学戦都市アスタリスク 『道化/切り札』と呼ばれた男   作:北斗七星

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魔剣VS刃雷

 星導館学園でユリスがよく利用する場所がある。中庭の片隅にある四阿だ。ユリスにとってはこの学園の中で一番落ち着ける場所だ。

 

 昼休みや放課後などの、手持ち無沙汰な時間がある時は自然とここに足を運んでしまう。

 

 早めの昼食(一人で)を済ませ、ユリスは携帯端末でアスタリスクの時事ニュースに目を通しながら中庭のゲートに向かっていた。

 

「ほう、『聖杯』の使い手が現れたか。まぁ、『鳳凰星武祭(フェニックス)』に出てくることはないだろうが、厄介な事に変りは無いな。それにレヴォルフの鎌使いも無視出来んな……ん、速報?」

 

 空間ウィンドウに緊急速報の文字が表示される。

 

「何々……ほぅ、刀藤綺凛が決闘か。それはビックニュースだな」

 

 相手は、と更なる情報を待っていると、おぉっという歓声がすぐ近くから聞こえてきた。そちらを見てみると、渡り廊下の先にかなりの人数が集まっている。緊急速報に大きな人だかり。状況から見て、そこで刀藤綺凛が決闘をしているのだろう。

 

「……気のせいか?」

 

 いや、そんなことは問題ではない。問題はその歓声の中に非常に聞き覚えのある名前があることだ。嫌な予感が雲のように湧き上がるのを感じつつ、ユリスは急いで人垣を掻き分けて最前列に出た。そして己の目を疑う。

 

「な、な、な……!」

 

 驚きの余り、言葉にならない。

 

 そこでは予想通り、刀藤綺凛が決闘をしていた。そしてその相手はあろうことか、ユリスのタッグパートナーである高良凜堂その人だった。

 

(何をしているんだあの馬鹿はー!! 『星武祭(フェスタ)』まで迂闊に決闘するなとあれほど……っ!)

 

 思わず頭を抱え込んでその場にへたり込みそうになるが、ふとギャラリーの中に見覚えのある人物を見つけた。

 

 観戦にはもってこいのポジションで、嬉々としてハンディカメラを回している少年。ユリスは遠慮のない足取りでその少年に近寄り、胸倉を掴む勢いで問い詰めだした。

 

「これはどういうことだ、夜吹!」

 

「うぉっ!? ……って、何だ、お姫様かよ」

 

 英士郎は一瞬ユリスに視線をやるも、すぐにカメラを構え直して決闘の撮影を再開する。

 

「悪いけど後にしてくれないか。今はちょっと手が離せ」

 

「いいから事情を説明しろ!!」

 

 こちらは有無を言わさぬ迫力で英士郎を無理矢理振り返させる。ユリスの星辰力(プラーナ)が高まっている事もあり、英士郎は出かかった文句を呑み込んだ。

 

「お前には沙々宮にあることないことを吹き込まれた恨みがある。本気で燃え散らすぞ?」

 

「……分かった分かった、分かりました。仰せの通りに」

 

 こればかりは悪いと自覚があるのか、英士郎は諦めたように息を吐き出す。どう説明したものかと、頬の傷跡を掻いた。

 

「事情つっても、大した話じゃないんだけどな。発端はそこの渡り廊下で……おぉ!?」

 

 いきなり英士郎が身を乗り出したので、無意識に釣られてユリスもそちらを見る。

 

 そこでは綺凛の振るった刃を凜堂が左手で受け流したところだった。上段から振り下ろされた斬撃を受けた左手の甲からは少量の血が流れ出している。凜堂が左手に星辰力を集中させるよりも、綺凛の一撃の方が速かったという事だ。

 

 しかし、戦いに支障をきたすほどのものではない。事実、凜堂は左手の傷を気にせずに綺凛へと打ちかかっていっている。

 

「……ふぅ」

 

「いや、すっげぇな凜堂の奴。お姫様の時もそうだけど、完全に実力を隠してやがったな。こんな名勝負、『星武祭』の本戦でも滅多に見られないぜ」

 

