俺の幼馴染が踏台転生者で辛いのだがどうすべきだろうか?  完   作:ケツアゴ

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下がった評価が戻った! 感謝の気持ちしかありません。


言い掛かりを受けて辛いのですがどうすべきでしょうか?

 学校帰りに小腹を満たそうと立ち寄ったレストランで背後の席からCMの音声が聞こえてきました。どうやら携帯でテレビを見ている様ですね。……マナーがなっていない方です。食欲が失せるじゃないですか。

 

「……DXジャンボパフェのお代わりと特盛りフライドポテト二皿追加で」

 

 給料日前ですけどお金に余裕があるので今夜は少し贅沢でも、と思っていると可愛らしい声のキャラが歌うCMソングが聞こえてきました。食欲無くなるから消してほしいですね。

 

『パンダのナメタケ、パンダのナメタケ、パンダのナメータケ!』

 

「ぶっ!」

 

 三杯目のパフェを啜っていた私は思わず吹き出してしまいました。黒子とハシビロコウと土佐犬のキグルミがラインダンスを踊りながら宣伝するナメタケは先日委員長と行った遊園地で貰った物。思い出の品(……気が緩んでいるので戒めとしてですが)としてベッドの端に飾っています。

 

 あの時のことを思い出すと顔が熱くなってきましたので先程のパフェの到着が待ち望まれます。……ナメタケで思い出しました。

 

「あっ、明日は披露宴に出席するのでした」

 

 着ていく服は用意していますがご祝儀を用意し忘れていました。……今夜は節約しなくては……。焼き肉食べたかった……。

 

 

 

 

 

「……ああいう時の食事って少な過ぎです」

 

 明日の物足りないであろう食事を思いながらタイマーセットのおかげで炊き立ての白米が香しい炊飯器に割引のレトルトカレーを投入。売り切れ間近で中辛と甘口が各四パックですしカツとオムレツとエビフライとチキンソテーとハンバーグが欲しいですが、今の財布の中身では贅沢は敵です。思い出で胸が一杯で助かりました。

 

 

 

 

「……」

 

 花嫁の姿を無言で眺めながら昔を懐かしむ。幼い頃は只綺麗と思ったから花嫁に憧れましたが、成長して他人の顔から感情を読みとる術を手に入れれば、成る程幸せそうだ、と思う。私には不要な幸せではありますが……。

 

 決心が揺らぎそうになる。心の中の黒い炎が消えそうになる。ああ、駄目だ。耳障りの良い言い訳が何度も響く。あの日、私は幸せなど捨てたのに……。

 

「おい、轟」

 

 委員長の声にハッとする。この人もまた幸せを望む切っ掛けになってしまった人。このような祝いの席で何を考えどの様な表情をしてたのか気付いてしまった。きっとひどい表情だったのでしょうね。

 

「……ごめんなさい」

 

「気にするな。お前のことは分かっている」

 

 ああ、貴方はどうしてここまで私の心をざわつかせるのでしょうか? いっそ遠く時に行ってしまいたいと思った私の前に肉の乗った皿が差し出されました。……頂けるのなら頂きますが、どうしてでしょう?

 

 

「腹が減っているのだろう? お前には足りないだろう」

 

 あっ、はい。確かにお腹は減っていますし足りません。ですがちょっと違います。まあ、頂きますが……。少しだけ委員長にお返しした方が良いですよね? 決して、決っっして! はい、あーん、がしたい訳ではなく、皿を共有するのもどうかですし、その結果で間接キスが発生しても致し方有りません。ええ、そうですとも。……先程何か考えた気がしますが、今はもっと重要なことがあります。どの様にすれば自然な形で委員長に食べさせることが……。

 

 

「それじゃあ君がお腹減るだろう? ほら、食べたまえ」

 

「むがっ。……急にねじ込むな。だが感謝する」

 

 敵ながら……敵? 何故神野さんを敵と思ったのかは不明ですが(胸囲は除く)、敵ながら見事な動きであったと言うしか有りません。予備動作も一切の躊躇もなく自然な動きで切り分けたお肉を突き刺したお肉が委員長の口に運ばれます。ソースも肉汁も一滴すらこぼさず、委員長の歯にフォークが当たることもない。

 

