申し訳ない!!遅くなり申した!!
感想・批評!!お暇でしたら一言でもどうぞ!!
では、またお会いしましょう!!
見渡す限り、紺碧の美しい海が広がるアンクワール諸島。
大小様々な形の島々が連なり、入り組んだ群島を形成していた。
百を超える程の群島の一つ。美しい白い砂浜を持つ小さな名も無き島に、一人の人種が漂着していた。この地域に住む南方系の人種が好む薄手の衣服ではなく。奇妙な光沢を持つ、両生類の皮膚を思わせる黒い衣服で身を包み。頭部は不可思議な形の兜で覆われていて、その者の表情は確認することが出来なかった。
状況から推察するならば。航海中に何らかの要因により海に投げ出され、この島に運良く漂着したのだろう。しかし、その者の運の良さも長くは続かない。砂浜から遠くない浅瀬から狼に似た魔獣が顔を出し、憐れな漂流者を獲物に定めて近づいてきていた。
奇妙な格好の獲物に眉をひそめながら、生死を確認しようと慎重に近づく。感覚器官を総動員して動きがない事を確かめ、最後に前足で獲物を少し小突いてみる。それでも反応が無い。二、三日海が荒れていた為、満足に狩もできず腹を空かせていた魔獣は満足げに口元を歪め、トドメを刺そうと喉元に喰らいつく。
しかし、何かの障壁の様なものが魔獣の牙を阻む。不可思議な感覚にたたらを踏む魔獣。あるいは、経験が豊富な魔獣であれば、それが人種が持つ何らかの力である事を察知して警戒態勢に移行できたのだろうが。生まれてから人種に対したことのない彼は、もう一度噛み砕こうと何の躊躇もせずに獲物にむかう。
突然、首回りを抑えられ身動きが取れなくなる。さらに、曝け出された胸部に熱く焼ける様な痛みが走り、苦痛の呻きを漏らす前に意識が霞んで行く。何故、この様な目に会うのか理解も出来ずに屍を晒す魔獣。この世に別れを告げる意識が最後に刻んだのは、自らの体液を滴らせている薄く美しい光沢の板だった。
打ち倒した魔獣の屍を見下ろしながら、ナノ単位で結合されたヘルメットを外す。パーツ単位で分解されながら、スーツ背部の格納スペースに収納される。本来なら戦闘用装備であるから、しっかりとした一体成型のヘルメットにするはずだったが。
ため息を吐きながら砂浜に座り込む蔵人。渇望する様な喉の渇きに、水精魔法で水を出し。濡れるのも構わず浴びる様に水を飲む。
満足したのか大きな息を吐いて呼吸を整え、バックパックに入っているスティック状の固形栄養剤を取りだして貪る様に食べ切る。渇きと飢えを凌いだのか落ち着きを取り戻し、改めて周りの状況を観察し始める。
エルロドリアでは浴びたこともない様なギラつく陽の光と、光を受けて輝く紺碧の海。海からの穏やかな波を受けて形を変える白い砂浜。砂浜から50m程奥に目を向ければ、見たこともない植物が様々に生い茂っていて、昼なのに薄暗い密林を形作っていた。緑豊かな極彩色の光景に圧倒されて自分が目指していた砂漠の国とは全く違う環境に戸惑う。
南国すぎる景色に眩暈を覚えながら、龍華国を目指して乗っていた大型帆船が精霊の悪戯に遭い、船底から真っ二つにされる情景を思い出す。
「くそっ・・・・出鱈目すぎるぞ・・?文献で読んでいたとはいえ・・なんなんだあれは?」
消化吸収の早い固形栄養剤のお蔭で落ち着きを取りもどす。イライダや雪白の事を考えるが、秀人から購入した緊急用救命パックを展開したお蔭で、二人の事は心配するのを止める。使用方法はレクチャーしたし、秀人の世界のモノだから頑丈さと信頼性は申し分ないものだった。海に出る前に展開して雪白に爪で一撫でして貰ったが、傷一つつかなかった。(その事に腹が立ったのか、終始不機嫌だったが)
