「遊馬くん。君は、輪廻転生って言葉を聞いたことはあるよね?」
「あ、ああ…………」
彼女のカードによって進化したホープ。それについて聞いてみると、こんな言葉が返ってきた。
輪廻転生。流石に単語くらいは知っている。その大まかな概念だって、ある程度ならば答えられるだろう。確か、人の魂は死んだり生まれ変わったりを繰り返しているとか、そんな感じだったはずだ。
そのように返すと、彼女は笑って「そうそう。それそれ」と告げ、歌うように続ける。
「だけど、細かな部分までは流石に知らないんじゃないかな?
ざっくり分かりやすく説明すると、魂にも幼児期、若年期、青年期、老年期、超越期、無限期といった段階があって、輪廻を繰り返す度にその位が上がっていく、なんて考えなんだけど」
「…………」
───やべぇ。早速だけど、全くついていけねぇ。
彼女が丁寧に語ってるのは分かる。でも、その内容はさっぱりだ。魂の位とか聞いたこともねぇし、段階がどうのとか言われても「そうか」としか浮かばない。そもそもこれは、ホープの進化と何の関係があるんだ?
俺がそう思っていると、彼女の話は俺にとっては突如として、しかし彼女にとっては当然の流れで核心へと至る。
「ランクアップっていうのもそれに近い考えでね。
ヒトの場合も輪廻を重ねて超越期まで至れば守護霊や菩薩、神といった概念的存在にまで成長するんだけど、多分それがアストラル世界なんだ」
「…………へ?」
───アストラル世界?
どうして、ここでアストラル世界が出てくるのか。話を聞いても理解ができずにいる俺を他所に、彼女の話は続く。
「仏教的には解脱、なんて言われてるけど、アストラル世界の住民は、魂のランク、つまりはその格を上げることで更なる高みへ至ろうとしている。それこそがランクアップ。
でも、全てが全てそうじゃない。ヒトが罪を犯すように、その過程で逃れ切れない『業』を背負ってしまう魂だってある。それが、カオスと言われている力なんだよ」
「…………」
「もちろん、全体数は少ないだろうね。魂とはそのランクを上げる度に、現世への関心を無くす傾向がある。
これはその魂の持ち主が神や霊魂に近づくことで、物欲などといった欲望に関心がなくなるから、なんて言われてるんだ。
故に、その段階にまで至った魂は、カルマを成就させることにより現世を解脱する。これこそがアストラル世界。ただし、ここに例外が存在する」
「…………」
───例外。穏やかじゃない言葉だ。
未だ話の内容もわからない俺だけど、この流れで出てきた「例外」が良いものであるとは到底思えない。
なにせ、神様の逆。それに至れなかったモノ。不穏な空気を醸し出すには充分だ。
「それがバリアン世界………堕落した魂だね。
堕落って単語は知ってるよね? 快楽や欲望のまま生きると堕落して悪魔と化す…………ちょっと宗教は違うけど、大体同じだからまあいいや。
これもちょっと解釈が難しくてね。厳密に言えば、というか私の持論では無住処涅槃なんかも含まれてるような気はするから、あまり一纏めにはしたくないんだけど…………」
「…………よく、わかんねぇ」
「大丈夫。君の年齢で理解されたら逆に怖いから。
それで、魂の格と同じように、悪魔にも位階といった概念が存在する。こっちはシンプルに上位中位下位といった感じなんだけど、これがバリアン世界におけるランクアップだね。
業を重ねて凶悪に。いちいち別の存在に転生したりしない分、単純でわかりやすく強力になる。
ヒトの魂は老年期なら強いってわけじゃないからね。勿論ランクを上げればそれはそれだけ凄いんだろうけどさ」
「…………」
業を重ねる。これもまた、穏やかじゃない言葉だ。
業ってのはよくわかんねぇけど、話を聞く限りでは罪のようなもので相違ないだろう。それを重ねる。つまるところ連犯。姉ちゃんが報道関連の仕事をやってるからこそ、罪を重ねることの恐ろしさは理解できる。そして、彼女はそれをバリアン世界なのだと。
「悪魔となるには、アストラル世界と同様、魂のランクを超越期まで上げなくてはならない。つまりその過程で、しっかりとランクアップを体感している。
ヒトの場合にも老年期辺りの人物には過去世が見えたりとかするみたいに、それよりランクの高い彼らにはそれくらいは容易いはず。多分彼らは、その感覚を自分のモンスターに当てはめているんじゃないかな。
