軌道降下兵   作:顔面要塞

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ホントに久しぶりの投稿です。誠に相済みませぬ・・・。

いえね忙しかったんですよ、ホント。・・・?いやいや・・鉄拳7frをやっていただなんて・・ねぇ?

何処で知ったんですか?久しぶりにキング触ったら・・・脳内でジグソーのスカイ・ハイが流れて来て・・・??!

ほんと、申し訳ない・・・。飢狼にしかなれないヘタレなんですが・・プロレスが好きでして・・いや、キングの技が好きなんで。あんまりプロレスには詳しくないです。

でも、ミル・マスカラスはヒーロー!!!ヒャッハァーー

すいません・・・邂逅・・よろしくお願いします。


邂逅

アレルドォリア山脈に、春の陽射しを受けて穏やかなが吹く。高山地帯であるから、気温はまだまだ低いが。風の流れに春を感じた動植物達は動き始めていた。

 

冬の間は見かけることも出来なかった高山性の植物。その植物を糧にしようと動き出す草食の小動物。さらに、小動物を狙う魔獣が活発に動き回る。冬の沈黙を破り、あちこちで生命の闘争が開始されていた。

 

高山地帯から標高を下げた森林地帯では、さらに活発に動植物達の夏に向けた準備を開始していた。

 

生命達の饗宴。その華やかな舞台を汚すように金属の擦れ合う音を響かせながら、アレルドォリア山脈に似つかわしくない集団が侵入してきていた。

 

「兄貴!アレルドォリア森林地帯に入ったぜ!早く準備に入ろう!」

 

軍隊にしては、いささか纏まりのない20人程度の集団の先頭部に位置している金髪の男が。大きな声で集団のリーダー格の男に声を掛けていた。

 

「焦るなザウル…それに、そんな声を張り上げてしまっては獲物に気付かれてしまうぞ?お前もブラゴイ家の男なのだ。いつの時も冷静な態度を失ってはならん。」

集団の先頭を征く重装鎧を纏った燻んだ金髪の男が、ザウルと呼んだ先程の男に声を掛けていた。

 

「分かっているよアレクセイ兄貴。今回も俺のヘマから迷惑をかけた事は、すまないと思っているんだ…。」

見た目とは裏腹に気弱な声で、アレクセイと呼んだ男に自分の考えを示していた。

 

「…だが、弱気も禁物だ。親父が病気のいま、俺達兄弟で家を盛り立てていかなければならん。自分が力不足と感じるならば、成長の為に経験と修練を積め。大丈夫だ。今回の事を皆で乗り切ろう。マリーナの結婚式は延びてしまったが、お前も兄としてしっかりしなければな?」

厳しさの中に優しさを含んだ声音で語り掛けるアレクセイ。

 

ザウルからは重装甲冑で覆われている為、表情は読み取れないが。子供の頃から変わらない柔和な笑みを浮かべている事が想像できた。

 

「ありがとう!アレクセイ兄貴!しっかりとやってみせる!兄貴が見ていてくれているんだ。失敗なんてあり得ないよ!」

快活と言って良い笑みを浮かべて。自分に気合いを入れるザウル。

 

「その意気だ!さぁ、征くぞ!」

ザウルに答えながら、集団の先頭を走るアレクセイ。しかし、朗らかな声とは裏腹に。今までの出来事を思い返して、置かれている状況を冷静に考えていた。

 

親父から連絡があった当日に徒党を集めて、これまでの状況を確認する為に邸宅に向かったのだが。応対に出て来たジョルトによれば、急な病で倒れたと言うのだ。

 

 もともと様々な事で激務に追われていたが…あの親父に限って病に倒れる事などあるのだろうか?しかも肉親である俺やザウルにも会えない感染が疑われる新種の病気とは・・。

 ジョルトの態度は、いつもと同じ変わらないものだったが。詳しく聞こうと話しかけてみれば『内密ですぞ』と断りを入れた後に説明をしてくれた。

 なんでも、『荷』の検品の時に興が高じてしまい少量の『薬』に手を出してしまったらしい。親父も年だから強壮剤の代わりに『薬』に手を出す事も考えれれるが・・・どうにも引っかかる・・。