 安堵の息を漏らすユリスの隣で英士郎は感嘆の声を漏らした。

 

「……とはいっても、状況は芳しくないな」

 

「そりゃそーだ。いくら『黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)』と『無限の瞳(ウロボロス・アイ)』があるからって、相手は『疾風刃雷(しっぷうじんらい)』だぜ?」

 

 心臓ごと抉り抜こうとするような突きが凜堂の胸に迫る。

 

一閃(いっせん)周音(あまね)”!!」

 

 凜堂は体を回転させながら綺凛の刺突をかわし、同時に逆手に構えた黒炉の魔剣の切っ先で円を描く。綺凛は身を低く屈め、頭上を通り過ぎる魔剣の刃をかわす。

 

 突きの勢いのまま凜堂の脇を抜け、すかさず反転して刀を掬い上げるように振り上げる。その一太刀は第二撃を放とうとした凜堂が握っている魔剣の柄を捉えた。

 

「っ!?」

 

 技を中断され、凜堂は大きく目を見開く。その一瞬を逃さずに綺凛は凜堂の校章に刀を打ち込もうとするが、あわやというところで凜堂は曲芸師も顔負けのバク宙でかわした。

 

 着地した凜堂の額を汗が伝い落ちていく。浮かべられた険しい表情を見るまでも無く、凜堂は明らかに劣勢だ。

 

 そしてその光景をユリスは信じられない様子で見ていた。

 

 凜堂は明らかにバーストモードになっているし、その時の凜堂の強さは身をもって知っている。ユリスはここしばらく、毎日特訓を重ねてやっと彼の動きや太刀筋を追えるようになったのだ。そうであっても、間合いに入るのを許せば、その時点で決着がつく。

 

 綺凛のほうにも余裕があるようには見えない。だが、凜堂を相手取って優勢に戦っていることは確かだ。それはユリスにとって青天の霹靂だった。

 

「その上、一度も剣を打ち合わせずにだと……!」

 

 戦慄せずにはいられなかった。綺凛は凜堂の攻撃全てを剣で受けることなくかわしているのだ。

 

 黒炉の魔剣はありとあらゆるものを断ち切る防御不可能の魔剣だ。綺凛の使っているのは煌式武装(ルークス)ですらないただの日本刀。刃を合わせれば、その瞬間に武器を失うことになる。なので、綺凛の対応は正しい。だが、正しくても実際にそれをやれるかどうかは別問題だ。そして綺凛はそれをやってのけている。

 

 輪をかけて異常なのは綺凛が攻撃の際にも同じ事をやっていることだ。

 

 凜堂も綺凛の一撃を黒炉の魔剣で受けようとするが、その寸前でほとんど速度が変わらずに軌道が変化しては防ぎようが無い。

 

「ま、凜堂のほうも黒炉の魔剣(あれ)を持て余してるみたいだし、それを差し引けばどうなるか分かんねぇけどな」

 

「持て余してる? 凜堂が黒炉の魔剣を?」

 

 意外そうに問い返すユリスに英志郎は頷いて見せた。

 

「いや、あいつって黒炉の魔剣を使い始めてまだ間もないだろ? お姫様との決闘に使ってたのもあのお手製の棍だったし、長柄のもんはともかく、あんだけでっかい剣は今まで使ったことがないんじゃねーかな」

 

 単純に考えても取り回しが難しい。振りは大きくなるし、小回りも利かないだろう。

 

「成る程……」

 

 今までそんなことを気にしたことも無かった。確かに黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)は巨大だが、そんなことをデメリットに感じさせないほどの威力を有しているし、何より凜堂の剣撃が速すぎる。並みの者では対処することすら難しいだろう。

 

 けれど、もしそのデメリットにつけこめるほどの実力者が相手になったら……。

 

 と、そこまで考えてユリスはあることに気付く。

 

(こいつ、あの攻防が見えているのか?)

