転生したらスライムだった件 ミリムと大地の竜王 作:ラ・ピュセル
マルスが魔国連邦に来て数日後、マルスはすっかり馴染んでいた。ブルムンド王国方面の門の横がマルスのスペースとなり、その様子を見ていると遊園地の入り口にある巨大なオブジェを彷彿させる。そんなマルスの周りにはいつも子供達が集まっている。話を聞くと、頭の上に乗せてもらうと魔国連邦が一望でき、その景色を見るのが人気らしい。
それだけではなく、マルスの産み出した魔物達の背に乗り、森を駆け回っている姿を見かけると警備部隊から報告があがっている。一見、自然発生した魔物に襲われないか不安になるが実はそうでもなかった。なにせ魔物達のほとんどがB+ランクの強さを誇るからだ。例えば樹角鹿《プラントディアー》という魔物は名前の通り角が木で構成された魔物だが、とてつもなく硬く鋭い角であり、全力の突進は人間の大人サイズの岩を余裕で粉砕するほどだ。しかも折れたとしてもすぐ生え替わって元通りになるという。他にも、全身が鎧のような甲殻に覆われた金剛鎧牛《メイルバイソン》や、ドワルゴンの最強戦力である天翔騎士団《ペガサスナイツ》が駆るペガサス等もいる。いかに知能が無い魔物でも、本能でどれだけの脅威なのか察知し近寄らないのだと。その強さゆえ、狼鬼兵部隊《ゴブリンライダー》以外の軍団の騎獣にしようかという案があったが、基本はとても穏やかな性格だから無理に戦力化しないという話もした程だ。
マルスの産み出した魔物の恩恵は他にもあった。
農耕部門からは、畑を耕すのを手伝ってもらっているおかげで効率が格段に上がったという。元々膂力などの面で人間の町の畑に比べ効率は良い方だったが、今回の件でより広い範囲を耕せるようになった。
そんな日々の中、ふいにマルスから連絡があった。
「リムル様、母上を連れて背中の森に来て頂けませんか?」
どういう意図かは分からないが、とりあえず俺はミリムと幹部達を連れてマルスの元へ赴く。
現地に着くと、そこにはゴーレムのようなものが立っていた。それはマルスが作った分身体だった。
「お待ちしておりました母上、リムル様。森の中心部をお見せしたくお呼びした次第であります」
中心部?確かに外から見る限りでは、大きな岩に囲まれて内部の様子はわからなかった。わざわざ呼び出して見せるとなると、余程大事なものなのだろう。
マルスに案内されながら歩くこと数分後、少し開けた場所に出た。あの岩のあった所なのだろう。そしてその中心には、一本の大樹があった。
「とても立派な樹ですね。大鬼族《オーガ》の里にあった楓の樹と同等か、それ以上の荘厳さを感じる」
ベニマルがそう言うと、ソウエイやシュナ、シオンにハクロウも感慨深そうにその樹を眺めている。
「そうだな、それに、ここにいるとなんだか心が安らぐな」
隣を見ると、普段珍しいものや面白そうなものを見ると興奮してはしゃぐミリムも気持ちよさそうにしている。
「マルス、この樹は一体何なんだ?すごいリラックス効果があるんだけど」
マルスは嬉しそうに答える。
「この樹は、私が竜人王に進化して最初に発芽した樹なのです。ゆえに私はこの樹を『始まりの樹』と呼んでいます」