 

しかし、状況は動き出してしまっていた。先ずは初期の目的を達成しなければならない。この『不祥事』さえ片付けてしまえば後はどうにでもコントロールできる。今は集団の頭として目的達成の為に全力を傾けるのだ。

 幸い、障害になりそうな月の女達やマクシームははるか遠くだ。勇者に付き添っている二人のハンターが居るが、どちらも九つ星以下の実力しかない。

 いや・・・ザウルが差し向けた者達が待ち伏せに会って、一人を残して全滅した事を考えると情報を鵜呑みには出来ない。

 だが、中級程度の実力を持っていたとしても。コチラの実力と数には対抗できないだろう・・。急な事とは云え、それなりの精鋭は確保できた。二つ星級でもない限り戦力の差は歴然としている。迷うことは無い。

 

 数旬で考えを纏め。行動に移ったアレクセイの顔からは迷いが消えていた。そして、奇襲地点に一刻も早く辿りつこうと足を速めるのであった。

 

 

 

 長く厳しい冬から解放された、アレルドォリア山脈の麓に広がる森林地帯。高山帯に生息域を広げる絶対支配者大棘地蜘蛛(アトラパシカ)が侵入して来る事は稀であるために、豊富な食料となる植物をめぐって小さな食物連鎖が起きていた。

 

 その森林地帯を睥睨できる、高山帯手前の岩山の岩肌に見慣れない姿をした集団が存在していた。数は4人・・と一匹。どうやら中型の魔獣を従えている様だった。

 

 「来た来た・・・来ましたよ。あんな無警戒で遮蔽物だらけの森林帯に入って来るなんて・・この世界では遠距離の戦闘が発生しないから、仕方がないけども・・。いいマトだなあれは・・。」

 

 岩肌と見間違える様相を呈している重甲冑を纏った者が、森林帯に侵入してきた集団を観測しながら呟いていた。

 

 「で・・どうするんだ秀人?お前が予想した通りの進路で来ている訳だが。」

 甲冑を纏った秀人と呼ばれた男の傍にいた、継ぎ目が見えないスッキリとしたレザーアーマーの様なモノを装備した男が緊張感の無い雰囲気のまま話しかけていた。

 

 「蔵人やイライダ、アカリちゃんが自然な感じに偽装した倒木の障害物を設置したお蔭さ。予想と言うか、必然の結果だ。もうすぐキルゾーンに入る。今も昔も変わらない、待ち伏せってヤツだよ。」

 これから戦闘が発生し得るであろう状況にあっても、昼飯でも買いに行くような気軽さを含んだ口調で応じる秀人。

 

 「待ち伏せと言ったけど、何の準備もしてないねぇ?弓で射かけるには遠すぎるし。しかし・・コイツも便利だねぇ?アンタの世界はこんな物が当たり前の様にあるのかい?」

 秀人の左隣で小型望遠鏡を構えたイライダが、拡大された集団を観測しながら質問をしていた。

 

 「ドローンからの側的情報では1834m。コッチノ世界での単位は分からんが・・。その顔を見ると通じているんだな。アカリちゃん?俺らの全翻訳機能って単位の意訳も含まれているんかい?」

 秀人から発せられた距離に関する数値を聞いて、望遠鏡から目を話して驚いた表情を造るイライダ。そんなイライダに構いもせずに、後方にいたアカリにドウデモイイ話を振る秀人。

 

 「ええ、センチメートル単位がそのまま使えますよ。呼び方はそれぞれセノ・メノ・キノになってますが・・召喚者全員が翻訳出来てしまうので、そこまで気にしてなかったですねぇ。」

