とあるボーダー隊員の日記   作:小林 陽

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わりと深夜テンションで書き上げたので修正するかもしれません。



B級隊員を目指していていた頃の日記

  師走の頃 その1

 

  久々にデコ助以外とランク戦をしたんだが正直驚きを隠せない。

  なんか……すごく楽勝でした(小並感)

  5人くらいと5本勝負をしてたんだけど全勝でした。

  最近デコ助としかやってなかったから全然分かんなかったけど俺も強くなってたんだなぁ。

  日頃からあんのアホデコにボコられてるから全然気づかなかったけどな!

  まぁこんな感じでいけばあと長くてもあと1週間くらいで昇格できるだろ。

 

 

  師走の頃 その2

 

  あとちょっとでB級に上がれる。そんなことを考えていた時期が僕にもありました。

  この前から1週間経った今ポイントは3500から微動だにしません。それもそうです。だって誰も戦ってくれません。

  ポイントの稼げる高ランク者はもちろんなんなら低ランクの人も戦ってくれないのは一体なんなの。

  今俺と戦ってくれるのはワンチャンス高ポイントを。と夢を見た低ランクぐらいです。意気揚々とかかってきた成金君ははちょっと叩いたらとすぐ諦めました。気骨がありません。もっとかかってきなさい、そして俺にポイントを落とせ成金。

  はぁ、やってられない、しかも今日もデコ助にボコられたし。何度言ってもフル装備だし……。でも最近それにも対応できるようになってきてしまったんだなこれが。

  こんなことしてるから望まぬ強さを手に入れてしまうんだけどな。

  なんかこう書くとそれっぽいな。ラノベ主人公みたい。

  キャーカッコいいー抱いてーふぅ。

  こんなことも言ってないとやってらんねぇよ。癒しがほしい。誰か俺に巨乳をくれ。

 

 

  師走の頃 その3

 

  ブースに入るや否や成金に勝負を申し込まれた。どうせ相手もいないので素直に受けた。

  転送されると成金はいきなり俺の前に現れ、両手に持った拳銃を自慢げに見せてきた。

  いわくトリガーを正隊員用にしてもらって威力が上がったんだとか。

  なるほど、それで急にポイント上がってた訳か。それに前見た時より銃がゴツくなっているような気がする。

  ん? ちょっと待て、じゃあこいつもデコ助みたいに盾張って突撃とかしてくるってことか?

  だったら張らせる前にやっちゃうか。 ちょうど演説に夢中みたいだし。

  という訳でこっそり弾を展開して背後からの集中砲火で成金は吹き飛んだ。

  イエーイ、アイアムウィナー。

  なに? 話してる間に攻撃は卑怯? 知らん、戦闘中に隙を見せるのが悪い。

  と言いながらもう一度バイパーを展開俺を詰るのに必死な成金の背後から集中攻撃。爆散。

  こいつも学習しないなぁ。とか思ってたら3本目からはちゃんと普通に戦いに来てたので俺もちゃんと戦った。

  盾を張られての銃撃が怖いので死ぬほど攻めた。全勝した。成金は覚えておきたまえ!とか言いながらダッシュで逃げていった。

  まぁ特に興味もないので無視で。もう一戦くらいやろうと部屋の中の端末を見たが誰もいない。あれ、故障かな。と思ったがそもそもブースに誰もいない、さっきまでいたんだけどな……。

  まぁいいか。たぶんこの部屋のメンテナンスかなんかなんだろう。

  そう思って俺はC級ランク戦ブースを後にした。

  あ、そういえば今日はデコ助に会わなかったな。

 

 

  師走の頃 その4

 

  最近めっきりランク戦が出来ない。ワンチャンを狙った活きのいい新人ばかり。それに勝っても全然ポイントが入らないのでやめてほしい。

  しかし俺がランク戦しに行くとブースがざわつくのは一体なんなんだ。いや、顔が怖いのは分かるけどそんなにかな。お兄さん涙がでちゃう。まぁもう慣れたからいいがな。

  あ、そういえば今日もデコ助はいなかった。テストだろうか。

 

 

  師走の頃 その5

 

  今日は久しぶりに手応えのあるやつと戦えた。

  日本刀をバリバリ振り回すデコだし男だ。名前は村上鋼、高2だそうだ。

  てかなに、強いやつってみんなデコだしなの?村上くんもすごく強いんですけど。だがデコ助ほどデコを出していないからかなんとか勝ち越すことができた。6:4のギリギリだったけどな。

  強いなぁ、もしかして師匠でもいるの? と冗談混じりで聞いてみたらホントにいるんだそうだ。

  村上くんの師匠……オールバックかな?

