少年の異世界戦記~NARUTO編~(凍結中) 作:クロイツヴァルト
カカシに言われた第七班は演習場に朝の五時に集まるがカカシが来たのは五時間後の十時である。
「やぁ、諸君おはよう。」
「「おっそーい!」」
カカシがにこやかにあいさつをしたところ、シンクロしたナルトとサクラの声が演習場に響く。
「まぁ、なんだ。アラームを十二時にセット完了。」
カカシは目覚まし時計を取り出してアラームを十二時にセットして石の上に置く。そして忍具入れの中から三つの鈴を取り出す。
「今日の試験内容は十二時までにこの鈴を俺から奪い取る事だ。奪えなかった者は昼飯抜き、あれに縛り付けた上で目の前で俺が弁当食うから」
笑顔で指差す方向には三本の丸太が等間隔で立っていた。サクラがある事に気付き気、カカシに質問する。
「カカシ先生、なんで三つだけ?」
「三つしかないから最低一人は丸太行きだ。失敗したそいつらは任務失敗という事でアカデミーに戻って貰う。」
カカシの言葉に三人の表情が変わる。
「手裏剣使っても良いぞ、俺を殺すつもりでやらないと鈴取れないからな?」
「よーいスタートの合図で」
カカシの説明の途中でクナイを取り出して先走ったナルトだったが、それは無駄に終わる。クナイを持ったナルトの手を掴みナルトの頭にクナイを突き付けたからである。
「そう焦るなよ、まだスタートとは言ってないだろ?」
「(嘘、全然見えなかった!?)」
「(これが上忍の力)」
サクラはカカシの実力に驚き、サスケは自身の認識の甘さに考えを改める。そして、そんな二人の様子を見ていたカイトは・・・
「(やっと気が付いたか?上忍っていうんだから俺らよりも実力が違う事は明白なのにな・・。ナルトは突撃思考過ぎだ。俺があれだけ気を付けろよって言ったのにな)」
カカシの動きを見たナルト、サスケ、サクラの表情に警戒の色が濃くなる。
「やっと俺を殺すつもりで来る気になったようだな。」
カカシが僅かに笑う。
「漸くお前達の事が好きになれそうだ。始めるぞよーいスタート!!」
カカシの合図と共にナルトはカイトに引っ張られ、サスケとサクラもその場から消え、気配を消し隠れる。そして、その様子を見ていたカカシは腰の鞄から本を取り出して読み始める。
「兄ちゃん、隠れるのは性に合わないんだってばよ。」
「先ずは様子見だ。そもそも何故四人一組で三つの鈴を取るのか考えろ。」
「でもでも、それだと仲間割れにならないの?」
「この試験は意図的に仲間割れになり易い様に仕組まれた物だ。その上で利害関係なく四人でのチームワークを発揮させればクリアになるかもしれない。・・・あくまで俺の見解だがな?」
「なら、私は時間稼ぎをするんだってばよ!」
「・・・なら起爆札を使った奇襲戦法を組み込んだ戦闘をしろよ?向こうはおちゃらけているが実力は本物だ。」
「分かってるってばよ!」
カイトの言葉にナルトは頷き、その場を離れる。
「さて、先に見つけたのは・・・春野サクラか・・。」
木の上から見つけたサクラを見てカイトはそう呟きサクラの下に降り立つ。
「春野、協力して鈴を取るぞ。鈴の分配は後で決め「協力なんて出来る訳ないじゃない。誰かが落ちるのよ?それに私は今忙しいのよどっか行って。見つかるじゃない。」・・・。」
サクラはカイトの言葉に耳を貸さずにサスケを探している事はカイトから見てもすぐに分かった。サクラを諦めてカイトはサスケの下に行く。
「うちは、協力して「体術しか能のない足手纏いはいらない、どこかに消えろクズが」・・・そうか。」
サスケは取りつく島も無く断り、アカデミーの時に忍術、幻術が出来ていない事を上げて落ちこぼれと判断し話を聞かなかった。