 コチラも双眼鏡を構えながら、秀人の話に応じる。イライダの双眼鏡とは違い、高倍率・高精度・レーザー測距・電磁波測距も備えた観測手用の特注品だった。

 不安定な地図と索敵 (レーダーマップ)の加護を使いこなすためには、即座に反応のあった方角を観測出来る事が必要だった。その為、遠距離を索敵できて確認できる道具があれば加護の能力を最大限に生かせる。との、助言を貰って購入したものだった。

 感じた物をしっかり確認できることによって、加護の能力に自信が付き。こころなしか、加護の精度も上がって来ているように感じられるアカリであった。

 

「待ち伏せに関しては、既にコッチの罠の中だから大して気にしちゃいないけどな。何にも用意していない様に見える?そこはこれからの展開を見守ってもらおうか。コッチノ世界の戦いとは違うモノになるがな。」

 アカリの話を聞き終わったところで、イライダや蔵人への答えを返す秀人。その横顔は気軽さを含んでいたが、冷たい何かを纏っていた。

 

 

 

 春の穏やかな気候に恵まれた森林地帯。普段なら小型の動物達が動き回り、命の息吹を感じさせる場所だったが。穏やかな営みなど感じられない殺伐とした雰囲気に包まれていた。

 

 「・・・まだ来ないのかよ?」

 木々の合間にある倒木などの茂みの中で、緊張した顔つきの男が弓を用意しながら隣にいる槍を持った同僚に話しかけていた。

 

 「焦ってもしょうがないだろ?お前を含めて弓で射かけるのは5人。それに合わせて襲撃に移るんだから冷静になれよ?」

 話しかけられた槍の男も口調こそ落ち着いているが、額からは嫌な汗が流れ落ちていた。

 

 魔獣が跋扈する高山地帯では無いとはいえ、危険地帯である事には変わりがないアレルドォリア山脈森林地帯。魔獣の襲撃に備えつつ、今回の目的である勇者を仕留めなければならない。荒事になれた男達にとっても、気軽に取り掛かっていいものでは無かった。

 

 さらに、勇者の関係者と思われる低ランクハンター二人を襲った同僚が。一人を残して全滅していたことも伝わっていた。

 生き残った者の話によれば、今まで見た事も無い無残な死に方で。なおかつ、襲撃に魔法が使われた気配も無いのに相手が見えなかったというのだ。話半分に見積もっても、決して無視していい与太話ではない。襲撃から生き残った者が、それなりのハンターランク(六つ星)であったのも緊張を増加させる要因になっていた。

 

 「来たぞ・・・!重甲冑の戦士が先頭だ・・。他にレザーアーマーの軽装備男が一人、勇者は三人目だ。後衛は・・イライダ・バーギン!!?なんで『蜂撃』が・・?!」

 殺害対象が顕われた事で、余計な事を考えなくて済むはずだったのが。情報に無いイライダが加わっている事に驚きを隠せない男達。

 指示を仰ごうと、リーダーの居る茂みに目を這わせるのだが。ハンドサインで送られてきた答えは強行だった。事前の計画に変更は無し。勇者だけ仕留めれば、『蜂撃』と戦闘せずに逃走に動くサインだった。

 

 無慈悲なサインを飲み込み。弓を構えて目標が襲撃地点に到達するのを待つ。ほんの数メノの距離が無限に感じられる時間。

 

 「・・・っ!!」

 指示された地点に到達した勇者に向けて、必殺の矢が五本飛び出してゆく。かすり傷でも仕留められる様に矢じりには五本とも違うタイプの毒が仕込まれていた。

 殺害を確信し、心の中で快哉を叫ぼうとした瞬間・・・。それは起こった。

 

 

 「ご苦労さん。それじゃ、あの世に旅立ってくれ。」

 

 勇者たちの姿が掻き消え。聞き覚えの無い壮年の男の声だと脳が判断した瞬間、目の前に林檎程度の大きさの球形状の物体が、コルクを抜くような音を発して地面から跳び上がる。

 

 その物体が何かを判別しようと努力する人間の反射を嘲笑う様に、林檎が閃光を放ち炸裂する。高性能爆薬が充填された02式跳躍地雷は、内蔵されたグラ製合金の小粒の球150個を音速に加速させ。そのエネルギーに相応しい物理的破壊を周囲にまき散らすのだった。

