軌道降下兵   作:顔面要塞

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 改めまして、オハコンバンニチワ。顔面要塞です。

 年内にもう一本お届けできました。これも、皆様のおかげでございます。モチベーションって大事!!

 御気に登録22件!!!凄いぞ!!みどり●少年!!っぐ!!

 いや、ホントにモチベ上がりますよ!!

 年内もう一本行けるかなぁ・・・仕事、少なくならないかなぁ・・・宝くじ当たらないかなぁ・・・

 また、皆さんと会えるように精進いたします!!

 では、また。


おいでよ!アレルドォリア山脈!!

 万年雪に覆われた神秘に満ちたアレルドォリア山脈。未だ、人類では足跡を残す事の出来ない『高山帯』の上部地域を、不思議な風体の男が二人と雪豹が歩いていた。

 颯爽と先頭を行く雪豹に追いすがろうと、2人の男達は奮闘するのだが。生来からこの地域を住まいしている雪豹には,速度の遅さに呆れられていた。

 

 「雪白さんよ?もう少しユックリ行ってくれないもんかね?流石に、一般人には厳しいです・・。」

 二人の男の内、見慣れない兜を身に着けた男がウンザリした声を出していた。

 

 「秀人が一般人ねぇ・・・多少なりとも疑問をはさむ余地がある発言だな?うぉ!?」

 コチラは兜も身に着けないが、防寒具などは身に纏ってはいない。おそらく、命精で身体機能を強化しているのか、火精を纏わせているのか、あるいは両方か。露出した肌の部分から湯気が出ていた。

 しかし、前を行く雪豹からしてみれば遅い歩みに変わりは無く。今も、深い雪に脚を取られては呆れられていた。

 

 「お言葉ですがねぇ蔵人さん。アッシは魔法が使えんとです?極地に在っても、そんな装備で居られる非常識な世界の住人では無いんです・・。」

 「何言ってんの?!そっちこそ非常識な世界から跳んできたじゃないか?星雲間戦争の真っただ中で異星人種と絶賛抗争中なんて、出鱈目さはどっこいどっこいと思いますがね?」

 「その部分はイロイロ面倒な事がありましてねぇ・・。でも、結局殴り合いになってしまったんですわ?」

 「話し合いで解決でけんのかよ?野蛮人だな。」

 「いやいや・・・蜘蛛をけし掛けてハンターを襲わせる蔵人先生に言われたくはないですよ?」

 

 雪山で歩みを止めて言い合う二人。その光景とやり取りを見た雪豹が、いい加減にしろと言わんばかりに、長い尻尾を苛立たし気に雪山に打ち付ける音が響く。

 

 「やばいっすよ・・・蔵人さん・・。雪白先生がお怒りです・・・。」

 「そうですね、秀人さん・・・。ここは、お互いに協力すべきですなぁ・・・。」

 

 先ほどまでの喧騒が嘘のように、小声で話し合い妥結点を見出すオッサン二人・・・。そして、前を行く雪白に追いつかんと歩を早めるのであった・・。

 

 

 アレルドォリア山脈に朝日が昇る。高山帯の中腹部分。少しなだらかな斜面の部分に、小さな岩棚がせり出しており。その岩棚の上で13・4歳程度の見た目の黒髪の少女が佇んでいた。

 

 「雪白さん。用務員さんを迎えに行ったのかなぁ・・?昨日の夜半に出て行ったきり、帰ってこない。狩の獲物をくれるのは有り難いけど、こう、モフモフとか?ワシャワシャとかコショコショとか?・・スキンシップをですねぇ・・取り組みたいのですよ・・。」

 誰に聞かれる事も無い呟きだったが、一人と一匹の生活が長く続くと。やはり、コミュニケーションを取りたくなる。高位魔獣はヒトの言葉を理解すると言うが、どうにもツレナイ態度が続くのは何故だろう?

 やっぱり女同士だと、気の合わない部分があるのだろうか?