「後悔しても知らないぞ?(アンタは上忍の実力を舐めすぎだ。個々に行って返り討ちが関の山と言う事に気が付かないのか?)」
その頃・・・
「ナルト、お前がそこまでやるとは思わなかったぞ?」
「へへへ、伊達で兄ちゃんやヒナタと訓練してなかったからね。まだまだ行くってばよ!」
そう言ってナルトは起爆札付きのクナイをカカシの足下に投げる。
「っと、危ない危ない。(起爆札はあくまで囮・・・本命は・・)そこだ!!!」
カカシが振り向きざまに脚を振り抜いた先には確かな手ごたえがありナルトが腕で防御している姿があった。が・・・
「(ニヤリ)引っ掛かったってばよ!」
「なっ!(おいおい、下忍候補生が裏の裏で攻めて来るか・・だけど)・・・はい残念」
変わり身と瞬身で入れ替わったカカシはナルトを蹴り飛ばし、近くの川に叩き落とす。その様子を見ていたカイトは・・・
「(ナルトは突撃思考が大きいから母さん譲りの性格だが、教えてみればスポンジの如く覚えて行くから面白い・・問題は春野、うちはの両名・・少し様子を見るか)」
ナルトが川に落とされた後、カカシが消えたと思えばサスケにしか目が向いていないサクラは簡単に幻術に引っ掛かり、サスケはナルトに及ばずながらも奮闘するが首から下をカカシの術で地面に埋められ、身動きが取れなくなってしまう。そして、川から上がって来たナルトの下にカイトが向かう。
「ナルト、大丈夫か?」
「うぅ、ビショビショでちょっと気持ち悪いってばよ・・。」
「他の2人の協力は無しで行くがカカシ先生の動きを見極めるのにもう少し時間が掛かる。頼めるか?」
「合点だってばよ!」
そう言ってその場を駆けて行くナルトの少し後ろをカイトはついて行く。途中から移動は木の上からの移動に切り替えてカカシの動きを観察する事に徹する。
しかし、やはりと言うかいくらカイトが強くとも訓練されているとしてもカカシは曲りなりとも元暗部の上忍。一筋縄でいくわけも無く善戦虚しくナルトはカカシによって森の中に投げ飛ばされてしまう。
「(さてと、予想外な事が起きたがまだ姿を見せていないのはうずまきカイトか・・。)」
ナルトが投げ飛ばされて数分の後に三本のクナイが飛来する。その陰に隠れる様に起爆札付きが二本追従してくる。
爆発音が演習場に響くが爆発から身を逃したカカシだがそこには目前に迫る五本の起爆札付きクナイ。そして、先程よりも大きな爆発を立て砂塵が舞う。
「っく(どういう事だ、アカデミー卒業して間もない奴に動きが読まれるなんてことがあるのか?まさか実力を隠していた?しかし、そんな素振りは見せていなかったが・・)」
二度のいや、ナルトの事も含めれば結構な数の不意打ちを受けているカカシはうずまき兄弟の脅威を感じ警戒を強める。そして、先程まで出していた読みかけの本を鞄にしまい、片手にクナイを握る。
「(やはり、上忍の肩書は伊達じゃないな・・。なら)」
カイトはサッと木の上から下り立ち姿を見せる。それを確認したカカシは
「やっとお出ましかな?(どう来るかな?しかし、こんな短いやり取りで姿を見せるとは・・・がっかりだよ。)」
「カカシ先生、少し時間を貰えますか?」
「良いぞ。(いったい何をする気なんだ?)」
カイトの動きを注意深く観察するカカシだが、了承を得たカイトは腕を捲くるとその腕に見た事も無い装飾のされた腕輪が現れる。
「それは・・・何のつもりかな?」
「それはこういう事ですよ。忍術、幻術が駄目なかわりに此方の才能があったというだけの事・・・ナハト!!!」
《セットアップ》
