俺の幼馴染が踏台転生者で辛いのだがどうすべきだろうか?  完   作:ケツアゴ

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お気に入り増えて感謝です! 今回は糖分少な目?


今回も感想を少し参考にしました


現在判明している原作ヒロイン

轟 刹那 大食い 文系 戦うメインヒロイン 不幸系 無表情 刀

治癒崎 回復 ロリ 巨乳 間延びした口調 後方部隊

田中 一般人 地味 主人公に昔から好意を寄せる幼馴染(フラグ)

今まで未登場 女将軍とラスボスの妹 


仲間(片方は一応)の仲の良さが何故か腹立ちますがどうしてでしょう?

 昨日は夜遅くまで起きていたからか、多少の疲労感が残る体を無理に起こしてベッドから出る。洗面所で顔を洗って鏡を見れば映るのは無表情な私の顔。昔から無表情だからと家族に色々言われてきた。

 

『刹那はもう少し笑ったほうが良いぞ』

 

『可愛いんだからもっと笑いなさい』

 

 お父さんとお母さんに何度も言われた言葉だけど、二人が死んでから私は更に笑わなくなった。戸棚に飾った写真を見れば二人と一緒に撮った写真の中の私は少しだけ笑っている。確かこの頃住んでいた町の夏祭りに行われたホットドックの大食い大会で準優勝した時の写真だ。

 

『流石に現役の全米チャンピオンは手強かったな』

 

『前回のチャンピオンには勝てたから良いじゃない』

 

 優勝できなくて少し悔しくて泣きそうだった私を慰めて、焼きソバと焼きトウモロコシとたこ焼とポテトフライとイカ焼きを買ってくれた後、メダルを掲げながら撮った写真。家族と一緒に撮った最後の写真だ。本当は旅行中に撮った使い捨てカメラが有ったけど、家族を失った時に共に失った。

 

 家族で行った旅館の近くでした川釣り。此処に来る時に通った道路には事故多発地点が多くって、バイカーが川に転落して死ぬから川魚がよく太っているって笑いながら言ったお父さんがお母さんに川に投げ飛ばされたけど、あの時は意味が分からなかった。

 

 そしてお父さんが笑いながら川から上がろうとして……上半身を巨大な魚に食い千切られた。あれが私の日常が終わった日。そして化け物共の存在を知らされた私は、自分達が住む世界から此方側の世界にやって来る化け物共を皆殺しにしようと誓った。

 

 人としての幸せなんて要らない。馴れ合いも不要。私はただ一本の剣であれば良い……。

 

 

 朝食にアルミホイル容器の天婦羅饂飩と狐饂飩と肉饂飩を作り、麺を食べ終わったら卵とご飯を入れて雑炊を作る。天かすが良い仕事をしていると思いながら野菜不足に気付き、半額シールが張られたカット野菜を皿に盛る。料理は得意です。

 

 肉入りの野菜炒めとかゆで野菜とか、目玉焼きも最近では炒り卵にしなくて良くなりました。……それで得意って言うのかですか? 別に得意と主張するのに誰かの許可や一定の基準が有る訳でもありませんし別に良いのでは?

 

 味付けは塩胡椒オンリーです。だって醤油とか砂糖とか入れすぎたら取り返しがつきませんし、塩胡椒なら上からかけたなら払い除ければ良いだけですから。

 

 

 

 

 

 

 

「シャァアアアアアッ!!」

 

「……五月蠅い」

 

 夜の廃工場、幽霊の噂を聞いてやってきたのか学生位の男女の死体が散乱する中、私はかぎ爪を振り上げて襲い掛かってきた人狼を両断する。人の知性と狼の敏捷性を併せ持つ化け物ですが……私に比べればあまりに遅い。

 

『疾風迅雷』、それが私の能力。肉体、思考、感覚、その全ての速度を劇的に上昇させる速度系能力の中でも最上級クラスの力を誇り、能力開花と共に上昇する身体能力と合わさってこの程度の相手なら楽に倒せる。

 

 

 

「20、21、22! 如何やら私の勝ちの様だね」

 

「遊びでやるな、勝負すると言った覚えはない。……24だ」

 

 ですが、あの二人は更に速い。眉唾物の記録にのみ残っている、理論上存在しうるだけのレベルⅩの身体能力を持つ神野さんに、あらゆる能力を扱い重ね掛けをする委員長。アレはズルいと思います……。