 

 そんな、どうでもいい事を考えているアカリを叱る様に、斜面中腹の平坦な場所の雪原から細く短い吠え声が響く。

 用務員さんと、雪白さんが相談して決めた合図に他ならない。それは、巣への帰還の合図で。警戒を解いても構わない符丁だった。

 

 吠え声が聞こえた場所に目を向けると、雪白さんが雪に埋まった用務員さんを引き上げるのが見え。その後ろに、この世界では見慣れない。しかし、自分にとっては見た事がある様な装備を纏った男が立っており、二人の遣り取りを肩を竦めて見守っていた。

 

 あれは誰だろう?二人が警戒もしないで、フザケタ遣り取りをしている所を見ると。余程、親しい仲なのは違いない。私と一緒に居た時でも、あそこまで警戒しない二人は見た事が無い。

 それに、見た事も無い装備をしている様だけど。あの特撮のヒーローの様なヘルメットはこの世界のモノでは無い。

 まさか・・?私達以外にも、この世界に召喚された者が居るとゆう事なのかしら?でも、武装をしている様には見えないし、私の加護『不安定な地図と索敵(レーダーマップ)』に反応が無いのだから危険な人物ではないのかも?

 

 『こんにちわお嬢さん?』

 

 そこまで考えた所で、不意に背後から声が掛けられる。慌てて振り向くと、不思議な銀の光沢を持った球体に近い多面体の物体が音もなく空中に浮かんでいた。

 どうやら、声を掛けて来たのはこの球体の様だった。

 

 「誰・・・?」

 『不安定な地図と索敵(レーダーマップ)』に反応が無い事から、少し安心して物体に話しかける。

 

 『いやぁ~申し訳ない!ちょいと悪戯心が芽生えちまってね?本来なら、ちゃんとした挨拶をしなきゃいけないんだが。イキナリ見も知らないオッサンが出てくると身構えちゃうと思ってね?雪白先生と駄目な生徒の後ろに立ってるヘンなオジサンですぅ・・。』

 「いきなりで悪戯なんて、そっちの方こそ非常識です!!でも・・・何故、そんな装備を持っているのですか?それに召喚者の方なんですか?」

 

 アカリがそこまで口にしたところで、岩棚に人の気配を感じて斜面側に向き直ると。そこには見慣れない格好の・・近未来的な装備をした先程の男が立っていた。

 

 「いつの間に・・・・?!」

 雪白さんと用務員さんの居た場所から、この岩棚まで100m程はあったはず・・?その距離をほぼ一瞬で・・?!

 

 「いやぁ~。何度も驚かして御免なさい!私は高橋秀人。36歳、独身!!地球連邦日本自治区対馬出身。所属は地球連邦宇宙軍、航宙艦隊軌道降下兵。階級は伍長!って・・・いきなりで混乱するかな?」

 

 目の前で、ヘルメットを脱いだ壮年の男性は。にこやかな笑みを見せながら、丁寧なお辞儀をして。深く聞き取りやすい声で自己紹介をしてくれていた。

 

 「あ・・・?!あっ・・あの?アカリです・・!!日本で、高校生でした!!えっと・・好きなモノは雪白さんで?!こう・・モフモフとか?ワシャワシャとかですねぇ・・あっ!痛い!?え!?雪白さん?」

 

 あまりの出来事に混乱したアカリが、どうでもいい事を口走り始めるが。すぐさま追いついた雪白が、落ち着け!とばかりにアカリの頭を尻尾で軽く叩いていた。

 

 「あ・・?!ホントに御免よ?悪気は無かったんだ。でも、面白い子だねぇ?揶揄いがいがありそう・・・ぶごぉ!!!」

 

 雪白とアカリの遣り取りを見ながら、笑いを堪えきれなくなった秀人が冗談を言おうとしたところで、雪白先生の容赦ない制裁が顔面に炸裂する!!

 

 「悪いね?アカリちゃん。悪い奴では無いよ。でも、まぁ、ヘンなオッサンには変わりないかな。中に入って詳しい話を皆でしよう?お土産もあるしね。二人とも、いつまで遊んでんだ?中入んなさいよ?」

 

 遅れて到達した蔵人が、雪白に踏みしだかれた秀人を冷たい目で見ながら声を掛ける。その声に反応した雪白が、いい加減にしときなさいよ!と、言わんばかりにトドメノ足蹴を見舞ってから、2人の後について行く。

 

 「お・・・置いてかないで・・・?」

 震える口調で憐れみを誘う言葉を発するオッサン・・・。

 

 しかし、歩みを止める者は無く。岩棚に無残に横たわるオッサンの薄い頭部に、陽の光が反射するだけであった・・・・。

 

 遥か古代に出来たと思われる洞窟の中の天井部分に、見慣れない小さな半球体が光を放っていて明かりを供給していた。その明かりに照らされた場に、明るい声と料理の匂いがたなびいている。この場所を創り上げた不可視の存在でも、予測しえない光景だっただろう。

