学戦都市アスタリスク 『道化/切り札』と呼ばれた男   作:北斗七星

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『切り札』

 入場ゲートを潜った二人を出迎えたのは乱舞するライトだった。

 

『それでは! 本日の第二試合、Cブロックの一回戦一組の試合を始めまーす!』

 

 実況アナウンスを掻き消すかのような大歓声がシリウスドームを震わせる。視覚を光に、聴覚を喝采に埋め尽され、凜堂とユリスは圧倒されながらもステージに歩を進めていく。

 

『まず姿を現したのは星導館学園の序列一位、高良凜堂選手と序列五位のユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト選手のペアです! なんとなんと! この高良選手は『鳳凰星武祭(フェニックス)』が開催する数週間前に序列一位になったばかりです! それも旧序列一位を直接決闘で降して一位になったため、私達のほうにも全くデータがないというダークホース! ちなみに二つ名の『双魔の切り札(ディアボロス・ジョーカー)』は星導館生徒会長、エンフィールド女史が命名したみたいですね。他にも候補があったみたいですけど』

 

『なんでしたっけ? 確か……『勇気凛々(ゆうきりんりん)』だったっけ? いやぁ、誰だか知りませんがけったいな二つ名をつけようとするっすねー』

 

『そうですねー、これはないですねー。高良選手にしてみれば、そんなのが二つ名にならなかったのはエンフィールド女史のお陰ですから、彼女には感謝してもしきれないでしょうねぇ~……ん、高良選手が両膝突いて項垂れてるけど何かあったんでしょうか?』

 

『何か蹴躓いたんじゃないっすかねー』

 

 彼女達は知らない。その『勇気凛々』というのが、序列一位本人が考えた二つ名だということを。実況と解説の二人が暢気に話している中、ユリスは精神に致命的なダメージを負っている相棒をどうにか立ち直らせようとしていた。

 

「おい、早く立て凜堂! もう、試合は目前なんだぞ!」

 

「だって……だってユーリ……! あの二人、けったいな二つ名って……これはないわーって……!」

 

 今にも血涙を流しそうなくらいに悔しがっている凜堂を無理矢理立たせる。正直言って、それがまともな神経の持ち主の反応だ、と言ってやりたかった。だが、これ以上相棒を追い詰めるわけにもいかなかったので、ユリスは周りにばれないように軽く泣きそうになっている凜堂の背を優しく擦る。

 

「しゃきっとしろ。これから試合であの二人を見返してやればいいだろう」

 

「うん、うん」

 

 どうにか立ち直る凜堂。変なところで打たれ弱い男だ。その間も実況と解説の話は進んでいた。

 

『今回『鳳凰星武祭』に出場している選手の中で唯一の序列一位っすね。今現在、ネットなんかに上がってる動画を見る限り、かなり強いのは間違いないっす。序列一位は伊達じゃないっすねー』

 

『ですねー。資料の中にあったので私も見ましたけど、どれも不鮮明でしたね。まぁ、決闘の映像だし仕方ないと言っちゃえばそれまでですけど。あ、そうそう! 高良選手といえば、星導館学園が有する純星煌式武装(オーガルクス)、『黒炉の魔剣(セル=ベレスタ)』と『無限の瞳(ウロボロス・アイ)』の使い手らしいですが、チャムさんは何かご存知ですか?』

 

『所謂、『四色の魔剣』の一振りっす。『触れなば熔け、刺さば大地は坩堝と化さん』って謳い文句は有名っすけど、ここ十数年、使い手が現れなかった凄く気難しい純星煌式武装って話っす。四色の魔剣で有名といえばガラードワースの聖剣こと『白濾の魔剣(レイ=グレムス)』っすかね。同じ様な防御不可能の武器みたいっす』

 

『成る程。つまり、非常に強力な武器であると?』

 

『そっすねー。ただ、使い手に求められる星辰力(プラーナ)の量が半端じゃないみたいで、黒炉の魔剣自体に使い手として認められてもまともに使える人は少なかったみたいっすよ。その点、高良選手は無限の瞳と併用する事で上手いことやってるみたいっすけど』

