「ここね。」
11月29日、午後4時40分頃。
見滝原市立病院の前で、巴マミが確認するようにつぶやく。当然、鹿目まどかの姿もそこにあった。
先ほどの電話で、キッカは「巴マミが近くにいる」と言ったが、結局その言葉は正しかった。すぐ近くにあった公園で、何をするでもなくベンチに腰かけていたマミを捕まえて、此処まで連れてくるのに掛かった所要時間は十分を切っているのでは無いだろうか。
二人は壁を見つめる。先ほどまで壁に突き立っていた不吉な物体は既にそこには存在しない。だが、それはただグリーフシードが病院の壁から、それ自身が展開した結界の中に身を移しただけであった。邪気を纏った魔力は、相変わらずそこにある。
マミは状況を確認するためにテレパシーを飛ばす。
(キュゥべえ、状況は?)
(まだ大丈夫。すぐに孵化する様子はないよ)
まだ魔女が孵化していないという事は、周りへまだ被害は出ていないという事だ。キュゥべえからの言葉に二人は一旦安堵する。
(さやかちゃん、大丈夫?)
(平気平気。退屈で居眠りしちゃいそう)
敢えてその場に残り、結界に巻き込まれたさやかも大丈夫そうである。余裕綽々と言った様子だ。
(むしろ、迂闊に大きな魔力を使って卵を刺激する方がマズい。急がなくていいから、なるべく静かに来てくれるかい?)
(わかったわ)
そう言ってテレパシーを終了すると、マミは左手を掲げる。指輪となっているソウルジェムが少し輝くと、結界の入口が出現した。
「さあ、行きましょうか。」
そう言って入口に足を踏み入れた。まどかもそれに続く。
結界の中は、やはりと言うか、またかと言うか。毎度の如く混迷を極めていた。
一面、お菓子だらけ。絵本に出てくるお菓子の家をスケールアップして、ダンジョンにしたような感じであるが、その中に医療用のベットや注射器が見えたりと、実に節操がない。その上、どこもかしこも極彩色と言うべき配色で、実に目が痛い。
「魔女の結界って、こんなのばっかりなんですか……」
「あら、今更?でも、昨日秋水さんが倒してた使い魔の結界は、地味だったでしょ?」
少しげんなりしたようなまどかの発言に、マミは笑いながら答える。そう言えば、昨日キッカが倒した犬のような使い魔は、ただただ真っ黒としか言いようのない地味な結界だったような気がする。
そうして結界の中をしばらく歩き続ける。まだ本格的に魔女が孵化していないという事もあり、使い魔の姿は少ない。グリーフシードを刺激しない為にマミは変身していないので、数少ない使い魔に出くわしても、隠れてやり過ごしながら進む。
そうこう進んでいるうちに、まどかが口を開いた。
「それにしても、間に合ってよかったです。」
「無茶し過ぎ……って怒りたいところだけど、今回に限っては冴えた手だったわ。」
まどかの言葉に笑いかけながら返すマミ。病院で発生した魔女は、甚大な被害を及ぼしやすい。それだけに彼女らの判断は、一概に間違ってるとは言えない様子だった。
「これなら魔女を取り逃がす心配も……」
と、ここでマミが言葉を途切れさせ、足を止める。まどかは何事かと声をかけようとするが、その前にその原因について気づいてしまった。
「あっ……」
「……言ったはずよね?二度と会いたくないって。」
見滝原中の転校生にして、もう一人の魔法少女、暁美ほむらがそこに居た。グリーフシードを刺激しないためだろう。彼女もまた、この結界内で変身はしていなかった。
「……今回の獲物は私が狩る。貴女達は手を引いて。」
実に簡潔な撤退要求を突きつける。だが、マミにそれを呑もうという様子は無い。
「そうもいかないわ。美樹さんとキュゥべえを迎えに行かないと。」
理由も明かさずにそのように言われても、要求をのめるわけがない。ましてやマミには引けない理由があるのだ、当然だろう。
だが尚もほむらは食い下がる。
「その二人の安全は保証するわ。」
「信用すると思って?」
マミの左手の指輪が瞬くと、リボンが発生し、ほむらに向かう。どうやら実力行使に出るとは露とも思っていなかったらしい。ろくな抵抗も出来ずにそのまま拘束されてしまった。
