転生したらスライムだった件 ミリムと大地の竜王 作:ラ・ピュセル
テンペスト開国祭が終わって、何日か経過した日のことだった。その日も俺リムルは、地下迷宮《ダンジョン》の調整や工房の視察といった日課をして過ごしていた。そんな中、ジュラの大森林を巡回していたゴブタから念話が届いた。
「リ、リムル様!山が動いてるっす!」
「はぁ?何寝ぼけた言ってるんだゴブタ。サボって居眠りでもしてたのか?」
「冗談なんかじゃないっすよ!とにかくこっちに来てほしいっす!」
仕方ない。万が一に本当だった場合、対処しなければならないのだからと半信半疑でゴブタのもとに転移したのだった。
うん、本当だった。すまないゴブタ君。確かに眼前でデカイ山が動いている。とてもゆっくりだが、目に見えて動いているのがわかるくらいの速度で、その山は動いていた。
「いったい何なんっすかね?」
確かにこの物体は何なのか。今は進行方向の真横で、安全の為に距離をとっている。動いているということを除けば、ただの山にしか見えない。
「よし、じゃあ俺が近づいて調べてくる。ゴブタは巻き添えをくわないように巡回部隊の指揮を頼む」
「了解っす!」
その瞬間、地響きが起きる。何事かと辺りを見回すと、先程の山が段々と高くなっていく。それだけではない、山が少しずつ傾いていき、その下から何かが出てきた。出てきたのは岩石や鉱物で構成された四肢に巨大な竜の頭。完全に姿を現した時には、二足歩行の巨大な竜がそこにいた。
「なんだよ、このデカさ…」
目測だが暴風大妖渦《カリュブディス》の2倍近いサイズである。
『告 対象の解析が完了しました。解析の結果、地砕竜王《アースドラゴンロード》の突然変異体、地砕竜人王《アースドラゴノイドロード》です』
竜人族《ドラゴノイド》!?智慧之王《ラファエル》さんからの報告に驚く俺。何故なら竜人族は竜種と人の間に生まれる存在だが、それはタブー視されている為に竜人族は魔王であるミリムしかいない筈なのである。
疑問が尽きない自分に、念話のようなものが伝わってきた。おそらくコイツの思念なのだろう。
『ハハウエ、ドコ?ハハウエ、ドコカシラナイカ?』
母上?更に疑問が増えていく。竜は別格の存在である4体の竜種を除き、精霊竜《エレメンタルドラゴン》の因子が混じった魔素溜まりから生まれる種族である。その為、生物学的な母親はいない。これ程の強さを持っている奴を従わせるとなると魔王、それも覚醒した真なる魔王レベルであると予想できる。
これらを踏まえて、俺は一番心当たりのありそうな人物であるミリムを念話で呼ぶことを決めたのだった。