 

 各襲撃地点で偽装していた五つの班が同様な光景に見舞われ。腐り融ける肉塊と、砕け散る骨になってアレルドォリア山脈の新しい養分に変換される。弓を放ち、勇者を仕留めた筈のハンターの意識は。この世界から永遠に乖離する事になるのだった。

 

 

 「なんだ・・?!何が起こっている!?」

 予想外の出来事に混乱した声が漏れ出るアレクセイ。隣にいるザウルに至っては、青ざめた顔のまま見つめている事しか出来ていない。

 

 五つに分けた襲撃の部隊を管制出来る様に、少し離れた倒木が折り重なった場所でザウルと一緒に様子を伺って居たアレクセイ。

 うまい具合に倒木で偽装された場所が確保でき。配下の者をそれぞれに潜ませ、勇者を待ち伏せする万全の体制を築いた筈だったのが。

 情報に無い『蜂撃』イライダ・バーキンが勇者一行に加わっていたのには驚いたが。目的は勇者だけだから、さして問題にしなかった。五本の矢が同時に襲い掛かり、それぞれに塗った毒も違う。それも、かすっただけでも死に至る猛毒だった。

 状況に怖気づいた配下が、確認のサインを送って来るが。強行を指示する。最悪、イライダは俺が相手をすればいい。勝つことは難しいが配下の数が物を言う。

 

 そんな事を考えている内に、勇者たちが襲撃場所に顕われた。指示どうりに矢が勇者を捉える瞬間、潜ませた配下の者達が見た事も無い爆発に見舞われる。襲撃に参加していた五つの班すべてで同様の事態が同時に起きていた。

 

 瞬間的に起こった状況を見れば、生き残った部下はいないと判断せざる得ない。残った配下の人数は自分とザウルを含めて6人。戦えない数ではないが、戦闘に有利な先制を奪われ。かつ、敵が何処にいるか皆目見当がつかない。

 

 不安げな視線を寄せてくる部下やザウルを見ながら、撤退を選択し指示を出そうと声を掛けようとした瞬間。

 

 胸の中央に灼熱の矢を打ち込まれた感覚を覚える。そして口から自分の血だと思われるものを吐き出し、そのまま視界が暗転してゆく。

 

 最後に見たのは、ザウルの驚愕の表情だけだった・・・・。

 

 

 

 「重装甲冑なんて着込んでいるから、目標としちゃ分かりやすいな・・。」

 

 射撃の終わったスメラギ12式強化ライフルを構えたまま、目標が沈黙するのを見届ける秀人。殺害距離は475m。

 

 ドローンからの情報で、今殺害した男がブラゴイ家長男のアレクセイだと言うのは分かっていた。小説的な展開なら名乗りを上げて斃すのが本道なのだろうが、そんな事には付き合う義理も無い。

 対象を殺害しなければならないなら、最も効率の良い方法で結果を出せばいい。戦場に入る前から索敵を受け、分析され、対策を練られている。

 この地点に顕われた時点で、結果は目に見えていた。数学の公式に当てはめた故に得られる当然の帰結。感情や思いなど、あやふやな要素など一切介入できない科学兵器の威力。

 

 感情を持たない兵器による一方的な蹂躙・・いや、自動生産施設のラインの様に決まりきった過程の結果の様なモノだった・・・。

 

 「跳躍地雷高いから、榴弾でちゃっちゃと終わらせちまうか・・。」

 

 肩口で構えたスメラギ12式強化ライフルの弾倉に、連結された背部ローディングユニットから榴弾が送り込まれる。

 

 照準に入っているブラゴイ家の郎党の中心点を狙撃ポイントに設定する。電磁的な射撃準備が完了したことがホログラフィック・ディスプレイ上に表示される。

 