カカシが知る訳も無く機械的な音声が腕輪から聞こえ、警戒し、身を固めるカカシだが次の瞬間に目を覆う。
「っく!(閃光か!?)」
次第に視力が回復してきたカカシが目にしたものは先程とは様子の違うカイト・・・先程まで身に纏っていた血と見間違う時ほど深い赤色の忍者の服が何処か異国の服に変わり、その手には杖の様な物が握られていた。
「なんだそれは?アカデミーでもましては俺でも知らないものだな・・・」
「それはそうですよ。この力は俺だけが持つもの・・ナルトがアレを見に宿しているのと同じ様に・・ね」
「なッ!?お前はアレの事を認識しているのか!?」
「十三年も一緒にいるのに気が付かない訳がないでしょ?それに大人たちの態度を見れば自ずと分かると思うが?」
カイトの言葉にカカシは驚く。
「(おいおい、いくら聡明だからといってアレの存在は火影様により緘口令を敷かれているんだぞ?)」
「・・・おしゃべりは此処までにして・・・行くぞ!」
「(はやい!)」
カイトが叫んだ瞬間、カイトの輪郭が霞んだと思った時には既にカカシの目の前に迫っており反射的に動いたカカシは蹴りをカイトに叩き込むがそれを手にしていた杖でいなしてお返しとばかりに石突きで突く要領で顎を狙うがすんでの所で体を逸らす事により回避。そしてそのままバク転ををしながら蹴るが杖で防ぐも体格差から生まれる衝撃を殺し切れずに距離を空けてしまう。
「まったく、末恐ろしい者だね。今のは俺でも胆が冷えるぞ」
「微塵もそうは思ってない癖に・・・。」
「おいおい、俺はそんなに凄い奴じゃないぞ?」
「なら・・・出し惜しみ無しだ!!!!」
カイトが杖を構えると足下に幾学かの文様が描かれた魔法陣が現れる。
「っ!?(何だこれは!?)」
「ブレイズ」
《canon》
杖をカカシに向けた矢先、青色の極太の光線が放たれるも間一髪でそれをカカシは躱す。後ろの川に着弾した途端、大きな水飛沫を上げる。
「・・・おいおい、どんな威力してるんだ?」
「最大威力の物ならば街一つ吹き飛ばす威力がだせるかな?後がめんどいからやらないけど・・。」
「絶対やらないでくれよ?」
「脱線しましたが、一発で駄目なら・・・」
黒色の魔方陣がまた現れる。それに対してカカシがカイトに接近しようとするが急に腕が引っ張られる感覚を感じて腕の方を見ると・・・
「っく、外れない!(黒色の輪!?拘束かなにかか!?)」
「この技は回避されないためにも拘束魔法を使わせてもらいました・・・。Ve,バルディッシュ。」
カイトの持っていた杖が機械的な斧の様な形状に変わる・・。
「武器が変わった?」
「えぇ、使用する物も変わりますよ?フォトンランサー・・・【ファランクスシフト】」
カイトが最後にそう呟くとカイトの周りに無数の雷球が生まれ、その場に滞空する。その光景を見ていたカカシは背中に嫌な汗を掻いていた。
「・・・まさかとは思うが」
「カカシ先生の思う通りであってるぞ?いやな・・いくら試験だとしても思い切り女の子のお腹を蹴った事や年甲斐にも関係なく幻術に嵌めるとか・・・大人げないと思いませんかね?」
「あ、あはは・・・(不味い、いくら彼等に本気になって貰う為とは言えアレは流石に不味い。片手を封じられているが此方に手を合わせれば何とかなりそうだが・・・)」
「少し・・・頭冷やそうか?」
某白い悪魔の様な言葉と共にカカシの目の前には金色に光る無数の槍が飛来する。
「うおぉぉぉッ!?」
なんとかそれを瞬身の術の印を結べたカカシは一気に距離を空ける。
「・・・片手じゃダメか。それに」
カイトが横目で石の上にある目覚まし時計を見るとアラームが演習場に響き終了の合図を知らせる。