ハイスクールD×D ~蒼天の神龍~   作:コロ助なり~

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赤龍帝

赤龍帝

 

Side空

 

ベルゼ達と入れ替わるようにしてリアスと朱乃が聖堂内に入って来た。

 

「私の予想通り、イッセーは堕天使を倒したようね」

 

「ハハハ……何とかってところですけどね」

 

アーシアの治療のおかげでどこにも目立つような傷はないが、失った血液までは戻せないためフラフラになりながら立ち上がった。

空いた穴が塞がる程の回復能力なら十分に凄いと言えるものだから、アーシアに非はない。

 

「あなたはよくやったわ。小猫、堕天使をここに」

 

「はい」

 

リアスに命ぜられ、小猫が空いた穴の方に行った。

 

「それにしても教会が完全にボロボロですわ。部長、よろしいのですか?」

 

「ううん、問題ない」

 

困ったように笑う朱乃にリアスの代わりに俺が答えた。

 

「確かに教会は天使側からすれば宗教的な重要な場所で堕天使が今回みたいに使うときもある。そんな教会にリアス達悪魔が攻め込んで破壊すれば勢力間での問題にはなる。待ってるのは報復。でも、今回は捨てられた教会をレイナーレ達が勝手に使ってただけだし、上に許可は貰ってるからお咎めはないんだ。そもそも大半は俺と戦ったネイドのせいだし」

 

それに三大勢力の小競り合いは年中どこでもある。今回もその一つとして処理されるはずだ。

天使のシアとキキョウ。悪魔のネリネ、リコリス。

敵対する種族のはずの彼女達の仲がいいのはいとこ同士の幼馴染だからであって、滅多にないケースだ。

 

「部長、連れてきました」

 

引きずって来たのは気絶したレイナーレ。

 

「ありがとう、小猫。朱乃、頼むわ」

 

「はい」

 

朱乃が魔力を使って水を手元に出す。それをレイナーレの頭に被せると、ゴホッゴホッと咳き込んで目を覚ました。

 

「ごきげんよう、堕天使レイナーレ」

 

「……グレモリー一族の娘か……」

 

たまに思うのだが、一目でどの一族かわかるのってすごい。グレモリー家の髪は紅いからわかりやすいが、他の一族って何かわかりやすい特徴とか違いってあるのかな?

 

俺の余計な考えはさておき、レイナーレが途端に嘲笑った。

 

「私には協力してくれる仲間がいるわ。危うくなった時には―――」

 

「彼らは助けに来ないわ」

 

レイナーレを遮ってリアスが言った。

 

「この羽、あなたならわかるでしょ? あの三人は私が消し飛ばしたわ」

 

いつまでも外にいると思ったら他の堕天使を倒してたのか。

 

これで完全に詰んだ。それを自身でも理解したレイナーレの顔が曇る。

 

「あ、そうそう。レイナーレ」

 

「……なにかしら?」

 

「お前が負けた理由教えてやるよ。一つ目、イッセーが弱いからって侮り過ぎたこと。さっさととどめさしておけば簡単に殺せたのにね」

 

もちろん黙って殺させるだなんて微塵たりともない。

 

「二つ目、イッセーの神器(セイクリッド・ギア)を『龍の手(トゥワイス・クリティカル)』だと思ってたみたいだけど、実は違うんだな」

 

「なら一体何だというの?」

 

「『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。神を滅ぼす力を秘めた神器―――神滅具(ロンギヌス)の一つ。聞いたことくらいはあるでしょ?」

 

「そんなバカな……!」

 

イッセーの左手に装着された籠手を凝視して、やがて赤龍帝の籠手であることを認め、力なく項垂れた。

 

能力は十秒ごとに所有者の力を倍にしていく。極めれば神や魔王だって倒せる規格外の力だ。

ただし、所有者が弱いと十秒経過する前に倒されてしまう。

今のイッセーが強敵に挑んだところで返り討ち間違いなしだ。

 

「それじゃあ、最後のお勤めね。消えて―――」

 

「リアス、ちょい待ち」

 

滅びの魔力を手に集め始めたのを見て、手で制して止めた。

どういうつもりだと睨んでくるが無視してシェムハザさんに連絡する。

 

「もしもーし。空です。今堕天使レイナーレを捕まえました。他の堕天使はリアス・グレモリーが消したそうです」

 

『わかりました。アザゼルに報告したらそちらの好きにしていいそうです。それと今回のお詫びを近い内にとのことです』

 

まともなお詫びだといいんだけど。

 

「了解です。失礼します」

 

シェムハザさんとの通信を切って、イッセーに顔を向けた。

 

「イッセー、こいつをどうしたい?」

 

「どうしたいって言われても……」

 

「私はこいつを許せないわ」

 

生殺与奪の権利を握ったイッセーが困惑するなか、リアスが再び手に魔力を集め出す。

 

「俺、参上」

 

