軌道降下兵   作:顔面要塞

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長らくお待たせして申し訳ありません。ちょいとスランプです・・・

冴えない文章力が、更に低下してしまい描く能力がすっ飛んでしまいまして・・。

この後の展開を構想していたのですが、脳みそが後送されてしまい、戦線が崩壊気味です・・・

戦線を構築しなをして。戦っていきたいものです。


結果

鮮やかな緑が広がる、アレルドォリア山脈の森林地帯。

 

長く厳しい冬を乗り越えて、様々な命が自らの存在を未来に託す為に躍動する季節に入っていた。冬の長さに比べれば、余りにも短い日々。だからこそ、全てを賭けて躍動するのだった。

 

そして、辺境部に暮らす人々にとっての恵みの季節。それ故に、躍動する命を求めて危険を顧みずに狩猟に向かう者が多い季節でもある。

 

だが、今、森林地帯を征く集団は。普段のハンター達とは違う目的で森林地帯を進んでいた。先頭を行くもの達は、其々に得意の得物を掲げており、動きを制約されない革鎧を中心とした軽装武装集団だったが。中ほどから最後尾にかけては、武装をしているのか疑うぐらいの、旅用のローブを纏っただけに見える巡礼の様な集団だった。しかも、よくよく観察してみれば。集団を構成しているのは、様々な種族であるとはいえ全て女性で構成されている特異な陣容だった。だが、一点だけ全員に共通している事があった。深い緑のローブを纏っていたのだ。

 

見る者が見れば、月の女神の付き人(マルゥナ・ニュゥム)に所属している事を示す衣装だった。

 

「ウニャ〜〜…アノオッサン早すぎるニャ〜…」

先頭集団に属する猫人種の女性が、ウンザリした様子で愚痴を流していた。

 

「マーニャ!女官長様の御言葉を忘れたのですか?そんな事では他の者達への示しがつきませんよ!」

燻んだ短い金髪を、馬の尻尾の様に紐で結んだ女性が。マーニャと呼んだ猫人種の女性を注意する。

 

「ソウデス。アリーのイウとうりデスね。キアイがタリていませんね。」

紅水晶の様な肌をもった女性が、深く被ったフードの下から軽くマーニャを諌める。

 

「ミナまで、そんな事を言うのかニャ~・・・デモ、この魔力の集中は異常だニャ!」

「そうですね・・・。女官長は距離を取りなさいと言われましたが・・」

「コノ事態に、対処デキナイ訳ではアリマセンネ。防護魔法を展開して状況を見守りツツ、救護のヨウイをシテオキマショウ。」

シテオキマショウ。」

「ウニャ~、ヤッパリそうなるのかにゃ~」

「オヤ?マーニャハ女官長様の『特別授業』をウケタイノデスカ?私はゴメンデス。」

「・・・うっ・・・ミンナ!しっかり防御するにゃ!・・・・あれだけはゴメンなのにゃあ・・・・」

 

 集団に流れる沈滞した空気。よほど女官長の『特別授業』が恐ろしいようだった。

 

 しかし、感じられる精霊力の増大は『特別授業』よりも怖ろしいモノになりそうだった。

 

 

 

 

陽の光が中天に輝き、夏に相応しい熱のこもった日差しを森林地帯に落とす。陽の強さに合わせた暑さが、容赦なく降り注ぐが。十分な栄養でもって成長した若葉が其れ等を防ぎ。深い緑に包まれた辺り一帯は、涼しげな風が囁いていた。

 

「ハヤト!!!大丈夫か!!?」

「ああ……こんな事って……」

「……ハヤト……その……ソコは……アレなのか……?」

「……落ち着きなさい!早く治療に入るのです!!命精に魔力を供給しなければ……!!」

「そうだ!落ち着け!負傷部位を確認するんだ!」

 

涼しげな風が吹き込んできている大きな木の陰で、気温に見合わない熱のこもった声が飛び交っていた。どうやらハヤトと呼ばれる仲間が、何かしらの大きな怪我を負っている様だった。

 

