ヘンな事に気を取られてしまい、本筋を見誤る結果になってしまいました・・・
以後、留意して活動に取り組んでいきたいと考えます!!
ご愛読してくださる読者の皆様。感想・意見・文句などなど・・ございましたら、即座に書き込みよろしくお願い致します。
駄文が良くなるように、精進いたします。
毎度、ありがとうございます!!
アレルドォリア山脈の奥深く。未だ、ヒト種が知覚することも出来ない極寒の地。凍てつく大地は分厚い氷で覆われていて、生命の存在を許さぬ様な様相を示していた。
氷雪の嵐を呼び起こし、己が力を誇示する様に荒れ狂う氷精達。だが、自らの力を振り続ける栄光の時は長くは続かない。どの様な存在であれ、必ず魔力を必要とするのだ。生きとし生けるものには、命脈を保つために何かを取り込まなければならない。それは超自然の存在である精霊にとっても同じ事。いずれ、魔力を渇望する時が訪れるのだ。
今、自らが起こした行為の代償として氷精達は飢えていた。本来であれば、アレルドォリア山脈から滲み出る魔素を取り込み存在を保つのだが。今回は、あまりにも魔素の量が少なかった。当然、全ての氷精が満ち足りることは出来ない。
飢えた精霊は絶望し、魔力を求めて姿を変える。魔力を求めて暴走し、変異するのだ。生ある者、魔を持つものを求めて喰らうのだ。憎しみと餓えによって増殖し、美しくも神々しい命を貰い受けに…麓で起きた命と魔力の爆発に魅かれて…
恐るべき姿となり。命を喰らう化け物達が、アレルドォリア山脈の深淵から進軍する…ただ、
アカリが、マクシームと
秀人から渡された
「これは・・・・氷の軍勢・・・?!」
3dグラフィックによって投影された、立体的なアレルドォリア山脈奥地の地形図。その山脈の奥地から、雪崩を打つ様に進軍してくる多数の光点が確認できた。
不明勢力と表示された光点は、急速にその数を増やし。今の地図の縮尺情報では朱い流れになってしか表示できなかった。
『いや、忙しい所すまんね?見ての通り、
不明勢力・・いや、
「侵攻方向から察するに・・まっすぐサレハド村に向かってきますね・・。でも、何故今になって・・・?まさかっ・・・!?」
『多分、アカリちゃんの察しの通りだと思う・・そうさ・・ハヤト君の暴走のお蔭だ。膨大な魔法力を感じ取った奴等が、見逃す筈は無い。にしても、ちぃと数が多いがね』
「蔵人さんや雪白さん!それにオーフィア様や他の方達はっ!?」
『いやね・・後退する様に言ったんだけども、聞いてくれなくてね。ヤル気満々で隣にいるよ。でも、聖霊魔法を装備に掛けて貰ったら、洞窟に篭ってもらうつもりだけど』
「でも・・・?!」
『
アカリの脳裏に、蔵人と雪白、自分を含めて闘った氷の怪物の記憶が蘇る。戦いの経験が豊富なイルニークである雪白さんをして、あそこまで苦戦したのだ。秀人さんの考えが正しく思われた。
『それでね。今、起きている事を一緒に居る連中に教えてやってくれ。討ち漏らしが無いように戦うつもりだけど、何事が起こるか分からん世界だから。村でも警戒と防備体制を整えておいて貰いたいんだ。マクシームは・・役に立たんから筋肉の防護壁になってもらって・・イライダが居るから、イライダと相談しながら事を勧めてくれ』
「分かりました。一生懸命働きます!!」
『よろしく頼む。本当はオーフィアさんに全体の指揮を取って貰いたかったんだが・・戻るには時間が無さすぎる。グアディのアホが居れば、もう少しマシになるんだが・・ヤッコさん、奥さんに離してもらえんからタンスクに居っぱなしだし・・悪いんだけど、アカリちゃんがキーになる』
「私が・・・ですか?」
『おいおい・・・自分の『加護』を忘れたのかい?オッサンの持ってる索敵機器でも捉えきれない存在も居るかもしれない。其処でアカリちゃんの『