精霊の悪戯によって船から投げ出された後、救命パックに三人で乗り込み。氷精魔法で球体防護壁を展開しようとしたところで、精霊からの一撃を貰い自分だけ投げ出されてしまい。引き離されてしまっていた。
その後は、魔力の続く限り氷球を展開して海の上を漂流し。魔力が尽きた時点で気絶してしまい、いまに至る訳だった・・・・。
「さて・・・・どうするか・・?何処に運ばれたか分からないから、迂闊に動けんしな・・かといって、この場に留まるのも・・・やはり、一頭だけじゃねぇよな・・?」
先程仕留めた魔獣と群れを形成していたのか、同じような個体が密林から四頭。海の中から頭だけを出しているのが三頭確認できた。
急速に体力が回復してきていたが、それに合わせて同じように回復してくれないのが魔力だった。この世界の人間ならば、魔力と体力は生命力と同じ意味だったから。両方が尽きてしまえば、蔵人の様に立ち上がる事さえ困難であり、先程の魔獣の餌食となっていただろう。
増大してゆく魔力の量と急速な回復力の点では、間違いなく『異世界の勇者』であるのだが…いかんせん、特異な技能は奪われていたから。一旦、非常事態に陥ってしまうと対応に苦慮せざる得ない。
同じ群れの息絶えた姿を確認したのか、密林から出て来た大きめの個体が悲し気に大きな遠吠えを上げる。そして、遠吠えの鎮魂歌の終わりを待っていた様に、蔵人を包囲するかたちに動き出す魔獣達。
各個体の目には哀しみの色合いはまったく含んでおらず。憤怒と復讐に染まった憎悪の輝きに支配された昏い光が、各個体の両目に爛々と燈っていたのである。
「もちろん…
海と陸から半包囲された状況を確認しながら、自分が取り得る対応を吟味してゆく。魔力量は急速に回復しており、平常時の半分程度までになっていたが。自分の得意とする氷精は、サレハド動乱における怪物達からせしめた両手に装備された氷の小盾の中の二つと海の底の方に微かに感じられるだけであり、攻撃には使えない。感知できるのは土精…だが石精魔法の範囲に入る砂の精霊だけだった。
さらには、魔獣達は精霊魔法の行使に敏感で。魔力を感知して、敏捷に避けてしまう。余程の遠距離で放つか、前衛が攻撃している間の気を取られている状態に撃ち込まないと命中は期待できなかった。
魔法が感知されてしまうなら、相手の攻撃に対する防御に回して仕舞えばいい。下手に打って消耗するよりは、遥かにマシというものだ。しかし、防御ばかり行っても結局は手詰まりになる。
前衛を雪白に任せていた戦い方を見た秀人に、注意された事を思い出していた。『雪白先生が何時も側にいてくれるような甘い状況ばかりじゃない。シッカリと自分なりの闘い方を確立しないと、いずれ手詰まりになる。エッ?近接戦の能力が絶望的に無い?イライダにも呆れられた?仕方がないなぁ蔵人くんは…そこで…』
そこまで蔵人が考えていたところで、魔獣達が動き出す。半包囲した群れの中から、正面と左右の魔獣がタイミングを合わせながら蔵人に対して攻撃に出る。若干、連携のとれていないところが経験の少なさを物語っていた。けれども、攻撃を受ける側の蔵人のとっては初見の相手であり、そのような事は感じられなかったため。魔力を石精に渡して、防壁を作ることによって防ごうとする。
急速に獲物の周囲で湧き上がる魔力を感知した魔獣達が即座に対応。攻撃をやめて半包囲した仲間の場所に戻り、蔵人の様子を伺う。正面から攻撃してきた少し大きめの個体が威嚇の声を鳴らし、周囲の群れに指示を出す。蔵人が展開した防壁の意味を悟り、数によって防壁を粉砕するつもりのようだった。
「クソっ…出鱈目カモノハシオオカミめっ!!見た目以上にオツムは悪くないらしい…」
