怪獣娘~ウルトラ怪獣ハーレム計画~   作:バガン

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 あけましておめでとうございます。今年も主人公を理不尽な恥ずかし目に遭わせたり尊厳を傷つけて楽しく過ごしましょーねっ。

 そしてゴモラ&キングジョーは誕生日おめでとう。ちょうど1年前の今当たりにゴモラの誕生日回を投稿して、その結果今まで不定期ながら連載し続けていると思うと、時間が経つのは早いものだと感じます。今年はストーリーの都合上誕生日回も無いわけだけど。


怪獣娘はじめます①

 さて、片やGIRLS屈指の実力派なレッドキングとエレキング。片やGIRLSが誇るワーカーホリックエリート、ガッツ星人の姉妹。どっちが勝つだろうか?観客席の意見を聞いてみた。

 

 「やっぱりガッツかなー、レッドキング先輩も勿論すごいんだけど、ガッツはすごいんだよ?」

 「やはりガッツさん、でしょうか・・・なぜかあの人と向き合うと寒気がするんです・・・。」

 

 「そりゃーガッツさんも強いと思うけどさー、ししょーはもっと強いと思うから。」

 「レッドキング先輩とガッツさんかぁ・・・ここはレッドキング先輩で!」

 

 「エレキング先輩、がんばってー!!」

 「が、がんばってくださーい!」

 

 SNSなどによるアンケートの結果は、レッドキング:ガッツの比率が6:4ぐらい。一般人にはガッツ星人の活躍はあまり知られていないので、ややレッドキングの方が票を集めたというところだろうか。

 

 『ガッツ星人さんペアは、圧勝だったり不戦勝だったりで実力の全容が明らかになっていない点も見逃せませんね。』

 『つまりどっちが勝ってもおかしくないぞぉ!』

 

 「へっ、勝つのは断然オレだっての!」

 「あんまり熱くなりすぎないで頂戴?」

 

 「ちょうどいいわ、まずはアンタらから始末してあげるわ!」

 (やっぱこの子も脳筋よね。)

 

 相性がよかったのだろう、レッドキングとマコが率先して戦い始めた。結局準決勝のカードになってしまっているが、それもきっと運命なんだろう。

 

 「全く助かったぜ?お前らにオレの実力をじっくりと味あわせってやれるからな!」

 「あじあわ?あじわわじゃなくて?」

 「えっ?ど、どっちだ?」

 「スキあり!」

 「ぐはっ!卑怯だぞ!」

 「バカじゃないの。」

 

 だがしかしおつむが残念というか、決してバカではないんだろうけど単純なレッドキングであった。けどそこがかわいい。

 

 「教えてあげるわ、『味わう』が原型だから『あじわわ』が正しいのよ。」

 「知るか!国語の教師かオメーは!」

 「おっとぉ!ホラホラ鬼さんこちら!」

 

 ガッツ星人はスピードを生かした動きで撹乱する。頭に血の昇りやすいレッドキングには効果てきめんである。

 

 「けど、私のことも忘れないでほしいわね?」

 「忘れてないって!一番怖いのエレエレだもんね!」

 「あら、私のどこが怖いのかしら?」

 「おーこわww」

 

 一筋縄ではいかないエレキングこそが目下の難敵である。

 

 「そこっ!」

 「分身だ!」

 

 エレキングが射抜いた人影は煙のように消え、視界の端にまた別の影が映る。見る間に分身は2人から4人、8人と数を増し、円陣を組むように相手2人を囲む。

 

 「「ビームバインド!!」」

 

 『ガッツ星人選手、レッドキング選手とエレキング選手を捕えたー!』

 

 拘束光線で相手を無力化する、ガッツ星人の得意戦法である。

 

 『ガッツのいつもの手だ!』

 

 「もう、痕になったらどうしてくれるの?」

 「へっ、いくら分身したところで、結局元の2人分の力しかかかってないなら楽勝だぜ!」

 

 レッドキングが腕に力を込めると、たちまちビームはちぎれとんだ。ちっとガッツが同時に舌打ちすると、これまた同時に距離をとってまた分身を生み出し始める。

 

 「『どれが本物だ?』なんて野暮なことは言わないぜ?」

 「そうね、彼女の場合『全部本物』だから。」

 