「ば、馬鹿。こんなことやってる場合じゃ……」
「もちろん怪我させるつもりはないけど、あんまり暴れたら保障しかねるわ。」
完全に予想外の出来事に、狼狽した様子のほむらに言い放つ。
「今度の魔女は、これまでの奴らとはわけが違う!」
「おとなしくしていれば帰りにちゃんと解放してあげる。行きましょう、鹿目さん。」
「え……はい。」
ほむらからの警告を信用するつもりは毛頭ないらしい。声を上げるが、聞く耳を全く持とうとしない。まどかを連れてさっさと行ってしまう。
「待っ……くっ!」
その身を縛るリボンから逃れようと身を捩る。だが彼女を拘束しているのは、マミの願いが最初に形にした物である。そう簡単に解ける筈が無い。
結局今の彼女には、遠ざかっていく二人の背中を見送る事しか出来ないのだった。
◇
ほむらと遭遇してからしばらく経つが、相も変わらず結界は続いている。
グリーフシードを刺激しない為にゆっくり進んでいた、と言うのもあるが、結界そのものが大きいと言う事もあるようだった。
先ほどのほむらの「これまでの奴とはわけが違う」と言うのも、あながち嘘ではないのかもしれない。
そんな事を考えながら、まどかはマミに続く。その背中は、これまでと同じく堂々とし、非常に頼もしいもののように見えた。
今日の昼の会話が蘇る。
「怖くない」「まともじゃない」と言った彼女は、とても寂しそうで。今にも消えてしまいそうに思えたあの表情が、脳裏に浮かぶ。
「あの……マミさん。」
「なあに?」
そんな彼女の様子を思い出してしまったまどかは、聞かずには居られなかった。今日の昼、キッカに向けた問いを、投げかける。
「マミさんは、怖くないんですか?魔女と戦ったりとか……」
「………………鹿目さんは、怖くないと思うの?」
一瞬黙り込んだが、問いを返す。その歩みを止めることなく、マミは続ける。
「もし怖くないと思うなら……」
「そうじゃ、ないんです。そうじゃ……」
マミの言葉にあわてたように口を開く。が、すぐには言葉が続かない。
少しに間の間を置いて、やがてまどかが言葉を紡いでいく。
「……今日のお昼に、キッカちゃんに同じことを聞いたんです。『魔女との戦いが怖くないの?』って……」
「………………」
マミはまどかの言葉に黙って耳を傾けている。彼女のその態度を受けて、まどかは続けた。
「そしたらキッカちゃん、『怖くない』って答えたんです。それも、ただ怖くないだけじゃなくって、『もう怖いと思う事が出来なくなっちゃった』って、言ったんです。『戦っているうちに、まともな神経を擦切らしちゃった』って……」
まどかの言葉に続きがあるのを察しているのか、相変わらずマミは沈黙を守っている。
「……私って、昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とか何もなくて。
きっとこれから先ずっと、誰の役にも立てないまま、迷惑ばかりかけていくのかなって……それが嫌でしょうがなかったんです。」
自分に対する評価を語っていく。マミから見て、それは不当な評価のように思えたが、口には出さない。まどかが続けて口を開く。
「でもマミさんと会って、キッカちゃんの事も知って。誰かを助けるために戦ってるの、見せてもらって……同じことが、私にもできるかもしれないって言われて。その事が、何よりも嬉しかったんです。
こんな自分でも、誰かの役に立てるんだって、胸を張って生きていけるんだって。」
でも、と言葉を続ける。先ほどまで上がっていた声のトーンも、大きく下がってしまった。
「……怖いん、です。」
まどかの声が、若干震える。先導するマミからは見えないが、まどかの顔が下の方を向き、口を開く。
「死んじゃうのも、魔女と戦うのも……怖いんです。でも、何より
…………変わっちゃうのが、怖いんです。」
様々な言葉が、再び蘇る。
奇跡と言う物の、重さ。「まともじゃなくなってしまった」と、さみしそうに語るキッカ。
そして、そんな事を考える内に、思い出した、あの言葉。
"貴女は自分の人生が、貴いと思う?家族や友達を、大切にしてる?"
"もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。"
"さもなければ、全てを失うことになる。"
もし、変わってしまえば。変わってしまったとすれば。
致命的な、取り返しのつかない「何か」を、失うかもしれない。
そう考えると、まどかには変わることが怖くて仕方がなかった。
その場に流れる沈黙。相変わらず足は動いているが、口はそこで止まってしまっている。
やがて、マミがこぼれたように言葉を紡いだ。
「……そう。秋水さんが……」
意外そうな口調。やはり彼女にとっても、この言葉は意外な物のようだった。少しの間を開け、再び口を開く。
「確かに、怖いわよね。いきなり『なんでも叶えてあげる』とか、『命をかけろ』とか、『まともじゃなくなった』なんて言われたら。」
静かに、やさしく語りかけるように言葉を放っていく。
「えと、その……ごめんなさい。やっぱり私って、弱いですよね……」
「ううん、そんな事は無いわ。その恐怖は、人間ならだれでも持ってる物。当たり前の物だから、気にしなくていいのよ?」
まどかの恐怖を、当然の事と肯定したマミは、少し考え込むように黙り込み、やがてゆっくりと、その口を開いていった。
「……私は怖いわ。魔女と戦うのも、命を落とすのも。」
まどかの問いに、今改めて答えると、マミは言葉を続ける。
「そもそも、憧れるほどのものじゃないわよ、私。」
そう、マミは自嘲的に語っていく。その言葉に、先ほどまでの堂々としたものは無い。
「無理してカッコつけてるだけで、怖くても辛くても、誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかり……
命を掛けたとしても、それが誰かに評価されることもないし。死んじゃっても誰にも知られる事も無い。……知ってる?結界の中で死んじゃうと、骨も残らないのよ?」
まるで、これまで溜め込んで来た物が一気に決壊してきたようにこぼれ出ていく言葉。口調こそいつもと同じようだったが、まどかにはそれが悲痛な叫びであるかのように聞こえた。
「私は怖い。もし魔女に殺されて、『私が死んだ』って、誰も知ってくれなくて……みんなに忘れられていくと思うと、それが何よりも怖い。
でも、誰もそれをわかってくれないし、知ってくれない。……いいものじゃないわよ。魔法少女なんて。」
彼女はこれまで、どれほどの孤独を抱えて来たのだろうか?
理不尽な理由で巻き込まれ。誰にも理解されず、また誰にも知られる事も無い戦いを、たった一人命を懸けて続けていく。
それがどれほど辛く、苦しい物なのか。まどかには全く分からない。
「……マミさんは一人ぼっちなんかじゃないです。」
「え?」
それでも、それがつらい事だという事は分かった。巴マミと言う人物が、どれほどの苦しみを抱えて来たのかは分からない。それでも、それが「苦しい」物だと言う事だけは理解できた。
「私が覚えてます、私が知ってます!さやかちゃんやキッカちゃんだっています!きっと、ほむらちゃんも……」
「鹿目さん……」
「だから……だから……」
故に、まどかは口にしないでいる事は出来なかった。伝えずにいる事など、出来なかった。
……そう、巴マミは決して、
「マミさんはもう、一人ぼっちなんかじゃないです。」
幾たび目かの沈黙が流れる。いつの間にか、これまで止まることの無かった歩みも止まってしまって、先導をしていたマミはまどかの方に向いていた。
まどかから見たその顔は、今にも泣きそうで、「頼れる先輩」と言う仮面は、もうそこには無い。
「……参ったなぁ。まだまだちゃんと、先輩ぶってなきゃいけないのになぁ……やっぱり私、ダメな子だ。」
にじみ出た涙をぬぐいながら、マミが口を開く。
「そうよね。私は、もう……」
(マミ!)
その時だった。向かい合う二人の頭に、切羽詰まったキュゥべえの言葉が突如として鳴り響く。
(グリーフシードが動き始めた!孵化が始まる。急いで!)
どうやら、あまりゆっくりしている時間はもう無いらしい。二人が顔を見合わせる。
「オッケー、わかったわ。今日という今日は速攻で片付けるわよ!」
そう言い切るマミには、確かにもう取り繕うための仮面は無い。
「マミさん。」
だが、だからこそ。
そのにこやかな表情は本物で、いつも以上に頼もしいものであった。
そしてマミは変身する。相手がほとんど目覚めている以上、隠れる必要はもうどこにもない。
「さあ、いきましょう!」
「はい!」
(体が軽い……こんな幸せな気持ちで戦に臨めるなんて初めて。)
(もう何も怖くない。)
(私、一人ぼっちじゃないもの!)