そんなときに壁に空いた穴から誰かが現れた。

俺が先程吹き飛ばした神父だ。真っ赤になった左頬以外を除けば割と元気そうだ。

 

「フ、フリード! 私を助けなさい! 褒美なら何でも上げるわ!」

 

「うひょー! やったね! ……と言いたいところだけど無理っす。俺がいくら頑張ってもそこの男には勝てない」

 

ふざけた口調から一転し、真面目な口調で俺を見る。

 

「一撃。たったの一撃で俺は君にやられた。ベラベラ喋ってはいたけど油断なんてしてなかった。ああ、悔しいったらないぜ。……なあ、君の名前は?」

 

本当に同一人物なのかと疑うほど真面目だ。

 

「龍神空」

 

「そっか。俺はフリード・セルゼン。龍神空。君の名前をぶっ殺したいランキング一位に入れておく。次に会ったらそんときはよろしく。ついでに君もな、イッセーくん」

 

「俺も!?」

 

最後にイッセーにも殺害予告をして速攻で逃げたフリード。

敵とは言え諦めないというのは好感が持てる。実は彼、根は真面目なんじゃないだろうかなんて思えて来る。

 

「おう! いつでも来なよ!」

 

次に会うときが少しだけ楽しみだ。

 

「さて、下僕にも捨てられた堕天使レイナーレ。哀れね」

 

「お願いイッセー君! 私を助けて!」

 

途端に媚びたような目をしてイッセーに懇願する。

 

「この悪魔が私を殺そうとしてるの! 私、あなたのことが大好きよ! 愛してる! だからこの悪魔を一緒に倒しましょう!」

 

うわっ……。その愛してると言った奴のこと殺してますけど忘れちゃったわけ? もしもシアが堕天してレイナーレの立場で、俺がイッセーの立場なら……。

 

『空君、愛してるっす。ずっと二人でいるために他の皆を一緒に殺すっす』

 

…………いやいやいやいや! 怖い怖い! 意味わかんないけどとにかく怖い! うん、今のは忘れよう。

 

余計なことは置いといて、貧血状態のイッセーが協力したところで部員の誰一人倒せるわけがない。もうどうすることもできない状況だ。

 

「グッバイ。俺の恋。部長、もう限界ッス……。頼みます……」

 

「……私の可愛い下僕に近寄るな。消し飛べ」

 

リアスが放った滅びの魔力が堕天使を跡形もなく消し去ったのだった。

 

「あとのことは任せていい?」

 

感傷に浸る間もなく告げた。

悪魔と違って夜に活性化する体質がない俺には、夜中は一般人と同じでどうしても眠い。

それに今回の事後処理はこの領地の管理を任されているリアスの仕事であるから俺の出る幕はもうない。

 

「ええ。夜遅くまでありがとう。おやすみなさい」

 

リアスも咎めることなく承諾してくれた。

 

「うん、おやすみ。皆もね」

 

軽く手を振って家に帰った。

 

 

 

 

 

家に着いたのは夜中の零時。皆寝ているだろうから起こさないように静かに家に入る。

しかし、家の玄関で待っていたのは部屋着姿の士織だった。

 

「おかえり」

 

「士織、起きてたの?」

 

「私以外は寝てるよ。ご飯いるよね?」

 

「うん」

 

士織が台所に入って冷蔵庫に保存された料理を電子レンジで温め始める。

向かい合うように机に座ってご飯が温まるのを待つ。

 

「どうなった?」

 

主語が抜けていても士織が言いたいことはわかる。当然今日の一件だ。

 

「イッセーが堕天使と戦った。アーシアは無事救出成功。……あとはベルゼ達が来た」

 

「! ……彼らはまだ空を連れ戻す気?」

 

ベルゼ達が来たことに眉根を寄せる士織。ベルゼ達とは因縁があるのはなにも俺だけではないということだ。

 

「みたい。まあ、今回は俺よりも赤龍帝であるイッセーが目的だったから今日はホントにたまたま」

 

「兵藤君が赤龍帝!?」

 

発現したときからなんとなくそんな気はしていたが、反応が弱過ぎて今一確信が持てなかった。

今日の一戦でイッセーの想いがようやく赤い龍を起こしたおかげでわかった。

 

「まだまだ弱いけどこれからに期待してる」

 

「戦いたいんでしょ? 顔に書いてる」

 

流石士織。俺のことをよくわかってる。

赤龍帝とはまだ戦ったことはないから凄く楽しみだ。きっとイッセーは俺の予想を遥かに超えるような成長をしてくれる。戦う運命にある白龍皇を驚かすくらいの。そんな根拠のない期待が俺の心のどこかでするのだ。

いいタイミングで電子レンジが料理を温め終わった音を鳴らした。

 

「いただきます」

 

自分で取り出して食前の挨拶を済ませて食べる。

十分程で食べ終えて使った食器を片付けたあと風呂場に行く。

脱衣所で服を脱ぎかけて動かしていた手が止まった。

 

「……士織、なんでいるの?」

 

「一緒に入るつもりだからに決まってるでしょ」

 

士織の手は迷いなく服を脱がしていく。すでに下着に手をかけていた。

 

「そういうことを聞いてるんじゃなくてっ。まだ入ってないの?」

 

「空を待ってたんだから当たり前でしょ」

 

「先にいいよ! 俺はあとで入るから!」

 

昔とは違ってそういうことを気にする年頃だ。たとえ士織が俺にどんな感情を抱いているのかわかっていようとも。

 

「こんな遅い時間なんだから我が儘言わないの。ほら、【早く脱いで】」

 

我が儘!? 俺が悪いの!? って体が勝手に! ()()使()()()()()()な!