 黒い方のガッツ、マコももとは白いガッツ、ミコの分身であった。それがどういうことか今は『もう一人のガッツ』として生きている。なぜそうなったのかはさておき、分身宇宙人という名が指す通り分身能力が得意だが、その質は数いる怪獣・宇宙人の持つ分身能力とは一味違う。

 

 大抵分身の中に本物が一体だけ紛れ込んでいるというパターンが多いが、ガッツ星人の場合はその内のでどれが本物なのかが全くと言っていいほどわからない。すなわち『全て本物』と言ってさしつかえが無いほどに高度なのである。

 

 「全部本物ならよー・・・全部叩きゃあいいってことだろ?」

 「この上無いほど単純ね?」

 「シンプルイズベストって言うだろ!」

 

 レッドキングが片腕を掲げると、そこへエレキングがムチを巻き付ける。そしてハンマー投げのようにグルグルと回転すると、エレキングの鋭利なヒールで周りを囲う分身たちを一気に薙ぎ払う。

 

 結局その分身たちの中に『本物』の姿は無かった。一体どこへ消えたのか?

 

 「残るは・・・。」

 「上っきゃねえよな!」

 

 嵐に巻き上げられるかのようにエレキングは空へと舞い、ツノのレーダーを働かせる。

 

 「そこねっ!」

 

 レーダーが空中の一点を捉え、そこへ第三の手とも呼べるムチを伸ばすと、青空色に擬態していたミコを捕えた。

 

 「一人・・・もう一人は?」

 「上じゃなかったら、下だよな!」

 「くっ!バレた!」 

 

 地を這うようなスライディングで足払いを狙っていたマコの足を、逆にレッドキングが掴むと、自身の頭上に掲げて背を反らせる。アルゼンチンバックブリーガーである。

 

 「よっしゃいくぞエレ!」

 「ええ、よくってよ。」

 「ちょっ、何する気?!」

 

 合図を受けたエレキングは、風車のように回転してミコを振り回す。遠心力+重力加速によって、内臓が飛び出しそうなGがミコにはかかる。

 

 その向かう先、落下地点にはレッドキングにホールドされたマコがいる。

 

 「これがッ、『ダブル・キング・サンド』だぁ!」

 「ネーミングがダサイわね。」

 「言ってろ!」

 

 『2人のキングによるドッキング技が決まったー!!』

 

 それぞれの長所で短所を補い合う、即興で作ったにしては完成されたコンビネーション技が炸裂する。

 

 「このぐらい・・・どうってこと・・・ないんだから!」

 「はいはい、抑えて抑えて、イタタ・・・。」

 

 一方ガッツの方はと言うと、負けん気の強いマコが引っ張り、それをミコが抑える形になっている。元々ミコは頑張りすぎてしまうタイプであったが、精神的に色々と成長を果たしたことと、自分以上に張り切りすぎる相方の存在のおかげで、一歩引いた立場でいられている。

 

 「どんなに相手がすごいコンビネーションでも、それを上回れる戦術がアタシらにはあるって!」

 「アンタは気楽でいいね。」

 「どんな時も余裕と笑顔を忘れないこと!」

 

 ミコは前屈みの姿勢ではにかんだ(・・・・・)笑顔で手を差し出すと、跪いていたマコはその手を取って立ち上がる。

 

 「『戦術(タクティクス)・W』で行くよ!」

 

 アイコンタクトを合図に、ガッツたちは同時に走り出す。

 

 「また分身かよ!芸が無えな!」

 「それはどうかな?」

 「さてさて、みなさんお立合い!」

 

 勿論これはパワー任せのただの物量攻撃ではない。数があればこそ、頭で足を動かす必要がある。

 

 「「ガッツ戦法『円は直線を包む』!」」

 

 『おぉーっと分身したガッツ星人選手たち、レッドキング選手たちを囲むように円陣を敷いた!』

 

 ただ囲むだけでなく、その円が車輪(Wheel)のようにガッツたちも同じ方向へと走る。

 

 「『戦術・W』の本領はこっからこっから、マコ!」

 「うん!」

 

 合計8人に増えたガッツたちのうち、4人が中心にいるレッドキングたちの真上で空中交差、まるで中国雑技団のパフォーマンスのように、一糸の乱れも無い。その動きにおもわずレッドキングは目を奪われるが、エレキングはより一層警戒を強めて身を固めた。

