チーズ系転生者   作:カチカチチーズ

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 供養致しまする



鴉は中天を舞う:IS

 

 

 

 

 それは宙空を翔ける。

 自由に空を飛ぶ鳥のように、その背から黒翼を広げ悠々とそれは宙空を飛ぶ。

 眼下を睥睨するそれはまるで嘲笑うかのようにその鋭利な爪を擦り鳴らす。

 

 眼下にあるのは橙の華。されど華と笑うな、それは充分に鴉を殺す毒を孕んだ華であるのだから。

 

 ギチギチと爪が掻き鳴り、異形にも似たアイラインより覗かせる非生物的な瞳が眼下の華をどのように散らすか思案する。

 何処までも冷徹に冷静に。

 鴉は嗤う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 視線が突き刺さる。いや、実際に突き刺さっている訳では無いのだがただ、そう表現しても問題ない程の視線が俺へと集中してしまっているのは事実だろう。

 心もとい肝の弱い小心者がこの場にいれば即座にこの視線で緊張し倒れかねないが図太さだけはあるのを自覚しているだけありこの程度の視線など大したものでは無い。

 さて、何故ゆえに俺がこうして視線という針のむしろとなっているのか説明しよう。いや、説明しなくても分かる人間には分かる気がするがそれでも一応の説明は必要だろう。

 

 

 俺は、崇宮渡は転生者だ。

 いや、もしかすれば憑依者かもしれない。だが、少なくとも俺は前世で確かに死んで、そしてこの今世で黒羽渡として生を受けた。ならば、それはどう言い繕っても転生者である他ないだろう。

 ちなみに死因だがなろう系や笛吹でよくあるようなトラックから他人を守ったとか神のミスとやらでもなく、かといってSAN値を削ってくるような邪神の気まぐれという訳もなく、一人バレンタインにチーズフォンデュのチェダーチーズで喉を火傷しそして、チェダーチーズが喉や気道を塞いで死んだに過ぎない。と言うよりもそれ以外の理由で死んだとは思えない。

 そこ、笑うな。いいか?世の中どんなもんでも下手すれば凶器に変わるんだ。マフィアのヒットマンとか知ってると納得出来るだろ?だから、人間はチーズでも死ねる。

 それを女王メイヴが物語っている。

 

 さて、話が脱線していた。

 チェダーチーズによりご臨終した俺ははれて別世界へと転生した────五、六歳まで殆ど前世と変わらない世界と思っていたがな。

 どうして?それはだな、十年前に起きた事件ととある発明が原因だ。

 白騎士事件。とある天災が世界中のミサイルをハックしぶっぱなしてそれを撃ち落とさせた事件。

 宇宙空間での活動を目的として開発されたマルチフォーム・スーツを注目させようとしてその事件を引き起こした結果、哀れな事に飛行パワード・スーツつまるところ軍事用に転用されてしまった作成者の理念を無視された発明品。

 

 この二つまで言えば分かるだろ?

 そう、この世界は『IS───インフィニット・ストラトス』の世界だ。

 あの基本的に女性しか動かす事の出来ないISが出てくるライトノベルが元の世界だ。

 あの女尊男卑の色々と面倒臭い馬鹿がいる世界だ。そして、ナノマシンやら試験管ベイビーなんて存在する世界だ。転生したいって奴はいるだろうが少なくとも俺は転生したくない世界の一つなわけだが………既に転生して十数年。俺は高校一年生、後片手の指で足りる年数で成人だ。

 今更どうこう文句も言ってられない。

 

 

 さて、ここまで言って俺の状況が理解できない人間なんぞそうそういないだろう。

 俺、崇宮渡はIS学園へと入学してしまった。

 

 思い出すのはここに入学するきっかけとなったこと。原作主人公もとい唐変木ことワンサマーがISを動かした事による弊害を被ったわけだ。二度目の高校受験を終え、合格発表を待つ身の上となった頃に近場の施設でIS適合の有無を判別する検査を受けさせられ、そして物の見事に適合してしまった。

 そうして、あれよあれよと気がつけば祖父に荷物を詰められこうしてIS学園へと来てしまった…………なんともいつも通り豪快でついため息とも言えぬ何かをついてしまう。

 

 さて、説明終わり。

 

 

 俺が在籍するクラスは一年三組。織斑一夏や篠ノ之箒にセシリア・オルコットが所属する一年一組や凰鈴音の一年二組、更識簪の一年四組ではなく一年三組。やったね!原作ヒロイン誰もいないよ!

