怪獣娘~ウルトラ怪獣ハーレム計画~   作:バガン

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 ノベルが発売されるまで投稿しないと言ったな。スマンありゃウソだった。

 ウルトラかいじゅう絵本シリーズの「オーブとたびびとのふく」、アリャ面白すぎる。


私闘!ゴモラ対ゴモラ!

 

 

 「あけましておめでとう!」

 

 「一週間ぐらい前にも聞いたよそれ?」

 

 「お年玉ちょうだい!」

 

 「幼馴染からたかる気?」

 

 

 世間は既に正月ムードから抜け出して、平常運転が始まる今日この頃。正月ボケが抜けてないのかとんでもないことを言い出したこの幼馴染は。

 

 

 「突然だけどシンちゃん、戦おう!」

 

 「なんで?本当に突然だね。」

 

 「いやー、お正月ってついついダラダラとかゴロゴロとかしちゃうじゃん?だから体鈍っちゃってさー、シンちゃんもそうじゃない?」

 

 「んー、そんなことはないけど?」

 

 

 さすがのシャドウもお正月は休んでいたようだったけど、僕には正月とはいっても事務仕事はあるし、日課のトレーニングだって欠かしてない。むしろ周りが動いてない分、よけいに働いている気がする。

 

 

 「でもミカだって、お正月の特番とかに出てなかった?バラエティとか歌番組とか。」

 

 「いやー、それがそのね・・・お正月の料理っておいしいから、ついつい食べ過ぎちゃってね?もう!女の子にこんな話させるなんてシンちゃんたらー!」

 

 「知らんがな・・・。」

 

 

 そういえばテレビでおいしそうなの食べてたね、エビとかカニとか。それにお餅もカロリーが高い。ミカの好物の粉もんだって意外と侮れない。

 

 

 「そこんところ、僕は毎日代わり映えしない栄養バランスのいいものを食べてたね。」

 

 「食べてたんじゃなくて、食べさせてもらってたんでしょ、チョーさんに。」

 

 「・・・否定はしない。それで、ミカはどうしたいの?」

 

 「だからいっちょ戦おう!今の私になら、シンちゃんも勝てるんじゃないかな?」

 

 「要するにダイエットがしたいんだ。」

 

 

 確かに、特訓を始めてからミカとの戦績は50戦50KO負けという結果が続いている。そりゃもちろん、相手は大怪獣ファイトの期待のルーキーだし、そもそも僕は人類に毛の生えた程度の力しかない。はなっから勝負にならない相手だけど。

 

 

 「まあ・・・いいかな?」

 

 「よっしゃ!負けたら一発ギャグね!」

 

 

 さりとて誘われたからには乗らないわけにはいかない。意地があんだろ。男の子には。

 

 

 「むしろお笑い芸人のサガじゃないかな?」

 

 「誰がお笑い芸人だ誰が。」

 

 

====☆====☆====☆====☆====☆====☆====

 

 

 なにも丸腰で戦いに行くわけではない。

 

 

 「あー、ピッチリ。」

 

 

 こういう戦いの時には、対・特殊事件用スーツS.R.I(特殊反射インナー)を着込んでいく。ある程度の防護能力は保障してくれるし、夏は暑くて冬は寒い優れものである。GIRLS支給品の保護スーツにちょいと手を加えただけなのだが、そのちょいが重要なのだ。

 

 

 「生体電流・・・良好。システムオールグリン。」

 

 

 スーツの調子を告げるバディライザーを腰にマウントし、鏡に向かう。

 

 

 「もうちょっとデザイン凝りたかったなー、仕方ないとはいえ。」

 

 

 オレンジを基調とし、いくつかのラインが走っている。特に脚の縦ラインが、足を長く見せる効果を持っている。が、どうにもシンジには物足りなく感じられ、もうちょっとカラフルな感じにしたいらしい。

 

 

 「でもそうなると性能が落ちちゃうからなぁ、配分が難しい。」

 

 「オレからしたらまだ地味すぎるぜ。もっと腕にシルバー巻くとかさ!」

 

 「うわぉ!?」

 

 「オッス、調子はどうだ?」

 

 

 鏡に夢中になっていたシンジは、後ろから近づいてくるレッドキングさんに気づかなかった。独り言まで聞かれてしまったのなら恥ずかしい。

 

 

