霧の艦隊でも自由気ままに航行したい   作:やなぎのまい

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ただいま戻りました!!

これからまた投稿していきますので、よろしくお願いします!



ではでは





第九話

 

 

 

 

日本に行きたい

 

ふとそんな感情が湧いてきた。これもメンタルモデルを得て、感情シミュレーターの経験値が増えてきたからなのかどうなのか。そんなことを考えながらも『日本に行きたい』という欲はムクムクと膨れていった。

 

「しかし、行って何をしよう?」

 

そう、ここでタイホウが悩んでいるのは、行った先で何をするかという事だ。目的のない旅ほど時間を無駄にすることはない、何かしらのデータでそんな事があった気がする。それを信じるのであれば、目的なく日本に行っても無意味なのだろう。

 

「ふーむ、なにかこう調べるに値する人類のシステムはなにか無いものだろうか……………」

 

世界中の超高高度に監視兼情報収集用の艦載機を何十機か飛ばしている。これも、霧によって航空戦力を持つことも意味をなさないと人類が諦めたが故に、対空戦闘を気にせず飛ばすことが出来ているのだ。

その中の一つに意識を飛ばす。丁度アジア圏上空を飛行中のようだ。

 

「では」

 

意識を飛ばした艦載機を中継地点にして、そのへんの民家のパソコンをハッキングする。インターネットを開き『人間とは?』と適当にキーワードを検索エンジンに入力し、ブラウザを開く。

Wikip○diaとかいうサイトやYah○o知恵袋とかいうサイトを練り歩く。

 

「コミュニティが国、か。時代を追うごとに進化を続け、空や海を超えるすべを作り出した。ふむ…………時代それぞれに特色があり、それぞれの国の文化も変化し続けてきた、か」

 

人、人間、人類、とキーワードを入れては、出てきた単語や意味合いをブツブツと呟きながらさらに検索をかけていく。

 

そこでいくつか引っかかる言葉があった。

人類の進化とともに変わり続けるもの。進化し続けるもの。技術、そして

 

「文化、か」

 

そうか。これだ!

 

「文化、そうよこれよ!文化を知れば、人類の一端を知ることができる。しかも、文化とは変化し続ける(・・・・・・)もの!私の目的と一致してるじゃない!」

 

ふと思いつく。まるで天啓のようだ。

 

ここで、自分の変化に気づく。

ただの兵器だったもの。メンタルモデルを手に入れ、思考が複雑になったゆえだろうか。こんな『天啓』などと言うようになるとは。

何があったかわかったものでは無いなと、苦笑する。

 

そんなことよりもだ

 

「文化探し!そうと決まればさっそく出発よ!」

 

タイホウ(自ら)に指示を出し、重力子エンジンに火を入れる。

 

ドォオオオオ!!!

 

401と対峙した時とは比べ物にならないほどの轟音が響き渡った。

重力子の影響で周りには電子がバチバチと弾け、雷を轟々と響かせた。海面は霧特有の正六角形がいくつも集まって帯となった波動に衝撃を与えられ、大瀑布をそこらじゅうに生み出した。

 

「ヤマトからの指示という後ろ盾を手に入れた今、抑える必要もなくなったというもの!」

 

かつて都市があったと言われる東京方面、関東を目指して舵を切る。

 

「両舷微速、進路そのまま」

 

装甲空母タイホウがゆっくりと動き始めた。

 

 

 

 

「さぁ、日本へ!!」

 

 

 

 

まるでタイホウの冒険の第一歩を祝うかのように、追い風が優しく吹いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「上陰次官補」

「どうした?」

 

日本政府、上陰龍二郎次官補の執務室のドアがコンコンとあうノックの音と共に開けられ、上陰の部下がコツコツと執務用の机へ向かって歩いてきた。

 

「霧のピケット艦に落とされるのを承知で飛ばした無人偵察ドローンから奇妙な映像が送られてきました。ご確認ください」

 

結局ドローンも落とされてしまいましたが。とボヤきながらデータが入っているのであろうUSBを上陰へと手渡す。

USBを受け取った上陰は、執務用の机に埋め込まれているコネクタへと端子を突き刺す。

ぶぅん、と壁に埋め込まれたディスプレイに電源が入り、ファイルの選択画面へと飛ぶ。机に設置させたタッチパネル式マウスをなぞり、『奇妙な映像』とやらが収められているファイルを叩く。

 

「これは?」

「西南海域、佐世保方面よりさらに南で確認されたものです」

「霧の、空母……………か?」

「そうかと思われます」

 

そこには水飛沫をあげながら北東、艦首の方向から考えてここ、横須賀を目指して進行していると予測される空母がいた。

 

「もしかしたら、進路を変えるかもしれませんが、恐らくここを目指しているものかと思われます」

「このことを知っているのは?」

「私も伝で手に入れたものでして。恐らくは北先生と楓総理、お二方は知っているかと」

「そうか」

 

本当に霧は問題(変化)を起こしてくれる。

はぁ、と溜息をつきながらタッチパネルにキーボードを呼び出すと、データの考察や自らの考えをつらつらと入力していく。

 

「それと、野党の党首が先導して行っていた、白鯨級潜水艦を使用した振動弾頭の輸送作戦ですが」

「なにかあったか?」

「魚雷の攻撃を受けた旨の無線を最後に通信途絶。死体や艦の残骸などの所在も不明。失敗に終わったようです」

「これで残された振動弾頭は残り一つ。何としてでもアメリカに届けなくては」

 

振動弾頭。日本が開発した対霧ミサイル。霧に対して唯一ダメージを与えることの出来る人類の切り札。

目標の固有振動数を割り出し、共鳴させることで分子構造を崩壊させるというものだ。

しかし、開発したはいいが、日本には振動弾頭を量産する国力は残されていなかった。

そこで、様々な者が様々な思惑を抱えて振動弾頭を取り合い、次々とアメリカへの輸送手段を考案しては失敗してきた。

五つあった振動弾頭は残り一つとなってしまっていた。

 

「恐らく、これを受けて野党側は振動弾頭から一旦手を引くだろう。恐らく次は北先生が動く。行動の把握と情報収集を頼む」

「了解しました」

 

そう言葉を残して、部下は執務室を出ていった。

 

「面倒なことになったな」

 

北上してくる謎の空母。

残り一つになってしまったSSTO。

 

追い詰められているはずなのに、何故か上陰はピンチだとは思わなかった。

 

「401がヒュウガを沈めてからというもの、世界の歯車が止まる気配は全く見せないな……………さて」

 

401を奪取し、日本を飛び出した少年たちが霧の大戦艦ヒュウガを倒したという知らせを聞いた時を思い出しながらニヤリ、とその顔に微笑を浮かべる。

 

執務用の机に設置された通信コンソールのボタンを押しながら

 

「特殊通信本部へと繋げ。401に依頼がある」

『了解しました、少々お待ちください』

 

ボタンから手を離し、掛けてあったスーツのジャケットの袖に手を通す。

メモ帳や携帯電話、先程手渡されたUSBを手に持ち、上陰は執務室を後にした。

 

 

 








時系列については、この話はヒュウガ戦よりあと、SSTO打ち上げ前です。

活動報告でやりました、これからのストーリにつきましては、方針が決まりました。
楽しみにしていてください!


ではでは、今後とも本作品をよろしくお願いします!
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