 

『無限の瞳の名前は私も聞いたことあります。何でも、無限に等しい力を内包しているけど、使用者の精神を壊してしまう非常に危険な純星煌式武装だとかなんとか』

 

『危険な純星煌式武装って認識で間違ってないっすよ。実際、無限の瞳の使用者だった人達は精神的にボロボロになっていって、無限の瞳を手放す事を余儀なくされてるっす。『その瞳に映るは禍津光なり』と恐れられるだけはあるっすね。マジぱねぇっす』

 

『そんな危険なものを使って高良選手は大丈夫なのでしょうか?』

 

『それは心配しなくても大丈夫っぽいっすよ。高良選手、無限の瞳と六百パーセント近い適合率を持ってるみたいっす』

 

『ろ、六百!? それは凄いですね……』

 

『心配するだけ無駄じゃないっすかね? 無限の瞳を使い始めてそれなりに日数が経ってるみたいっすけど、日常生活に何の支障もないらしいし』

 

『成る程ー。続いてはタッグパートナーであるリースフェルト選手ですね。『華焔の魔女(グリューエン・ローゼ)』こと序列五位。優勝候補の一角と言っても過言ではないでしょう!』

 

『リースフェルト選手は能力が多彩っすねー。現役世代の『魔女(ストレガ)』の中ではトップクラスに入ると思われるっす。伸び代は十二分にあるし、卒業後はウチに来て欲しいっすね』

 

『いやー、流石にそれは難しいんじゃないでしょうか? リースフェルト選手、本物のお姫様ですし』

 

『残念っす。とりあえずは高良選手に注目っすねー』

 

『星導館が誇る『切り札(ジョーカー)』は我々にどのような試合を見せてくれるのでしょうか、楽しみにしていましょう! では、続いてガラードワースのタッグの紹介です……』

 

 ガラードワースのタッグの紹介が始まるが、ユリスに脇腹を小突かれ凜堂は意識を相方へと移した。

 

「楽しみだそうだぞ、『切り札』殿?」

 

「んなこと言われたってねぇ。ま、さっきも言ったとおり、星導館とお前の名前に泥を塗らない程度に頑張るさ」

 

 何時も通りの軽薄な態度で応えると、ユリスは感心したような呆れたような複雑な笑みを浮かべる。

 

「緊張など欠片も見えないな。鈍いのか大物なのか……今更だな」

 

「お前の想像に任せるさ。そういうお前こそ、堂々とした態度じゃねぇか」

 

「一応、私は王女だからな。衆目の目に晒されるのには慣れている。そろそろ用意をしておけ」

 

 真剣な表情に戻ったユリスの言葉に頷きながら凜堂は視線を前に向ける。反対側の入場ゲートから現れた二人組、即ちガラードワースのペアが煌式武装(ルークス)を起動させていた。背の高い青年と小柄な青年の二人組。凹凸コンビという表現がピッタリだろう。手にしているのはどちらも剣型の煌式武装だ。

 

「確か、ガラードワースじゃ剣技が正道って言われてんだっけか?」

 

「皆が皆、剣を使うわけではないようだが、それでも剣を使う者が多いのは確かだな」

 

 のんびりとした顔で凜堂は暢気なことを言っていた。どう見ても、これから試合をするものが浮べる表情ではない。そんな凜堂を咎めるでもなく、ユリスも余裕たっぷりで腕組みをしている。

 

『そろそろ試合時間が迫ってまいりました! 果たしてこの試合を征するのは星導館かガラードワースか! それでは本日の第二試合のスタートです!』

 

 実況の声に合わせ、ステージ上に上がった選手達の校章が発光し始めた。『星武祭(フェスタ)』時は完全自動で処理が行なわれるので、普段の決闘の時のような宣言や同意は必要とされていない。

 

「『鳳凰星武祭』Cブロック一回戦一組、試合開始(バトルスタート)!」

 

 校章の機械音声が試合開始を告げる。同時にガラードワースのペアが剣を構えて真っ直ぐ向かってきた。データを見てみると、両者共に近接戦を得意とする攻撃手(アタッカー)で後衛はいない。非常に攻撃的な戦闘をするペアだ。接近戦をしかけ、一気に勝負を決めるつもりなのだろう。