 「鏡の前でなにボケーっとつっ立ってんだよ?アレか?色が気になるお年頃ってか?」

 

 「そりゃ誰でも色ぐらい気にするでしょ?服ならなおさら。レッドキングさんだって、今日の尻尾のリボンいつもと違うじゃないですか。今日のもかわいいですね。」

 

 「かわっ!///ハズカシいこと言ってんじゃねえよっ!」

 

 「たわばっ!!」

 

 

 ゴングが鳴るより前にノックアウトされそうな一撃がシンジを襲う。少なくとも備え付けのベンチは粗大ゴミ行になってしまった。

 

 

 「いやーそんな面と向かって言われるとハズカシいぜ嬉しいけどよ・・・///」

 

 「おーいちち、それでレッドキングさんはなにしにここへ?」

 

 「おうっ、ちょっと激励をしにな。」

 

 「首が逆方向むきそうなほどにブン殴るのが激励?」

 

 「悪かったって・・・。」

 

 

 「んまー、なんだ。確かにお前は負け続けてるのかもしれないけど、それでも何度でも挑戦するのはいい度胸してると思うぜ!」

 

 「そりゃあ、あれだけレッドキングさんにしごかれてたら、意地でも負けたくなくなりますから。」

 

 「嬉しい事言ってくれるじゃねえか!師匠に冥利に尽きるってもんだ。けどなシンジ、オレの教えた戦い方にこだわる必要もねえと思うんだ。お前にはお前の勝ち筋があると思う。オレにはない戦い方ができると思う。」

 

 「その結果、50戦50KO負けですが。」

 

 「ハハハ、ならそれだけじゃダメだったってことさ!51回目を頑張ってこいよ!」

 

 「・・・ラジャー!」

 

 

 レッドキングさんにグッと親指を立てて見送られ、シンジもグッとしてはにかんで答えた。

 

 

 「よし・・・行くぞ!」

 

 

 階段を上がって出た先は、やはりどっかで見たような採石場のようなフィールド。あまり目にかけたことはないが、同じような見た目の崖や廃工場や海岸もあるらしい。いつか行く事があるんだろうか。大怪獣ファイトの最初期は、山奥の田んぼのそばや竹藪の敷地を借りて撮影していたと聞くが、真相は定かではない。

 

 

 「来たかい、弟ー!」

 

 「いつから僕が弟になったわけ?どっちかっていうとミカが妹でしょ。」

 

 「私はむしろアギちゃんを妹にしたいけどね!」

 

 「わかる。」

 

 『何言ってんのふたりとも。』

 

 

 少し離れた観客席に、いつもの3人やピグモンさんの姿が見えた。他にもチラホラ人影が居るのを見ると、結構ヒマしてる人が多いんだろうかと疑いたくなる。

 

 

 「ところで、さっきの話覚えてる?」

 

 「負けたら一発ギャグ、ってやつかい?」

 

 「そ、今のうちに考えといたら?」

 

 「その言葉、そっくりそのまま返すよ、ゴモラ。」

 

 「ほーぅ?いうねシンちゃん。」

 

 「今日は、『太陽の塔』以外を見せて欲しいね!」

 

 「させてみれば?」

 

 

 まだゴングは鳴っていないというのに、火花が散っている。ここにいる二人は既に仲良しの幼馴染ではない、鎬を削り合うライバルなのだ!

 

 

 「ゴモゴモもシンシンもがんばれ♡がんばれ♡」

 

 「今日こそ勝てるといいねシンジさん。」

 

 「でもゴモたんも、毎日強くなってるからなぁ。」

 

 「じゃあやっぱシンジさん勝てないんじゃん!」

 

 「それはちょっと酷いですよミクさん・・・。」

 

 『聞こえてるぞー。』

 

 

 カーン!

 

 

 さあ試合開始のゴングが鳴った!まずお互いの手を取り合ってがっぷり四つの力比べだ!