 

「しかし…改めて『魔法』のデタラメさに思い知らされたよ…土精魔法ってのは便利だなぁ?蔵人のレベルが普通なのかい?」

 

蔵人の住居。土精魔法で改装・増築された洞窟の中に、秀人の低く落ち着いた声が響く。

 

「あんな簡単に出来ることじゃ無いですよ…。今だって、初級魔法といえ同時行使しているんですから。あ、もうスグ揚げ上がりますよ?」

洞窟の中程にある囲炉裏を使って、料理を手伝っているアカリが秀人の疑問に答える。

 

「そうか?そんなに難しい事じゃ無いぞ?魔法教本に書いてあった事を実践しただけだからなぁ。揚げ上がったら、皿に移してくれるか?秀人が出した小型の光源の方が凄いと思うがね?なんだっけ?ナノサイズの超電導モーターだっけか?」

初級魔法を同時行使しながら、手早く料理を仕上げていく蔵人。

 

「『魔法』の事は分からんが。かなり器用な事に間違いはないな?そんじゃ、調味料セットを出すぞ?塩・砂糖・胡椒・マヨネーズ…そんで醤油は濃口と薄口…鹿児島の醤油もあるぞ?」

秀人が『ポケット』から購入した調味料セットを取り出し、囲炉裏の淵にある台座に置く。

 

「秀人さんの加護もすごいですねぇ⁈あ、レモンとか有ります?」

「アカリちゃんはかける派ですねぇ⁈蔵人はどうする?」

「俺は掛けなくていい…秀人が出してくれた塩と胡椒で味は整っているからな。後で調味料セットを譲ってくれないか?雪白がマヨネーズを気に入ってしまってなぁ…アイツ、マヨラー属性があったんだな…」

「その加護で商売出来ますよ!久し振りの醤油…この味、この匂い!!しかし、草原モグラの照り焼きも美味しいです!!」

「ああ…こっちの世界の調味料とは違うな。ひと財産儲けられるぞ?改めて醤油は生命線だなぁ」

「全員日本人だからなぁ〜。一回に購入出来る量には限りがあってなぁ…でも、財テクには使えそうだな?お?ご飯も炊き上がるぞ⁉︎お前が造った土鍋。出来がいいなぁ。おいおい…二人とも、ヨダレ、ヨダレ…」

「私がよそいますね!ハイっ!!お二人とも大盛りです!!」

「オオ!!!米粒が立ってる⁉︎」

「二人共、フリカケや納豆も在るけど。どうする?」

「何でも在るんですねぇ?」

「イヤイヤ…お金掛けて『商店』のレベルアップしたら、色んな物が品揃えされてねぇ…見てみる?共有をクリックして…っと。お…雪白も興味あるかい?映像を拡大してみるか。」

「あ…俺は納豆くれないか?生卵は…ないかぁ…。見たこともない装備もあるね〜。」

「ああ、ウチの世界のモノもあるからね。二人共、商品をクリックしたら解説も出てくるよ?サイズはっと…」

「お二人とも!!お食事中ですよ!後にして下さい!!」

「「はーい…」」

 

腰に手を当てて、頬を膨らませ怒るアカリ。少女と言っていい娘に窘められて、茶碗と箸を持ったまま意気消沈するオジサン二人。その姿を見て、呆れたように首を振る雪白。

 

「ふ…ふふ!」

「こいつは、参ったなぁ…」

「さぁ!!仕切り直して、しっかり食べよう!!ビールも出すぞ!!」

「「「戴きます!!」」」

 

秀人が出した見慣れない合金で出来た缶ビールを、アカリが土精魔法で造ったコップに注いでゆく。上手い具合に泡も出たビールで乾杯する二人。

 

「雪白も興味があるのかい?でも、ビールは喉越しが命だからなぁ?こいつはどうかな?大吟醸酒『雪誉れ』!!」

「お…?日本酒かい?猫舌だから…チョイと冷やしてッと!どうだ?雪白?」

 

蔵人が氷精魔法で一升瓶を冷やして、大きめの椀に注ぐ。椀に満ちた『雪誉れ』に舌を這わせ、ユックリと飲み始める雪白。程よい甘口と、シッカリとした酒精に満足したのか。大きな尻尾がユックリと廻されていた。

 