 ヴァカめ!そんな都合がいい事あるわけなかろう!

 

 状況が状況な為にあまり首を動かせない。そして、俺の座る席は一番前の席だ。『た』から始まるのが前の席って……少しあれだがその辺りは意外とあったするからとやかくは言わないが。

 まあ、それはともかく。かれこれ既に自己紹介と言えるイベントは終わりを告げひとまずこのクラスに所属する人間の名前を全部とはいかないまでもそれなりに覚えた筈だ。そして、その中で俺の心中を揺さぶる名前が二つ。というより二人。

 

 ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー。

 ロランツィーネ・ローランディフィルネィ。

 

 片やムエタイ……ムエタイだったっけ?ともかく母親がその辺の世界王者でそれの英才教育受けたタイキック少女。

 片や宝塚地味たレズビアンな少女。別に俺自体はレズビアンに対して特に何も言わない。というか過度に男に対して愚痴愚痴罵詈雑言さえしなければ基本的にその辺は個人の自由なのだから。

 兎にも角にもそんな二人の少女の名を聞いて、もう俺の胃は疲れている。

 ああ、アーキタイプもあるのか……なんだったかアーキタイプに出てきた敵……アレは出ないでくれるととても助かるんだが。アレ、やろうと思ったらいつの間にかにサービス終了してたから詳しく知らんのよな。

 

 と、どうやら軽い担任からの連絡も終わったようだ。少し短いが休み時間でひとまず原作主人公の顔でも見に行くか────あ、無理ですね。

 

 

「ねえ、どうする?」

 

「声かける?」

 

「無愛想っぽそうだけどもそこがいい!」

 

 

 背後より何となく聞こえてくる女子の声やらに俺はここで一組に顔を出すのは危険というか無理と判断して、ひとまず今日のあたりは予習に勤しむとしよう。ああ、当たり前な話だが。流石に織斑一夏のように参考書を電話帳と間違えて捨ててなどいない……というかそもそも電話帳と間違えたからといって捨てるか?

まあ、それは主人公補正によるマイナスという事で……………………正直に言おう、こんな風に平気そうな地の文だが、わりとガチめに俺の胃はツラい。キリキリしてる。死にそう。

 多分下手したら吐血するのでは?

 

 

「すまない、少しいいかな?」

 

 

 ────。

 声をかけられた。先程の自己紹介で聞いた声であり、印象的だったからよく覚えている声だ。

 声の持ち主に応えるために身体ごとそちらを向けばやはりそこにいるのは予想通りの人物。

 

 

「ああ……なんだろうか」

 

「いや、なに。二人目でこのクラス唯一の男子に少し挨拶を、と思ってね」

 

 

 ややカールしている銀髪に何処と無く男装が似合いそうな麗人。そんな印象を抱かせる彼女の名は────

 

 

「ロランツィーネ・ローランディフィルネィ……だったか」

 

「ああ、ロランと呼んでくれ」

 

「崇宮でも渡でも、好きに呼んでくれ……」

 

 

 曰く九十九人の恋人がいるというオランダの国家代表候補生。

 原作ではおらず、なんかいつの間にかに始まっていつの間にかに終わっていたアーキタイプ・ブレイカーというアプリに出てきたヒロインの一人。確か、篠ノ之箒を百人目の恋人にしようとしてたらしいが…………まあ、その程度しか知らない。

 さて、そんな彼女がいったい俺なんぞにどんなようなのだろうか。……いや、もうその用済んでるのか。あくまで挨拶しに来ただけなんだからな.......いや、流石に挨拶だけなわけはないのか?

 その辺について軽く疑問を抱いているとロランは微笑みながらこちらに手を伸ばしてきた。

 

 

「では、ワタルと呼ばせてもらうよ。これから一年間よろしく頼むよ」

 

「……そうだな。こちらこそよろしく頼む」

 

 

 どうやら杞憂だったようで、俺は彼女の手を取りそのまま握手を交わした。まあ、仲良くは出来そうかな?