高みに至る過程を。カルマを重ねる欲望を。ランクという要素に上乗せしてね」
「あんたも、そうなのか?」
耐えられず、無遠慮に発言する。彼女の言が正しいのなら、彼女はホープにカルマとやらを重ねた。故の質問だ。すなわちそれは、彼女という存在の根幹についての質問に等しい。
「そうだねぇ。あんまり吹聴したいことじゃないけど、私はちょっと前世の記憶とか持ってるから…………。
そして、私の場合、まだ解脱せずにカルマの清算をしてる段階だからどちらの力も扱える、というわけだね」
「…………そうか」
だが、返ってきた言葉は、これまた理解できないもの。いや、彼女の解説をきちんと理解できていればわかることなのかもしれないが、少なくともこの俺には、結果として理解できないことがわかった。ただ───
(───どちらでもない、か。そうなのかもな…………)
いつか彼女が言ってたこと。きっとこれだけは、嘘ではない。先の解説を聞いてなお彼女が何者かを理解できない俺だが、とりあえず彼女はバリアンとやらでもアストラル世界の人間でもないことは伝わった。ならば俺は、彼女を信じてみたいと思う。
それこそが、今の俺にとって、最善の方法だと思うから。
「あ、わかんない? わからないよね? そんな貴方に、このさなぎちゃんが各国の宗教について教えてあげようか?
いやぁ、実は私の前世は
「い、いや、別に…………」
「ちょっとだけ、ちょっとだけだから!
ほら、これを聞けば、君もランクアップができるかもしれないよ遊馬くん!」
「お、落ち着けって…………今はまだ、デュエル中なんだから」
「───そうだったね。
じゃあ、決闘を再開しようかな」
…………まあ、話は相変わらず理解できないんだけどさ。確かにランクアップについては、多少の興味はあるんだけど。
☆☆☆
「私はバリアンズフォースの更なる効果を発動!
相手エクシーズモンスター1体のオーバーレイユニット全てを、この効果でエクシーズ召喚したモンスターのオーバーレイユニットにする!」
「なにっ!?」
完全耐性のモンスターであろうとも、そのエクシーズ素材だけは別だ。エクシーズ素材はフィールドに存在するようで存在していない扱い。故に持ってるモンスターの格とは何の関係もないわけで。
でも、なら《スペース・サイクロン》とかどういうことなんだろう、と思うことはある。フィールドにないはずのエクシーズ素材をフィールドから墓地に送るって割と意味不明な文章だよね───まあ、いいか。
「そして、この効果でエクシーズ素材を奪われたモンスターの攻撃力は、奪った素材の数×300だけダウンするんだけど…………こっちはハートアースには効かないから無効だね。
だけど、まだまだ終わらないよ!」
宣言と共に、手札のカードを手に取る。
元よりホープレイVではハートアースに相性が悪いのは承知済み。言い方は悪いが、このカードは単なる繋ぎだ。活躍させるのは、ホープを重用している遊馬くんに任せるとしよう。
「更に私は、手札から《RUMーアージェント・カオス・フォース》、発動!
自分フィールドのエクシーズモンスター、ホープレイVを選択し、そのモンスターを更にランクアップする!」
「えっ!?」
「なんだと!?」
《RUM-アージェント・カオス・フォース》
通常魔法
①:自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターよりランクが1つ高い「C」と名のついたモンスター1体を、
選択した自分のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
せっかく召喚したホープの進化系が単なる踏み台だった事実に遊馬くんが驚いているが、そんなことはどうでもいい。
ハイハイホープホープな遊馬くんとは違い、私はそのホープホープすら出来ない手札しか持っていないのだ。そこから望むべく形に運命を持っていくためには、やはり運命力の高いところを利用するしかない。
それに、多分だけど結果としては良くなる、はずだ。…………きっと、おそらく。
「私はランク5のホープレイVで、オーバーレイネットワークを再構築!
ランクアップ・ダイレクトカオスエクシーズチェンジ!
混沌なる世界の亡者よ。我が力によって赫焉に集い、混濁とした現世に君臨せよ!