 「・・・・うっ・・・ぅうぅうぁ・・・・・」

 よほど酷い怪我を負ったのか、息も切れ切れに呻くだけしか出来ない様だった。

 

 「ちょっと!!!何を考えているのよアカリ!!!」

 「アカリ・・・いくらなんでも酷いじゃないか?」

 「流石に・・・この仕打ちは・・・言葉が無い・・・」

 「そんな事より・・・ハヤトの・・・その・・アレは・・無事なのか?」

 「・・その・・まだ、私は・・殿方の躰に関しては・・・その・・知識不足で・・」

 

 この事態を引き起こしたであろう、アカリと呼ばれる女性に対して口々に文句や苦情を投げかける女性陣。このパーティに於いて、いかにハヤトの存在が貴重なのか分かる感情の爆発だった。

 

 「お待ちなさい、あなたたち。今の今まで、勇者ハヤトの暴走によって壊滅しそうになっていた事を忘れたのでしょうか?」

 深緑のローブを纏った初老の女性が。落ち着いた装束からは想像もできない迫力を以って、五人の女達に呼びかけていた。

 

「それとこれとは、話が別ですわ!」

「アリス。アルバウム王族であり、魔法学園では寵児と言われた者の言葉とは思えませんね?貴女達が勝手に判断して行動して、結果的に今の事態に到達したのでしょう?」

「……それは……」

「重大なハンター規約違反です。さらに言えば、王族としての立場にも影響が出るでしょうね。」

「そんな事を言われる筋合いは…」

「ええ、勿論ありません。しかし、私達の発言を協会は無視できないでしょうね?さし当たってはハンター三種の資格査察、審問会、資格停止が相当でしょう。言い分はあるでしょうから、審問会で発言しなさい。」

 

アリスの発言を制し、旧冒険者ギルドから分派した三つの協会に隠然たる影響力を持つ勢力の長としての、威厳のこもった言葉だった。

 

「…ハヤトに対する攻撃も適用されるのでは無くて?」

ハヤトに行われた、蔵人とアカリの攻撃も同種のものだと主張するアリス。

 

「…そこまで考えが曇ってしまいましたか…彼に対する攻撃は、自らの身を守るためにした事です。結果的に暴走を止め、辺り一帯を焦土にするのを防ぎ。ハンター協会に対する信用失墜をも止めたのです。いかな勇者とはいえ、何をしても許されるわけでは無いのですよ?」

 

何とかハヤトに対する懲罰を防ごうと弁護に徹するのだが。こんな状態でも良く廻る頭脳は、オーフィアの言葉に反論の余地が無いことを告げていた。

 

「……証拠がある訳では無いでしょう?」

ここまで来ても、言葉をひねり出すアリス。

 

しかし、暴走に入ったハヤトをオーフィアは確認しているし。有名なハンターであるマクシームも状況を確認しているのだ。審問会が開かれた場合どちらの意見が採用されるか、火を見るより明らかだった。

 

「映像で良いなら提供するぜ?コッチの世界の魔法具で、似たような物あったよな…確か、記憶の水晶球だったか?其れに近いぜ。見るかい?」

 

オーフィアとアリスの不毛な言い合いに、決着をつける証拠の提供が、もう一方の当事者から提示される。アリスとの屁理屈論議に終着点を見出せないオーフィアは、すぐさま秀人が示した板状情報版(パッド)を覗き込み。諍いの最初から、暴走までの経緯を理解する。

 

「これは………言い逃れは無理ですね…。勇者ハヤトの治療が済み次第、アルバウムに帰国し。三協会合同の審問会に出席しなさい。王族としては拒否権があるでしょうが。その場合、二度と勇者ハヤトとパーティを組めなくなりますよ。勿論。もう一方の当事者であるヒデトさんにも出席して頂きます。宜しいですね?」

 

何かしら言い出そうとするアリスの機先を制し、厳しさを含んだ声音で審問会の開催と出席を告げるオーフィア。傍で板状情報版(パッド)を操作しているヒデトにも視線を移し、同意を促す。

 

「俺は別に構わん。其れに、トンガリ嬢ちゃんのワガママを許し。異世界の人間を拉致同然に召喚し、良いように使い潰している連中に一言言いたいこともあるしな。蔵人はどうする?」