 

 

 「ぐぎぎぎぎ・・・!」

 

 「ふっふふふふ・・・。」

 

 

 これは地力の差でゴモラが有利か、シンジは苦い顔を浮かべているが、ゴモラは余裕の表情だ。

 

 

 「だぁっ!」

 

 「おっおっ?」

 

 

 このまま押し切られるか?というところで、シンジは体勢を変えて下からゴモラをすくいあげた。ゴモラは大道芸のようなポーズでシンジの上に掲げられた。というよりも倒立している。

 

 

 「いいぞいいぞー!」

 

 「あそこからどうするんでしょうか。」

 

 (ますますショー染みてきたかも。)

 

 「がんばれ♡がんばれ♡」

 

 

 「とらぁっ!」

 

 

 肩をひねって、ゴモラの体を空中錐もみ回転で投げ飛ばす。プロペラのように少し上昇する頂点で、シンジもその体に飛びついて、最初の技のポーズに入る。

 

 

 「落ちろあッ!パイルドライバー!」

 

 「甘いねっ!」

 

 「ぐはっ!」

 

 

 回転で視点が定まらないうちに、一気に畳みかけようという算段であったが、これぐらいのことはゴモラも予測済み。尻尾で打ち返して逆に空中でバランスを取り戻した。

 

 

 「ちぇッ!さすがにそううまくいかないか。」

 

 「何回戦ってると思ってるの?今度はこっちからいっくよぉ!」

 

 

 姿勢を低くして突撃の構え。ツノかち上げからのパンチの流れか。こっちだって何回も見てる。

 

 

 「それはフェイクだ!」

 

 「もちろんね!」

 

 

 こっちも負けてられない。ツノ突きに見せかけての尻尾での足払いを、宙返りでかわしてゴモラのサイドをとる。

 

 

 「そしてすかさず!」

 

 

 尻尾が元の位置に戻る前に、自分の左足ゴモラの左足をとらえ、ゴモラの右脇に回り込んで、左腕を首の後ろに伸ばし、さらに右手でホールド!

 

 

 「コブラツイストぉ!」

 

 「ぐっぐぐぐぐぐ・・・!!まだまだ・・・!」

 

 

 2、3回尻尾で叩かれるが、意地でも解かない。とにかく固め技で体力を奪ってから、必殺をかける。これが今のシンジの主な戦い方だ。

 

 

 いくら相手が強い怪獣娘だからといって、女の子に手を挙げるような真似は出来るだけしたくないシンジの心の表現でもある。じゃあ固め技ならいいのかというツッコミはさておき。

 

 

 「はっ、甘いねシンちゃん。カスタード入りタイ焼きよりも、ねっ!」

 

 「ぐあっ!」

 

 『あー、解かれちゃった。』

 

 

 器用に尻尾を使って足をすくい、フリーの両手でホールドを解いて脱出されてしまった。お返しにとむんずと頭を掴んで背負い落す。普通死ぬ。

 

 

 「人間同士のプロレスならまだしろ、怪獣娘の大怪獣ファイトじゃあ、ちょっと地味だ、よっ?!」

 

 「人間様に何求めてんのさっ!」

 

 

 ゴモラの追撃のストンピングを両腕で抑え、逆に蹴り返すが簡単にいなされる。慌てて飛び退くと、ストンプされた地面がひび割れて砕ける。

 

 

 「ちょっとはホンキ出したら?待っててあげるよ。」

 

 「そうやって、自分のリングで戦いたいだけだろ!」

 

 「そうでもあるけどっ!」

 

 

 大剣、否大槌のように脚を振り下ろし、地面を衝撃波を伝わらせる技、アースクラッシャー。本来はレッドキングがその剛腕でやる技であるため、これはその簡易版だ。

 

 

 (ゴモラのやつ、また技にキレがかかってやがるぜ・・・。)

 

 

 自身の渾身の技を、見様見真似で会得されたレッドキングさんであったが、その表情は嬉しそうであった。

 

 

 嬉しくないのはそれが眼前に迫るシンジの方である。こうなれば逃げ場はひとつしかない。

 

 

 「跳ぶ!」

 

 「逃がさないよ!超振動波!」

 

 

 

 「うぉおおおおおおネバギバッ!!」

 

 

 迫りくる超振動波に向かって拳を振りかざすと、流星のようなスピードでゴモラめがけて落ちていく!