 

「仮に凜堂が片方を迎え撃ったとしても、もう片方が私に迫って後衛としての働きをさせない。単純だが効果的だ」

 

 しかし、そんなものは予測範囲内だ。ユリスは腕を組んだまま動こうとしない。それどころか、煌式武装を出してさえいなかった。

 

「それでは凜堂、任せたぞ」

 

「あらほらさっさー」

 

 気の抜けた返事をしながら凜堂は向かってくるガラードワースのペアへ向けて歩き始めた。両手をポケットに突っ込み、口笛を吹きながら歩み寄っていく様はどう考えても戦闘中のものではない。見知った友人に近づいていくような動作だ。

 

『おっと、これはどういうつもりでしょう高良選手! 相手を舐めてるとしか思えない態度です!』

 

『何が狙いなんすかねー。相手の動揺を誘うつもりなのかな?』

 

 解説と実況も驚いているようだ。観客も戸惑い気味にざわめいている。

 

 凜堂の想像の斜め上をいく行動にガラードワースのペアは面食らい、その動きが一瞬だけ止まる。しかし、すぐに意識を戦闘に戻した。もう、凜堂は目の前にいる。両手をポケットに入れたままの自然体だ。

 

 ガラードワースの片割れが剣を振り上げる。狙いは無防備な校章。上段からの一撃は鋭く、そして速い。だが、この男はそれ以上に(はや)かった。

 

 剣が校章を斬ったように見えたその瞬間、凜堂の姿が消える。

 

試合終了(エンドオブバトル)! 勝者、高良凜堂&ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルト!」

 

 校章が発する機械音声だけが事実を伝える。余りにも一瞬だったため観客は元より実況と解説、そして当事者であるガラードワースのペアもポカンとしていた。

 

 ステージの上には校章を斬られた体勢のままで固まっているガラードワースのペア。そして彼らの間を刹那の内に駆け抜けた凜堂の姿がある。何故か凜堂の手には煌式武装が握られていた。対して、凜堂に切りかかったガラードワースの選手の手はもぬけの殻となっている。

 

『えっと、これは何が起こったのでしょう……チャムさん、何か分かりましたか?』

 

『……ごめん、ナナやん。何にも見えなかった。スロー映像は……撮ってある? それ見てみるっす』

 

『え~、観客の皆様も何が起こったのか全く分からないと思いますので、ドーム上層の空間スクリーンをご覧ください。試合の映像をスーパースローで流します!』

 

 実況の言葉が終わらない内にドーム上層部分に巨大な空間スクリーンが映し出される。観客達の目が一斉に空間スクリーンに集まった。

 

 空間スクリーンの中では無防備に立っている凜堂にガラードワースの選手が剣を振り上げていた。

 

『こっからっすね。エンバット選手が高良選手に切りかかっているところっす』

 

『ここだけ見ると、切られているのは高良選手の校章なんですけどねぇ……あっ、高良選手が動きました!』

 

 校章を斬られる直前に凜堂が動く。エンバットの手から煌式武装を奪い取ると同時に彼の校章を切り裂いたのだ。更に凜堂はそこから流れるような動きでガラードワースの片割れの校章をも切り捨てる。

 

『チャムさん、これってつまり……』

 

『高良選手は煌式武装を奪うのとほぼ同時にガラードワースの両名の校章を叩き切ったってことっすね。動きが速すぎて私達には見えなかったみたいですけど』

 

 映像と解説を理解し、観客はようやく凜堂が神業と言ってもいい芸当をやってのけたのだと理解した。シリウスドームを揺さ振るほどの歓声が上がったのはそれから数秒後の事だった。

 

『……これは凄い! 実況なんてしてる間なんてありませんでした! 何という強さ、そして疾さ! これが序列一位、これが星導館が誇る『切り札(ジョーカー)』!!』

 

『いやぁ、凄いっすねぇ。まさか、純星煌式武装を一切使わないでこんだけの離れ業を見せてくれるなんて』

 