「……俺は……ハヤトとの間には協定を結んだ…。それが守られていれば別にどうでも良い……個人的な恨みは…まぁ…アカリちゃんが意外な形で晴らしてくれたから」

 

秀人に話を振られ、ハヤトとの協約を思い出しながら、アレの痛みに苦しんでいるヤツを観ながら答える蔵人。若干、居心地悪そうに腰を回して、居住まいを正していた。

 

「……っ!!?…べっ別に、意図してやった訳じゃないですぅ!!不可効力……事故デス!!」

 

蔵人の言葉に。自分が仕出かした『事故』の重大さを、改めて認識するアカリ。暴走を止めるために振るった力が。よりにもよって、ハヤトの『アレ』を直撃するとは思っても見なかったし。棍棒を通じて伝わってきた、何とも言えない感触を思い出し。身を震わすのだった。

 

「……まぁ……暴走を止めて、皆んなの命と彼等の立場。両方を救ったんだから…気に病む必要は無いんじゃない?でも…見事な打ち込みだったね…」

「蔵人の言う通りだよアカリちゃん。自業自得だ。感謝こそすれ、非難される筋合いじゃ無いね。…が、ハヤト君のこれからの人生が。チョコっとベクトルが変わるかもね?色んな意味合いで……」

 

アカリが後悔し、反省しているであろう事柄について、冷静な意見を述べる秀人と蔵人。未だ思い悩んでいるアカリを見ながら、小声でハヤトの状態を呟き合う。

「アレは……もう、ムリじゃね?」

「命精では治療は出来ても、完全に壊れたモノは再生出来ないからなぁ……」

「エエェ!?魔法世界なのにダメなのかよ……まぁ…あの速度に質量…其れに氷精での冷凍攻撃……うん……ムリだな?」

「秀人の『商店』にあるだろう?そういう再生治療薬?」

「あそこまで行くと、再生治療ポッドに入らないと駄目だなぁ…未だ『商店』項目に無いしなぁ……『男』としては何とかしてやりたいが…」

「……ですよねぇ。俺、自分のモノ抱え込んじゃったもん。アレは……ヤバイって…」

「まぁ…マクシームの赤筋肉でも引きつってたからねぇ……えげつねぇっちゃ、えげつねぇ結果になったけども…」

 

仕出かしたことの大きさと、感触を思い出して悶々と頭を抱えるアカリを見ながら、好き勝手に講釈を垂れる蔵人と秀人であった。

 

 

 

「それでは、女官長様。勇者達の身柄は私達が預かります。」

「ええ、お願いするわ。でも、俘虜や犯罪者では無いから扱いには留意してね。マクシームも付き添っているから荒事にはならないでしょうし。ディアンティア、マーニャ、アカリさんの護衛を頼みます。一時、サレハドで保護致しますから」

「承りました女官長様。マーニャ、アナタもイクノデスよ」

「ウニャ〜〜…イルニークとモットイタイニャン…」

 

結局、騒動が収まった事を伝えられたオーフィアの部下達が、ハヤト達の身柄を預かり。一時、サレハドに戻ることになったのだった。さらに、怪物(モンスター)の出現を聞いたオーフィアが、調査をすることになり。遭遇した当事者で在る秀人達に、案内を頼むのだった。

 

「女官長様は、どうされるのですか?」

「私は彼等が遭遇した怪物(モンスター)の痕跡を調べます。一応、連絡は絶やさないように六名を連絡役にします。風精魔法の得意な者を選んでおいてください。連絡方法……」

「それには及ばないぜ。コイツを持って行きな。使い方は同行するアカリちゃんが教えてくれる。まぁ、遠距離会話用の魔法具だと思ってくれりゃ良い。あ…ちゃんと返してくれよ?」

「その様な便利な物が在るのですか…異界とは様々なコトが進んでいるのですね?」

「まぁ、魔法は存在しないがね?蔵人達と俺の世界はチョイと違うが。」

「興味深い話です。是非、お暇があればお話を聞かせて下さい。」

「コッチとしても願ったり叶ったりさ?何せ国際関係に、勇者がどう絡んでいるのか知りたいし。」

「では、調査がひと段落したら。その時にでも。」

 