  なんでも同い年だからすぐに仲良くなって教えてもらう流れになったんだとか。

  へぇ、なんかそういうのいいなぁ。

  俺と同い年なんて全然見ないしボーダー入って一番話してるのは誠に遺憾ながらあのデコ助だからな。

  そんな話をまるっとしたら村上くんに案外話しやすい人なんですね。と言われた。

  どういうことかと思ったがなんでも今俺に関してすごい噂が横行しているらしい。

 

  なんでも、ボーダー始まって以来の天才木虎に10本勝負で勝ち越した。そこで力を見切ったから最近は年上としてわざと負けているとか。

  弱いものいじめが趣味で自分より弱い相手でも全力で倒しかかるとかわざわざ低ポイントからポイントを奪って昇格しようとしているとか。

 

  ……いやいやいや、ちょっと待ってほしい。

  木虎にはまったく勝ち越してないしわざと負けたことなんて一度もない。すべて全力で戦って粉砕されてるんだぜ、年上の威厳もくそもない。

  しかも弱いものいじめとかしたことないだろ。

  あぁ、成金? あいつはB級装備になったとか言ってたからついデコ助とやってるときと同じノリで……。

  だがしかし最後のだけは語弊しかないぞ。俺と戦ってくれるのがみんな低ポイントなだけで別に好き好んで戦ってる訳じゃないんだ。いや、ホントに。

  てかデコ助も否定しろよと思ったがあいつ最近来てないんだった。

 

  はぁ、と思わずため息がこぼれてしまう。

  とりあえず村上くんには断じて違うということを念押ししておいた。

  でもなぁ、これで変わるとは思えんのだよなぁ。まぁいいや、どうせデコ助が来たら誤解も解けるだろう……解けるよね?

 

 

 

 

 

 

 

  side村上

 

  その戦いは正に虐殺という言葉が一番似合っていたと村上鋼は考える。C級ランク戦モニターに映っているのは強面の男とボーダーのスポンサーの御曹司の息子唯我尊だった。

  唯我は両手に持ったハンドガンを青年に見せびらかしながら話していたようだ。そしてチャッと青年に銃口を向けた瞬間唯我の体は消し飛んだ。比喩でもなんでもなく消し飛んだのだ。背後から雨のように降り注いだバイパーによって。

  そして2本目、恐らく先程の不意打ちを糾弾しているであろう唯我の体にまたしてもバイパーの雨が降った。

  それで唯我も切り替えたようで無言で襲いかかるようになった。

  しかし青年もそれにあっさり対応し、両手拳銃の唯我をあっさりと制圧した。時にはバイパーで攻撃範囲を狭めたり弾と弾をぶつけて防いだりそしてなにより恐ろしかったのはバイパーを使った進路誘導だ。

  青年はまるで掌で遊ぶがごとく唯賀を倒した。

  観戦していたランク戦ブースはいつの間にか静まり返っていた。

  恐らく誰もが恐怖に近い感情を持っていたのだろう。一人がブースから出だすと次から次へと競うように出ていった。

  村上も例外ではなかった。恐らく、いや、実際のところ怖かったのだ。

  あの虐殺とも言える戦いが。

  その日以降彼は自分よりかなりポイントの低い1000ポイント代の人間ばかりと戦うようになった。

  唯我との戦いで目覚めたのだろうとみんなが口さがなく噂した。

  それから彼がブースに入るとそそくさとブースから出る人間が増えた。まぁそれもしょうがないだろう。誰もあんな虐殺など受けたくないのだから。

  そんなことをぼんやりと考えているとついに村上のところにランク戦のお誘いがきた。

  村上は躊躇なくYESボタンを押した。

 

  結果は村上の敗けだった。スコアは6:4かなり白熱した試合でどちらが勝ってもおかしくない試合内容であった。

  その戦いのあと青年から村上に話しかけてきた。

 

「いやぁ、強いなぁ。もしかして師匠でもいるのか?」

 

  正直その屈託のなさに驚きがなかったと言えば嘘になる。もっと荒々しい喋り方をすると思っていたのだ。

  やや面食らいながらも荒船のことを説明すると

「へぇ、いいなぁ」と言って「俺なんてあのデコ助とばっか……」とぶつぶつ言っていた。

  その様子があまりにもイメージからかけ離れていて少し驚いたが不思議なことにその人の声はなんだか暖かくて噂されているような人間ではないと確信した。

 

「あの……名前聞いてもいいですか?」

「あ、そういえば言ってなかったね。安達圭一だ。よろしく」

 

  その握手をした日から村上は積極的にランク戦を挑みに行った。

  安達が基本空いているということもあったがなにより楽しかったのだ。サイドエフェクトを使ってもまだ自分より強い、まだ強い、今日も強い。

  それが楽しくて嬉しくて村上は今日も彼に声をかけた。

 

「安達さん、今日もどうですか?」

「おぉ、村上くんか、いいよ、やろうか」

「今日こそ勝ち越しますよ」

「今日こそダメかもしれんなぁ、村上くん強いもん」

「また謙遜を……」

「全然謙遜とかじゃないんだけどなぁ」

 

  ぶつくさ言ってる安達を尻目に村上はブースに入る。そして安達のいるブースのボタンを押した。

  さて、今日はどんな工夫をしてくるのだろうか。村上は内心ワクワクしながら、目を閉じた。

  そして小さく呟いた。

 

「トリガー、起動」

 

 

 

 

 




なんだか最終回みたいになりましたがまだ続きます。
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