「ねぇ!太一、トマトって自分の家で作れるの?」
「急に何言ってんだよ…?」
「ねぇ作れるの?」
「作れるは作れるが中々難しいぞ!」
「だからあなたにお願いするんじゃない」
ある日の金曜日いつも通り次の日は休日なのでゆっくり過ごそうと考えていた所これだ…穂乃果…と言い真姫と言い…コイツら俺の休日を何だと思っているんだ?
「何で俺なんだ?」
「あなたにしか頼めないのよ…」
「何があった?」
「実は…」
真姫の話はこうだ最近野菜の物価が上がり各家庭でも野菜の入手が困難になっている。もちろんお金持ちの西木野家は関係ないと思うのだが真姫のこだわりで、とある農場のトマトしか食べないらしい…だかその農場のトマトも物価が上がり中々手に入れにくいらしくそこで、真姫は自分でトマトを家で栽培して食べようと思ったのだが生憎真姫は自分だけ野菜を育てることはやった事がないらしい。こういうのに詳しいにこに聞けば良いのに彼女曰く自分のプライドが傷つくとのことで仕方なく俺に頼み込んだと言うことだ。
「なるほど大まかだがわかった。で、俺はお前に何を教えれば良いんだ?」
「一から」
「わかった…」
「明日早速、種やら何やらを買いに行きましょ」
「どこで待ち合わせだ??」
「私が迎えに行くから良いわ家で待ってて」
「お…おう…」
迎えに来るって真姫も可愛いところがあるな、さぁ明日真姫に教えないといけないから勉強だな。
〜〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜〜〜
翌朝
「待ってろって言ったが全くこないぞ?」
真姫の言う通り家の外で彼女を待つ。だが一向に姿を現さない。10分程待っていると俺の前に黒塗りの高級車が止まった。後部座席にの窓から姿を見せたのは真姫本人だった。
「待たせて悪かったわね」
「かなり待たされたぞ」
「さぁ早く乗って」
「失礼します」
俺は真姫の反対側のドアから車内に入り真姫の隣に座る。
「運転手さんお願い」
「かしこまりました」
「何処にいくんだ?」
「すぐそこのホームセンターよ」
「なるほど」
俺が乗ると車は動き出し近所のホームセンターに向かう。
「真姫って、いつもこの車で移動してるのか?」
「そうよ、学校への登校以外は移動手段は車よ?当たり前じゃない」
「そ…そうなのか?」
恐るべしお金持ちのお嬢様…
そんなこんな話しているとホームセンターに着いた。
「着いたわ!」
「よし!買ってくか!」
「運転手さん車よろしくね」
「かしこまりました」
車を運転手さんに任せて俺と真姫はホームセンターに入る。園芸関係の所にやってきて種を見るがトマトはトマトでもかなりの種類があるからな。
「さぁ、トマトと言っても種類がいっぱいあるからな、どれが良いんだ?」
「私は普通に食べているトマトが良いわ!」
「了解!じゃあこの種だな」
俺は種をカゴの中に入れて次の商品を探す。
「次は、土だな」
「畑ならこの前作ったわよ」
「そ…そうなのか?早いな」
すでに畑を作っているとは…もう俺いらないんじゃないか?
「じゃあ欲しいものはだいたい買ったから帰るか」
「そうね!」
欲しいものをあらかた買いお会計を済ませて車に戻る。お会計は真姫のクレジットカードだったけどな!
車には運転手さんが車のエンジンをつけて待っていた。車内に入るとエアコンが効いていてかなり涼しかった。
「んで…後は自分でやるのか?」
「何で私がやるのよ?太一がやってくれるんでしょ?」
「植木鉢程度ならいいけど?」
「何言ってるのよ?そんなわけないでしょ?」
「へ?」
真姫の家に着くと彼女が言っている意味がわかった。彼女の家は大きく庭も広い。その庭の角の隅に俺の家の部屋程の広さの畑があった。
「おい…これを俺一人でやれと?」
「そうよ」
こんな広い畑を俺一人では絶対に無理だ!やるなら真姫にもやらせないと!そうだ!こんな時はあれだ!