 

 その一瞬の隙の差が、それぞれの命運を分ける。行きつく先は同じではあるが。

 

 「それっ!」

 

 円周上にいる残りの4人のガッツたちは、中空にいる4人が着地するよりも先にレッドキングとエレキングの間を交差する。

 

 「続いて『戦術(タクティクス)OO(ダブルオー)』!」

 「こっから・・・ここまでッ・・・アタシの陣地!」

 

 4人のガッツの着地点と、もう半分の交差したガッツたちの線。これが意味することとは、

 

 『なんとぉ!今の一瞬でレッドキング選手たちを分断し、さらにそ4人ずつのがマークが付いたぁ!』

 

  相手を囲う円陣を敷き、分身戦術で盤面をとり、そしてここから真打の『戦法』が抜刀される。

 

 「まずこっち!」

 「へっ、確かに囲まれちまったけどよ、この程度の攻撃がなんだってんだよ!」

 「その『この程度』にもう当たってるじゃん?」

 「うそっ、いつの間に?!」

 

 正面から一人が攻めかかり、その内に背後から攻撃を加える。それを円陣を組んで囲いながら、攻撃役を交互に入れ替えながらじわじわと締め上げる。

 

 「いえ、なんてことはないわ。攻撃そのものはそう複雑なものじゃない、それに法則性も見えてきているわ。」

 「へー、さすがエレエレじゃん。けど、こうなったらどうする?」

 

 それぞれ4人ずつ2組に分かれているわけだが、このうちレッドの方からは白ガッツが2人、一方エレの方からは白ガッツと黒ガッツが1人ずつが素早く入れ替わる。

 

 「色の『組み合わせ』を変えた!?おいエレ!」

 「・・・。」

 「なんか言えよ!」

 「・・・なんか。」

 「シバかれてえか!」

 

 

 これぞ、元はたったの2人ながら、無限()のパターンを持つ包囲戦法。

 

 

 

 

 

 

 

 「「「「「「「『8(オクタ)・ディメンション・キル』!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ずわっと並ぶは白と黒、一度嵌れば抜け出せない、窒息必至の大渦潮(メイルシュトローム)

 

 

 

 『って、ワタクシの技名(メイルシュトローム)がパクられましたわー!』

 『名前だけでしょ?てか、バリケーンちゃんそういう難しい言葉好きなの?霜が降りてきたり雹降らせるのとか。』

 『カッコいいでしょう?』

 『わかるー!超ロックじゃん!』

 

 『けど、あんなに混みあってるのに、一切の乱れがありませんね。』

 『そこは、ガッツだから。」

 『そうですね、どっちもガッツさんなら以心伝心ですよね!』

 『ううん、それだけじゃないよ。ガッツ・・・ミコとマコ、すっごい特訓してたから。』

 『特訓、ですか?』

 

====☆====☆====☆====☆====☆====☆====

 

 大会開始よりも前のこと。

 

 「マコまた前出過ぎ!」

 「アンタが遅いのよ!」

 

 次々現れる『敵』を破壊しながらガツたちが道を進んでいくが、2人の足並みはお世辞にも揃っているとは言えない。

 

 「ッ!」

 「マコ危ない!」

 

 そうミコが制止するが時すでに遅し、思わぬ伏兵の奇襲はマコの目の前にまで迫っていた。

 

 『終了!2人ともお疲れ様。』

 

 「・・・まだやられてない!」

 

 『一発当たったら終わり、そういうルールなの。』

 

 そう、これは『訓練』だし『リハーサル』だ。ただしオプションやバリアなんて便利なアイテムもない、ちょっとハードな横スクロールシューティングゲームのような訓練だ。

 

 「もう、あとちょっとでクリアできてたのに。なんであんなに飛び出ちゃうのよ?」

 「アンタが遅いだけでしょ?アタシに合わせなさいよ。」

 「こういうのはもっと慎重にね・・・!」

 「ちょっとストップストーップ!ふたりとも喧嘩しないで!」

 

 審判役として参加していたアギラが2人を制止させる。

 

 「もー、2人で訓練するっていうから応援に来たのに。シンジさんも時間とってくれたのに。」

 「どうせソイツはいつでもヒマでしょ?」

 「マコ!またアンタは!」

 「否定はしない。」

 