ランク6、《CNo.5 亡朧龍 カオス・キマイラ・ドラゴン》!」
《CNo.5 亡朧龍 カオス・キマイラ・ドラゴン》
エクシーズ・効果モンスター
ランク6/闇属性/ドラゴン族/攻 0/守 0
レベル6モンスター×3体以上
①:このカードの攻撃力は、このカードのX素材の数×1000アップする。
②:このカードが攻撃を行ったダメージステップ終了時、
このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
このカードは相手モンスターに続けて攻撃できる。
③:バトルフェイズ終了時、LPを半分払い、
自分・相手の墓地のカードを合計2枚対象として発動できる。
その内のカード1枚を持ち主のデッキの一番上に置き、
もう1枚をこのカードの下に重ねてX素材とする。
「で、でけぇ…………」
呼び起こすは、アニメ終盤にてベクターが用いた巨大な赤き西洋龍。
面倒臭いタイプの連続攻撃を持ち、更には面倒臭い冗長なロック効果ももっている面倒極まりないモンスター。正直、こんな場面でなければ素直にレディジャスティス辺りを出してお茶を濁したかった。でも、今はこのカードこそが最適なのだ。
「ハートアースの攻撃力アップは、攻撃モンスターの元々の数値。
でも、この子はその素の数値が0。つまり、攻撃力は変わらない」
「でも、今のあいつのモンスターの攻撃力は2600あるぜ?
なら、どっちにしろ突破できないんじゃ…………」
「慌てないで。
カオスキマイラドラゴンは、攻撃力がオーバーレイユニットの数かける1000ポイント上昇する効果もある。
すなわち、その攻撃力は6000! 更にはオーバーレイユニット一つを使って連続攻撃ができる。
一撃目は3400、二撃目は2400って感じに火力は下がっていくけど、彼のライフは5000だから、面倒臭そうな効果も全て無視してこのターンの内に彼を下せるって寸法だよ」
「おお!」
万人を安心させる柔らかな口調(自慢)で、諭すように遊馬くんに語る。
ぶっちゃけこの攻撃で仕留められるとは微塵も思ってないが、安心する分にはいくらでもするべきだから構わない。たださえ彼はダメージを負ってるし、次に出してくるだろうモンスターも彼に取り付いてる何かも、本来なら遊馬くんが知るべきものではないのだから。
「
私はカオスキマイラドラゴンで、偽骸神 Heart-eartHを攻撃!」
「むぅ…………!」
6000ものパワーがハートアースに迫り、フェイカー諸共その外殻を消し飛ばそうとする。
先に述べたように、フェイカーの残りライフは5000。ガーベージオーガを装備しているハートアースは未だホープの攻撃力を加算されたままでも、これ以上がなければこれで頭打ち。すなわち、これで王手。でも。
「ハートアースの効果発動!
オーバーレイユニットの無いこのカードが攻撃対象に選択された時、このカードをオーバーレイユニットに、私のエクストラデッキから《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》をエクシーズ召喚する!」
「なっ…………新しいナンバーズ!?」
(───王手であっても、
なんか微妙に条件が違うが、ハートアースドラゴンが出るだろうことも予測済み。そのために事前にカードを伏せたわけだし、わざわざ更なるランクアップをしたのだから。まあ、伏せカードはあくまで保険だけども。
「偽りの骸を捨て、神の龍となりて現れよ!
《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》!」
《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon》
エクシーズ・効果モンスター
ランク9/闇属性/ドラゴン族/攻 0/守 0
レベル9モンスター×3
①:このカードは戦闘では破壊されない。
②:このカードが特殊召喚に成功した時に発動する。
相手フィールドに攻撃表示で存在する全てのモンスターの表示形式を守備表示になる。
この効果の対象になったモンスターの表示形式は変更できない。
③:このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージを無効にし、
その戦闘ダメージの数値分だけ相手ライフにダメージを与え、
自分はその数値分だけライフポイントを回復する。
④:このカードの特殊召喚後に相手フィールド上に置かれた全てのカードは、
その次のターンのスタンバイフェイズ時にゲームから除外される。
⑤:このカードがエクシーズ素材の無い状態で破壊され墓地へ送られた時、
このカードは1度だけ墓地から特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚したこのカードの攻撃力は、
ゲームから除外されている全てのカードの枚数×1000になる。
「おお…………」
思わず漏れ出る感嘆の息。カオスナンバーズでもないのにはっきり感じる吹き荒れるカルマ。カオスの力を便利以上に見たくないこの私でも、こればかりは畏敬の念を向けざるを得ない。
何故なら。ナンバーズとは、ヒトの心を映す鏡。そして、あのカードより感じられる感情は───
(───
いや、ちょっとこれは、笑えないなぁ…………)
アニメでは悪以上の視点を持てなかったこのカードだが、実際に見ると随分と印象が違う。かなり歪んでる部分はありそうでも、私にはこのナンバーズを単なる邪魔者として見ることは、少し、できそうにない、かな。
───まあ、でも? それと勝負とはまた別なんだけど?