「気に入ったみたいだな?」

「しかし…魔獣ってのはすごいもんだなぁ?完璧にコッチの言葉を理解しているぞ。」

「コイツは、俺との暮らしが長いからなぁ?すっかり人間の味覚を覚えちまったよ。なんだ?もう一本出せって?飲むの早いなぁ?」

「そうです!!もう一本出して下さいよ!!!タレナエっす!!!ね〜雪白サン!!!」

先程まで雪白の前にあった『雪誉れ』が、いつの間にかアカリの元に移動していて。アカリが瓶の首を持ってオッサンツギをしているではないか。

「それ…飲んだのアカリちゃん…?」

「マズイだろう…未成年だし…」

「お父さんの晩酌の相手してましたから、もんリャいなインです!そうですよにゃ?雪白にゃん?」

 

アルコールの入ったアカリの迫力に気押される三人…。普段なら尻尾であしらう雪白も、異様な迫力に押されてアカリのなすがままにモフモシャされてしまっている。

意外な事で想いを遂げられて、満足気に雪白の側でモフモニャするアカリちゃん。

 

「止めなくてイイノカ?」

「いやぁ…雪白も嫌がってないしなぁ?良いんでないかねぇ。」

アルコールが入りまくったアカリを見ながらゴニョゴニョと相談する二人。

 

「う〜〜ん…モフモニャだにゃ〜…お母さん…お父さん…明日もアカリは頑張るねぇ…」

雪白の側に侍りながら感触を楽しみ、寝そべってしまうアカリ。そのアカリの姿とうわ言に気付いたのか、長い尻尾を使ってアカリを懐に運び入れる雪白。

 

「…今日はそっとしておこう…」

「『勇者』っていっても、無理矢理召喚されたんだ…普段は高校一年生の普通の少女なんだろう?…そんじゃ、一杯やろか?」

「ああ…雪白に任せよう…」

「お休み…ちっちゃな『勇者』さん…」

 

洞窟の中程の囲炉裏の側で、雪白にくるまれながら眠りにつくアカリ。呟かれた言葉を心に刻んで、『雪誉れ』を酌み交わすオッサン二人であった。

 

 先程までしっかりとした明かりに照らされた洞窟の中だったが、天井に配された小さな光源は量を減らし。仄かな明かりが燈るのみになっていた。

 

 「なぁ?蔵人。アカリちゃんはどうなるんだい?」

 囲炉裏を挟んで酒を酌み交わしている蔵人に声を掛ける秀人

 

 「マクシーム次第だが・・・身の潔白を証明しないと帰るに帰れんだろう?」

 「還るって・・召喚された国にか?」

 「ああ・・多分そうなるな。」

 「だが、アカリちゃんの窮地にも何もしてこない国の連中だぞ?信用できないな。」

 「そうなんだが・・・図抜けたチート臭い勇者が居るから、何とかしてしまうかもしれない。」

 「お前から加護を奪ったクソ野郎か・・?イチハラ・ハヤトって言ったか・・・?」

 「少しは変わったようだが、人間の本質は直ぐには変えられんよ・・。自分の大切と思ったモノを護るためには、相手に強いる事にかわりが無いようだしな・・。」

 「面倒な奴だ・・大切なモノを護るために、他の人間の大切なものを奪うタイプか?さらに身内に甘いとか・・ほぼ病気だな?」

 「だが、召喚者の中では最大勢力らしい・・。」

 「帰還を考える奴や、ハヤトが気に入らない連中。召喚した国の思惑も重なって面倒なことが多そうだ。」

 「秀人だったらどうする?」

 「まず帰還手段を探し、確立するために動く。その為には手段は選ばん。所詮、別世界。限りなく非情になれる・・また、そのように訓練されてきたしな・・・。だが、守るべき存在がいるなら生き方も変わるだろう?事に無力な市民達とかならば。」

 「軍人なのだろう?守るべき存在が居るならば、個人の自由意志は無いのか?」

 「軍人が自由意思で動いたら、軍の存在自体が意味を為さなくなる。俺達は守るべき対象がいてこその存在であり、常に行動には枷が填められる。恒星を簡単に破壊できる力を持った存在が自由に動き回るなんて、悪夢に他ならない。」

 「そんなもんか・・。それでは、先ほどの連中の殺害にも意味があるのか?」

「ああ…あのまま警告も出さずに放っておいたら、何をするか分からん。殺害する事によってこちらに覚悟と力がある事が伝わり、おいそれと害意を加えて来なくなる。あの手の輩は自分が狙われる立場になると、途端に弱くなる。敵対関係をハッキリさせる事によって、相手の行動が予測でき、対応の仕方がシンプルになる。」