 

 

「はあ!」

 

 そして最近目覚めたばかりの焔さん。『炎神の加護』という炎系最強クラスの能力に目覚めた人で、今は炎の剣を作り出して三体同時に相手をしています。元々剣道の有段者なので動きは悪くないですが、やはりスポーツとしてのルールに縛られた動きに慣れているせいか少しぎこちない。ですが、このままいけば強くなれるでしょう。

 

 

「なんだ、まだ終わってないのかい?」

 

 経験を順調に積めれば、の話ですが。見下すような声と共に床から出現した槍が三体の人狼を串刺しにして絶命させる。血飛沫が焔さんの体を赤に染める中、全滅を確認した神野さんが私に近寄ってきました。

 

 

「ふふふ、どうだい? 私の力は素晴らしいと思わないかい? 君の夢である人外殲滅に役立つと思うよ」

 

「……」

 

 この人はあまり好きじゃないです。妙に馴れ馴れしいし、何故か私が誰にも語った事がない夢の事まで知っています。委員長が能力で探ったのではないかと? 絶対に有り得ません。私がこの人にデレる位あり得ない話です。

 

『神秘招来』、神話や伝説に存在した武具防具を自由に呼び出す規格外の能力と、それを扱うだけの才能だけは認めますが、それ以外は駄目な人です。腹が立ちます。特に胸が……捥げろ。

 

「この馬鹿者っ!」

 

「あ痛っ!?」

 

 委員長は焔さんを能力で出した水で洗いながら辞書を神野さんの頭に振り下ろす。男の人には非常に厳しく冷たい神野さんにそんなことが出来るのは彼だけです。少し尊敬します。

 

 

「俺は言ったはずだよな? 経験を積むのに丁度良い相手だからギリギリまで手を出すなと。お前がいくら強くても、頼れる仲間が居るに越したことは無いだろう?」

 

「……別に君が居れば彼奴なんか居なくて良いじゃないか。分かった分かったよ。今度から気を付ける」

 

 あまり反省していない様子の神野さんを見て委員長は溜息を吐く。この二人、幼馴染として昔からこんな関係だとか……。

 

 

「……言ったはずと言えば、部屋はちゃんと掃除しているのか? オバさんがまた散らかして困ると言っていたぞ」

 

「どうも忙しくてね。悪いけど手伝ってくれないかい? お礼はするよ」

 

「まったくお前は……。服やら下着やらを床にほったらかしにするのだから大変なんだぞ? この前も洗濯機に入れて良いのと手洗いすべき物に分けるのに手間取ったからな……」

 

 ……え? 下着とか見られた上に片付けまで手伝って貰って居るのですか? 委員長も当たり前のように言っていますし。

 

 こうして改めてみると二人の関係が非常に近いのが分かる。何故かイラっとした時、頭の上に何か落ちてきた。

 

「……」

 

 あれ? 神野さん、何故固まっているのでしょうか? いえ、静かなのは良いですし、このままずっと黙っていてくれれば最高です。委員長の話し相手は私がしますから。

 

「ああ、蜘蛛ですか」

 

 

 頭の上でカサカサ動くから何かと思えば脚が少し長めの蜘蛛。確か毒がある種類でもありませんし、素手でつかむと必死に逃れようと脚を動かす。ふと神野さんを見てみれば顔が青くなっています。何か妙だと思って蜘蛛を持っている手を突き出した瞬間、私は耳を疑いました。

 

「きゃあっ!?」

 

 傲慢で図々しいエロ馬鹿レズ女の神野さんの口から出たのはまるで年頃の女の子のような声で、瞬時に隣の委員長に抱き着いた。

 

「……蜘蛛如きで何を怖がっているんですか」

 

 馬鹿馬鹿しいとばかりに手を離すとカサカサと音を立てながら蜘蛛は逃げていく。偶然ですが神野さん達の方向に……。

 

 

「おい、離れろ。もう行ったぞ」

 

「無理無理無理! 蜘蛛だけは無理だって知っているだろ!?」

 

「むがっ!? おい、息がしにくい。本当に少し離れろ」

 

 もう抱き着くってレベルじゃありません。神野さんは涙目になりながら両腕と足を委員長に巻き付かせて少しでも蜘蛛から距離を取ろうとする始末。上へ上へと逃げて行き、最後には委員長の頭を胸元に抱き寄せて震えています。