 

完全に油断しきっていたせいで士織の能力の一つの影響を受けてしまう。自分の意思に反して服を勝手に脱いでしまった。

あっという間に裸になった俺は抵抗する間も与えられず風呂場に連れ込まれた。

椅子に座らされ、程よい熱さのシャワーが全身に浴びせられる。ここまで来たら抵抗するのを諦めて大人しく洗われることにした。

 

「……最近空とイチャイチャしてない。一緒にいたいって思ってもエリオとキャロに構ってばっかだもん。あの二人に構いたくなるのはわからないでもないけど、もう少し私にも構って欲しいな」

 

士織がシャンプーで俺の髪を洗いながら不満を口にする。

 

あー、要するにこれは……。

 

「嫉妬してるの?」

 

「……してる」

 

「えーっと、それは……うん、なんか……ごめん」

 

泡を洗い流してから今度は体を洗い始めた。

 

「こんな気持ちにさせたんだから責任取って」

 

「いやそれは面倒―――痛たたたっ! わかったわかった! 何でもするから!」

 

断ろうとしたら肩にえげつない痛みが襲う。

鏡越しで士織の表情を見たが、それはもう鬼が泣いて逃げ去る程怖かった。

 

メリメリなってったんだけど……。

はぁ……機嫌が悪くなると暴力振るうヒロインってどうにかなんないかね? 漫画やアニメで見ると他人だからこいつアホだなぁって思えてたけど、自分がいざその立場になると同情せざるを得ない。

 

「じゃあ、デート……ううん。一日構ってくれるだけでいいから」

 

「それでいいならそうする」

 

体を洗ってもらい湯船に浸かろうとしたら腕を掴まれた。

 

「洗ってくれないの? 私は空のこと洗ったんだよ?」

 

「……わかった。ただし背中と髪だけね」

 

(…………チキン)

 

「聞こえてるから」

 

ドラゴンの聴力舐めるな。

半径二、三km以内なら雑踏の中でも誰の声かくらいは聴き分けられる。

昔と比べて力加減を覚えた手で丁寧に士織の髪と背中を洗った。

 

『ふぅ……』

 

やや広めの湯船に浸かると二人揃って息を吐く。

 

「ねぇ、空」

 

「ん?」

 

「我慢できそうにないかも」

 

「は? えっと、何が?」

 

「空を襲うの」

 

その言葉を聞いた瞬間、湯船を出ようとしたら腕を掴まれた。

俺が逃げることを想定していたようだ。

 

「今は誰もいないし、ここでならベッドと違って証拠は消しやすいでしょ」

 

士織が顔を寄せてきて俺は離れる。しかし、腕を掴まれているままなので大した距離ではないし、再び士織が寄って来る。それを延々と繰り返していけばやがて湯船の端にぶつかった。これ以上後ろには下がれない。

 

「……ッ!」

 

士織の肌が俺の肌と触れ合う。

 

「抵抗しないの?」

 

出来るならしたい。

だが、この先のことを想像してしまい、緊張で体が動かなくなる。

それに“あの慣れない感情”が『抵抗しなくてもいいじゃないか』と囁いている気がした。

士織が俺の頬を愛おしそうに撫でて唇を近づけてくる。

 

「―――! …………?」

 

思わず目を瞑ってしまったが来るはずの感触はなにも来ない。

恐る恐る目を開けると士織が微笑んでいるだけだった。

 

「キスされるかと思った?」

 

「……正直、そう思ってた」

 

「ふふふ、素直でよろしい。ご褒美上げるね♪」

 

「!?」

 

頭を撫でたかと思えば不意打ちでキスされた。

身体中が燃えるように熱くなるのを感じた。

 

あ、ヤバい……。

 

そう思ったときにはもうすでに遅く、湯船の中で意識を失った。

 

Sideout

 

 

 

 

 

Side士織

 

湯船で意識を失った空を見て、すぐに脱衣所に運んだ。

 

マズったなぁ……。

 

まさか逆上せるとは思わなかったが見慣れた空の体に興奮―――なんてことは断じて、……いやちょっぴりはしたけども、的確に処置を施していく。

 

「やっぱり襲うならベッドがいいかな?」

 

空が聞いたらどんな顔するのか想像したら、私は苦笑いしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






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