 十分な運動エネルギーを与えられた20m高性能榴弾が、時を刻むのを嫌う様に瞬時に着弾。与えられたエネルギーと内蔵された高性能爆薬によって、恐るべき威力を含めた榴散弾片となって男達に見舞われる。

 

 先程の地雷による爆発よりも更に酷い状態が現出していた。いや、地雷を喰らった者達はまだ幸せだった。瞬間的に痛覚を刺激される事も無く、肉体的反応を終わらせていた為、苦しむことは無かった。

 

 榴散弾片の直撃を頭部に食らった三人は、その時点で絶命していたが。三人を盾になる様に配置に就いていた残り一人・・・ザウルは・・・。

 

 威力を弱められた弾片の洗礼をたっぷりと全身で味わうことになっていた。

 

 

 「ぐはぁ・・・何だ・・?ゴホッ・・痛てぇ・・左目が見えねぇ・・どうなってやがる?兄貴?!くそぉ・・・足が・・・右腕もねぇ・・グホォ・・・」

 

 全身を覆う灼熱の苦痛。左足と右腕の感覚が感じられない。あるのは焼け付く傷みが、それぞれの関節部から感じられるだけだった。

 無事な右目で見える範囲の自分の躰を確認する。装備していた甲冑は何の役にも立たず、得体の知れない金属片によって貫通され。内臓を外界に晒していた。感覚の無い右腕は肩口の部分から吹き飛ばされ、仲間だった醜い肉塊と一緒くたになっていた。

 躰の状態と、自分の状況を考えれば。もう、長くはこの世界には留まれない事が分かった・・・。

 

 上手く行くはずだった・・・。自信に満ちた兄貴の顔。逞しい配下達。完璧な待ち伏せ・・・。しかし、結果は今の状態になっている。正直、訳が分からない・・?

 

 其処まで考えた所で、全身を覆う傷みが和らいでくる・・・いや、痛覚を感じる部分が働かなくなって来ているだけだった。

 

 何故こんな事になったのか・・・答えが出ないまま意識が霞んでゆく・・・。

 

 最後に見たのは顔を半分吹き飛ばされた、アレクセイ兄貴の顔だった・・・・・。

 

 ザウル・ドミトール・ブラゴイ・・何も成しえずに、アレルドォリア山脈に骸を晒す。放蕩者の末路だった。

 

 

 

「なんなんだい・・・!?こいつは・・・?戦いってモノじゃないよ・・。まるで・・稲を刈り取る様に・・戦士としての矜持を挟む余地がまったくないなんて・・」

 

 自分が知る『戦い』とは、あまりにもかけ離れた状況・・。いや、言葉で表すのも難しい・・本当の意味での『別世界』の戦いの結果が遠眼鏡の中に現出していたのだ。

 

 名乗りを上げる事も無く、お互いが磨き上げた『戦士』としての力を競い合う素振りさえない。いや・・・彼らは自分達に何が起きたのかすら理解できないで絶命したのだ。まるで、幼子が虫を躊躇いも無く握りつぶすかの如く・・・。

 

 「こんなのは『戦い』じゃない・・・。釈然としないよ・・まったく・・。」

 

 本来なら、自分が属する陣営が勝利したのだから喜びが勝る筈なのだが。言いようのない不安と焦燥に煽られ、心が・・いや、魂がチリチリと燻し焦がされてゆくようだった。

 魂を焦がそうとする戦いの結果に、今までの自分が歩んできた『戦士』としての人生を否定されている様で苛立ちがこもった言葉がはしりでていた。

 

 「だから言ったろう?別世界の『戦い』になると。イライダはお気に召さないかもしれないがな?」

 

 秀人が呼んでいる『銃』という名の武器・・いや、兵器から躰を離さずに挨拶でも交わすような気軽さで言葉を返してくる。

 

 ほんの数刻の間に秀人が持つ力で、21人の屈強な男達がこの世界から永遠に消え去ってしまったのだ。なのに、戦士としての矜持や名誉を躱す事も出来なかったのに・・解っている・・解っているのだが・・どうしても納得が出来なかった。

 