 

 

 「ひぐっ!!ふふっ・・・ようやく、骨のあるやつがきたね・・・。」

 

 「言ってろ、燃やすしつくしてやるぜ!」

 

 

 『超振動波を押し返した?!』

 

 

 これはシンジの着るS.R.Iの機能によるもの、瞬間的に身体能力を上げることができるブーストだ。電気的刺激で筋肉を活性化させることもできる。

 

 

 『だが、今見せた芸当はそれだけによるものじゃなさそうだけどな。』

 

 『まだ隠している能力が?』

 

 

 「隠し芸かな?でも隠したまま落ちちゃわないようにね!」

 

 「能ある鷹は爪を隠すってね!オラッ!!」

 

 「あたたたたっ!」

 

 

 パンチ!パンチ、パンチ、パンチ!技を捨てた足を止めての殴り合い、戦いはヒートアップしていく。

 

 

 「ぜぇっ!ぜっ!!」

 

 「どらああっ!!」

 

 

 しかし、いくらパワー重視に攻めたところで、ゴモラの圧倒的優位に変わりはない。なにせ、かの怪獣退治の専門家すらも、万全状態のゴモラには肉弾戦で全く歯が立たなかったのだから。二戦目の、ゴモラの尻尾が切断された状態というアドバンテージがあって、やっと倒せたぐらい、ゴモラは強い。

 

 

 「そぉれ!」

 

 「ぐわぁっ!!」

 

 

 怪獣娘となって、その力は衰えるどころかより一層格闘能力に優れた形となって表れている。加えて、今のゴモラには卓越したセンスと柔軟性が備わり、まさしく、鬼に金棒と言った状態なのである。

 

 

 「連続、メガトンテール!!」

 

 

 (一発でガードごと吹き飛ばされるような一撃が、連続で襲い掛かってくるなんて、まさに悪夢だ!)

 

 

 そんなゴモラのメガトンテールを、片腕で防ぐレッドキングさんのすごさがよりおわかりいただけたであろうか?

 

 

 「やっぱつれぇわ。」

 

 「なにが?」

 

 「色々あるけど、やっぱ強すぎるわゴモラ。」

 

 「あれあれ?シンちゃんのそのツノのついてない頭は、帽子を乗せるためだけの台座なのかな?」

 

 「ぬかせ!パワーがてめぇなら、スピードはオレだ!一生かかってもおいつけんぞ!」

 

 「まだまだ元気じゃん!」

 

 

 気合を入れなおして攻め方を変えてみる。じっくり観察して隙をうかがう。

 

 

 「ぐぬっ!フェイントばっかりじゃつまらないよーだー!」

 

 「いやならそっちから攻めて来な!どんな攻撃でも受け止めてやる!」

 

 「ホントぉ?どんな攻撃もッ!?」

 

 

 ゴモラが選んだのは、範囲の広い尻尾の横薙ぎ。強い風圧も発生するが、シンジは身をかがめることで被弾を最小限に留めつつ、最適な距離を保つ。

 

 「今だっ!」

 

 「にゃっ!ぐむっ!」

 

 

 すかさず技をかけに行く。両腿でゴモラの頭を挟み、バク宙の形で投げる!

 

 

 「フランケンシュタイナー!」

 

 「ぎゃん!!」

 

 『おおー!決まった!!』

 

 『ミクちゃん、興奮しすぎだから・・・。』

 

 

 さらに畳みかけるようにフライングニードロップの体勢に入った!

 

 

 「甘いって、言ったよね?わたし。」

 

 「はっ?!」

 

 「おりゃあっ!

 

 

 仰向けだったゴモラは、両手両足、それと尻尾で地面を叩いて飛翔し、シンジの膝を迎え撃った。

 

 

 「あ、足をやられた・・・。」

 

 「油断しすぎだよ、シンちゃん。」

 

 

 墜落するシンジを見下し、窘めるように言う。

 

 

 「どうする?もうギブアップして一発ギャグ行っちゃう?」

 

 「・・・そうだね、一発芸はしようかな?」

 

 「あれ?マジで?」

 

 「うん、マジ。でも・・・。」

 

 

 

 

 

 「ギブアップはしないかな。」

 

 

 バンッ!と跪いた状態から地面を蹴って、ロケット頭突きでゴモラを突き放す。

 

 

 「てて、なにすんの?」

 

 「こうすんの!」

 

 

 腰にマウントしてあったバディライザーを手に取り、反対側にあるホルダーから、一枚のカードを取り出す。

 

 

 「モンスライド!」

 

 

 「ゴモラ!!」

 

 

 カードをバディライザーに入れ、それをスーツの左肩にセットする。

 

 

 

 

 すると、肩口を起点として、一層激しい電流と発光が生じた。

 