 委員長も少し驚いた様子ですがそれ以上は言及せず、紙ナプキンで神野さんの口元のソースを拭う。委員長がグラスを傾けて中身を飲み干せば直ぐに神野さんが注ぎ、彼女の手からフォークが落ちそうになれば数センチ落ちたところで委員長がキャッチして持ち手を向けて手渡す。この一連の動作だけでも凄いのに、互いに自分の事をしながらで、相手に注目していません。

 

「……随分と息が合ってますね」

 

「そうか? よく分からないな」

 

 これだから無自覚なバカップルは……いえ、お二人はカップルではありませんでしたね。普段から否定されていますし、距離が無駄に近い幼馴染みです、ええ。無駄は駄目ですよね。特に無駄な胸囲の脂肪ほどに不要な物はありません。

 

 所でウェディングケーキって皆で分けるのでしょうか? 結婚式の出席は初めてですしネットで調べ忘れましたが、バイキング形式だと最良です。そもそもバイキングがどれだけ素晴らしいかというと、時間内に何をどれだけ食べれば食べ損ないでの無念さや元を取れるかといった経済や消化吸収に関する化学、ペース配分や人気の料理を食べるための戦略性、他の客の動向を見張る観察眼、今思いつくだけでもメリットは多いです。

 

 さて、これらを事細かく論理的に要望書に書いて提出すれば食堂がバイキング形式になるでしょう。え? 食欲のままに食べたいだけだろうと? 実に非論理的指摘であり、撤回と謝罪を求めます。

 

 ……私に必要なのは人としての幸福ではなく、化け物を全滅させるための力。大量の食物を摂取するのは戦闘中にエネルギーが不足しないための常時戦場の構えです。

 

「……デザートはまだでしょうか?」

 

 戦闘中は頭をフルに働かせているので糖分は必須。給料に甘味手当(オヤツ代)が付けば良いのですが……。

 

 

 

 

 

「じゃあ行くわよー」

 

 花嫁さんが投げるブーケをキャッチしようとする人達を見ていると呆れてしまう。実際の何らかの特殊能力を持っていたり、その存在を知っている方が多いのにも関わらず迷信的なイベントに参加するためにシューズに履き替えたり準備運動をするなんて……。

 

 

「ふふふ。ブーケは私が貰う。悪く思わないでくれたまえ」

 

「随分と気合いが入っているが……お前が花嫁になれるかどうかは俺次第だろうに。醜態を晒せば効果はないぞ?」

 

「分かっているさ。見事キャッチして君の横で花嫁衣装を着て泣いてみせようじゃないか!」

 

「出来るものならやってみろ」

 

 ……何故かイラッとしたので馬鹿馬鹿しいブーケキャッチよりも近くに来ていた移動販売のクレープを握りつぶしてしまう。白いクリームが指先やほっぺに付いたので舐めて取り、眼鏡に残ったクリームの残りを洗うために水道へと向かう。

 

 

 

 

「……私の時はフリルの付いたのが良いですね」

 

 もしも、本当にもしもの場合ですが化け物達がこっちの世界に来られなくなって平和になれば幸せを得るのは合理的思考です。他に候補がいないので委員長を新郎の配役に当てはめて結婚式を思い浮かべる……悪くはないです。子供は一姫二太郎で、いえ、委員長が望むのなら何人でも産みますが……例えですよ? 別に私は彼と結婚して専業主婦になりたい訳ではありません。

 

 あらゆる状況を想定するのは合理的で必要なので新婚生活や恋人時代の様子を妄そ……シュミレーションしていたら思ったより時間が経過し、携帯に敵出現のメールが届いています。

 

「……急ぎましょう」

 

 ええ、良いところで邪魔された憂さを晴らすのではなく、一切の魑魅魍魎殲滅という大望の為です。私が『疾風迅雷』を発動し進むと敵らしき三人組が見えてきました。

 

 一人目は……和服の(私より)貧相な体の少女。敵かどうかは……あっ、確かエトナです。敵でした。

 

 二人目……素肌にサラシと半纏だけの巨乳……敵です。確かクリスでしたね。

 

 三人目。爆乳だから敵です、っというよりもアリーゼです。

 

 

 

 

 

 ……所で彼女は何故ナメタケの瓶を首飾りにしているのでしょうか? 無駄余分邪魔な脂肪と合わさって肩こりに悩めば良いのに……。




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