「え…探知範囲は広がりましたが…精度と地図との照合には、まだ慣れてなく……あっ?!」
『そうだ。そこでオッサン装備が役に立つ。リアルタイムで流れる情報が、アカリちゃんの加護をサポートしてくれる。イライダにも
秀人に言われた様に、自分が探知した情報をイメージすると。
「……数が増えています!?」
『やっぱりか……ウチのドローンの探知範囲に掛からない…魔力検知も本格的に研究しないと、足元すくわれるな?それにしてもハヤト君大人気だな?恒星間アイドルかよ……?』
新しい集団は、一塊の軍勢となって雪崩の如くサレハド村に向かってきていた。
「……この数……サレハドに居るハンターだけでは対応出来ません!!」
『五十名程度いただろ?大丈夫だ。その為に俺がいる。準備に入るから、討ち漏らした連中を頼む。そんじゃね?』
秀人との交信が終了する。それでも通信リンクは確保されているから、何時でも会話ができるが。今はお互いに役割を果たさなければならない。
「イライダさん。通信は聞いていましたね?マクシームさん!ハンターを召集して下さい。
「………おぉ……どうしたんだ…随分、迫力のある顔付きになっちまって……」
「何か言いましたか?」
「イヤイヤ、なんでもねぇよ?……(頼もしくなりやがったなぁ……)それじゃ、皆を集める!」
何か言いたそうな満足気な笑みを残して、ハンター協会支部に向かうマクシーム。大音声で
「……何、不思議そうな顔してんだい?褒められたんだよ!今のアンタ、良い顔してるよ!さぁ!ヒデトに頼まれたんだろ?お互いにオンナの魅せ場だよ!!あの筋肉バカだけだと、直ぐに突っ込んじまうからね?手綱を握りに行くよ!!」
何とも魅力的な顔を魅せて。イライダが、アカリに声を掛けてくれた。
「……はいっ!!!」
イライダの呼びかけに応えるように、両頬を挟むように両手で叩き。気合いを入れるアカリだった。
「さて・・・サレハド村は連中に任せておけば問題ないだろ。アカリちゃんが探知した連中に追随する新たなドローンを『ポケット』から呼び出して・・っと!」
何もない処にイキナリ空中に顕われる、成人男性の頭部と同じ様な大きさの球体上の多面体。秀人の前方で浮遊した後、アレルドォリア山脈の奥地に向けて飛行して行き。数分で見えなくなってしまっていた。
「何なのですか、アレは?」
何も無い空間に突如出現し、浮遊して飛び去ってしまった多面体に面喰いながら。秀人に尋ねるオーフィア。
「ああ…見た事は無かったか。ドローンって言ってね、監視用の機械。『俺の世界』の代物。コッチの指示に従いながら、命令した事を自分で考え判断し行動する。人手が足りない俺達には、無くてはならない物。危険な場所への偵察なんか、チョ〜得意!調査した情報は即座に送られて来て、オーフィアさんに付けてもらっている
秀人の告げた内容を確認する様に、
「素晴らしいモノですねぇ…これがあれば、即座に対応を決めて行動できます」
「貸してるだけだから…相手の動きは、ある程度把握できた。そんじゃまぁ…コイツに聖霊魔法をかけて貰うかね」
先程のドローンと同じ様に、何もない空間から全長5メートル、幅1メートル、高さ50センチ程のコンテナの様なモノが顕れていた。
「何だいそれは?でかい荷物にしか見えないが…?」
イルニーク用の
「よくぞ聞いてくれました!取りい出したる是は・・・まぁいいか・・。
蔵人の質問に、おどけながら答える秀人。
「なんだ・・・ただのロケット弾じゃないか?三発だけで三千体にも及ぶ
さも自慢げに話す秀人の話を聞きながら。胡散臭げにコンテナを眺める蔵人。
「そういう事は、結果を見てから言ってくれ。それじゃ、オーフィアさん。聖霊魔法を頼みます!」
「この長い収納家具の様なものに聖霊を付与すれば宜しいのですね?では…」
