イナズマイレブン 〜サッカーやりたくないのか?〜 作:S・G・E
「さて、いよいよ君に動いてもらう時が来たか」
「ああ、待ち焦がれたよ研崎サン」
星の使徒研究所の一室でグクリと研崎はいかにも悪の手先らしい会話を繰り広げていた。
「イプシロンに合流して雷門を叩き潰せ……と言いたいところだが、今回はその必要はない」
「?……互角の勝負を演じろとでも?いいさ、楽にやれそうだ。報酬を用意して待っていてくれ」
スポーツマンシップを踏みにじれと言われても対して動揺も見せず淡々としたやり取りを終えて去っていく。
「誰だか知らないが、盗み聞きは趣味が悪いんじゃないか?」
扉の先にいた気配の主に語り掛ける。アイシーと同じダイヤモンドダストのユニフォームを着た銀髪の男。
バーンにどことなく似た髪型、風貌だが凍てつくような目が決定的に違う。
「バーンから聞いていたが、成程違うらしい」
「違う?」
「君は私達と同じ目的で動いてはいない。都合のいい道具というわけだ」
「そりゃそうだ。俺は助っ人だからな。研崎にへーこらしなきゃいけないお前らとは立場が違うんだよ」
さっきから他チームと会うと挑発するルールでもあるのだろうかと考えながら同じように挑発で返す。
「研崎ごときに我々が従っていると?あの方の腰巾着に過ぎない男に?それこそ君と私では天地の差があるんだよ」
「ふーん?『あの方』なんてのがまだいるのか。それは知らなかったな〜」
見下した物言いだが、口を滑らせていることに気付いていなかったためわざわざグクリは指摘する。
「まぁ今の俺にはどうでもいいことだが、情報提供感謝感激」
「フン、構わんさ。知られたところで価値の無い情報だ」
この場での舌戦はグクリが制したようなものだが、当の本人は新しい謎を追うことになってしまった。
(あれがダイヤモンドダストのガゼル。エイリア三強の一角か。でもさっきの言葉のあの方が誰か、気になるが今は意味無い情報だな。あのおっさんに付いてても大してメリットはないというくらいか。と言うか妙に壁を感じると思えばそりゃそうだよ。小間使いにへばり付く奴なんか扱いに困るに決まってるじゃん)
もしかして初動からミスしていたのではと内心不安になりながら戻るグクリをレアンが仁王立ちで待ち構えてした。
「お出迎えか?しかも君が」
「訓練再開するから呼び戻すよう言われただけ。あと噂を晴らしたいなら手を貸しなさいと言ったでしょ」
なら余計にくる必要ないんじゃないかと考えるが口には出さなかった。
レアンはこの会話の中であることを隠している。キャプテンのバーンから直々にグクリを見張れという指示を受けているのだ。なぜ自分がと思いつつも先刻の失態を挽回するためには受ける以外の選択肢はなかった。
「手繋がないの?」
「……いや貸すってそう言う意味じゃないから!」
そのまま仏頂面で歩くレアンにグクリが茶化して話す。
「今日の訓練はここまでだ!全員休息はしっかりとしておけ、解散だ!……ああ、グクリか。話は聞いている。サボりじゃねえことは理解してやる」
到着した時、丁度訓練終了の時刻となった。グクリにしてもレアンにしてもあまり必要性を感じなかった内容なので惜しむことは無かったが。
「さてと」
「何処か行くなら教えて」
「挨拶だよ、当日にいきなり顔合わせなんて、ねぇ?」
プロミネンスのメンバーとしての領分を超える行動を取ろうとしている創良を監視する。杏はそう考えているがなぜそれを自分でやろうとしているのか疑問を持たなかった。
「これはまあ何というか宇宙人なところでございますね」
「イプシロン……どうして?」
創良と研崎の『取引』について何も知らない杏はわざわざ下位のチームに会う理由が分からなかった。
「お前は葦川創良⁉︎何故ここに!」
「葦川?俺の名はグクリだけど?な、レアンちゃん」
ちゃん付けで呼ぶなと言わんばかりに足を踏みつけられた。
「いって……そんなわけで、よろしく」
「成程、お前が援軍というわけか」