 

 

 

 「ぬぬっ・・・これは!?」

 

 『なんだアレー!?』

 

 『ボクは前ちょっとだけ見せてもらったけど・・・。』

 

 『新兵器・・・ですか!?』

 

 

 

 

 巌の如き赤褐色の肌に、腹部には棘のような無数の突起。指先からは鋭い爪が、肘とカカトからはスパイクが伸びるその姿は、本物のゴモラを模したものであった。

 

 

 「ただし尻尾は別売り。」

 

 

 全体的に、ゴモラを模したマッシブな体躯となった。また、胸からは中央のツノ、右肩からは三日月ツノの片方が生えている。

 

 

 スーツそのものを変性させ、怪獣のデータを人間の体で再現する。これぞ強化スーツの進化の形、『モンスライド』だ。

 

 

 「それが、一発芸なんだ?すごいじゃん。」

 

 「・・・まあね。」

 

 「どしたの?元気ないじゃん?」

 

 「いやね、今滅茶苦茶暴れたくてウズウズしてる。いっつもこんなのに耐えてたんだね、ゴモラは。」

 

 「そだよー?でも今は解放してもいいんじゃない?そのための大怪獣ファイトなんだよ?」

 

 「そっか・・・そうだね。それなら・・・。」

 

 

 ドンッ!と重い音が聞こえた時、ゴモラの体は後ろへ吹っ飛んでいた。

 

 

 「がっ・・・は・・・?!」

 

 「ごめんゴモラ、ちょっと耐えて。」

 

 

 アリーナに設けられた岩々を砕き、なぎ倒しながらゴモラが飛んでいく。少し遅れた、先ほどまでシンジのいた後ろの岩が衝撃で吹き飛ぶ。

 

 

 対して、シンジの右肩のツノからは白煙が上がっていた。先ほどゴモラを襲った衝撃は、このツノを使ったショルダータックルだった。強化された脚力は、音速を越えるスピードを発揮していたのだった。

 

 

 「気が高まる、溢れるゥウウウウウウウウウウ!!!」

 

 

 『あれ、ちょっとマズいんじゃないの?』

 

 『まるで暴走してるみたい・・・。』

 

 『止めましょう!このままじゃゴモたんさんが!』

 

 

 『待ちな。』

 

 『レッドキングさん、どうして?』

 

 『まあ見とけよ。』

 

 

 

 

 「ダァアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 「せいっ!」

 

 

 先ほどまでとは打って変わった、野性味溢れる荒々しいファイトが展開される。

 

 

 「さっきより、正確になってるじゃん・・・!」

 

 「ゴモラの技とパワーをトレースしたということは、ゴモラの動きを把握しきったということだ!!」

 

 「理性とばしたものの言うセリフじゃないね!ぐっ!」

 

 

 一手先を読まれるように、ゴモラは一方的に殴られている状態に陥った。

 

 

 「ははっ、はっ、ちょっとしんどいね。」

 

 「超、振動・・・波ァアアアアアアアア!!!」

 

 

 壊れた機械のように肩のツノから火花をあげ、胸のツノから超振動波のビームを放たれる。おもわずフッと息を吐いてゴモラは眼前に迫る脅威を見やると、キッと目を吊り上げ、

 

 

 「これが本家本元の、超振動波だぁあああああああ!!!」 

 

 

 

 『す、すごいエネルギーだ・・・!』

 

 『すごすぎてなにも見えません!』

 

 『ほぁー!すっげぇー!!』

 

 

 ぶつかり合う、振動と振動。震える大気が悲鳴にも似た異音を放つ。アリーナは怪獣無法地帯とも呼ぶべき惨状をあらわした。ゆらぐ空に、在りし日の大怪獣の姿すら見えた。

 

 

 その様に驚嘆の声を上げるもの、もはや何もかもを見失うもの、ただじっと見据えるもの、

 

 

 

 そして、勝利を確信して口角をあげるものがいる!

 

 

 「たしかにそのパワー、ボクと同じか、それ以上かもね。」

 

 

 激しい光の中を、燃える炎を走り抜け、古代怪獣は吠える。

 

 

 「けど、尻尾の無いゴモラなんて、マヨネーズのかかってないタコ焼きみたいなもんだよ!」

 

 

 模造された獣が気付いた時には、もう遅い。

 

 

 「ゼロ・シュートォオオオオオオオオ!」

 

 「ガァアアアアアアアアッ!!」

 

 

 シンジの胸に、熱く滾るもうひとつのツノが突き立てられた!