 

 

 

 

「はい、それじゃあクラス代表を決めようか」

 

 

 原作主人公の顔を見ることなく、休み時間は終わり次の時間が始まって早々に担任───小野川千聖先生が黒板にクラス代表と書いてから言い放った。その言葉に俺は軽く疑問を抱いた。

 クラス代表決めるのって確か、一回授業挟んでからじゃなかったっけ?という疑問だが……すぐにそれはあくまで織斑一夏のクラス、つまりは一年一組の話であった事を思い出した。

 そうだな、クラスが違ければ流れも多少は違うものか。俺はそれに納得しつつ今回の件に関してはスルーすることを決める。

 わざわざクラス代表になる理由がないのだから。

 

 

「はい、先生。クラス代表ってなると何があるんですか?」

 

「そうだね、まあクラス委員長みたいなものかな?でも、クラス委員長とは違うのはクラス代表戦に参加するってことだね」

 

 

 代表戦で優勝すればその恩恵をクラス全体が受けれるわけだが……原作が原作だからなぁ。原作知識だけじゃあその恩恵は詳しく分からない。

 少しその辺りが気になるが……まあ、多分、代表戦なくなって関係なくなるんだろうなぁ。

 

 

「まあ、代表戦があるから専用機持ちが基本的に代表になるんだけども、別に専用機持ちじゃなくても代表になって大丈夫だから。代表になれば、アリーナと訓練機使用での優先権が貰えるから練習に関しても大丈夫だよ」

 

 

 ま、それぐらいなきゃどうしようもないもんな。専用機と訓練機っていう差は言わずもがな、稼働時間もあるからな。優先権でも貰えなきゃ瞬殺で終わる。

 まあ、俺にはまったくもって関係ない話なんだけどな!

 

 

「へぇ、じゃあ私やろうかなぁ」

 

「専用機に勝てるの?」

 

「うぐぅ……」

 

「流石に稼働時間や性能差が大きすぎると思うのですけど?」

 

「それね」

 

「じゃあ専用機持ちの人に頼む?」

 

「それしかない」

 

 

 どうやら、専用機持ちに任せるようだ。勝ったな。

 

 

「専用機持ちはこのクラスに三人いるから、とりあえず聴いてみないと」

 

 

 三人?ロランとヴィシュヌ・ギャラクシー以外に専用機持ちがいるのか……知らなかった、イレギュラーか?

 

 

「まず、オランダ代表候補生のローランディフィルネィさん。タイの代表候補生のギャラクシーさん。そして、崇宮くんだね」

 

 

 …………?………………!?

 

 

「……先生、いまなんて?」

 

「あ、崇宮くんに実は専用機が用意されててね」

 

「…………あ、はい」

 

 

 うせやん。

 嘘だと言ってクレメンス。みんなで俺を騙そうとしてる……!

 うわぁぁぁぁあああ!!!

 

 

「えっと、私としてはあまり目立ちたくないんですが……」

 

「私もあまり荒事は好まないんだが……」

 

「…………専用機と言っても明らかに経験が断トツでないんですが」

 

 

 主人公と違って補正ないんで、普通に無理です。ぶっちゃけ甲龍に対してスモグレでも焚いて、白式には引き撃ちするぐらいしか勝ち目なさそうなんですけども。特に後者は絶対に卑怯とか言ってくる人いるの知ってるよ!

 いや、それよりも。それよりもだ、専用機?Why?

 一体どこの物好きが俺に専用機なんざ提供してきたって言うんだ?まあ、その辺のことは早くて今日中に知れるんだろうが……。

 

 

「まさか、全員がやりたくないとは思わなかった……こう、専用機持ちって我の強いイメージが…………いや、忘れて今の」

 

「「「えぇ〜どうしようかなぁ〜」」」

 

「今日担任になったばかりの先生強請る気満々なのかなぁ!?」

 

 

 憐れ。さて、どうなるのだろうか、もしかしてもしかすると総当たり戦とかやらされるのではなかろうか。

 それは断固拒否するのだが、さて。

 

 

「仕方ない。仕方ないなぁ.......じゃあ専用機持ちで総当りして勝った人の意見を聴こうか」

 

 

 フラグだったか.......!!

 

 

「.......それはそれで目立ちそうなのですが」

 

「自分の意見を押し通すには時として強硬手段を取らざるを得ないか」

 

「つらい.......」

 

 

 間違いなく俺の二乙で終わるだろう未来から逃れたい。助けて。

 そもそも初心者が訓練機もとい量産機じゃない専用機なんかで経験者に勝てるわけがないんだよ、わかるか?専用機なんていう使えば使っているほど慣れ親しみ力を引き出せるけど性能がピーキーなやつと違って量産機は使い易いんだよ。凡俗が使って安定した結果が出せるから量産機なんだ。

 それを考えたら初心者な俺が使うとしたらどっち?当たり前に量産機の方だろ普通。にも、関わらず専用機?死にますね、間違いない。

 初めての専用機なんぞで経験者に勝てるのはそれこそ物語の中だけなんですよ。え?織斑一夏?いや、アレは養殖ものだから、そもそも性能違うでしょ………………アレ?もしかして、俺は天然の男性IS適合者?やだぁ!養殖ものよりも研究されるじゃないですかァ!