 

「……ん?」

 

 その時でした。何かの拍子に上で巣を張っていたらしい別の蜘蛛が糸を垂らしながら降りてきたのは。神野さんの顔のすぐ横で止まってカサカサと脚を動かして……。

 

 

「ひきゃぁあああああああっ!?」

 

 あっ、凄い声が出た。

 

 

「ほら、もう居ないから」

 

「本当? 蜘蛛、本当にもう居ない?」

 

 帰り道、不安だからと委員長の手をしっかりと握りしめ、周囲をキョロキョロ見回しながら歩く神野さんの姿がありました。何か物音がするたびにビクッと竦み上がって委員長に抱き着いています。

 

 彼女の弱点を知れたのは良いのですが……何故か腹が立ちます。委員長も甘過ぎませんか?

 

 

「蜘蛛、本当に苦手なんですね。……ゴキブリは平気で潰していましたのに」

 

 私は蜘蛛は平気ですがあれは本当に苦手です。本当に気持ちが悪い。神野さんが男だったら同じくらいに感じていたでしょう。

 

「あの長い手足が苦手なんだよっ!? 幼い頃、お昼寝している時に顔の上を這っていてさ……お、思い出したら寒気がして来た。ねぇ、今日は君の部屋で寝て良いかい? 確か客用のお布団があったから隣で手を繋いでさ」

 

「却下だ。どれだけ両方の親に外堀を埋められていると思っている。俺から受け入れたらトドメになるぞ」

 

「私は別に気にしないけどね。じゃ、じゃあせめて帰るまで背負ってくれ。君をギュッってしてたら多分落ち着くからさ。・・・・・・駄目?」

 

 委員長は頭が痛そうにした後、神野さんが乗りやすいようにしゃがみ込む。嬉々として背中に乗った彼女は腕を前に回して体を密着させています。本当に蜘蛛が怖かったようですね。

 

「うんうん、君の背中は本当に落ち着くよ。お礼に着衣で良いならベッドで私の上に乗って良いぜ?」

 

「落として良いか? って言うか落とすぞ」

 

「じょ、冗談だよ!?」

 

 彼女の弱点を知れたのは良いのですが……何故か凄く腹が立ちます。……あれ? 入り口の方に誰か居ますね。

 

 

 

 

 

「ほぅ。貴様が噂に聞く……」

 

 月明かりの下で私達に興味深そうな視線を向けているのは赤い散切り頭の女の人。大体二十歳くらいの気が強そうな人で八重歯が鋭いです。胸は治癒崎さんや神野さんがバンッ! ならババンッ! って所です。私についてはノーコメントで。凶暴そうですがワイルド系の美人ですね。コスプレなのか髪同様に赤い軍服を着ていて、額からは上に向かって伸びる二本の角が……。

 

「遥っ!」

 

「了解!」

 

 女の人の周囲の地面から逃げ場を塞ぐ様に剣が突き出し、素早く背中から飛び退いた遥さんが操る盾が女の人へ向かって走る委員長の周囲を浮かんでいます。カンッ! という乾いた音が響いて盾に何かが弾かれました。宙をクルクル舞ってから地面に突き刺さったのはナイフ。

 

「敵っ!?」

 

「お前は焔を守れ。『能力察知』で測った結果……強敵だっ!」

 

 真っ直ぐに女の人へと向かっていく委員長。単純な戦闘能力だけなら神野さんが上ですが、サポートしながら戦う場合は委員長がメインになったほうが強い。相手の動きを見ず、特に指示も出さずに絶妙のコンビネーションを誇ります。

 

 両手に構えたナイフを振るい、強力な氷の能力を使う女ですが、『炎神の加護』に加えて炎系能力を複数、そして『疾風迅雷』を含む接近戦向け能力を使う委員長が優勢です。神野さんのサポートも絶妙で勝つのは時間の問題でしょう。

 

 

 ……ですが、あれだけの猛攻を凌いで居るあの女、一体何者でしょうか……。

 

 

「ふは、ふははははは! 良い、良いぞ! ……合格だ!」

 

 ナイフを全て叩き落とされ右腕を深く切られたにも関わらず、愉快そうに笑う女は前進し委員長に迫る。そして迫る剣を氷で防ぎ委員長に抱き付いた。まさか絞め殺す気でしょうか!? ですが甘い。防御系の能力も沢山持って……あれ? 何か様子がおかしいような……。

 

 

 

「うげっ! まさか彼女、奴じゃなくって……」

 

 妙なことを口走る神野さんですが何時ものことなので気にならない。ただ、表情が何時になく不快と不安が入り交じったもので……。

 

 

 

 

 

 

「貴様、私のものになれ! この体を自由にし、我が一族の次期当主の父になる名誉をくれてやる」

 

「断固断る、ノーサンキューだ」

 

 女の言葉に驚き、即答に何故かホッと胸を撫で下ろす。……色気に負けて裏切らなかったからですよね?

