今、俺は君と全力で日常を過ごしたい(仮) 作:ななもん
パァンッ!
放課後の教室にそんな感じの聞いてて気持ちのいいような気がする音を響かせたのは俺、御蔵 秋《みくら あき》と彼女、深谷 雫《みたに しずく》だ。
物語の初っ端からこんなのだと程度がしれてくるな。
「君、考え事に浸ってるところ悪いけどさ、いくら君と張り合える幼馴染兼友人のボクでも流石にこれは無いと思ったよ、久々にね。」
流石にリハビリとはいえ女子相手にいきなり殴り合いを申し込むのはダメだったか…。しかし、驕っている訳では無いが幼馴染以外に相手になるような人物は居ないのだ、こちらがとんでもないハンデを負っているのに、だ。
「すまない、思いつくのは雫しかいなくてな…。」
「いや、ボクを頼ってくれるのは純粋に嬉しいんだけど…でも何で反撃ありの蹴りの受けなんだい?頼るならもっと他にあるだろう…膝枕とか添い寝とか、なんならその先も…君が望めばしてあげるのに。」
膝枕や添い寝のその先は魅力的だがまぁいい、だが反撃云々はもっともである、まぁ自分の容姿を一目見ればすぐに分かってしまうのだが。
「そもそも、もう荒事に首を突っ込まないでくれとあれほど言っただろう…君は三年前の大事故で"両腕を失った”んだからね。」
俺には両腕がない、というのは間違いではある、一応義手は着けているんだがこの義手、何故か激しい運動をしようとすると動かなくなる、普通の生活程度なら動くのだがなぁ…。
「腕ならあるだろう、この通り。」
「ボクが言いたいのはそんな事じゃないんだがなぁ…だから君は馬鹿なお人好しと言われるんだよ。」
失礼な。
「まったく関係ないだろうそれは…そもそもそんな風に呼ばれたことなんてないぞ。」
「はいはい、もう遅いし門が閉まってしまうから帰るよ、お人好し君。」
失礼な…だが閉門の時間が近いのは確かだ、さっさと帰って飯を作ろう。俺"達"の家は学校から徒歩20分程度の所にある。
「そうだ秋、夜のマッサージはどうする?」
なんとも急な話だ、というか校門出てすぐの所でそれを話題に出さないでいただきたい。
「やめろ…周りにいる事情を知らない人が聞いたら勘違いするだろう。」
いきなり"夜のマッサージ"と聞こえてきたら邪推してしまうのが学生というもの、しょうがないと言えばしょうがないのだが…正直勘弁してほしい。
「いや、ボクはソッチをしてもいいんだがね…どうする?」
最近、彼女が淫乱なのではないかと思えてしまう。
流石にそれは失礼だし駄目だろう、まだ学生の身でそれは…。
「駄目に決まっているだろう、そういうのはせめて卒業してからだな。」
「つまり卒業してからなら君の初めてを貰っていいんだね。」
こっこいつ…揚げ足を取りやがって…というか、この話題をさっさと終わらせたい。さっきから生暖かい目で見られているのだ。
「それは帰ってから話せばいいだろう…それに周りからの視線で気まずい、さっさと帰るぞ。」
「…ヘタレ。」
失礼な。
そうこう話しているうちに家に着いた、やはり家は良い…なんとも言えない安心感をもたらしてくれる。玄関前に立つと帰ってきたと感じ自分が安堵する、そしてひとたび家の中に…「考え事もいいけど、まずはご飯が先だよね?」…。
「…それもそうだな。」
どうやら彼女には俺の考えていることは筒抜けらしい、しかし今の彼女の言うことがもっともである為、従わざるをえない。…うだうだ考えずさっさと飯を作ろうか。と、鍋料理が完成し、テーブルに運ぶとき…
「君の腕はこういう時は羨ましく思えてくるな、しかし毎度思うんだけど熱くないのかい?普通だと火傷じゃ済まないんだけどね。」
「熱くないと何度言ったらわかるんだ、しかも俺が鍋を運ぶたびにそれを…まぁいい、ともかく熱くはない、覚えておいてくれ。」
