転生したらスライムだった件 ミリムと大地の竜王 作:ラ・ピュセル
そんなこんなで、マルスと魔国連邦住人の顔合わせを終え、今は正門横の空き地に来ている。流石に街中では狭いため国内にいた猪人族《ハイオーク》の建設部隊に頼んで、マルスが寛げるだけのスペースを整地してもらったのだ。
「さてと、それじゃあここでトラブルなく過ごせるようにするためにマルスについて、色々と聞かせてもらってもいいかな?」
本当のことではあるがこれは建前で、実際にはどんなスキルを持っているのか自分が気になるだけである。だがマルスは特に疑う様子もなく素直に教えてくれたのだが、想像の斜め上をゆくとんでもない代物だった。
なんとマルスは究極能力《アルティメットスキル》を所有していた。その能力は世界に直接影響を与えるものであった。
名前を『大地之王』《バアル》といい、権能は次の通りだ。
・大地創造…木々が生い茂る密林、生命の存在しない砂漠等マルスのおもうがままに土地を作り替え、海や湖といった場所に新しく陸地を生み出す。
・生命創造…マルスの背中に広がる森林内限定で、あらゆる生物を生み出す。
またマルスはユニークスキル『接続者』《ツナゲルモノ》を保有している。その効果は物理的、魔力的問わず2つのものを繋げる能力だという。シズさんから受け継いだ『変質者』と似ているが、『変質者』は2つのものを掛け合わせて新しいものを生み出すのに対し、『接続者』はそれぞれの性質をそのままに関連付けるという違いがある。マルスは主に魔素の譲渡や吸収に使っているとのことだ。
更にこれらの能力の影響で『空間支配』『法則操作』も獲得しているという。
以上のスキルが、マルスの保有する権能の全てである。これらのスキルが組み合わさり、マルスを簡潔に例えるなら『自然の生態系極小モデル』といったところだろうか。背中にある森林内ではマルスを頂点とした独自の生態系が構築されていて、そこに住む動物達は彼の性格が反映されているのか温厚な動物ばかりだった。
「これなら特に問題はないな。にしてもすごいな、まさに豊穣の神って感じの力だよ」
俺がそう言うとミリムが得意げな顔をする。
「当然なのだ。ワタシが育てたのだからな!」
実際にはマルスを隠した場所の魔素濃度が直接の理由なんだろうが、口にするのは控えておこう。
当のマルス本人は特に気にすることなく町の子供たちと戯れている。戯れているといっても子供たちが頭の上に乗っかり遊んでいるだけなのだが、マルスは楽しそうにしている。背中の森に動物達がいるといっても、今までひとりぼっちだったからだろうか、賑やかな子供たちの声を聞いて誰かと一緒にいられる喜びを知ったのだろう。