秀人に確認をしながら、月の女神に捧げる祝詞の様に。抑揚をつけた旋律が流れ、IMLRS全体が淡く光を放ち始める。
「おおぉ・・・相変わらず原理が不明だが、凄いモノだって実感は湧いて来るなぁ・・では・・発射ブラストの被害が及ばなくて、最適の発射位置は・・・っと。スグに戻ります。あとでね?」
オーフィアが掛けた魔法の証である淡い光を確認してあと、ジェット噴流の影響を避けるために皆と距離をとる。
背部ユニットに装着されたドルタ式小型融合路から、爆発的なエネルギーを受け取ったブースターがジェット噴流を斜面に遺しながら
「・・・なんて事なんでしょう・・!?あんなに重さがありそうな鎧を纏って空を駆け上がるなんて!?」
秀人が山の頂に跳び上がる姿を見て、驚きの声を挙げるオーフィア。オーフィアと共に残った
「さてさて・・・・現在までの
アレルドォリア山脈の稜線に向かって上昇する
ドローンから送られてくる情報が処理され、ホログラフィック・ディスプレイ上に
それぞれの集団に符号が割り振られ、各集団毎に正確な個体数が符号の横に付けられていた。
アレルドォリア山脈の奥地から侵攻する、凡そ三千体に及ぶ氷の軍勢は。何かに取り付かれた様にサレハド村を目指し、途中に立ちはだかる魔獣達を蹴散らし。あるいは、食い潰しながら時速三十キロ程度で侵攻していた。
アレルドォリア山脈の稜線に着地し、
メインCPUから脳波を介してシナプスとの瞬間的なやり取りが行われ、秀人の脳波パターンから射撃準備命令を受け取った火器管制システムが目標を選択する。
アルファからガンマまで名付けられたそれぞれの集団は一千体程度。移動速度や地形、ドローンから得られた天候情報など諸元を入力された
仰角45度での最大射程よりも近距離であるために、55度の仰角を掛けて射距離を調節する。
《目標選択・・アルファから、ベータ、ガンマ。順次選択。IMLRS・・・スタンバイ・・『異世界』の洗礼を受けてもらおうか?》
秀人の脳波指示により、各集団に照準が入る。
《
電気的な接続により、秀人の発射命令が一瞬のうちに伝達され。IMLRSに格納されたM227ロケットの固体燃料ブースターが点火。最大射程15kmにもなるM227ロケットが、轟音と共に朱い炎を煌めかせ白煙を引きながらアレルドォリア山脈が広がる異世界の空に飛び出してゆく。
それぞれに、発射に際しての固体燃料ブースター燃焼による乱気流の影響を最小限に抑えるために、2秒ほどの発射間隔を於いてランチャーから打ち出されるM227。
大空に舞い上がったM227は、内蔵された誘導システムによりドローンから送られてくるリアルタイム情報を処理。的確に操舵翼を動かし最適な飛行経路を描いて、ぞれぞれの目標上空1000m程で外装フェアリングを分離する。
内蔵された16発のM112子弾が順序良く切り離され、M112子弾の後部に取り付けられたローターブレードが展開。降下速度を緩めながら適度な間隔を開いて、目標上空に広がって行く。
分離したM112子弾は、ローターブレードから得られた遠心力により回転を始め。上空250m付近で内蔵されたM112S孫弾66個を、遠心力によって円形に放出し始める。
放出されたM112S孫弾は、
遠くに響く雷鳴の様な音が空から聞こえ、数旬の時間、進撃を止めて空を見やる
その物体が空中で瓦解してゆき、何か大きな包みの様なモノを15.6個が顕われ回転しながら落下してくる。しかも、自分達を包み込む様に。
憎悪と飢餓、孤独と渇望によって生まれ出でた
だが、今、空から降って来る『モノ』には。自分達の存在を消し去る『温かな光』が備わっている。大した事の無い大きさの岩の様な『モノ』だったが、何故か身体が泡立つような感覚を覚え、対抗手段を持つ弓持ちのヤツが『モノ』に向けて矢を放とうとするときに・・・それは、起きた。
