ハイスクールD×D ~蒼天の神龍~   作:コロ助なり~

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戦闘校舎のフェニックス
家族会議


家族会議

 

Sideイッセー

 

目が覚めると真っ暗な空間にいた。

 

『おい、クソガキ』

 

っ!? 

 

いきなりどこからか声が聞こえた。

それと同時に暗かった世界が炎で赤く染まった。

声の主を探してみれば、そこにそいつはいた。

真っ赤な瞳。トカゲのような頭。頭部から生える大きな角。見るからに鋭利そうな爪。なんでも砕きそうな牙。マグマのように赤い鱗。

そいつの姿は漫画やゲームで出てくるような―――ドラゴンだった。

 

『ああ、お前が今考えている通り俺はドラゴンだ。本来ならようやく話せたことを喜ぶべきなんだろうが、今は二の次だ』

 

おいおい! お前が何者なのか気になって仕方ないんだけど!

 

『いいから聞け』

 

真剣な声音に黙らざるを得ない。

 

『……アーシアと言ったか? もう二度とあんな思いをしたくないなら、強くなりたいならあのお方に鍛えてもらえ。言いたいことはそれだけだ』

 

ドラゴンの言い方がまるであの事件を見てきたようなものいいだ。

大切な誰かを失わないためにも、ハーレム王になるためにも俺は強くなりたい!

でも、あのお方? ってのは誰のことだ?

こんな強そうなドラゴンが“あのお方”というくらいなんだからスゲー奴ってことだよな?

 

『お前もすでに知っている人物だ。……そう言えば昔とは名前が違ったか。確か……空、と名乗っていたな』

 

なっ!? それって龍神空のことか!?

 

まさかここで友達の名前を聞くことになるとは思わなかった。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side空

 

俺―――龍神空は朝五時に起床した。

まだ眠っていたい欲を抑え込みながらも顔を洗いに洗面所に行く。

顔にかかる冷たい水が眠気を飛ばしてくれて脳がゆっくりと働き始めた。

 

「んっ……よしっ! 修行だ!」

 

一旦自室に戻って動きやすい服に着替えてから外に出た。

目的地の公園に着くと準備運動をする。

早朝とはいえ念のため誰もいないことを確認してから人払いの結界を展開。

少しだけ異能を使う。

 

まずはキーブレードから。

 

生物が呼吸をするのと同じくらいごく自然に鍵の形をした剣を手に出すと、即座に消してまた別の武器を手に出現させる。

―――長剣、短剣、槍、斧、鎚、弓、籠手、銃。

一通り出して顔を顰めた。

 

……まだダメか。

 

それが終わるともう一度キーブレードを手に出す。架空の相手をイメージして鍵の剣を振るい続ける。

しばらく架空の相手と剣を交えていたら、背後から誰かが近づく気配がした。

 

「キャッ!」

 

咄嗟に振り返って鍵の剣を向けると背後に現れた人物はビックリして尻餅をついてしまった。

 

「あ……ごめん」

 

キーブレードを消して、尻餅をついた人物―――リアスに謝罪と共に手を差し伸べて立ち上がらせる。

 

「……いいの。不用意に近づいて邪魔しちゃった私が悪いわ」

 

「そんなことないさ。それより、なんでここに?」

 

リアスの格好を見れば赤いジャージを着ていた。それも含めて不思議に思っていたら、イッセーが公園内に入って来た。すでに汗を掻いてることからすでに走り込みかなにかしていたのだろう。

俺の顔を見るなり、困惑したような表情を浮かべていたことが気になったが、リアスの声に耳を傾けた。

 

「イッセーを鍛えるからよ。手伝ってくれないかしら?」

 

「なるほどね。いいよ」

 

俺は二つ返事でそれを了承した。

今から鍛えておけば、俺の楽しみが増えそうだ。

ついでにアイツのためにもイッセーを鍛えておかないと呆れられてしまう。

 

「イッセー、我武者羅でもなんでもいい。全力で俺に攻撃してこい」

 

「お、おう! 行くぜ!」

 

「ほい、隙だらけ」

 

勢い良く突っ込んできたイッセーが拳を振るってきた。それを右に避けて足払いをかけた。勢いが在り過ぎて顔面から地面にダイブ。

 

「ぐおっ!?」

 

「まだできるだろ?」

 

「当たり前だ! うおおおおおおおおおおっ!」

 

強打した部分を抑えながら立ち上がって再び駆け出すイッセー。

そこから一時間程、学校に支障が出ない程度にイッセーをしごき倒したのだった。

 

 

 

 

 

「おはようございます! イッセーさん! 部長さん! 龍神さん!」

 