言葉を理解したのか分からないが、蔵人の悪態が合図となって一斉に攻撃を仕掛けてゆく魔獣達。経験の少なさを補うように、 正面から突入してくる年長の個体以外は二頭づつ連携を取りながら防壁に体当たり交互に行う。一頭が防壁に向かえば、もう一頭が警戒しつつ休息する。
一撃辺りの効果はさほどでもないが。連続して行われている為、確実に防壁を痛めつける事に成功していた。その意味するところは、蔵人の時間的余裕が喪われている事と同義であった。
「ホントに嫌になる程頭はいいな?だがな・・・・こんなモノは、喰らった事はないだろっ・・・よっ!!!」
カモノハシ狼の間抜けな姿に似合わない狼の様な群狼戦術に辟易としながら、右手に装備していた軍用ナイフを左胸のナイフホルダーに収め、腰回りから両腿に備えられたユーティリティーベルトに吊るされた密閉型ホルスターに手を掛ける。
装備者の生体パルスを感じ取った高機能ホルスターが、瞬時に『銃』に施されたナノコートを解除して使用可能状態に持ってゆく。
日本人にしては大きな手を持つ蔵人が、独特の窪みを持つラバーグリップに手を回して『銃』と呼ぶには大きな『兵器』を抜き放ち、流れるような動作のまま正面の個体に照準し・・・発砲!
耳をつんざく轟音が蔵人の腰の両側で発生。魔獣達が・・いや、この世界の者達が今まで見た事も無いような奇妙な形状の細長い物体から朱い煌めきを伴って射出された『異世界』の弾頭。
手にした巨大な『銃』を構えながら秀人との遣り取りを思い出す。
『そんな近接戦闘が絶望的な蔵人君でも、巨人種と正面切って渡り合える『エモノ』がコイツです!!』
『拳銃・・・?それにしては莫迦デカイな?』
『普通の拳銃弾じゃ安心してコッチノ世界の連中とは渡り合えないと思って選んだんだが・・デカすぎたか・・まぁ・・当たれば雪白先生でも一撃で戦闘不能になる事請け合いですよ!いってぇ!!その尻尾何とかなりませんか?威力は半端ないモノなんだが・・反動がね・・とも考えたんだが・・お前、この世界に来て異常に鍛えたんだな?強化しなくても扱えるぜ?撃ってみろ。撃ち方は教えてやるから・・え?弾代?『商店』ってのは便利でね。最新式じゃなければ値段がドンドン下がるのよ?レイジングブルは2000年代の武器だけど、現代の材質に変えられていてお値段御高め。でも.500S&Wマグナム弾は当時のままだから通常の一万分の一とゆう破格のお値段!!。さぁ、練習練習!!』
『Taurus Raging Bull Model 500』リ・モデル。
全長419mm・重量2041g。銃身長10インチ。装弾数5発。現在の技術と材質に変更されたリ・モデル。恐るべき威力を持つ拳銃弾最強クラスのデザートイーグル。その50AE弾を遥かに超えるエネルギーを与えられた.500S&Wマグナム弾を放つ冗談としか思えない回転式『拳銃』
一撃でグリズリーを筆頭とする大型獣を屠るために生まれ出でた『怪物』。その圧倒的な破壊力を持った『怪物』が異世界の『魔獣』に挑む。
弾丸径12.7mm、弾頭重量23gのジャケット式ホーロー弾が、初速620m/s・4200ジュールのエネルギーを持って標的に突き進み、大して厚みの無い魔獣の外皮を貫通。衝突の衝撃でマッシュルーム状に変形した弾頭部が、恐るべきエネルギーを効率よく体内に及ぼし、破滅的な損傷を魔獣に与える。
自分の躰に何が起こったのか理解する事も出来ずに、二発の弾丸を胸部に食らった魔獣は、叫び声すら上げる事も出来ずに二発合計8400ジュールの運動エネルギーを受けて砂浜に転がっていた。
瞬間的な轟音と共に群れの長兄が砂浜に転がる光景を目にして、蔵人を包囲していた群れの動きが数瞬止まる。
そんな数旬の時間も見逃さない圧倒的な集中力を発揮している蔵人には、的が大きいだけの鈍間な獲物にしか見えていなかった。