 鼓膜を破らんばかりの歓声が注がれる中、凜堂は奪い取った煌式武装をガラードワースの選手に返す。唖然としている二人に手を振り、凜堂はユリスの下へと戻った。またか、という失笑と誇らしげな笑みが半々、といった感じの顔をしている。

 

「これを聞くのは何度目になるか分からないが……お前、いくつ隠し玉を持っているんだ? 何だ、あの瞬間移動じみた動きは?」

 

「そういや言ってなかったな、あれのこと。俺、十秒間だけ滅茶苦茶速くなれんだよ。二打(ふたつうち)瞬神(しゅんしん)”っていうんだけど」

 

「……もう、一々驚くのも疲れたな……まぁいい。とにかく良くやった」

 

 相好を崩しながらユリスは拳を突き出す。凜堂も拳を出して応えた。そのまま二人はステージを後にした。試合時間は十秒を切っているだろう。正しく秒殺だ。

 

「この後、勝利者インタビューが待っているだろうが、何を聞かれても適当にはぐらかしておけ。情報が出回らないに越したことはない」

 

 会見スペースへ向かう道中、ユリスが釘を刺してくる。わぁーってますよ、と凜堂は組んだ両手を後頭部に当てた。

 

「しっかし、武器を構えもしないなんて大胆なこって。俺が抜かれたらどうするつもりだったんだよ?」

 

「お前に限ってあり得んだろ」

 

「そ、そうか。まぁ、信用してくれるのは素直に嬉しいけどよ」

 

 さらりとした言葉に凜堂は照れた様子で頭を掻く。ふふん、と悪戯っぽく微笑んでいたユリスの表情が引き締まった。

 

「いずれにしろ、これでお前のバーストモードも連携パターンを見せずに済んだ。この調子で勝ち進んでいければいいのだが」

 

 二人にとって一番ばれたくないこと。それは凜堂の制限時間だ。凜堂が二つの純星煌式武装を使用した状態で全力を出せるのは五分程度。そのことを知っているのはユリスを含めて極少数しかいない。凜堂の決闘を見た者の中には薄々気付いている者もいるかもしれないが、ばれないに越したことは無い。

 

 そこで二人が出した結論は非常に単純明快だった。純星煌式武装を使わない。こうすれば、誰に対しても制限時間があることはばれないだろう。

 

 無論、バーストモードにならなければ勝てない相手もいるだろうが、そういう相手は予選では当たらないだろうというのがユリスの見解だった。ならば、ギリギリまで出し惜しみしていく、というのが二人が相談した結果だ。

 

「幸い、素の状態でもお前はそれなりに強いからな。最近の特訓でそれを嫌というほど思い知らされたからな」

 

「ま、色々修行してましたから」

 

 次にばらしたくないのは連携攻撃のパターンだ。二人がペアを組んでから二ヶ月ほど経っている。それなり以上の練習を重ねて連携攻撃の幅を広げたが、それでも長年ペアを組んでる者達が相手では見劣りするだろう。

 

「予選の範囲で我々が苦戦を強いられるような相手はいない。本戦まで、可能な限り勿体付けていくぞ」

 

「オーライ、と。ま、どうにかするさ」

 

「頼りにしてるぞ、相棒」 

 

 ユリスは全幅の信頼を込めて凜堂の背中を叩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あぁ~、疲れた」

 

「全くだな……」

 

 控え室に戻るや、凜堂とユリスはげっそりとした顔でソファに腰を下ろした。待っていてくれた紗夜と綺凜が不思議そうにしながら二人の顔を覗きこむ。

 

「お、お帰りなさいです! お二人とも、初戦突破おめでとうございます!」

 

「……瞬殺だったのに、何でそんなに疲れてる?」

 

「試合は問題じゃねぇんだ。ただ、その後の会見がな」

 

 訊ねてくる二人に凜堂は投げ遣りに答える。

 

「外のマスコミ連中はしつこくていかん。あんなんだからマスゴミ等と揶揄されてしまうのだ。これなら報道系クラブの方が遥かにマシだな」

 

 うんざりを顔に貼り付けながらユリスは綺凛から渡されたドリンクを受け取る。

 