 

 

 

 

 

「うんうん、君はそういう奴だよね。ご褒美にまたキスしてやるぜ!」

 

「要らん! それに俺はキスしたことなど無い……」

 

 委員長の言葉は途中で途切れる。唇に唇を重ねられたことによって……。

 

 

 

「ファーストキスは貰ったぞ。では、今日はこれで満足して帰ろう。我が名はアリーゼ、覚えておくが……ぐっ!?」

 

 委員長から飛び退き、去ろうとしたアリーゼは振り下ろされた刀を寸前で白刃取りで受け止める。相手が美人にも関わらず神野さんが容赦なく斬ろうとするなんて……。

 

「ぐっ! 何だ、貴様。其奴の女か?」

 

「「幼馴染みだ!!」」

 

 二人の蹴りが同時にアリーゼに突き刺さる。だけど苦悶の表情を浮かべながらも彼女は宙を舞い、電柱の上に降り立った。

 

 

「では、さらばだ。我が未来の夫よ!」

 

「ふざけるなっ! いきなりキスとか君には恥じらいが無いんだな!」

 

 ……いや、貴女が言いますか? グッジョブでしたが。

 

 

 

 

 

「おい、遥。少し歩きにくいんだが」

 

「また出た時に近くのほうが対応しやすいだろう? あっ! 狙われているし私が護衛するから客用の布団の用意を……いや、空き部屋に私の家具を持ってこよう」

 

「先に父さん達に相談……嬉々として受け入れる未来しか浮かばん」

 

 この帰り、神野さんはずっと委員長にベッタリとくっついていました。

 

 

 

 

 

「あの二人、仲が良いな。まるで夫婦みた……」

 

「……あ”っ?」

 

 焔さん、何か言いました? いえ、黙っていますから気のせいですね。

 

 

 

 

 

 

 

~オマケ~

 

「刹那と」

 

「委員長の」

 

「「能力解説講座ー!」」

 

 

「……もうあれだ。委員長で良い気がして来た」

 

「あっ、そうですか。なら話を進めましょう」

 

「幾らオマケだからと言って性格変わり過ぎではないのか?」

 

 

「今回は私の『疾風迅雷』。本編でも語った通り、自身のあらゆる速度を急上昇させる能力です」

 

「これ自体は体への負荷も少なく便利な力だ。俺が重ね掛けしている『脚力上昇』などは負担が出るからな」

 

「おかげでチャレンジメニューや特売の時に役立ちます。私、育ち盛りだからか人より僅かに多く食べますので」

 

 

 

 

 

 

 

 

(三種類のチャレンジメニューを能力無しなのに一種類分の時間内で食べきっておいて『僅か』だと……!? ジャンボステーキにジャンボハンバーグ、そしてジャンボ漫画肉、どういう胃袋をしているんだろうか)

 

「……何か?」

 

「……バランスを考えて食べるように。俺達は体が資本だからな。……では、本日はこれまで!」

 

 

 

 

 

(今晩はバイキングに行きましょう。さて、この前の店は食べ尽くして略奪者(バイキング)扱いで入店拒否されていますから、確か新しい店が……)




感想待っています 感想で思いついた

出るはずのなかった横取りしようとするキャラ 本来は焔君を手に入れようとしましたが?







さて、感想であったけど嫁として人気出そうらしい委員長のスペック

家事全般得意

真面目

委員長をずっと続ける人望 誕生日やバレンタインにはたくさんの贈り物や『義理』チョコを貰える。

忍耐強さ

世話焼き

所属組織において能力や親の地位共に将来有望





贈られた物のお返しで財布がピンチ

はたから見ればカップル(当人達無自覚)な超絶問題児(エロ馬鹿レズ)の幼馴染がずっと傍に居る。……アカン

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