「ふわぁ~......あぁ眠い...」
弁当を食べた後の授業の時ほど眠りを誘う時間はないと思っている。
ふと気になって恋那の方の机を見るが、そこに恋那の姿はない。
昼休みが終わると眠いと言いだし屋上へ行ってしまった。
今回のように恋那はちょくちょく授業をサボタージュすることがある。
しかし、にもかかわらず恋那の成績はいい。
あれで勉強はしっかりしているらしい。
本人いわく「勉強できないただの不良か何かと思われるのもいやだしね~」らしい。
じゃあ最初から授業受けろと言ってやりたいが俺が言ったところであいつは聞かないだろうし。
なにより。
「先生」
「どうしました?秋月君」
「お腹の調子悪いんで保健室行ってきていいですか?」
俺もさぼりたいしな。
「やほ~。来ると思ってたよ」
「そうかよ」
俺は校内の自販機で買った缶コーヒーを一つ恋那へ投げ渡した。
「おぉ~気が利くね。む?紅茶はないの?僕紅茶の方が好きなんだけど」
「うっせ。いらないなら返せ」
「わぁー!うそうそ!いるいるいるから」
恋那はそういうとカシュッと缶コーヒーを開けてちびちびと飲みだした。
「うん、紅葉のコーヒーはおいしいね」
「缶コーヒーだけどな」
「缶コーヒーでも紅葉が持ってきてくれたってだけでおいしいよ」
「.........そっか」
こいつはまたそういうことをさらっと......。
恋那の顔を見るとケロッとしている。
照れてんのは俺だけか...。
「あほらし...」
俺はそのまま後ろに倒れこみ寝転がった。
「くーれは」
「うん?」
恋那の方を見るとなぜか正座している。なんだ?
「膝枕したげるよ」
「はっ?」
まじで?
「ほらほらはやく」
恋那はそう言いながら自分のふとももをぽんぽんと叩いた。
「どう?気分は」
「......悪くないけどさ」
「それはよかった」
しかしこれは......。
「あのさ恋那」
「ん~?」
「お前今制服だよな」
「そうだね」
「そうだねじゃねえよ。さっきからスカートちらっちらして落ち着かねえよ」
「目を瞑ればいいだけの話だよ」
「あのなぁ......」
こいつは...もうちょっと自分の容姿を理解しろっての...。
認めるのは癪だが恋那は可愛い。というか綺麗だ。
俺も男だ。そんな美少女が無防備にしていたら邪な考えの一つも浮かんでしまう。
「というか、お前昼寝するんじゃなかったのか?」
「枕がないんだもん。紅葉は眠るといいさ」
......しゃあないなぁ...。
俺は恋那の腕に手を伸ばし、自分の方へと引っ張った。
「わぁっ!」
「よっと」
俺の隣に恋那が寝転がるのを確認すると、俺は目を閉じた。
「ちょっと...下はコンクリートなんだよ?正座してたからとはいえ頭うったらどうするのさぁ~」
「いいから寝ろ。ほんとは眠いんだろ」
「だから枕が「ほらよ」...どうしたの腕伸ばして」
こいつは......。
「だから...その...腕枕だよ」
「......え?明日槍でも振るのかな?紅葉どうしたの?」
「失礼な奴だな。俺だけ寝ても悪いだろうが。それで使うの?使わないの?」
「えっと...じゃ、じゃあ失礼して......」
ぽふっという効果音が似合う動作で恋那は俺の胸に埋まった。
「......紅葉あったかいね」
「恋那もな」
「......」
「......」
俺たちはその後、妙に顔が熱くて眠るどころじゃなかったが眠気だけはすっ飛ばすことができた。