 ユリスの言うとおり、二人へのインタビューは酷いものだった。黒炉の魔剣や無限の瞳のことは勿論のこと、ユリスとの関係や『鳳凰星武祭』に出場するに至った経緯。果ては好きな食べ物や好みの異性のタイプなど、試合とは全く関係のないことを小一時間聞かれ続けた。疲れないほうがおかしい。

 

「へぇ、お姫様の口からそんな言葉が聞けるなんて、嬉しい限りだね」

 

 と、ここにはいないはずの者の声に凜堂とユリスは振り返った。かしゃりと写真を撮る音。壁際に英士郎が立っていた。

 

「ジョーか。来てたのか?」

 

「……勘違いの無いように言っておくが、比較的ましだと言ってるだけで、お前達に好意的になったわけではないぞ?」

 

「はいはい。相変わらずお姫様はきついぜ」

 

 むすっとした表情で念を押すユリスに英士郎は大仰に肩を竦めて見せる。

 

 基本的に控え室は使用する選手が許可した人間じゃないと入れないようになっている。それ以外の人間は控え室内にいる人にロックを解除してもらわない限り中に入れない。今回、許可を与えられている人間は紗夜と綺凛しかいないので、二人が英士郎を招きいれたのだろう。

 

「んで、何しに来たんだお前? 応援に来たって訳でもねぇだろ?」

 

 今は八月。『鳳凰星武祭』に出場しない大半の生徒は夏休みに入っている。普段、アスタリスクは外出許可が下りにくいが、長期休暇ともなると話は変わってくる。この時期に帰省する学生も多いが、英士郎のように学園に残る者も少なくは無い。半々といったところだろう。

 

「あのくらいの相手に応援なんて必要ないだろ。俺の今日のお目当ては第三試合さ」

 

 件のアルルカントペアの試合だ。

 

「開会式であんだけ派手に発表されちゃあ、ジャーナリストとして黙ってるわけにはいかないからな。どう考えてもアルルカントのお二人さんのことだしな」

 

 それで早速、控え室の方に取材しに行ったのだが、即行で追い返されたらしい。何の情報も得られませんでした、ということだ。アルルカントの二人に対して思うところのある紗夜はがっくりと肩を落とした。

 

「まぁ、焦らずとももうすぐ第三試合の時間だ。連中の用意したものがどれ程のものなのか、嫌でも分かるだろう」

 

「時間っつったら、マクフェイル達もそろそろ試合だな。カペラドームだったか?」

 

「はい。そのはずです」

 

 綺凛がチャンネルを操作すると、空間スクリーンに得物を構えたレスターが映し出される。

 

「もう始まっているようだな」

 

「……優勢みたい」

 

 レスターは『轟遠の烈斧(コルネフォロス)』の二つ名に恥じない動きで相手のアルルカントのペアを圧倒していた。後方からのランディの援護も絶妙で、レスターの間合いから逃れようとする相手を上手く追い込んでいる。

 

「応援しに行ったら確実に追い返されてただろうな」

 

「違いない」

 

 凜堂とユリスが愉快そうに喉を鳴らす隣で英士郎もレスターの試合に見入っていた。

 

「やっぱ、『冒頭の十二人(ページ・ワン)』だけあってマクフェイルもやるな。フックのほうも序列入りした経験があるだけはあるな」

 

 その時、壁を突き破るような轟音が控え室を震わせる。

 

「うおっ!? 何だ一体?」

 

 突然の事に凜堂達はきょとんとするも、すぐにその正体に辿り着いた。歓声だ。それも、先ほどの凜堂達の試合の時に上がったものと同じくらいか、もしくはそれ以上の。

 

「って、もう始まったか!?」

 

 狼狽えながらも英士郎は別の空間スクリーンを広げた。これ程の歓声が上がる試合の心当たりは一つしかない。

 

 予想通り、立ち上がった空間スクリーンの中には二体の機械人形が立っていた。




今回は会話文が多いなぁ……作者は仮面ライダー555のアクセルフォームが大好きです。

でも、一番格好良いのはやっぱエターナルだよなぁ。

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