

「お兄ちゃん?叔父さん何言ってたの?」

「ん?奈良に来たならいろんなところ見て来なさいだってさ」

「じゃあ日天、シカさんみたい!」

「よし、じゃあ先ずはシカ公園だな」

 

 ついさっきまでの叔父の忠告を完全に無視して創良はシカ公園までタクシーを呼んだ。叔父の気遣いはありがたいが妹の意思の尊重の方が優先度は上だった。

それに、創良にはシカ公園で危険な目に遭う確率は非常に低いという考えがあった。

 

 

 

~~~

 

 

 

「ありがとうございました」

 

タクシーの運転手に運賃を渡し、降りた先はシカ公園前。創良の予想通りパトカーが大量に見えた。日本の総理の誘拐とあって動員数も半端ではない。

その先、公園の入り口には特徴的なカラーリングの施された小型のマイクロバスとその側で通行止めをしている警官と交渉している長髪の女性が見えた。

 

『無理は承知の上で言っているんです』

『だからそう言われても……はい、は?はあ、では通して良いのですか?……分かりました』

 

 それまでは警官が頑なに通そうとしなかったがレシーバーからの通信から一気に状況が逆転していた。だが流石にバスごと公園に入るような真似はしないらしく、十人ほどの中学生がゾロゾロと降りて公園に入ろうとする。そのジャージを見て創良は一つの確信を得た。彼らは今年のFF王者、雷門中学サッカー部のメンバーであると。

 

「お務めご苦労様で~す……」

「でーす」

 

 何故彼らが中へ入れるようになったかは創良には分からなかったがその後ろ、悟られない絶妙な距離を保って門をやり過ごそうとし……やり過ごす事ができた。

 

(ザル過ぎ!?)

 

 『やっぱり無理でしたー』と妹を笑わせるジョークのつもりでやった事がまさかの成功となってしまい、あっさりと二人はシカ公園に入る事ができた。

 

「わぁ!シカだよお兄ちゃん!」

「ああ、鹿だな」

 

 雷門中の連中からは距離を取り、早速見つけた鹿と触れ合おうとする日天。しかし鹿の方が怯えているのか直ぐに離れて行ってしまう。

 原因は周囲を見れば一目瞭然。叔父の言葉を信じていなかったわけではないがここでエイリア学園が破壊活動をしたということは確かなようだ。一部の木が倒されている。鹿を見ると怪我をして介抱された後の包帯を巻いている小鹿もいる。雷門中のメンバーが居る場所にもガラス細工のようなオブジェが上を丸ごと壊されていた。

 

「ひどいもんだな……」

 

 今でも自分には直接関係ないと考えている創良だが現実に自分の目で見ると言いようのない不快感を感じる。これを義憤というのだろう。

 

「大丈夫、日天悪い人間じゃないよ」

 

 その隣で手を大きく広げて日天は敵意がないことを鹿を相手に示そうとする。そのままゆっくりと歩いていくと鹿の方も警戒しつつも離れ行こうとはしない。

 果たして日天は鹿に触れることが出来た。

 

「えへへへー」

 

 待ち望んだ鹿とのふれあいで満面の笑みを浮かべる日天。もう大丈夫だろうと創良は一息つくと置くで言い争いが聞こえた。

 

(あれが雷門サッカー部キャプテン、円堂守か。それに……)

 

 SPフィクサーズ。財前総理の護衛を務め、全員がサッカー選手という存在が突っ込み待ちかと言わんばかりの濃い連中だ。

 

「だから宇宙人じゃないって!」

「いーや宇宙人だ!」

「宇宙人じゃない!」

「宇宙人だ!」

「其処まで言うならサッカーで勝負だ!正々堂々とあたし達に勝てたら認めてやる!」

「いいぜ、やってやる!」

(何だこのバカの会話)

 

 なぜその結論に至るのか、端から見れば小学生の喧嘩のような勢いでサッカーの試合に突入する雷門中とSPフィクサーズのキャプテン。

 

(何だこいつら」

 

 思わず声に出してしまっていた創良だったが、迂闊だった。思わず口元を押さえるが雷門中の監督らしき女性の耳に入ったらしく、姿を見られてしまった。しかしそれから何をするわけでもなく向き直っていった。

 

(興味なしか、ありがたいことだ)

 

 もし外の警察に伝えられていたらレッドカードを喰らい退場だっただろう。落ち着きを取り戻すために深呼吸。同時に目をこすりながら服の裾を引っ張ってくる日天に気が付いた。

 

「ん?どうした日天、シカはいいのか?」

「うー疲れたー」

「そうか、丁度いい。日光浴でもするか」

「んーそうする」

 

 ちょうどいい傾斜を見つけ、芝の上に仰向けに寝転がる二人。程よく雷門中とSPチームの試合も見ることが出来る絶好の場所だ。

 

 

『『〈トカチェフボンバー〉!』』

「〈爆裂パンチ〉でりゃああああ!」

 

 ほぼ大人対子供の試合だが一進一退、先に点を取った方が勝利をつかむといっても過言ではない

 

(間近で見ると違うな、流石優勝校のメンバーだ。でも……)

 

 創良には雷門のFW一人とDF二人が怪我を押して出場しているように見えた。ただでさえ十人しかいない状態では仕方ない面もあるが危険であることに変わりはない。

 

「三人ほど不調みたいだな、あれじゃあ足手まといだ」

「ふーん……あ、お兄ちゃんの言ってた三人下がっちゃった」

 

 雷門の染岡、風丸、壁山が下がり雷門は7人、2-3-1のフォーメーションで試合を戦わなければならない。

 

(数的不利が戦術的有利に変わっている。あれがゲームメーカーとしての鬼道有人か)

 

 徐々に雷門が押し始めている。1点試合で優勢を取れたのはかなり大きい。

 

「日天、そろそろ帰ろうか。こっそりと」

「はーい」

 

 もう見物は十分だと考え引き上げようとする創良。そのときだった——————

 

『危ないぞ!伏せろ!』

「ッ!?」

 

 

 