「お互い利用し合うことにしよう。目的が一致しないならそれくらいがちょうどいい」
他に言うこともないと創良は足早に立ち去り、杏も続く。
「ねぇ……」
杏は葦川創良と言う男を量りかねていた。出会いが唐突過ぎたというのもあるがドリブル練習に付き合ってもらったかと思えば自分と同じチームに特例の補充要員として入ってきてこちらはてんてこ舞い。性格も最初は草食系かと思いきやプロミネンスに入って今はチャラいキャラという印象が前に出てしまっている。かと思えば今のように何を考えているか分からない怪しい雰囲気を纏うこともある。
はっきり言ってチャラい部分を除けば嫌いではない。周りから変に茶化されることがなければであるが。
「明日大阪に行くけど、デートしない?」
そしてこれである。
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「というわけで協力すると言いながら他の女に私の方がタイプだと言うわ(←言ってません)大阪の古い施設の見物に行くのを口実に私をデートに連れていこうとするわ(←逆です)振り回されっぱなし。別に容姿が良いといわれること自体に悪い気はしないし大阪の方も断る理由もなかったけど大阪なんて初めてだししかも遊園地の中だって言うから周りに違和感なく溶け込むにはデートっぽく見せかけるのが一番というところは考えたと思うけど手つないだりは難易度高いし腕組んで歩くなんて論外だし気が重いしいやまあ断らなかったんだけどバーン様からも見張れと指示受けてるからこうするしかなかったんだけどまた妙な噂が広がったりしないうちにちゃんとこっちから二人に言っておきたかったからもしバーン様たちに何か聞かれてもちゃんと指示通りにを動いてると伝えてほしいの」
「早口で何か言ってるです」
「満更でもなさそう」
二人には今の杏の発言は『いや~つらいわ~イケメンに言い寄られてつらいわ~友達でしょ~助けてよ~』と遥かな高みからものを言っているようにしか聞こえない。つまり非常にウザい。
「私服で外歩くなんていつ振りかな~サイズあってるといいけど」
そして言うだけ言って部屋へ戻ってしまった。残された二人、ああも捲し立てられてしまっては野次馬根性もどこかへ去ってしまう。
「華、これ割とガチになりそうだから少し様子見しましょう」
「オーケー。杏はここ逃したら一生喪女な気がするですよ」
かなり失礼な理由で二人は杏への方針を切り替えた。
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雷門イレブンはナニワランドの調査……というのは表向きでランド内のアトラクションやフード店を満喫していた。勿論円堂や鬼道などは真面目に探しているが一向に見つかる気配がない。ちなみに夏未を除く女性陣は買い出しに出ている。
「うーん。夏未の探知機が壊れてたんじゃないか?」
「失礼ね!この機械は正常よ」
「エイリアの連中でないと入れない仕掛けがあるのかもしれんが、情報がないとどうしようもないな」
「キャ、キャプテン!助けてほしいッス!」
「壁山?どうしたんだ一体?」
そんな時、壁山が血相を変えて円堂に向かってきた。落ち着かせ、話を聞くと栗松が問題に関わっているらしい。
「やってないったらやってないでやんす!」
「どうしたんだ栗松?」
円堂たちが絡まれている栗松を見つけ話を聞きに行くと数名の女子に絡まれていた。チョコを盗んだかどうかで収拾が付かなくなっている。
「ただのチョコとちゃうで?一日限定30個のプレミア品や!」
「コイは、朝から並んで待ってたんですの。それなのにかわいそですの」
「だからぬれぎぬでやんす!」
その女子たちこそ葦川がかつてであった大阪ギャルズCCC。そして……
「ちょ、ウチのトモダチになにしてんねん!?」
そのキャプテンである浦部リカ。関西人気質全開の彼女たちを相手に雷門は振り回されることになる。