リアスに頼まれてイッセーを鍛え始めてから一週間ほどしたころ、しごいてる途中でアーシアが公園にやってきた。

 

「どうしてここに?」

 

「部長さんからここで毎日トレーニングしてると聞きまして、イッセーさんの力になりたくてここに来ました」

 

そう言って、持ってきた水筒からお茶をイッセーに差し出した。

 

「うぅぅ、アーシア! 俺はアーシアの心意気に感動した! ああ、可愛い子にそんなこと言われる日が俺にこようとは!」

 

愛されてるね、イッセー。

 

俺もアーシアみたいな清楚系ヒロインと出会いたかった。

そんなことを士織達に言えば、待ってるのは理不尽だけだから絶対に言えないけど。

 

でも、昔はあいつ等もアーシアみたいな感じだったはずなんだけどなぁ……。

 

二人の関係性にほんの少しだけ羨ましく思いながらもお茶を一気に飲み干して、トレーニングを再開したのだった。

 

 

 

 

 

突然だが、世界の会談、会合、会議の中でもトップクラスの交渉の場―――家族会議。

両親もしくは保護者が権力者で、決定権はその人達にあると言っていい。俺達子供がその中で上手いこと交渉をしていくかが重要なポイントだったりする。

それは子供の立場にある俺としてもわからないでもないのだが、友達の家の家族会議に参加させられることになるとは思いにもよらなかった。

イッセー、アーシア、リアス、俺の順番に座り、テーブルを挟んで向かい側に座るイッセーのご両親。

本来もっと堂々とするべきはずの二人がリアスを前にして縮こまっていた。

 

「お父さま、お母さま。そういう事情でアーシア・アルジェントのホームステイをお許しくださいますか?」

 

今のでわかるように今回の家族会議の議題はアーシアの新居だ。

堕天使の一件後からはリアスと共に暮らしていたようだが、アーシアの希望もあってここに住まわせることになったらしい。

もちろん、イッセーのご両親はそのことに猛反対ではないにしろ難色を示した。

 

「うちには性欲の権化ともいえるバカ息子がいる。残念だけど、うちよりも同じ女の子がいるお宅の方がいいんじゃないかな」

 

理由は部屋の有無よりも先にイッセーだった。

 

まあ、確かにそうなるよね。

 

学校では悪い意味で有名なイッセー。当然ご両親が知らないはずがない。

そんな奴とアーシアを住まわせて、もしかしたら何か問題でも起こすのではないかと危惧して言っているわけだ。

 

「もしくは龍神君なんかどうかな? お宅は広いと聞くし、なによりもうちのバカ息子と仲良くしてくれるような出来た青年だ。アーシアさんを不幸にはしないはずじゃないかな」

 

「い、いやいや! 俺なんか大したことないですって!」

 

学校では優等生とまでは言われなくともそこそこ真面目にやってきてるつもりだったが、友達の親にそんな風に思われていたと知って、恥ずかしくなる。

 

「申し訳ございませんが、お父さま。空の家ではダメなのです」

 

「それはどうしてだい?」

 

「確かにお父さまのおっしゃる通りで空の家は広いです。そして、素晴らしい青年であることも間違いないです。しかしですね、その……彼には……」

 

「あ、もしかして……お付き合いしてる子でもいるのかい?」

 

リアスが言いにくそうにしていたらなんとなく察してくれたらしい。

だが、付き合ってるとは言ってもアレを付き合ってると言っていいのか迷うところだ。

 

「ええ、そういうことです。ちなみにその相手は―――私なんです」

 

そう言ってさり気無く俺の腕に身を寄せてきた。

 

…………いやいやいやいや! 何言ってくれやがりますかこの紅髪悪魔は! うわー、イッセーとアーシアが俺をジト目で見てるのが見なくてもわかる!

 

「私自身はそんなつもりはないのですけど、友達にはよく嫉妬深いって言われてて……」

 

「なるほど。アーシアさんが彼の家にいると彼女であるリアスさんとしては確かに面白くないわけだね」

 

一度冷静になってリアスが嘘をついた意味を考えた。

俺の家を候補から外すための彼女なりに考えた結果だろう。魔力を使って無理矢理断ることもできたが、そうしなかったのも自分の眷属を想ってのことだ。

 

ここはアーシアのためにも口裏合わせますかね。

 

「俺はリアス一筋です。でも、アーシアさんが一緒に住むとなると俺も男なのでどうなるかわかりません。彼女であるリアスの信頼を裏切らないためにも俺の家は反対です。ごめんなさい」

 

「わ、私一筋……!?」

 

嘘を言い始めたのあなたでしょうに。俺はただそれに合わせただけだから。

ああ、これで士織達の耳に入ったものなら俺の命はどうなるやら……。想像したくない。

 

