ラブライブ! ~9人の女神と1人の神~   作:テアイチ

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第29話 帰りたい理由

数時間にも及ぶ大手術から早、一週間が経っていた。太一が入院してからはμ'sのメンバーが交代で毎日お見舞いに赴いた。その中でも穂乃果は人一倍積極的にお見舞いに来ていた。今日は穂乃果、海未、ことりの二年生組でお見舞いに来ていた。

 

「もう…一週間が経ちました。本当に太一は目覚めるのでしょうか?」

「真姫ちゃんのお母さんが言ったとうり、それは太一くんの回復次第って…」

「目覚めるよ!回復の傾向があるって言ってたもん!」

「わかってはいますが…前にも言ったとうり今度のライブでは太一抜きでやると皆んなで話し合ったではないですか!」

「だけど!…だけど…太一君とはファーストライブの頃からやって来たんだよ!なのに…今更太一君を外すのは嫌だよ!」

「穂乃果ちゃん…」

 

太一が目を覚ますかは分からないのは穂乃果も知っている。だが、ファーストライブから一緒に頑張っていた太一を抜きでライブをやるのは穂乃果にとっては苦痛でしかなかった。

 

「わかりました。今回だけは躊躇してあげましょう…後一週間、今から一週間以内に太一が目を覚まさなかったら今回のライブは太一抜きで行います。それで良いですか?」

「「海未ちゃん!!」」

「ありがとう!!」

 

海未自身も同じ事を思っているが太一1人の為に大切なライブが無くなる訳にはいかない、だからこそ最後のチャンスとして穂乃果に条件を伝えた。それを聞くと穂乃果もことりも納得した。

 

「そうと決まったら直ぐに戻って練習します!では…太一お大事に…」

「じゃあね…太一くん♪」

「穂乃果は後で行くよ!」

 

そう言うと穂乃果は海未とことりを先に帰らした。

 

「ねぇ太一君…早く目を覚ましてよ…どうして…犯人として疑ったのに…犯人に襲われた時に助けてくれて…どうして身代わりになって刺されちゃったの?どうして、どうして…穂乃果いっつも太一君に助けられてばかり…穂乃果…太一君に何一つお返し出来てないよ…私に出来ることは無いのかな…太一君…」

 

穂乃果は1人泣いた、太一の左手に自分の顔を押し付けて涙を流しながらポツリと太一に問いかけるが太一は聴こえていないだろう…しかし一瞬だけ太一の指がピクリと動いていた、穂乃果の涙が太一の手に当たった時だった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ん…ん〜?ここはどこだ…は!?」

 

再び起き上がると花畑と怪しげな2つの空間との間で目覚めた。

 

「確か…女の子と話していたら…急に眠たくなって…ここは一体何処だよ!」

「あら?やっと目覚めたのね〜待ちくたびれたわ」

 

声をした方を見るといつぞやに会った女の子があくびをして体を伸ばしていた。

 

「君はさっきの!?」

「まぁ…実際は貴方が倒れた時から数日は経ってはいるんだけど…」

「教えてくれ!ここは一体何処なんだ!?」

「この前も言ったはずよ?ここはあの世とこの世のを結ぶ場所よ?」

「それは覚えているが、いつになったら俺も元の世界に戻してくれるんだ?」

「それは私には無理よ?ここは貴方の世界よ…選択するのは私じゃない」

「じゃあ誰が?」

「貴方の世界なんだから決めるのは貴方よ?」

「俺?」

 

彼女曰くこの世界は太一の世界らしく、現実世界に戻るには太一が決めなくてはいけないらしい。

 

「ここで考えても時間の無駄だわ、あそこに喫茶店があるからそこでゆっくりしながら考えましょ?」

「え、えぇ〜?」

 

彼女が指を指す方を見つめると、何故かさっきまで無かったはずなのに喫茶店が出現していた。太一と女の子は外のバルコニーに座りメニュー表を見る。

 

「ホッホッホッ♪客人なんて珍しいの〜?」

「うぁあ!?爺さん誰だよ!?」

「わしはこの喫茶店のマスターじゃ、はよ注文きめんかい」

「じゃあ〜私はウルトラデラックススーパーパフェで♪」

「まいどあり、お主はどうするかい?」

「じゃあ…コーヒーで…」

 

自称マスターのお爺さんに注文を頼むとお爺さんは電卓を取り出し、計算する。

 

「うちは先払いでね、1500円じゃ、」

「たか!?」

「ほぼ、パフェの値段じゃな」

「お前…自分で払えよ?」

「なに言ってるの?私お金持ってないわ?」

「は!?」

「早くして欲しいんじゃが?」

「くそ…後で返せよ?」

「覚えていたらね♪」

 

そう言われると太一は渋々ポケットからお金を取り出し代金を払った。

 

「まいどあり♪すこし待っておれ」

「くそ…ぼったくりにも程があるぞ…」

「それで話を戻して、どうやったら俺は帰れるんだ?」

「さっきも言ったわよね?貴方が帰りたい理由を言えば良いだけよ?」

「理由??ん〜生きたいから?」

 

そう言うと上からタライが落ちてきて太一にクリティカルヒットした。

 

「痛て!?何するんだよ!?」

「間違えたら上からタライが落ちて来るから」

「それを早く言えよ!」

「間違えたらタライが落ちて来るから、ちなみにそれをを考えたのはこの世界に来る前に貴方が覚えていた罰なのよ?」

「うっ…」.

