アナザーエンドの後日談   作:眼鏡が好きなモブ男

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そこそこペース維持は出来てる…かな?
今更ですが、()内は主人公の心の中で思っている事です。ちょっとだけ違います


波乱…?

あの初デートを終えた後も普通に日は過ぎていき、勿論再び本拠地へと戻る事になったのだが、今までとは違う事が一つ。

朱里と連絡先を交換したという事が何よりも大きな成果だ。「こっちも暇な時にメールするからそっちもするといい」とも言われているため、これからは寂しい思いをすることも無さそうだ。

 

ある日練習をしていると、監督が俺の方へと来て「これからはスタメン起用もある」と言ったため、その日はいつもよりも集中して練習をした。

 

二ヶ月後。レギュラー争いは続いたまま、関東でのビジター試合だったため、朱里にメールを送ることにした。

「今日会えるか?」

「大丈夫。〇〇に集合で」

「了解」

その日の試合ではいつもよりも力を出せた気がする。

集合場所に着く直前、めちゃくちゃデカい女性がいた。しかも、どこかで見た気がする。

(いつだったかこんな事があった気が……)

しかしそれはいつの間にか気にならなくなった。何よりも、朱里に会える。それだけで充分だ。

 

 

 

 

 

「あ、おーい、朱里ーー!」

「大声で呼ばないで。恥ずかしいじゃない」

いつも通りな事にほっとしつつ、話題を考えていると少し驚く発言があった。

「……ちょっと話したいことがあるの。家まで来てくれない?」

いつもあまり自分からしたい事を言わない朱里からそんな事を言われるとは思わなかった。しかし、だからこそその話の重要さや他人に聞かれたくない話なのだと分かる。

「…分かった。付いていくよ」

「ありがと。…人多いわね、手出して。」

「…?分かった」

手を差し出すと、朱里はそれをぎゅっと握りしめた。

「は?え?」

「?」

「いや、何でもない」

(…普通逆なんだけどな……)

少し彼女の手の温もりを意識しながらも、俺は不安になっていた。

彼女がそうまでして聞かれたくない、それでいて話すべき事。いったい何があったのか…

そんな不安を抱きつつ、長い道のりを終えて朱里の家へ辿り着いた。

「さて、上がって上がって。今紅茶出すから。あ、コーヒーの方が良い?」

「どちらかって言うとコーヒーかな…ってそんな良いよ」

「そう?遠慮しなくて良いのに。ほら、そこ座って」

「あ、うん。それで、要件って?」

ひとまず部屋を見渡してみる。

意外と片付いている。結構ごちゃごちゃしてそうなイメージだったが。

そんな思案が伝わるはずもなく、朱里は俺の問いに答えた。

「ああ、前買い物行ったの覚えてる?」

「そりゃ覚えてるよ」

「その時、買ったやつ忘れてってたのよあんた」

「……言われてみりゃそうだったな…。…で、それだけなのか?」

「そんな訳ないでしょ。それなら会う時に渡せば良かった話じゃない」

「…じゃあそっちを頼むよ」

「分かった。…これは、お願いなんだけど」

「何だ?」

「その、こっち見ないで聞いてくれる?」

「…分かった」

「ありがと」

お願いを聞いて、反対に振り向いた。

すると、腹に手が回された。つまり、抱きしめられているのだ。

「…朱里?ちょっと危ない気がするんだが…主に世間からの目が」

「別に抱いてくれって言うわけじゃないんだから良いでしょ」

そういう事をバッサリと言い放つ所辺りも彼女らしいと言うべきだろうか。

「そういう問題じゃ無くてだな…まあ、話してくれ」

「前に帰ってくる途中での出来事なんだけど………」

 

 

 

 

 

「はーー…帰ったらすぐ寝ようかしら…」

疲れてそんな事を口にしながらいつものように騒がしい道を歩いていると、一際目立つ人影が見えた。

(…デカっ!190は超えてるわね…しかも女性だし)

気になってずっと見ていると、不意に目が合ってしまった。

しまった、と思っているとあっちの方から凄く悲しげな顔をして目を逸らした。

「……?ねえ、あなた。どうしてそんな顔を…って、え?」

凄まじい勢いで彼女は逃げていった。しかし、土地勘に勝るこっちに分があったようで、追いつくことが出来た。

「…何よ。急に逃げて」

「いや、すんません、こっちが悪かったです」

(…どこかで会った気がする。そういえば、アイツも会った気がするって言ってたかしら。ここは…)

「…変わらないのね」

「……!!?あ、朱里、お前記憶が…?」

「…残念。あなたなんて見た事ないわ。さて、どうして私の名前を知っているのかしら?」

「…こ、こりゃ逃げるが勝ちやな。ほなさいならー!」

「?!」

そう言って彼女は飛んでいった。何も仕掛けはないのに…

 

 

 

 

「って事があったのよ」

「それは、いつの話なんだ?」

「……一ヶ月くらい前…かな」

「なんですぐに言ってくれなかったんだ!」

振り向きながらそう言うと、俺は彼女が見ないでと言った理由を知った。

彼女は泣いていた。全く震えた声を出さず、あくまで平静を保ちながら泣いていた。

「…だから、見ないでって言ったのに。ほら、あっち向いて」

「……分かった」

「…あなた、親の顔思い出せる?」

「そりゃあ思い出せるけど」

「声も?」

「うん」

「口癖も?」

「…キツいかも」

「仕事は?車は運転してた?喧嘩は良くしてた?」

「ど、どうしたんだいきなり…」

「…私は、覚えてる。父さんの好物も、家族で良く行った場所も、その景色も、お弁当のおにぎりの形も、全部!すぐに思い出せるのよ。鮮明に、鮮明すぎるほどに!」

「……!」

「あまりにも、不自然すぎる。だからきっと、この記憶は偽物。記憶だけじゃない。あなたが今まで『浜野朱里』だと思っていた私は、全く別の何かかもしれないのよ!それなのに、それなのにどんな顔してあなたに会えばいいってのよ!!」

「……朱里」

「取り乱してごめん。で、ここからが本題なんだけど」

(え?本題じゃなかったのか?!)

「別れ話を切り出そうってわけじゃないわ。むしろ逆よ。…私の記憶を取り戻すのを、手伝って…ください」

「分かった」

「え?即答?」

「当たり前だろ。なんというか、頼ってもらえて嬉しいし。……もしかして、自分で調べてたのか?」

「どうしてもお手上げだったのよ。それに、初めて会った時の言葉が引っかかって」

「…会った事がある気がする、か。でも、今でもそんな感覚があるだけで、思い出したりなんて無いぞ?」

「それでも良いのよ。少しでも手がかりになる…はず」

「…そう言えば」

「何?」

「さっきの話で出たデカい女性…今日見た気がする」

「本当?!」

「ああ、待ち合わせ場所の近くで…」

「次はそこで決まりね。…それじゃあ、改めてよろしく。相棒」

「ははは、相棒か。よろしく」

こうして、記憶探しが始まったのである━━




軽くイチャイチャ回です。
前回も言った気がするのですが、この先ほっとんど考えていないので(出来て二、三話くらい)、投稿ペースに関しては勘弁してください……
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