雷が連続して堕ちる様な、恐るべき響きがアレルドォリア山脈の奥地から聞こえてくる。その音は、この世界では一度も聞いた事も無い音の連なりだった。
「なんなのですか・・・?!あの連続した爆発は・・・?」
秀人から渡された
勿論、オーフィアと同じ様に
アレルドォリア山脈の上空から移された映像は。槍上の物体が
地面に触れたかと思った瞬間、小規模な爆発が怖ろしい音の連なりと共に起き。
ほんのわずかな時間に起きた現象だったが。爆発が収まり、煙が収まった
オーフィアが感じた様に、
自分達を包み込む様に降り注いだM112S孫弾は、着発遅延信管によって地面でバウンドしてから炸裂し。内蔵された超甲スチール製の鉄球352個を音速でまき散らす。しかも、
弓を撃つぐらいしか対応できない
M227ロケット弾一発でこの威力。レールガンや大出力レーザーが当たり前の様に存在する秀人の世界では、いささか旧式なのは否めないが。普段なら多連装ランチャーに搭載され、50秒間で一両当たり24発を投射。その余りにも絶大な破壊力をして『鋼鉄の豪雨』と恐れられた地球性の兵器が、『異世界』の
『これが、俺の『世界』の兵器さ?この世界の『魔法』も大したものなのだろうが。積み重ねて来た血みどろの歴史から創り出された『兵器』。あんた達の概念や想像力を簡単に凌駕してしまう・・しかも、このサイズでの威力・・・』
オーフィアの驚きに応える様に秀人から音声通信が入る。
「そして・・・これ以上の破壊力を持った『兵器』が『異世界』にはあり。その『兵器』をヒデトさんは振るうことが出来ると・・・?」
秀人の落ち着いた声を聞きながら、その先を言い当てるオーフィア。
ああ・・・なんて事なの・・?たった一人の異世界の男が、この世界にもたらした恐るべき『破壊』・・しかも、彼の持つ『兵器』はこれだけでは無い・・。私の言葉を肯定する様に、沈黙を以って答える甲冑の戦士。
私達の考える想像力の限界を簡単に突破し、なお先がある『異世界』・・・アリス・・あなたはなんて恐ろしいヒトを呼び込んでしまったの?
今は、『彼』は私達に味方してくれている・・・でも、何時、恐るべき破壊の矛先が向くか分からない・・・どの様な手段に訴えても、『彼』の敵意を刺激してはならない・・。
自分の考えを纏めながら、改めて映像を見る。
恐るべき惨状が他の場所でも同時に起こっていたようで。映る映像が三つに切り替わり、それぞれ違った角度で破壊され尽くした
不思議な事に、恐ろしい映像を見た事による身体の震えは止まっていたが、地面が小刻みに揺れているの感じていた。
おかしい・・・恐怖を感じる心を制御する事は、何度も出来ていたはず・・現に身体の震えは収まっている。何故視線が揺れているのだろう?先程放たれた『兵器』の影響だろうか?
そう考えながら、周囲に異常が無いか。連れて来た弟子達は大丈夫だろうかと、視線を合わせるオーフィア。
心配していた様に、先ほどの惨状を目撃した弟子達が震える躰を抑えてこちらを心配そうに見ていた。
「大丈夫よ。当面はヒデトさんが敵対することは無いわ?」
安心させようと、出来るだけ柔らかな口調で語り掛ける。しかし、彼女らの心配な表情は晴れなかった。
「いえ・・・オーフィア女官長・・・女官長の脚が・・・?!」
青ざめた表情のまま、在り得ないものを見るかのような視線をオーフィアの足下に送る弟子達。
弟子達の視線を受けた自分の足元を見ると・・・小刻みに揺れる自分自身の脚が見えていたのだった・・・。
四百年を超える時を生きて来たエルフにとっても初めての事だった。意志では無く、肉体の本能が恐怖を感じる様は。
オーフィアをして、そこまでの驚愕と畏怖を与えた存在は。鼻歌でも歌う様な声音で『残敵を掃討する』と告げて、淡い色の炎を煌めかせながらアレルドォリアの地に降り立つのだった。