「守備表示にされちゃったか…………なら仕方ないね。
メイン2に入り、私は永続魔法、《ランクアップ・スパイダーウェブ》を発動。
このカードの効果により、カオスキマイラドラゴンのオーバーレイユニットを一つ取り除くことで、一つ上のランクのエクシーズモンスターをエクシーズ召喚する」
「馬鹿な、更にランクアップだと!?」
《ランクアップ・スパイダーウェブ》
永続魔法
このカードはルール上、「RUM」カードとしても扱う。
①:自分フィールド上のモンスターエクシーズ1体を選択して発動する。
選択したモンスターのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、
選択したモンスターよりもランクが1つ高いモンスターエクシーズ1体を、
自分のエクストラデッキから、選択したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚できる。
このターン、この効果でエクシーズ召喚したモンスターを対象にこのカードの効果を発動できない。
②:このカードの効果でエクシーズ召喚を行わなかったターンのエンドフェイズ時に発動する。
このカードを破壊する。
罪とは、重ねるもの。業とは、背負うもの。カルマを積み、清算を怠り、手遅れとなった救い難いナニカ。
それがカオス。それこそが欲望。この世で最も醜く美しい力で、それ故強大極まりない、生きるべき原動力である。
だが、人間とはそれだけではない。その欲望を理性で抑えることができるのも、知性ある生命体の特徴なのだから。
「───そうだ、先に言っておくね…………」
「───?」
「私、
遊馬くんへと向き直り、にへらと笑ってエクストラホルダーからとあるカードを手のひらに引き摺り出す。
これは、私のサイファードラゴンと同様の、否、それ以上のコントロール奪取効果を持つ─────そうだ。ここで改めて言うまでもなく、あの時のカードである。
「───世界に広がる、ビッグな愛。
現れろ、ランク7、《No.11 ビッグ・アイ》!」
ランク7、眼征竜ビッグアイ。───そう、これこそが禁断の一手。同一のナンバーズ!
今まではさりげなぁく(強調)アニメに出てないナンバーズを使っていたこの私だが、既にここまで彼と関わった以上、隠し立てしても意味はないと判断してのことだ。
ちなみに、このビッグアイさんの効果はアニメの完全下位互換です。具体的にはナンバーズ耐性がありません。まあ、それでも異常に強くて制限までかかったのがこのカードなんだけど。
「ビッグアイだって!?」
「一体いつから、私のナンバーズが君のと全く同一じゃないと錯覚していた…………?
なんてね。同じなのは一部(※大半)だよ。何せナンバーズとは人の心を映し出す鏡。千差万別な人々の欲望の化身なんだから」
───嘘は言ってない。嘘は。…………真実も言ってない。まっこと、私って地味にアレな人間だなぁ。
「人の心を映す…………?」
「───え? そこから? ナンバーズ使いなのに知らなかったの?