 

 序列五位のユリスであっても、最近やっとバーストモード時の凜堂の動きに対応できるようになったのだ。この場に集まっている野次馬の中にどれだけ状況についていけてる者がいるか分かったものではない。

 

 確かに実際に相対するよりも、こうやって傍から見ているほうが遥かに動きを追いやすい。だが、それを差し引いても英士郎の目の良さは異常だ。

 

「……おい、夜吹。決闘が始まってからどれくらい経った?」

 

「うん? 大体、四、五分ってとこだけど……それがどうした?」

 

 英士郎に答えることが出来ず、ユリスは顔を青ざめさせる。

 

 つまり、凜堂の全力を出せる時間はもうほとんど残ってないということだ。何時、反動が出てもおかしくない。

 

 凜堂の実力が分かってしまったことは痛手だが、その上でタイムリミットまであることがばれるのは考えうる限り、最悪の事態だ。

 

 いっそのこと、ユリスが乱入して決闘その物をうむやむにするという手もあるが、そうすれば今度はユリスが唯では済まない。

 

「お、凜堂の奴も腹括ったみたいだな」

 

(凜堂……!)

 

 ユリスは祈るように決闘を見守っているしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

(速すぎだろこの子!!)

 

 それが綺凛と戦った凜堂の感想だった。斬撃、身のこなし。回避に踏み込みなど、全てが凜堂の速さの上をいっている。

 

 剣を交えて(実際には交えてないが)数分しか経ってないが、凜堂は確信していた。黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)の扱いに慣れていない今の自分では確実に負けると。

 

 勝ち目はただ一つ。今すぐに黒炉の魔剣から棍へと持ち換えることだ。そうすれば、互角以上に渡り合えると凜堂は自負していた。しかし、状況がそれを許さなかった。

 

(野次馬が多すぎんだよ、くそがぁ!!)

 

 周囲の目がありすぎる。唯でさえ、黒炉の魔剣を使って戦う場面を見せているのだ。その上、棍で戦い始めれば、凜堂は己の手札をほとんど周囲に見せたことになる。

 

 この戦いは星導館中に、そしてアスタリスクに瞬く間に広がっていくだろう。そうなった場合、鳳凰星武祭でどれだけ不利になるか分かったものではなかった。

 

 そして何より、眼前の少女が武器を変えるなんて絶好のタイミングを逃すとは思えない。

 

 バーストモードを維持している時間も残ってない。このままでは反動で戦えなくなるのは火を見るよりも明らかだった。

 

(やるしかねぇか)

 

 覚悟を決め、凜堂は攻勢に出た。白刃を文字通りの紙一重で回避し、魔剣を横一文字に振り抜く。この決闘の中で最速といっていい一撃だ。

 

 だが、それよりも綺凛の方が一歩速い。

 

 綺凛は軽やかな身のこなしで魔剣をかわし、凜堂が返す刀で切るよりも速く袈裟懸けに斬り下ろす。凜堂も負けず劣らずの動きで身を翻すが完全にかわすことは出来ず、制服の一部をすっぱりと切り裂かれた。

 

 それでも怯むことなく、凜堂は更に深く踏み込んで魔剣を振り下ろす。が、これもかわされた。カウンターの一撃が上段から振り下ろされる。凜堂は魔剣で防ごうとはせず、星辰力を集中させた左手で受け止めようとした。

 

 しかし、これすらも黒炉の魔剣の時と同じ様に軌道が変化した。空気を裂く切り上げ。狙いは……胸の校章だ。

 

「っ!!」

 

 今まで失念していたが、これはルール無しの戦いではない。アスタリスクのルールに則った決闘だ。なので、校章を破壊されればその時点で負けだ。

 

 すんでのとこで凜堂はそのことを思い出したが、かわすにはもう遅すぎる。凜堂の胸元を白刃が閃いた。

 

 

 

 

 おぉ! と何度目か分からないどよめきが起こった。もっとも、今回ばかりは目の前の光景に驚くなというほうが無理な話だ。

 