 

太一は思い出した、数日前テレビでクイズ番組をやっていたのだが問題を間違えた回答者が間違えたお仕置きとして上からタライが降って来て思いっきり当たるのを鮮明に覚えていたせいで今回この様な事が起きていた。

 

「貴方、私に嘘を言っているわね?」

「はぁ!?何言ってるんだよ?そんな事ねーわ!」

 

太一は人差し指で頬っぺたを擦る。

 

「嘘ついてるのバレバレよ?貴方は嘘を吐くと人差し指で頬っぺたを擦る癖があるの」

「え!?」

「はぁ…早く言いなさいよ…」

「そ…それは…」

 

言いたい事は分かっている、だが恥ずかし過ぎて言えない、恥ずかしさが身体中を駆け巡る、それを想うたびに心がキュンとし息が荒くなる。それを告白するのは本人ではない寧ろ会ったことが一回もない初対面の女の子にだ。

 

「ねぇ!?早く言いなさい!あっ、そういえば言うの忘れてたけど後10分以内に言わないとこのまま君は天に召されちゃうわよ?」

「嘘だろ!?」

 

上を見ると光のカーテンが徐々にだが下に伸びて来ている、しかもそのおまけか分からないが天使までもが向かって来ている。

 

「やべぇ!?本当じゃないか!」

「早く!流石に天に召されたら私でも救い用がないわ!」

「え〜!!」

 

追い込まれて更に言わなきゃ行けないムードになっている。仕方あるまいと太一は意を決して告白する。

 

そう、どうして彼がスクールアイドルを始めたのか、どうして彼女のわがままを聞いて来たか、どうして彼女に導かれるのか、どうして困っている彼女を助けてしまったのか、どうして彼女の笑顔はこんなに可愛いのか。どうして疑われ、嫌われてしまいそうだった彼女を犯人から庇ったのか。

 

どうして、彼女の事を好きになってしまったのか。

 

「最後のチャンスよ!貴方は何で生きたいの!?」

「それは…

「それは?」

「それは…」

 

そして太一は思いっきり息を吸い。

 

 

 

 

 

「それは!俺は穂乃果の事が好きだから!いつまでも穂乃果を守ってやりたいんだ!いつまでも穂乃果と一緒に居たいからだ!」

 

思いっきり吐き出した、言い放ったあと太一の息は切れ切れだった。

 

覚悟を決めて放った言葉に女の子はやっと言ったかとまるで知っているかの様に安堵した。

 

「よくぞ言ったわ!さぁ!出口へのカギは開かれたわ!」

「ありがとう!お陰で俺は本当の気持ちを言えた!感謝している!」

「待て小僧!」

「何だよ爺さん?」

「せっかくワシの喫茶店に寄ったんじゃ、ワシのコーヒーを飲みなさい!」

 

帰ろうとした所をマスターに止められる、太一はマスターが作ったコーヒーを飲んだ。

 

「どうだ、美味いか?」

「…?」

「苦い…けど、何故か分からないが涙が溢れてきた」

「そうだ、それがここ最近のお主の気持ちなんだホレ、もう一回飲んでみろ」

 

そう言われて太一はもう一度コーヒーを飲む

 

「甘い!」

「そうか!甘いのはお主が今気力に満ちている証拠だ、これからもこ覚悟を忘れるな」

「ありがとう爺さん!」

「じゃあね…太一君」

「あぁ!あばよ!」

 

そう言うと太一は唸りまくる渦の中に飛び込んだ。それを見届けるとさっきまで光っていた光のカーテンはさぁ〜っと引いていき、天使は空の彼方へ消えていった。2人はひと段落し女の子は再びパフェを食べ、マスターはコーヒーを飲んだ。

 

「ふぅ…バレると持ったわい」

「まさか、自分の祖父が喫茶店のマスターをやっているなんて分かるわけないでしょ?」

「そう言うお主こそ双子の姉の癖にようバレんかったのが不思議じゃわ」

「さ!あの子も帰った事だし、店を閉めるわよ」

「へいへい、よっこらせ、ツバサも手伝うじゃぞ!」

「はいはい、早く終わらせるわよ、ふふ♪また何処かで会うかもね太一♪」

 

そう言うと彼女は…ツバサは片付けを始めた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜*〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「太一君…」

 

穂乃果は涙を流した、その涙は太一の手に落ちてきた。すると太一は少しずつだが目を開ける。そこに好きになってしまった穂乃果が居た。すると小声だが彼女に喋りかける。

 

「何…泣いているだよ…穂乃果?」

 

「太一君??」

 

声が聞こえ、まさかと思って目を擦り、声のした方を見るそこにはさっきまで眠っていた太一が目を覚まして笑って穂乃果を見ていた。

 

「太一君!?」

「ったく…何泣いてるんだよ!」

「だって…だって!!」

 

穂乃果は再び涙を流し太一のお腹で泣き叫んだ、それを太一は黙って穂乃果の背中に手を置いてさすった。

 

 

 

 

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