驚愕!誰にも知られることがなかった本当の童話集 作:筆先文十郎
何の話か当ててみてください。
一番最後に答えと言う名の大ヒントがあります。
何故君は僕の前から姿を消してしまったんだい?
僕は君が僕の前から姿を消したあの日のことが忘れられない。
僕は君が好きだった。……いや、今でも好きだ!大好きだ!!
でも君は僕の前から姿を消した。
君は本当に美しい女性だった。
小さく整った鼻や口。琴のように
職人が技巧を凝らした華やかな衣服も、君と言う美の前では
君は僕以外の人間にも好かれていたね。
大勢の人間が君の家に来て求婚を申し込んだけど君は首を縦に振らなかった。
そして特に熱心な五人の男にある物を持って来れば結婚に応じると言った。そして五人は結局、持ってくるように言われた物を君の前に持ってくることは出来なかった。
今思うと自分でも嫌になるけど、僕は心の中で喜んだ。
君と言う宝が誰にもならないことに。そして君を求めていた男達がある者は破産やある者は命を落とし……最後は不幸になった。その様子を見て他の求婚者たちも君への愛が薄れてしまった。
人が不幸になることに同情するのではなく、君と結婚しようとしていたライバルたちがいなくなったことに僕は喜んでしまった。
その報いなのだろうか。君は僕の前から姿を消した。永遠の命が得られるという薬を残して。
僕は人の不幸を喜んでしまった最低な人間だ。そんな僕でも、一目でいいから会いたい!
君の心の中に僕はいないかもしれない。それ以前に君はもうこの世にいないかもしれない。
でも。それでも僕は君に会いに行くよ。数千年という時をかけてでも。
日本にある某宇宙研究所の訓練施設
「教官!僕の、僕の結果は?」
この日。数名の宇宙船乗組員候補が次の宇宙船に乗るための適正テストの結果発表が行われようとしていた。
結果が書かれた紙を持った教官は「黙ってみてろ!」と近寄ってきた候補生を制して掲示板に結果が書かれた紙を貼った。
男はそこに自分の名前があるか確認する。
『
貼られた紙には自身の名前がはっきりと記されていた。
「よっしゃああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
男はまるで長年捜していた初恋の人に会いに行くかのような歓びを全身で表現した。
「よかったな、富士月!」
教官がハイタッチを求めると男は
「はいっ!」
パンッ!と教官に手を合わせる。
「しかしお前がなぁ……」
教官は顎に手を置きながら目の前の男と出会った時のことを思い出す。
「最初この宇宙研究所にアポなしで来た時には正直『なんだ、この男は?』って思ったもんだ。何せ宇宙の知識も経験もないのにいきなり『宇宙船に乗せてくれ!』って言うんだから」
「あはは……」
昔の自分を思いだし、男は照れ笑いをする。
「そんでもって『駄目だ!』って言ったら今度は入口にずっと座り込むだろう?警備員が何度追い払ってもまた座り込みしてきたよな。そんなことを一ヶ月以上繰り返し、根負けしたうちの所長が『見習いの間、無給でいいなら』という条件でお前を雇ったんだよな。そんで見習いとして雇われたお前は皆が嫌がる仕事も率先してやって、雑用係として扱われる間も勉強して……ついには候補生の一人になりやがった。……本当に凄い奴だよ、お前は」
「いやぁ」
強面の教官に褒められ、男は嬉しくなって頭を掻く。
「あ、教官。宇宙船に乗ると決まった以上しないといけないことは山ほどあるんでこれで失礼します!」
そう言うと男は急いで教官の前から走り去った。
そんな教え子の後姿を見ながら、教官は微笑みながら呟く。
「本当にあいつは変わらないな。十年以上あいつを見てきたが、あいつはあの時からずっと変わらないな。中身も。そして容姿も」
男は自室に走りながら心の中で呟いた。
あと少しで君の