「真姫…いいか!野菜は自分で作るから美味しいんだ!だからお前もやらなくちゃ食べちゃダメだぞ!」
「そ…そうなの!?な…なら私も作るわ!」
ふっ、チョロいな…こんなことを言えば俺の勝ちだ。
「じゃ…じゃあ最初は何をやるの?」
「最初は土をならすことだ!これが最初で最後で1番しんどい仕事だ!」
「う…うん…」
真姫はクワを持つと俺のやり方を見て見よう見まねでやるが上手く出来なくてイライラしている。
「どうやって太一みたいにサッサッとできるのよ!?」
「甘いな真姫、いいか?腰をこうやって下ろして最初持ち上げるときは力を入れて降ろす時は力を抜けば簡単にできるぞ」
「そ…そうね、じゃあ言われた通りに…えい!」
真姫は俺に言われた通りにやってみるとスラスラと簡単に言われたとうり出来ていた。
「出来るじゃないか!」
「ふん!当たり前よ!私を誰だと思っているのよ?」
「真姫お嬢様です」
「次はどうするの?」
「次は耕した土をこうやって盛って一列ズラ〜っとやってく」
「わかった」
畑を耕して次は土を盛る作業に入る。すでに畑をさっき耕したので土が柔らかくて簡単にできた。これは真姫でも簡単に出来て、彼女も鼻歌を歌うと程簡単なのだ。
「土はこういうの感じで良いの?」
「上出来だ!次はさっき盛った土の上に黒のビニールを被せるぞ」
「それはどういう事に使うの?」
「これを被せると被せたところからは雑草が生えにくくなる便利だろ?」
「へ〜そんなんがあるの…」
「俺がこっちを持つから真姫はそっちを持って俺の反対側に行ってくれ」
「了解」
今度はさっき盛った土の上に黒のビニールを被せる理由はさっき言ったが被せる事で雑草を生えにくくする効果があるらしい筆者も実際にやった事があるらしく、かなりの効果があるらしい。
俺がビニールの端を持ち、真姫はもう片方の蓋を持つ。土とビニールの間に空間が出来ないように上手く被せる。
「いいか!絶対に離すなよ!?」
「言われなくてもわかってるわよ!」
俺は真姫が支えている間にビニールの端に土を被せる。これにはすこし苦戦した土をかぶせたと思ったら土の量が少なくビニールが露出してやり直しが多かった。
「何とか出来たわね…」
「苦労したけどな…」
「次は何をするの?」
「種を植える穴を掘るぞ!」
「いよいよね!」
次はさっき盛った土にビニールを被せ少し穴を開け2、3センチ掘ってそこに種を植える。
「このままビニールごと掘るの?」
「そうだ、深さは2、3センチ位で直径は10センチ位で良いぞ、間は30センチ位開けてな」
「わかったわ」
真姫は小さいスコップを持って俺が言ったとうりに穴を掘る。10分程で12個の穴を作ることが出来た。
「よし!じゃあ種を植えるぞ!」
「一つの穴に種一個?」
「種は小さいから3個程入れてくれ」
「3個ね」
種を穴の中に入れて優しく土を被せてジョウロで水を撒き今日の作業は終了した。
「どれくらいで収穫できるの?」
「そうだな〜丁寧に育てれば1ヶ月ちょっとかな…」
「楽しみね」
「せっかくだから採れたトマトは皆に食べてもらおうか」
「それはいい案ね!」
「いいか?明日からしっかりと水やりと雑草が生えてきたら取れよ!」
「言われなくても分かってる!」
俺は真姫に農作物について注意事項を教えて俺は家に帰ってゆっくりと過ごした。
〜〜〜〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あら太一じゃない?」
「よう絵里どうした?」
「真姫から聞いたわ、真姫が家庭菜園を始めたそうね?」
真姫の奴もう皆んなに言ってるのか?家庭菜園なんて庶民皆んなやってるぞ?バカにされるのが見えてくる。しかもこの前植えてからそこまで日付も経ってないから真姫がいかに収穫を楽しみにしているかがよくわかる。
「そうなんだよ〜、あいつって結構維持を張る事があるから教えるの大変だったんだぞ?」
「真姫らしいじゃない」
「まぁ…そのうち嫌でも俺に泣きついてくるさ」
「どう言う意味?」
「まぁ見とけって!」
そんなこんなで絵里と話していると案の定、真姫が涙目で俺の所にやってきた。これは俺もビックリ、絵里に例え話しをしていた矢先にこれだけ、俺ってエスパーなんじゃね?
「太一〜〜!」
「よう真姫、どうした?」
「ちょっと来て、絵里太一貰うわよ」
「え…えぇ…」
「俺って商品かよ!?」
「良いから黙って来なさい!」
真姫に強引に連れてかれ付いて行くと人気の無い無人の教室にやってきた。教室の中に入ると真姫は恥ずかしそうに要件を話した。
「んで?どうした?さては枯らしたか?」
「うるさい!違うわよ!」
「じゃあどうした?」
「虫よ!」
「虫だろうな」
「何で分かるのよ!?」
俺の予想は見事的中、簡単な話し虫らしい、この季節は虫が多いからな。
「簡単な話だこの時期は虫が多いからなその幼虫が葉を食べるんだろ?」
「そ…そうよ!」
図星だったらしく、いつものツンデレ満載で俺に喋ってくる。相変わらずの仕草だが彼女なりに勇気を出して言ったのだろう。
「要件は言わなくても分かる。俺に虫を取れって言うんだろ?」
「ピンポーン、正解当たり前じゃない、あなた以外に誰がやるのよ?」
「あのな…それくらい自分でやらないといけないぞ!」
「だって…」
俺が強く言うと真姫は涙目になる。穂乃果といい、μ’sのメンバーの多くは俺にお願いするときは上目遣いになる。卑怯だぞ…まぁ結局は首を縦に振っちまうんやけどな。
「とりあえず今の畑の現状を見にお前の家に行こうか」
「どうぞ…虫いっぱいよ?」
「案ずるな!」
真姫と共に学校終わりに真姫の家に向かうと畑は悲惨だった。
「んじゃこりゃ!?」
「だから言ったでしょ?」
「これは酷い…」
真姫の畑は俺の想像よりも遥かに酷かった。俺がこの前見たときは普通の綺麗なトマトの葉っぱ達だったのだが、現状は酷く、葉っぱには蝶々の幼虫が葉っぱを虫歯っているのだ。
「何でここまでほっておいたんだ!?」
「触れないからに決まってるでしょ!?」
「んでもな!」
「貴方ならやってくれると思ったのに」
真姫は上目遣いでこっちを見てくる相変わらずだがこのままでは俺の特殊な能力が…
「わ…わかった!やってやるよ!」
「流石太一!任せたわ!」
「何言ってんだ?お前もやるんだよ!」
「な…何言ってるの!私に虫を取れって!?」
「当たり前だ!」
「い…イヤー!!!」
俺は真姫に半分強引に虫取りをやらせた、真姫は涙目で自分の手で幼虫を取っていった。これ以降真姫はしっかりと手入れをし、葉っぱに虫がつくことはなくなった。
次回は後編を執筆しますのでお楽しみみ!
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