オーフィアと情報交換を行う約束をして、怪物(モンスター)が出現したアレルドォリア山脈に向かうのだった。

 

 

 

 

「行っちまったな。さて、俺達はオーフィアの婆さんの言いつけ通りに、サレハドに向かうぞ!」

蔵人達を見送った後に、ハヤト達を連れてサレハドに向かうマクシーム達。

 

「…マクシームさん…ハヤトさんの周りの女性達が、すっかり大人しくなってるんですが…?」

 

「ああ、アカリも知っての通り。婆さんの影響力は大したもんがある。それにアルバウムの現国王の教育係だったことがあるのさ?しかも、三代に渡ってな。だからこそ、婆さんの言葉は重く無視などできない。いかな王族とは言え、そこんところは変わらん。それにリーダーがあの調子じゃ、大人しくもなる」

 

「……ぐっ……」

自分が仕出かした事の重大さを思い出し、言葉に詰まるアカリ。

 

「お前のせいじゃないさ?ハヤトのパーティへの苦情は、日に日に増えていてな。しかも他の二協会でもだ。いずれ、問題を起こすと言われていた。情緒絵不安定のリーダーに心酔してる奴等ばかり…誰もハヤトに意見を言わない。遅かれ早かれ揉め事は起きたのさ?」

「……そうだったんですか……」

「最悪の事態を止めたんだ!気にスンナ!!」

 

アカリの小さな肩を、軽〜く叩きながら。笑って流そうとするマクシーム。その優しさを感じながら、自らが起こした事の責任を幾ばくか果たそうと。秀人の『商店』で購入した治療薬を持って、ハヤトのもとに向かうアカリであった。

 

 

 

月日の流れとゆうものは、生を享受しているものにとっては早く感じれれる。しかし、生き物達が生まれる前から時を刻んできた峻厳な山脈には、どうでもいい事だった。常に其処に『在る』のだから。意思があったとしても、生き物達に関心を持つことは無いだろう。

 

「ただの洞窟だった場所を、見事な住まいにしていましたね。野宿には慣れている身からすれば、桃源郷の様な場所でした」

 

ハヤト達との諍いから三日程過ぎた、気持ちよく晴れた日。氷の怪物(モンスター)の調査を行なっているオーフィアが、連れの付き人達と、蔵人の洞窟での宿泊について感想を述べていた。

虐げられている女性を救出・保護・育成し。自分自身で生きて行く為の糧を得る技能を、身につけさせようとする月の女神の付き人(マルゥナ・ニュゥム)の教義は。男尊女卑が未だ根深く存在する世界にあっては、理解を受けることが難しい。それ故に、街や村などでも宿泊や商品の売買を断られる事が多い。

結果的に野宿する事が多くなる。勿論、教義を追求する為には仕方がない事だったが。女性ばかりの集団である以上、快適な場所での宿泊は望外の喜びになっていた。(さらに言えば、秀人の『商店』で見せられた様々な品物や、蔵人が作り上げた洞窟風呂での入浴も理由の一つになっていた)

 

「自分達の住む処を快適にしたいのは当然だろう?」

最後尾で雪白と共に警戒についている蔵人が、何気なく言葉を発していた。

 

「そうですね。でも、快適だった理由は他にもあるのです。御二人とも男性なのに、好奇の視線を共の者達に送らなかったのが新鮮だったのです」

蔵人の言葉に返す様に告げるオーフィア。

 

「女性の、しかも初対面の女性(ヒト)をジロジロ見るような事をするほど、デリカシーは欠けてないつもりだがね。それに、客人をもてなすのは主の務めだろ?まぁ、主は雪白先生なんだけどもさ」

オーフィアに理由を示す秀人。言葉の途中で雪白先生の抗議の吠え声が入り、主の部分を訂正する。

 

「やはり『異世界』の男性の考え方なのですね。コチラの世界では、其処まで考えが及ばない者が多く、苦労させられます」

 