 綺凛が凜堂の胸元を切ったように見えた瞬間、凜堂はバネ仕掛けのように跳び上がり、天井に着地した。そのまま天井で立ち上がり、綺凛を見下ろす。その胸元には無傷の校章があった。代わりに左手首から血がぽたぽたと垂れ落ちている。

 

 綺凛の一撃をかわすことは無理だったので、凜堂は左手で校章を守ったのだ。校章を切り裂かれるのは防げたが、その代わりに手首をぱっくりと切られてしまった。

 

「凜堂!!」

 

 観衆の中から悲鳴が上がる。その声に聞き覚えのある凜堂はぎょっとしながら声の方を見た。手を組んだユリスの姿を野次馬の中に認めることが出来た。凜堂が血を流してるのに焦っているのか、普段からは想像もつかないくらいにおろおろとしている。

 

(ユーリ!? ぐっ!!)

 

 何の前触れも無く、脱力感が凜堂を襲う。バーストモードの反動が出てきたのだ。凜堂は虚脱感を気合で捻じ伏せ、どうにか表に出さないようにする。それだけで精一杯だ。とてもじゃないが、これ以上の戦いは無理だった。

 

(……)

 

 無言で凜堂は目を閉じる。このまま決闘を続ければどうなるか。それを考え、決闘を続けようとするほど彼は愚かではなかった。血が出そうなくらいに唇を噛み締め、凜堂は小さく囁いた。

 

「……の負けでいい」

 

 校章ではなく、凜堂自身を斬ってしまった事に、ユリスと同じくらいにオロオロしていた綺凛はえ? と声を上げる。野次馬も戸惑った様子だが、構わずに凜堂は黒炉の魔剣を待機状態に戻しながら続けた。

 

「この決闘、俺の負けでいい」

 

 言うと、凜堂は胸の校章をむしり取り、手の中で真っ二つにへし折った。

 

決闘決着(エンドオブデュエル)! 勝者(ウィナー)、刀藤綺凛!』

 

 響き渡る機械音声が決闘の終了を告げる。それに伴い、凜堂の右目でたゆたう星辰力が収まっていった。

 

「……ふん、終わったか。行くぞ」

 

 天井から降りてきた凜堂を訝しげに一瞥し、鋼一郎は綺凛に声を飛ばしてから校舎へと戻っていく。凜堂への興味は完全に失せたようだ。

 

「え? で、でも……」

 

 腰の鞘に刀を収めるも、綺凛はその場から動けなかった。目は血を流す凜堂の左手を見ている。

 

「俺のことは大丈夫だからから行け」

 

 これ以上ないくらい優しい声音で凜堂は綺凛を安心させる。それでも数秒、綺凛は動かなかったが、ペコリと丁寧に一礼してから鋼一郎の後を追って行った。

 

「……」

 

 その後ろ姿にかける言葉を凜堂は持っていなかった。例え持っていたとしても、彼は敗者だ。それを口にする権利など無い。それがアスタリスクのルールだ。

 

「……くそったれがぁ……」

 

 己の余りの不甲斐なさに凜堂は囁かずにはいられなかった。血が流れ出すのも構わず拳を握り締め、肩を震わせていると背後から肩を叩かれる。振り返ってみると、そこには怒ったような、心配してるような表情のユリスが立っていた。

 

「……言うこと、聞くこと。色々ありすぎるが、さっさとここから離れるぞ。もう、立ってるのも限界だろ。いや、その前に見せてみろ」

 

 ユリスは凜堂の左手を掴み、未だに血を流す傷口を検分した。物の見事に切られていた。傷口が浅いのが不幸中の幸いだ。ユリスはハンカチを取り出すと、血で汚れるのも構わずに凜堂の傷口に当てた。

 

「お、おい。んなことしたら汚れちまう」

 

「馬鹿者。こういう時に使わずにいつ使うのだ」

 

 手早く傷口を縛り上げ、強引に手を引いていく。

 