スローモーションの様に見える世界を感じながら、射撃練習の感覚がよみがえる。
『・・・・・何てゆうんですかね・・・本当に銃ヲ撃ツノハハジメナンデセウカ?』
『なんだぁ?その固まった喋り方。ド素人だと言っていたじゃないか?』
『いえね・・・確かに素人なんですが・・なんか、こう・・様になっているんですが?』
『友達に詳しい奴が居てね。そいつの話と動きを覚えていたのさ?』
『友達・・・居たの?』
『そこまで社会不適合者じゃないぞ!』
『いやぁ・・・それにしても少し教えるだけで50m先の標的に悉く命中してるんですが・・?あれか?の〇太君か?しかも劇場版の?もしくは『俺のリロードは革命だ!!』の方の転生とか?あるいはルパ〇三世の相棒さんとか?・・・・』
『・・・・何を言っている?お前までオカシクナッタカ?』
『いや・・・忘れてくれ・・。だが・・『いいセンスだ・・』とだけ言っておこう・・』
ほんの一瞬秀人との会話に思いを巡らせる。
次の瞬間・・・先程と同じ轟音と煌めきが起こり、レイジングブルの射撃音が砂浜に響き渡る。そして、三つの音の連なりと同時に、砂浜に打ち倒される六頭の魔獣達。
長兄と同様に骸を晒し、新たな『異世界』の洗礼を受けて冥府へと旅立つ・・生まれ出でて三年から四年程度の幼生体で、やっとの事で狩を覚え始めた矢先だったが、現実とゆうものは残酷な結末を用意していた。
奇妙な魔獣達を撃ち倒して状態を確認。完全にお亡くなりになっているのを確認する為に、魔獣達に対して砂玉をぶつけようと精霊魔法を行使する。
順繰りに蔵人の周りに展開した砂玉が、作られた順序に従ってそれぞれの標的に向かって飛んでゆく。
『いいか?相手がどんな状況にあっても確実に生死を確認するんだ。まぁ、いま使用している弾の威力であればダブルタップは必要ないが・・その代りに魔法でも使って動かない事を確かめろ。何故かって?死体は反撃してこない。要するに無害化するんだ。この世界では出鱈目がまかり通っているんだ。そこら辺はシッカリ行って、自分の安全を図れよ?』
射撃練習中に、戦闘の心得の様なモノを語っている秀人。言われた事に頷きながら射撃練習を継続する。秀人に言われて気になっていたが、確かに異様に『銃』がしっくり来ていた。それが何故なのか、自分でもよく分からない。ただ『銃』を握った時に躰と心・・いや、もっと深い『魂』の様な部分が語り掛けてきていた。
それが一体何なのか理解することは出来なかったが、納得したように躰は動いていた。不思議な感覚だった。
秀人にその事も話してみても理解を得ることは出来なかった。
『お前がそう感じるんならそうなんだろうな。ただ、射撃に関してはもう一流だ。こればっかりは俺にも分からない。軍隊でもズブの素人がイキナリ才能を発揮することが無いわけじゃないから、その感覚は大事にした方が良い。お前の数少ない『武器』になるぞ?そいつはとても重要な事だ』
少なくない弾を消費した射撃練習後の秀人の言葉を反芻しながら、砂玉の直撃を受けた魔獣達を観察する。
その合間に腰にある弾薬ポーチから.500S&Wマグナム弾を取り出しリロードを行う。未だ装弾には慣れていない為、少し時間が掛かる。しかし、防御を病的なまでに重視する蔵人はリロードの合間でも氷精と石精で防御壁を展開して、危険を軽減していた。
今も、イキナリの実戦であったが。『銃』を握った瞬間に冷静さを取り戻し、的確に対応することが出来た。あながち、秀人の戯言もあるのかもしれないと、装弾の終わったレイジングブルを見ながら思い返していた。
リロードを終えたレイジングブルを構えながら、打ち倒した魔獣達に反応が無い事を確かめる。砂玉をぶつけても反応が無い事から、殺害した事に確信を持つ。