「いや・・快適な人生を送りたいなら、女性を敵に廻したらダメだろ?それは危険度が高いコッチノ世界でも変わらん心理だと思うがね。事実、高ランクハンター同士で男女の差別があるなんて、聞いた事が無いぜ?俺が知っている範囲だけだけど」

 

「ヒデトさんの仰るとうりです。しかし一般の世界では、未だ男尊女卑が主流です。哀しい事ですが・・・」

嘆息しつつ、オーフィアが事実を確認するように呟く。今までの会話を聞いていた、連れの付き人達も下を向いてしまう。

 

「そうかい?俺は楽しい事だらけだがな。綺麗な女性達が、賑やかしくしてくれて楽しんでくれるんだ。それ以上の事は、あんまりねぇよ?なぁ蔵人?」

 

「ああ・・その点については同意するよ」

 

「そう言えば、お前さん絵を描いたよな?どうだい?記念に付き人さん達の絵でも描いてみちゃ。嫌じゃなかったらだが・・え?写真で良いじゃないか?莫迦だな、記念って言ったろ?付き人さん達も・・・満更じゃなさそうだぜ」

 昏くなりがちな話題を切り替えようと、無茶な変更を試して。蔵人にアサッテのお願いをかます秀人。二人ともお互いに対女性関連では実戦経験が乏しく、会話が滑りがちだった。

 

 自分達への気遣いなのか、突拍子もない会話を行う二人の男の遣り取りを見る付き人の女達。今まで、自立した女性として・・いや、一人のヒトとして扱ってくれなかった男達とは違う対応に。心に溜まった澱が流されていく感覚を味わっていた。

 そして、長らく忘れていた『女』としての感覚が呼び起こされて来ていた。

 

「写真よりも、蔵人さんの絵を見てみたい気がしますね?皆で書いて貰いましょう。」

 自らが率いて来た付き人達の心境の変化を、敏感に感じ取ったオーフィアが皆に提案する。あからさまに明るい表情を見せるようになった付き人達の姿を見て、心が少し軽くなるオーフィアだった。

 

 

「提案しといてなんだが、オーフィアさんと連れの皆は洞窟に避難してくれ。蔵人!雪白先生と一緒に後衛を頼む」

 

今までの明るい雰囲気が霧散して、無機質のゴーレムの様な態度で行動を指示する秀人。

 

 一体何があったのか訝しむオーフィア。連れの女達に至っては、あまりの変化に戸惑い心を乱す者も出てしまっていた。

 

「いったい何が起こったのですか?」

皆の声を代弁するように、オーフィアが落ち着いた雰囲気で質問を発していた。

 

「ああ・・お目当ての連中が出て来たのさ?しかも、大量にな?」

 

「え・・?私には何も感知出来ませんが?」

自らの感知魔法の範囲では捕捉できなかった為、ヒデトに言葉を返すオーフィア。

 

「それが『異世界』とコノ世界との違いさ?状況は逐一蔵人から教えられるだろう。さぁ、戦いの邪魔になるから洞窟に篭っていてくれ。貴女達の勇名は聞いているが、俺の『世界』の戦い方は『質』が全く違う。正直邪魔になる。お願いだから、戻ってくれ?」

 

 オーフィア達に話しかけながら、一瞬で機動強化装甲外骨格(スーツ)に装備を切り替える秀人。

 

「いいえ。私達も月の女神の付き人(マルゥナ・ニュゥム)怪物(モンスター)を前に引くことはあり得ません。それに、『聖霊魔法』があれば効率よく駆除が出来ますよ?」

 

 雰囲気が一瞬で切り替わった男を前にしても、臆することなく戦いに臨もうと告げるオーフィア。先程までの優しい態度が吹き飛び、冷徹な女官長の姿に切り替わっていた。

 

「仕方がねぇなぁ・・・蔵人!雪白先生!状況を確認する!付き人の皆にも眼鏡型情報端末(グラス・パッド)を装着して貰う。しかし・・ヤッパリ女性は強いねぇ・・」

 

 アレルドォリア山脈に、『真実』を確認した男の物哀しい呟きが吸い込まれていくのであった・・・。

 

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