「シンプルって…?」

「簡単さ?今度チョッカイを掛けてきたら殺す。しかも、一番上の人間を。頭を取っちまえば、後は烏合の衆だ。要は、覚悟と能力がある事を認識してくれればいいのさ?」

 「認識できなかったら?」

 「跡目を含めて壊滅させる。そして、噂は広まり、安全保障につながるのさ?」

 

 納得できないが理解した様子でカップを呷る蔵人。ややあって、口を開く。

 

 「・・・人を殺すってどんな感じだ?気を悪くしたら謝る・・いずれ、自分も手を染めなければならなくだろうから・・・。」

 

 「まず言っておく。ヒトを殺すには箍を外す必要がある。勿論、生来から歯止めの利かない異常者は存在するが・・・。そいつは、ただの殺人鬼さ。いきなり殺せって言っても無理だ?しかも、コッチじゃ殺す相手の息遣いが聞こえるほど近づきゃなきゃならない。」

 聞かれた事に簡潔に答える秀人。口ぶりは軽いが、雰囲気は重かった。

 

 「やはり、難しいのか?」

 「いや・・・。さっきも言った通り、覚悟の問題さ?後は、訓練。そして、一番最初の殺人でその後が変わる。お前の選択で他人の人生・・・そいつの家族や縁者も含めてだが、根本から変わる。その覚悟が無ければ、一生引き籠るしかない。」

 「・・・・・そうか・・・。」

 「蔵人・・お前に守らなければならない、他人に譲ることが出来ないモノが在れば覚悟はできる。ただ、一度でも殺せば引き返せなくなる。おお!!魂の安息よ!!永遠に別れの時だ!!ってなもんよ?ゲームの様には行かないもんさ?」

 「・・・・。」

 「初めての殺人は地方行政府に立てこもったテロリストだった・・・。何かの思想にかぶれて自らレールから落ちた奴さ。人質になった子供を二人も殺していた・・。交渉の余地は無い。そう、上層部が判断し、大隊に命令が下り、突入班に選ばれたのは俺の居た小隊だった・・・。」

 

 囲炉裏の火を見つめながら、独り言のように呟く秀人。対峙する蔵人は、静かに聞き入っていた。

 

 「で・・緻密な作戦の元、俺達が突入。テロリスト5人を殺害し、3名を捕縛。目出度く事件は解決さ?俺が殺したのは5名のうちの一人。まだ二十歳にもなっていない女の子さ?爆発物を持っていたから火器は使用できなかったから、後ろから近づき彼女の左乳房の脇にナイフを滑り込ませる。少しの抵抗と痙攣を起こして床に崩れ落ち、ナイフを抜いた場所から血が流れ出る・・・。作戦が終了し、シャワーを浴びて兵舎のベッドに潜り込んだ時に・・・彼女の驚いたかのような顔が浮かび上がる・・・。まっ・・この頃は見なくなったがね・・。」

 

 「すまなかった・・・。」

 思い出したかのように、空いたコップに酒を注ぐ蔵人。何故か、無性に咽喉が乾いていた。

 

 「いいんだ・・・・。いずれ、蔵人にもやって来るだろう・・。この世界はそうゆう世界さ?さて・・俺達もそろそろ寝るか?天候が良かったから、ドローンをステルスモードで警戒配置に就けておいた。まぁ雪白先生もいるからグッスリ眠れるぞ?」

 そう言いながら見た事も無い生地で出来た寝袋を取り出す秀人。

 

 「もう一つあるぞ?使うか?その毛皮や毛布よりは抜群に寝やすいぞ?」

 もう一つを取り出して、蔵人に渡す。

 

 「有り難い・・・おお!!こいつは・・・凄いな?」

 「ああ。保温もバッチリ!夏はヒンヤリ仕様で最適な体温を保ってくれる。あ・・?!音楽も流れるから、操作方法はソコにあるスイッチを・・お?それを押せば・・出たね。ヘルプに従って操作してくれ。お休み・・・。」

 

 ある程度の説明をして寝袋に入り込み、3秒もしないうちに寝息を立て始めるオッサン。

 

 その姿を呆れて見ながら、柔らかく弾力に富んだ寝袋に納まり。眠りに入る蔵人だった・・・。

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