 まあ、そんな事分かるのは多分、篠ノ之束だけだろうけど……いや、一番知られてちゃ駄目な人やんけ!?

 

 

「はい、それじゃあ総当たり戦ってことで。それじゃあ他の係等々決めてこうか」

 

 

 はよ。このIS世界を焼くようなイレギュラーはよ。

 この後、普通に係が決まっていった。なお、俺は特に何も係にはならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 さあ、放課後ですよ放課後。

 後は帰るだけ!……まあ、寮生活なんですけどね。はぁ、辛いわ。

 どこぞのワンサマー同様、先生から鍵を受け取って俺は一人、寮に向かう。

 流石はIS学園と言うべきか、女子しかいない。まあ、男子なんて本当に俺とワンサマーしかいないからな、仕方ない。いや、ほんと……視線が痛い、帰りたい、むしろ別の世界に転生したかった。

 例えばオーバーロードとか。あの世界に転生してたらやりたいことがいっぱいあった……ダークソウルしたり、ブラッドボーンしたり、なんならライダー的なオーバーロードになってもよかった。

 例えばポケモン……ガラルのジグザグマを愛でたかった…ダンゴロ、モノズ、メラルバ、タツベイ、チルット、タマザラシ、ユキワラシ、ヨマワル……よよよよ…。

 例えば……いや、言うまい。ようよう考えたら、ポケモンが一番無難だったわ。とりあえず、主人公らよりも早くに旅初めてルチアと旅したいんだけども。俺、悪タイプメインで使うから。なんならメスのチルタリス育てるから、おじさん倒して恋人関係認めさせるから。

 まあ、そんなもしもは置いておいて、俺は一人、寮を進んでいく。

 途中でワンサマーの背中を見かけた際はこのまま逃げようとも考えたがしかし、遠回りする事とかを考えたら嫌な為、大人しくワンサマーを通り過ぎる事にした。

 ワイヤレスのイヤホンを両耳に着けるものの音楽はかけずにそのまま早歩き気味に歩き、ワンサマーの横を通り過ぎる。

 何やら、ワンサマーが驚いたか、声をかけてきたのかは知らないが何やら言ってるが残念ながら耳にイヤホンを着けてるから普通気づくはずがないんだよねぇ。音楽流れてないけども。

 既に担任に部屋は男子同士では無いことを謝罪されている為、ワンサマーとは同室じゃないし、記憶通りなら俺の部屋番号とワンサマーの部屋番号はそれなりに離れてる。だから、無視しても問題ないな。

 

 

 

 そうして、階段をいくつか登って部屋番号通りの部屋の前に立ち、俺は目を細める。

 まあ、男女部屋なわけだがこれが一番不安なんだよなぁ。

 相手の女子がいったい誰なのか、流石に原作ヒロイン勢というのは無いだろう。ともなれば、一般女子生徒という事になり、下手を打てばその女子生徒が女尊男卑に塗れた女子生徒の可能性が大いにあるという事だ。

 辛い。

 もしや、奴隷扱いされるのでは?抵抗?そんなことしてみろ、女子生徒が俺に襲われたとかのたまって大変なことになる未来しか見えないからな?

 とりあえず、女尊男卑に塗れてない事を願って俺は扉をノックする。

 しばし遅れて、入室の許可が聞こえて来る。

 

 

「……ふぅ、お邪魔します」

 

 

 一度深呼吸をしてから、俺は扉を開けて────

 

 

「おかえりなさい。ご飯にする?お風呂にする?それとも……わ・た・し?」

 

 

「…………入水してくるか」

 

 

 とりあえず転生ガチャをしよう。

 

 

 





 え?戦闘?何それ美味しいの?
 流石に書けん·····そもそも、この話は書きかけの奴を書くかぁと思って書いたもので·····ええ、戦闘は今の頭の中にないのです。

ちなみに、この話の主人公の見た目はFateのデイビットを思い浮かべてください。見た目と中身が乖離する男。
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