「いいか。落ち着いたら全部話してもらうぞ。一体全体どんな理由があって、星導館(うち)の序列一位と決闘する事になったのかをな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前を行く鋼一郎の後ろをとぼとぼとした足取りの綺凛がついてく。学園関係者用の通用口に至る専用の通路を二人は歩いていた。二人の他に人影は無く、ただ二人の靴音だけが響いてる。

 

「思ったより手間取ったな」

 

 鋼一郎は足を止め、振り返ることも無く言った。綺凛はビクッと身を竦ませ、口をもごもごさせるが結局は何も言えなかった。

 

「ご、ごめんなさいです。伯父様……」

 

 彼女に謝る必要性があるかどうかはさてとして、綺凛は謝る事しかできなかった。

 

「それなりの手練だったことは確かだが、『在名祭祇書(ネームド・カルツ)』入りもしてない輩に手間取るな。例え純星煌式武装(オーガルクス)の使い手だったとしてもな」

 

 評判に傷が付く、と厳しい声で続ける。

 

「次の公式序列戦では七位が指名してくるだろう。こいつも純星煌式武装の使い手だが、今日のように手間取るな。三分以内に終わらせろ」

 

 振り返った鋼一郎の手には携帯端末が握られていた。展開された空間ウィンドウには序列七位の学生のデータが表示されている。

 

「後でこのデータに目を通しておけ。今年中に粗方の『冒頭の十二人(ページ・ワン)』は降すぞ。それが第一ステップだ。そうすれば星導館で不動の地位を手に入れることができる。厄介なのはエンフィールドの小娘だけだ」

 

 俯いたまま綺凛ははい、とだけ答えた。

 

「それと……先日の中間試験の結果を見た……はっきり言って、あまり芳しいとは言えんな」

 

 鋼一郎は新しく空間ウィンドウを開き、先月に行なわれた綺凛のテスト結果を表示した。どれも平均点をクリアするだけでなく、上位といって差し支えない成績だが、鋼一郎の顔には不満しか浮かんでいなかった。

 

「学業も手を抜くなと言っておいたはずだが?」

 

「……ごめんなさいです」

 

 鋼一郎は舌打ちし、物でも扱うように綺凛の髪を掴んで無理矢理上を向かせた。

 

「私が求めるのは強さだけではない。星導館の歴史に残る、誰も並び立つ事のない、偉大な序列一位だ。それを忘れるな……!」

 

 綺凛の小さな顎を掴み、冷酷な声音で続ける。

 

「お前は剣しか取り柄の無い無能の愚図だが、私ならお前を演出してやれる。忘れるなよ、綺凛。私だけが、私のプランだけがそれを可能にするのだ」

 

「……はい……分かってます、伯父様……」

 

 鋼一郎とは目を合わせず、綺凛は弱々しく頷いた。

 

「分かっているなら二度と私に逆らうな。私がいなければお前など何も出来ない能無しの小娘なのだからな。何の口答えもせず、黙って私のプラン通りに動いていればいい」

 

 乱暴に綺凛を突き飛ばし、床に座り込む少女を冷めた目で見下ろしながらスーツの襟元を正す。まるで、汚物でも見ているような目だ。とても、肉親に向けるようなものではない。

 

「今のところ、プランは順調に進んでいる。この調子を維持できるように努力しろ。なにしろ、このプランが達成されるその時こそ、お前の望みが叶うのだからな」

 

 野望に満ちた笑みを浮かべたまま、鋼一郎は通用口へと去っていった。綺凛のことは置いていったままだ。

 

「……はい、分かってます……」

 

 薄暗い通路の中、座り込んだまま綺凛はそう繰り返す事しかできなかった。




う~ん、この清々しいまでの外道。どうしたもんか……。

そういや完全な余談ですが、感想見てた時に非ログインユーザーのブロックとか出てビックリしました。
名前んとこのIDをクリックしただけでもしちゃうのね。一応、今はもう大丈夫だとは思いますが、ご迷惑をかけたら申し訳ありません。

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