この『地域』を縄張りにする一族なら、この『群れ』以外にも集団を形成しているかも分からない。姿形自体もお目にかかった事が無いし、文献にも載っていなかった。
サレハドやドルガンで仕入れた情報には載っていない事もあったから、南の地域では当たり前の魔獣でも、北部では知られていないのかもしれなかった。
だからこそ、油断だけはしない。今は独り・・・誰も頼ることは出来ない・・。
今の戦闘の音を聞きつけて様子を見に来る魔獣も居るかもしれない。安全を確保するためには周囲を偵察し、状況を把握。危険を排除しなければならない。
「・・・ならない・・かもしれない・・・か・・。秀人と一緒にいると、予測や可能性を考えすぎてしまう癖がついたな・・・」
周りの状況を見ながら、思いがけずに独り言が漏れる。そんな自分に苦笑しながら、今後の事を考えようとした蔵人の感覚器官が警報を発する。
密林の奥から何かを引きずるような音が漏れ聞こえ。それに合わせる様に、微かな呼吸音が流れて来ていた。
「真打の登場か・・・?」
蔵人の呟きを待っていたかのように。薄暗い密林から、先ほどの魔獣達を三倍にしたような大型の魔獣が二頭、姿を顕わしていた。
「デカイな・・・なんだ?河童に・・半魚人?」
二頭の魔獣の大きさに感想を漏らしながら、それぞれの魔獣が咥えていた狩の獲物らしきものの姿が・・・どう見ても河童と半魚人だった・・。
顕われた二頭の魔獣は、砂浜に打ち倒され絶命している同類の幼生体を目にすると。驚愕に目を大きくし、二頭揃って悲し気な咆哮を挙げていた。
そして、自らの一族を屠った蔵人に憎悪の光を放ち。復讐を果たすため力を溜めこむ様に屈み、襲撃態勢に移行する。
「まぁ・・そうなるわな・・。だがっ!!」
自らに向けられた憎悪を受け止めながら、瞬時に臨戦態勢に入る蔵人。
一族に被害を与えた人種を睨みつけ、ため込んだ力を一気に解放。恐るべき早さで蔵人に肉薄する二頭。彼我の距離が20mを切った場所で計ったように左右に分かれ、相手を幻惑しながら挟撃の体制に移行する。
一族に起きた惨劇を確認した二頭は、目の前の生き物が油断のならない相手と判断。今を持って取り得る最高の攻撃を決意する。
いままでに数多くの哀れな犠牲者を創り出してきた自分達の襲撃が成功する事に微塵の疑いも抱いては居なかった。自分達の牙と爪が獲物に届く数瞬の合間にお互いに目配せし、狩の成功を確信して口元に笑みを浮かべる。
瞬間、閃光と轟音。
二頭の魔獣に穿たれる二つの射入孔。胸元に大きな衝撃を受け、体全体に力が入らなくなり。咽喉の奥からは激痛と共に体液が駆け上がって来て口の中に溢れ、呼吸を苦しくさせる。
先程まで勝利を確信していた視線は砂浜に落ち、屈辱的な打ち倒された証明の様になっていた。
何が起きたか分からない・・・胸元から体全体に広がる激痛に意識を薄ませながら、番の方に意識を向けようとするが、視線が動かなかった。
動かない視界が捉えたのは、奇妙な色の細長いモノが自分に向けられるところまでだった・・・・
静まり返った砂浜に立つ蔵人の両腕から、火薬の燃焼残滓の硝煙がたなびいていて。包囲を形作っていた魔獣達に目を向ければ、それぞれの頭部に射入孔があり。美しい白い砂浜に奇妙な色の生命の残滓をぶちまけていた。
レイジングブルをホルスターに戻し、ゆっくりと息を吐き出しながら魔獣達を見渡した後にゆっくりと呟く。
「・・・・・Good Night・・・・」
誰に聞かせるモノでもない言葉が、砂浜に硝煙と共に流れてゆく。
砂浜に打ち寄せる波音は、先ほどまで起きていた戦いの残り香を打ち消す様に穏やかに響いていた・・・