 

 

 「どうしたの?まだ1分ぐらいしか経ってないと思うけど?」

 

 

 そしてゴモラの黄金コンボ、かちあげ攻撃!

 

 

 「太陽の塔は見飽きた?なら、私も見せてあげるよ!新しい一発ギャグ!」

 

 

 シンジの両脇をゴモラの足が踏みつけて固定、下半身を上へとのけ反らせて両足を掴み、大きく開かせる。自身の尻尾は空を指し示すように上へと向かせる。あたかもパイルドライバーを前後逆にしたような姿で落下する。

 

 

 「これは芸術点高いよー!『新・太陽の塔』!!」

 

 

 そのまま地面に激突すれば、頭部、両肩、股裂きの3つの顔が出来上がる。太陽の塔を模した新技の完成だ!

 

 

 「がっ・・・あ・・・。」

 

 「芸術は・・・爆発だぁ!」

 

 

 そう叫ぶと同時に、前方宙返りしながら尻尾を使ってシンジの体を投げ飛ばす。

 

 

 

 

 そして空中で、体内を駆け巡るゼロシュートのエネルギーが臨界に達し、大爆発を起こした!!!

 

 

 

 『あれ、シンジさん死んでない?』

 

 

 

====☆====☆====☆====☆====☆====☆====

 

 

 「興奮したー!すっっっげー!興奮したー!!」

 

 「な、大丈夫だったろ?」

 

 「全然大丈夫じゃないよレッドちゃーん、さすがに私もヤバイと思ってたところだよー?」

 

 「いやいやいや、全然大丈夫じゃなさそうでしたよ、シンジさんが?!」

 

 「というか、なんで生きてるの?」

 

 「アギさん、なんて言い草だ。」

 

 「ごめん、そういう意味じゃなくって・・・。」

 

 

 見事にスーツはボロボロにされてしまったが、おかげで今生きていられる。こういう時のために、ダメージを生産させる対消滅機能もつけておいたのだった。

 

 

 「ピグモンヒール!どうですぅ?」

 

 「うん、平気です。」

 

 「ゴモゴモも、あんまり無茶しちゃダメですよぉ?」

 

 「無茶だけど、無理じゃなかったからね。いやーまさかあんな隠し芸を用意してたなんて、私もビックリだよー!」

 

 「まだまだ改良の余地は大きいけどね。」

 

 「技術の改良だけじゃなくて、他にも鍛える必要があるぞ?カイジューソウルのコピーに引っ張られて、理性を失っちまうなんて修行が足りない証拠だぜ!」

 

 「善処していきます。けど、ちょっとでも怪獣の心に触れられて、よかったです。」

 

 

 技と体だけじゃなく、心もなりきらなきゃいけない。けれどそれは冷酷で残忍な心ではなく、熱い闘志を秘めたソウル。ここにいる怪獣娘さん達は皆、その境地にいるんだ。

 

 

 これはますます、負けてられない。全部まるっと包み込めるような、あっついハートを結んでみせるんだ。

 

 

 

 

 

 

 「ところでさ、すっごい戦いで興奮したんだけど。」

 

 「ん、なにミクさん?」

 

 「やっぱりゴモたん強いよね!これはレッドキング先輩も危ういかも?」

 

 「おいおい、そりゃないぜミクラス。オレはゴモラにまだまだ負けちゃあいないぜ?」

 

 「ふっふーん、レッドちゃんもそんなんじゃ甘いよ?もうすーぐ私追い抜いちゃうから。」

 

 「ほう?じゃあ今からやってみるか?オレも戦いたくてウズウズしてきたところだ!」

 

 「のぞむところよー!」

 

 「はいはーいアタシもやりたい!」

 

 

 「はは、はははは・・・あんなに戦ったのにもうゴモたんさんは・・・。」

 

 「これはもう・・・笑うしかないかも。」

 

 (ああ、もうこりゃ勝てないわ・・・。)

 

 

 怪獣娘、恐るべし。

 

 

 「私に限界はない!」

 




 とりあえず2期が始まるまでにひとつ書けた。やっぱり楽しいな、創作すると。みんなももっと書こう!

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