 怪獣娘と親睦を深めるのは仕事の内だし、今は仕事中とも言えなくはない。だとすれば今は『仕事』をするべきなんだろうけど。

 

 「えと、ガッツさんたち、次は模擬戦でもやってみない?」

 「は?なんでよ。」

 

 これである。

 

 「あー・・・アタシはやりたい、かな?どうアギは?」

 「え、ボクは・・・あっ、うんボクも体動かしたいかな?」

 (気遣いありがとう2人とも。)

 「じゃあアンタらだけでやってれば?」

 「いやいやいや!ここは『しょうがないなぁ』ってノるところじゃないの?」

 「別にお笑い芸人じゃないし、コイツみたいに。」

 「え、いつから僕お笑い芸人になったの?」

 

 「で、どう組むの?」

 「普通にガッツ対ボクらでいいんじゃないの?」

 「ガッツさんたちはさっき組んだばかりだし、たまには分かれてみるのもいいんでないの?」

 「それもいいかもね!」

 「誰と組んでも同じよ。」

 「マコ弱気なってる?」

 「ちがう!アタシが勝つってことよ!」

 「じゃあ・・・アタシはアギと組むのがいいな?」

 「アタシもアギがいい。」

 「ちょっと?」

 

 「と、公平なくじ引きの結果。」

 「アタシ(ミコ)とアギね!」

 「しくじったら殺すから。」

 「さっきからひどくない?」

 

 マコからの風当たりが冷たいを通り越して霰が吹いてきている。血を流しそうなくらい痛い。」

 

 「じゃあ、ボクは前衛で行くから。」

 「アタシがその補助ね、心得た!」

 

 「えーっと、作戦・・・。」

 「アタシが全部やるから、引っ込んでな。」

 「それチームプレイじゃないって。」

 「・・・アタシにチームはいらない。」

 

 成程、わだかまり(患部)はこの辺にあるようね。

 

 「そいじゃー、バトルぅ!」

 「開始ぃ!」

 

 ふっ!と一呼吸する内にマコの姿が見えなくなる。

 

 「はやっ。」

 「だったらアンタはそこで見てな。」

 「そういうわけにもいかないんだってば!」

 

 その一直線に向かう先にはアギラがいる。だがそれを見越してミコが狙い撃とうとしているので、シンジは素早く銃を抜いて迎え撃つ。

 

 「ぃててっ、相変わらずいい腕してるね?」

 「走り続けてないと、それ以上のスピードで置いてかれるからね!」

 

 誰しもが日々成長を遂げているなら、怪獣娘であろうとそれは当てはまる。地力からしてただの人間とは差が大いにあるそんな彼女らについていくにはどうすればいいか?

 

 『2倍、3倍の努力を積めばいい!』

 

 なんとも頭の悪いというか、シンプルな考え方である。それを完璧とは言えなくとも実践しているシンジも頭シンプルということになるが。

 

 「でもシンジのそういうとこ好きだよ、ひたむきに頑張ってる人って応援したくなるし。」

 「さすがエリート、言うことが違うね。」

 「ん?イヤミかな?」

 

 けどエリートにはエリートなりに悩みってものもある。例えば、『無敵』の肩書を背負うために、自らを追い込んでしまったりとか。

 

 そういう時に頼りになるのは、背中を任せられる仲間の存在。

 

 「あの子の悩み、一緒に背負ってあげられる?」

 「やってみる。それが僕がいる理由だと思うから。」

 「頼もしいじゃん♪」

 

 それにはまず、この戦いで信頼を勝ち取ることが必要だ。友情とチャンスは待ってても降っては来ない。自分で掴みに行かねばならない。

 

 「ま、こっちも手加減するつもりは一切ないけどね?」

 「そこはもうちっとさぁ・・・。」

 「さて、さてさて、私の半身を任せられるか試させてもらうよ!」

 

 スッと構えるミコに応えるように、シンジも銃を構え直す。

 

 いつだって負けは許されないけど、プライドや生き様をベット(賭け)しているのだから、この勝負に逃げるのも許されない。

 

 「必ず『勝つ』!」




 戦いの途中で回想の戦いに入っちゃったんですけど。しかも話の文章量の管理がガバガバで、前回が微妙な途切れ方になってしまってるし。その場その場の勢いで話を決めるからこうなる(何回目だ)

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