…………ちょっと、アストラル? くんを起こして。話をするから」
「いや、まだ無理だと思う。あいつ、相当参ってるみたいだから。
…………それに、あいつも多分、それを知らないんじゃねぇかな」
寂しそうに、しかして気丈に遊馬くんが呟く。これまた私のどストライクの表情でぶっちゃけ割と滾るけど、そんなことはどうでもいい。
というか、そうか。勘違いしてたけど、こんな前提にして重要な情報さえ彼は知らなかったのか。これを知っていれば、相手の人格からナンバーズの能力を推察できたりとか便利そうなのに。もったいない。
「まあ、今はいいや。そもそも、私が口出すことじゃないしね。
私はビッグアイの効果を発動。オーバーレイユニットを一つ使い、相手のモンスター1体のコントロールを得る。
私は当然、ハートアースドラゴンを選択するよ」
「なんだと…………!」
進化して攻撃的になった分、進化前の保守的な効果が失われたハートアースドラゴンがビッグアイの洗脳光線に屈し、こちらに侍ってフェイカーを睨みつける。なんだろう。私がやったこととはいえ、その光景は中々に来るものがあった。
…………うん。やっぱり最強のナンバーズはこの子だね。だってほら、こんなにも恐ろしいんだもんビッグアイ。オバハンやヌメヌメさんも余裕で突破できるし(対抗できるジャイアントハンドレッドさんすら火力が足りない)、もう全部この子でいいんじゃないかな? あ、でもベクターは無理だっけ。いや、アニメシャイニングもバトルフェイズ限定だったかな? まあいいや。
(───これで、後は…………)
これで、状況は整った。今からすることを思うと少しばかり頭痛とコンマイへの憎悪が湧くが、そんなことばかり気にしてもいられない。それに、それに、ほんっっっっっっとうに僅かな可能性だけど、この世界の空気に当てられて、あのカードがエラッタ(創造)による超絶強化を受ける可能性だってないことはないんだし…………!!
(───ごめんなさい、ハートアースドラゴン)
内心だけで謝罪して、私は今発動しているカードの効果を適用する。
万人を計り知れない絶望に叩き落とした、恐怖のカードを召喚するために。
「───私は。…………私は、永続魔法、《ランクアップ・スパイダーウェブ》の効果を発動。
私のフィールドのエクシーズモンスター…………ハートアースドラゴンを対象に、そのモンスターのオーバーレイユニットを一つ取り除くことで、一つ上のランクのエクシーズモンスターへと
「貴様…………!?」
「あいつのモンスターまで…………!?」
(───あああああぁぁぁ…………お願いだから驚かないで…………私はきっと、酷く残酷な行為をしているんだから…………)
きっと、ではなく、確実に、である。
少なくとも、かつての私がいた世界の人たちがこの所業を見た場合、悪魔と罵られてもおかしくないくらい外道な行為なんだから。
そんな私の感想などいざ知らず、ランクアップ・スパイダーウェブの効果を受けてあのエクシーズモンスターの召喚エフェクト的な宇宙っぽい例のアレに吸い込まれていくハートアースドラゴン。
それに伴う圧力は尋常なものではなく、同じ本物のナンバーズを素材にしたはずなのに、ホープレイVが起こした脈動が赤子の駄々に感じられるほど凄まじいものだった。───凄まじい、ものだったんだ…………!
「───次元の狭間より現れし闇よ、世界を越えたこの舞台を絶望に彩れ。
ランクアップ・カオスエクシーズチェンジ!
降臨せよ! ランク10、《CNo.92 偽骸虚龍 Heart-eartH Chaos Dragon》!」
《CNo.92 偽骸虚龍 Heart-eartH Chaos Dragon》
エクシーズ・効果モンスター
ランク10/闇属性/ドラゴン族/攻1000/守 0
レベル10モンスター×4
①:このカードは戦闘では破壊されない。
②:自分フィールド上のモンスターが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、
その数値分だけ自分のライフポイントを回復する。
③:このカードが「No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dragon」を
エクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る。
●1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールド上に表側表示で存在する全てのカードの効果をターン終了時まで無効にする。
この効果の発動と効果は無効化されない。
───なお、口上における「闇」と「絶望」は、そのまま「OCG化」と等号で結ばれます。
「ハートアースドラゴンまでも、カオス化した…………!」
私のフィールドに現れし勇士の姿(失笑)に、遊馬くんが眼を見張る。うん、その、ええと。
………………………………知らない方がいいことだって、ある。
「……………………。
私は…………うん。私はこれで、ターンエンド」
「ぐっ…………私の、ターン!」
凄まじい罪悪感に虚無感、及び自身の無力さを痛感しながら、私はエンド宣言を行う。
そんな私を、正確には私が召喚したハートアースカオスドラゴンを脅威として見たDr.フェイカーは、最初の余裕なんぞ地の底へとかなぐり捨てて、決死の表情で新たなカードを手の内に呼び込むのだった。
戦慄(進化先が)
ちなみに、彼女の手札にやたらRUMが来てるのは、彼女自身が割とランクアップ厨であるのもそうですが、彼女が世界に「彼女はそういう役目の
さなぎ「どうしよう…………実はでっち上げだったって言い出しにくい…………」