 ~~~

 

 

 

 Side 鬼道有人

 

 

 新しい雷門イレブンの監督、瞳子監督の指示で雷門中は7対11の不利な試合となった。

 だが、ベンチに入った染岡達は前回の試合からの怪我が治っていないために通常通りのプレーが出来なかった。監督はそれを見抜いてあいつらを下げた。それに相手チームはこちらが手を抜いていると捉え攻撃に意識が向いている。

 

「〈ゴッドハンド〉!よし皆攻めろ!」

 

 カウンター軸の戦術が見事にはまり円堂のキャッチを起点にラインを押し上げることが出来た。

 

「豪え……くっ、一ノ瀬!」

「おうっ!」

 

 ゴールまで迫り豪炎寺にボールを回そうとするが1トップとなった豪炎寺へのマークが厳しくないはずもなく、咄嗟に背後の一ノ瀬に合図を出す。

 

「「〈ツインブースト〉!」」

「ふっ!〈セーフティプロテクト〉!」

 

 二人で放つツインブーストだが距離が離れていた為点を取るには至らなかった。ボールは弾かれるがシュートの威力は殺しきれていない。勢い良くタッチラインを越え……二人の男女に向かっていく!

 

「危ないぞ!伏せろ!」

 

 何故こんなところに無関係な人間がいるのかという疑問よりも先に声が出ていた。それでも間に合わない二人が気付いた時にはボールが……

 

『ッ!?このッ‼︎』

 

 だが予想とは真逆にボールは咄嗟に振り返った男のキックでフィールドに返される。

 

「あの一瞬で蹴り返した?」

 

 今のボールは相当の威力、スピードがあった。素人に反応出来るものではない。

 

『怪我してないか日天!?』

『びっくりしたぁ、目覚めちゃった』

 

 だが蹴り返した当の本人は此方に目もくれずにまひると呼ぶ相手を案じている。

 

「すまない!怪我は無いか!?」

 

 とにかく一度謝罪しなければとタッチラインを越えてスローインに入る前にあの二人の元へ向かう。

 

「落ちぶれた一般市民にお気遣いありがとうございます。鬼道財閥の有人くん?」

「な……」

 

 怒りをぶつけられることは覚悟の上だったがまるでこちらを小馬鹿にした、それでいて俺のことを知っているような言い回し。

 

「帰るぞ日天」

「う、うん。お兄ちゃん……」

 

 それ以上何かしたわけでもなく。ただ二人は踵を返し去って行った。ただ一度、SPフィクサーズに礼をしていった。

 

「鬼道?」

「ああ、問題ない。試合続行だ」

 

まひるという少女とその兄……何故か心に引っかかるものがある。

 

「いや、集中しろ。今はこの試合だ」

 

頬を叩いて気持ちを引き締める。スローインで一ノ瀬にボールを回した。




 主人公の創良は優男風で狼カットの白竜。妹の日天は茶髪にツーサイドアップの髪型をイメージして下さい。
……あれ、髪色がどっかの兄妹と被ったような?
 それと創良も妹持ち男児の例に漏れず妹大好きキャラです。


2017/12/13 誤字修正
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