まぁ、彼女の言うことも普通なのだろう、だが俺の両腕は義手だ、痛覚とかの感覚は一切無い、流石に装着部分が加熱されたりしたら熱いが、それはともかく。
「さっさと食べよう、せっかく作ったのに冷めたら勿体無いぞ。」
「そうだね、食べようか。」
「「いただきます。」」
飯を食べ終わり片付けを終えた後、リビングのソファーで二人揃ってまったりしていたら彼女が何故かこちらを見ていた。
「…何か、用か?」
「用というかね、肩は痛くないかなって気になったんだ。」
肩…か、俺は義手をつけている関係で肩や首に多少の負担が掛かる、故に定期的に彼女に解してもらっているのだ。まぁ、少し肩がこっているし…やってもらおう。
だが…声が…な…。
「別に痛くはないが、なんだ、少しこっている感じでな…マッサージ…頼めるか?」
「ッ!分かったよ、なら横になってくれるかな。」
…少し選択を間違えたか?まぁせっかくだ、やってもらおう。
「じゃあ、始めるよ…ぅんっ」
彼女は俺にまたがるように乗り、肩甲骨の下辺りに手を当て、弱過ぎず、かといって強過ぎない絶妙な力加減で凝った所を的確に解してくれる。
「どうっ…だい?ボクっ…のでっ…気持ち…良くぅっ、んぅっ…なって…くれっ…てるのかい…?」
ただ理性が削れていくということを除けば、だが。
「あぁ、気持ちがいいぞ…だが声は何とかならんのか…?言っては悪いが雫よ、喘いでるようにしか聞こえんぞ…。」
「ふふっ…興奮…してきたんだ…?」
「俺も男だからな…正直理性が持たん、その…なんだ、襲ってしまうかもしれんぞ…。」
「君はっ秋はっ…大丈夫だろっ…?今っまでだっ…て…そんなことはっ、無かった…んだっからっ」
「そうだが…くっ…。」
これは冗談抜きで襲ってしまうかもしれない、すぐ後ろから聞こえてくる喘ぎにも似た声、腰辺りに乗った柔らかい彼女の…雫の臀部に太股、これには流石に我慢ができなくなるかもしれん、いい感じに肩も解れてきたし…潮時か…。
「雫もういいぞ、ありがとう」
できるだけそういう感情を出さないように、そう言ったが…ダメだ、抑えるのに時間が…。
「そうかい?なら、今度は秋にやってもらおうかな。」
なん…だと…
「いやいや、別に今じゃなくてもいいんだよ?また今度って言ったじゃないか…ほらほらそんな修行に耐える僧みたいな顔しない。」
いったいどんな顔なんだそれは…。
だが時間をくれることはありがたい、日頃の感謝を込めて今度やらせてもらおう…別に意味は深くないぞ。
「あ、あぁ…そうか、また機会があればお返しにやってやる。」
日頃の感謝とお礼を兼ねてな、物だとそこまで喜ばない雫の事だ、マッサージと…デート…?以外に何があるか「ヤ、ヤる…ッ!?きっ君が望むなら別にボクは大丈夫だけど!?でもお礼にボクのハジメテを奪うなんていうのはっいやっシたいならいいんだっ!でもボっボクの心の準備はまだ…」
…。
「別にそういう意味で言った訳では無い。俺だってハジメテは雫とシたいが、まだそんな歳ではないだろう?それに恥ずかしいならはじめから言うんじゃない、顔は真っ赤だし声は上ずっている…校門出た時のお前はどうした、平然としていただろう。キャラ崩壊にしても崩れすぎだ。」
学校ではえげつないほどの事を平然と、さも当然のように言い切っていた彼女がいま、顔を真っ赤に染めてプルプルと顔を両手で抑えながら悶々としている。普段の冷静さと差があり過ぎるな…いや、これはこれで…いいかもしれん。
「ンっん…すまないね、取り乱してしまったよ。さて、もうそろそろ寝ようか、夜も更けてきたしね。」
…確かに時間も遅くなってきた。
「そうだな、じゃあまた明日。おやすみ」
そう彼女に寝る前の挨拶をする。
「ふふっまた明日だ、おやすみ。」
…いかん、頭から雫の声が消えん、明日起きれるのか…?
主人公とヒロインの容姿は本編で後々公開していきます。
ではまた次のお話で…。