「謝らないで、悪いのはこっちなんだから! あなたのような子に彼女がいることを考えなかった私達の落ち度よ……」

 

断り方はともかく、これで俺の家は候補から外れたことだろう。

あとは畳みかけるだけだ。

 

「自分の目から見て、アーシアさんはイッセーをとても信頼してるように思えます。学校でも大分彼女の助けになってるようですから」

 

「それにイッセーは直情型でやや思慮の足りない部分がありますけれど、決して愚かではありません。困難に立ち向かっていく勇気や誰かのために動ける力を持っています。アーシア、あなたはイッセーをどう思う?」

 

「す、素晴らしい方だと思います! 私の命の恩人で初めて友達になってくれた方です! この間も学校で―――」

 

俺の後に続いてリアスもイッセーを褒め称え、アーシアに尋ねた。

彼女の口からはイッセーに助けてもらった出来事の些細なことまでもが出てきた。

過大評価してるように聞こえなくもないが、彼女からするとどんな些細なことでも嬉しいようだ。

それを聞いていたイッセーのご両親もどこか誇らしげに相槌を打っていた。

 

よし、これはいい流れだぞ……!

 

リアスに目配せをするとそれに気づいた彼女が俺の方に向いた。

俺の言いたいことが伝わったのか、それとも元々そういうつもりだったのかはわからないが、リアスが無言で頷いた。

 

「今回のホームステイは花嫁修業も兼ねて―――というのはどうでしょうか」

 

『花嫁!?』

 

イッセーとご両親が素っ頓狂な声を上げた。

そこからはとんとん拍子で話が進んだ。

ご両親が嗚咽を漏らすものだから最初はどうしたものかと思ったが、孫の顔が見れないと思ったが故にアーシアが花嫁になるというのが余程嬉しかったようだ。

要するに必殺の一撃だったわけだ。

こうして兵藤家に新しい家族(花嫁)が増えましたとさ。

 

「……花嫁、ね」

 

不意に寂しげな表情を浮かべたリアス。

俺には思い当たる理由が一つだけあった。

 

 

 

 

 

アーシアが兵藤家に住み始めてから数日後。

今日も朝の修行を終えて学校へ登校。

その通学途中で悲鳴が聞こえた。

生徒たちの視線を集めていたのは二人の男女。イッセーとアーシアだ。

 

「どうして、アルジェントさんと兵藤が同じ方向から……」

 

「バカな……何事だ……」

 

「嘘よ、アーシアさんが毒牙に……」

 

こりゃ酷い言われようだ。

それもこれもイッセーの日頃の行いが悪いせいだからフォローすることは一切ない。

 

「もしかしてアーシアちゃんって兵藤君と一緒に暮らしてるの?」

 

一緒に登校してる士織に尋ねられた。シア達も不思議そうな顔をしていた。

 

「うん、ちょっと前にそうなった。下手したら龍神家になりそうだからホント困ったんだよね……」

 

「どうやって断ったの?」

 

「彼女がいるって言った」

 

「それなら断るには十分な理由だね。……ちなみに誰のことを彼女って言ったのかな?」

 

「……教えない」

 

「【囁告(ラジ)―――」

 

「あー、もうっ! わかった! 言うからその本しまえ!」

 

こんな人が大勢いるところで能力使おうとするなっての!

 

掌に本を出して開こうとしたのを阻止し、消滅させるように士織に言った。

 

「絶対に怒らない? っていうかこんなとこで暴れないと約束するなら言う」

 

『内容次第』

 

うわっ、それってほぼ無理って言ってるようなものじゃん。

 

「…………リ、リアス」

 

『…………』

 

「わー! 無言で魔力出し始めるな! ってか怒らないって言ったじゃなんか!」

 

リアスの名前を出した途端に五人が一斉に魔力を体中から溢れ出していた。

 

「やだなー、空君。全然怒ってないっすよ? ……浮気者」

 

「そうです。わかってますから。……女誑し」

 

「さあ、話も終わったことだし学校行くわよ。……天然ジゴロ」

 

「あとでたーっぷりお話ししなきゃだね! ……最低」

 

駒王学園の誇る双子姉妹からの口撃が俺の心を抉る。

 

「ち、違う! これにはきちんとワケが在んの!」

 

「はいはい。シア達、そこのアホな男は放っておいて行こう」

 

取り付く島もなく軽くあしらわれ、俺を置いて学校に向かい始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。

 

「空、お願いがあるの。大至急私の処女を貰って」

 

リアスが俺の寝室に現れて、いきなりそんなことを言いだしたのだった。

 

 

 

 

 

 

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