 「気に入らないねぇ・・。アタシには向いてない『世界』だね・・。」

 

 人としての付き合いでかなりの好感を持っていたのだが。それら全てを塗り替えてしまうほどの衝撃を受けた後では、自分の思いを吐露したくもなる。それが、厳しさを伴った言葉を吐き出す原因でもあった。

 

 そんな思いも理解してくれているのか『銃』を構えたまま、沈黙をもって答えてくれていた。自分の人生を変えてしまう・・そんな恐怖感も伝わったのかもしれない・・。私の『矜持』を考えて、一瞬優しい静けさが訪れていた。

 

 「あんた達の『世界』は、日常茶飯事でこんな事が起きているのかい?」

 今までの自分の言動に恥を感じ、話をそらすために蔵人とアカリに向き直り質問を繰り出すイライダ。

 

 「いや・・俺やアカリちゃんの『知る』世界でもこんな事は見た事も無い・・それに、俺達の『国』は戦争が終わってから70年近く『戦い』の無い国だから。答えようがない。」

 

 「私も初めてです・・・『覚悟』を決めた筈だったんですが、既に決意が揺らいでいます・・」

 

 それぞれに今の『戦闘』を見て、衝撃を受けている様だった。平和国家日本に暮らしていて戦争の匂いも嗅いだことも無い一般市民だった二人に、意見を聞く方が無理な話だった。

 

 「70年も戦いが無い国なんて・・・夢物語の様な『世界』だねぇ・・一度は行ってみたいもんだ。」

 二人から帰って来た答えを自分なりに咀嚼しながら、『別世界』に思いを馳せる。戦いが人生の大半を占める巨人種には到底考えの及ばない話だった。

 だからこそ、行ってみたい感じてみたい世界ではあるのだが。複雑な感情と、考えが交錯し人生で三度目の混乱に陥っているイライダだった。

 

 「三人とも、話は終わったか?索敵にも生体センサーにも反応が無い。戦果確認に付き合ってもらうぞ・・いや、ちょっと待て・・。凄い速度で現場に向かってくる反応が在る。コイツは・・・?人間なのか?それにしては速度が異常だ・・。60kmは出ているぞ?」

 

 三人の話が終わるのを確認して、声を掛ける秀人だったが。外周警戒に就かせていたドローンが異常な速度で接近する反応を捉えるのを確認して、三人に状況を伝える。

 

 「この森林地帯を60kmって・・超人かよ?命精による強化にしたって、異常な速さだな。映像は拾えないのか?」

 秀人の報告を聞きながら、反応の異常さに呆れる蔵人。ドローンが反応を捉えているのなら映像も拾えるはずだから、手元にある個人情報端末(パーソナル・パッド)に送ってもらえるように促す。

 

 「ステルスモードだから気づかれてないだろう。来たな・・お~お~、一心不乱に走ってるねぇ。いや、跳んでるに近いね。なめらかな光沢のある黒い革鎧を着こみ、長剣を二本、背中に差している。腰にまわした革のベルトには構造のわからない鉄の塊を二つ吊るしてる・・こりゃ『銃』だな・・。顔つきは・・さっぱりと切られた黒髪に、強気な黒瞳、頬には一本の太い爪痕・・結構修羅場くぐってんなぁ。イケメンだし、チョットダークヒーロー的な・・?」

 ドローンが拾った映像を別ウィンドウで表示させ。三人には個人情報端末(パーソナル・パッド)で映像を確認してもらう。

 

 緊張をほぐそうと、軽口で応じて見せたのだが。蔵人とアカリちゃんの反応が鈍い・・いや、蔵人に至っては嫌悪感すら漂ってきそうなほど険悪な雰囲気になっていた。

 

 「蔵人・・・?知り合いかい?」

 

 「ああ・・・・『勇者』イチハラ・ハヤト・・・・俺の『加護』を奪った張本人さ・・・!」

 

 構えた銃を下ろし、凄まじい雰囲気を放つ蔵人を見やる秀人だった。

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