◇
赤く染まった空に、黒い影が疾走する。
立ち並ぶ家々の屋根の上を疾駆するそれは、まるで何かに追い立てられているかのような雰囲気を放ちながら前へ進んでいた。
(全く、なんでこんな時に限ってメンテナンスなんてしてたのかねぇ!)
キッカが心の中でそう毒づく。
ただの銃を組み立てるだけなら、ものの数分で済んでいた。その程度なら、マミの到着より少し遅れたぐらいのタイミングで急行できただろう。
だが、彼女の愛銃は残念ながら魔術礼装でもあった。彼女の行う「メンテナンス」は、ただの銃としてだけではなく魔術礼装としてのメンテナンスも同時に行う物である。故に、ただ物理的に銃を組み立てればいいと言うような単純な作業ではなかったのだ。
……最も、それすらも十数分程度で済ましてしまう辺り、十二分に早いと言えるのだが。
(それに、さやかはほぼ確実に私の言う事なんて聞かなかっただろうしなぁ……)
半ば確信を伴った直感にため息が出る。
そもそも今回は、出現位置があまりにも悪すぎた。
ただでさえ病院に現れた魔女と言う物は甚大な被害を及ぼすと言うのに、正義感の強いさやかがただ放っておくことなどする筈が無い。
その上、「あんな状態の」上条恭介がいるのだ。さやかが大人しく退去している可能性は、ほぼゼロと言っていいだろう。
(……マミさんはもう突入してるんだろうね。)
実はキッカは既に、町中に使い魔を放っていた。後で使い魔を放つより、先にやれることだけやっておこうと言う考えからの行動だったが、お陰で病院の近くをうろうろしているマミの姿を見つける事が出来た。
恐らくまどかがあの場から探しに出ても、数分のうちに見つかるような位置に居た事を考えると、すでに結界に突入して五分と少しぐらいは経っているだろう。
(…………いやな予感がする。)
先ほどのさやかの件とは違い、漠然とした不安。何の根拠もないそれが、キッカの背中を突き動かす。
だがそもそも、何を不安がる必要など有るのだろうか?
マミは既に三年間も戦い続けているベテランだ。魔女は確かに強いが、マミもまた十二分に強い。
リボンを利用した切断、捕縛、機動。無限に生み出される銃による火力は高く、フィニッシュブローこと「ティロ・フィナーレ」に関しては言わずもがな。武装的に近接戦に少々難は有るが、銃を棍棒代わりにしたり、経験に裏打ちされた「接近させない戦術」等により、はっきり言って弱点として機能していない。
彼女の戦闘をまともに見るのはたった一日だけであったが、それでも並みの魔女相手に苦戦するような実力ではないと言う事は十分知っているはずである。
だが、それでも尚ぬぐえない、この嫌な感じは一体何なのだろうか?
(……急がないと。)
もうすでに病院自体は視界に入っている。夕日に照らされ赤く輝くと同時に、暗い影を抱えたガラス張りの建物。
その影が、キッカにはとても不吉な物のように思えた。
◇
それからのマミの暴れっぷりは、実に凄まじいものだった。
空中に召喚したマスケットによる一斉掃射。大群に対し射撃、銃床打撃、リボンによる切断を組みあわせた無双。大きめの砲による進行方向の一掃。
まさにやりたい放題と言っていいような戦闘で、結界の奥へと突っ込んでいく。
と最深部への扉が見えた。マミはそのまま扉を開け放ち、中へと入る。
やはり、今回の最深部も円筒形の広場だった。中の様子もこれまでと同じくお菓子だらけ。ただ違うところを挙げるとするならば、異様に背の高い机や椅子などがあるぐらいか?
少し辺りを見回すと、居た。キュゥべえとさやかだ。広場の中心に対して隠れるように巨大なドーナツの近くで身を潜めている。
「お待たせ。」
「はぁ、間に合ったぁ……」
マミが到着したことに、さやかは安堵を示す。だがまだ気を緩めるのは早かったらしい。
「気をつけて!出て来るよ!」
キュゥべえの一声に、全員の視線がこの空間の真ん中にある机と椅子に向けられる。そこには、鼓動するお菓子の箱があった。
今にもはちきれんばかりの様子を見せるそれは、より一層強く鼓動すると……
裂けた。
───
椅子の上に出現したのは、身長三十センチほどの人形だった。非常に愛くるしい見た目をしているが、纏った邪気はそれが魔女であることを如実に示していた。
魔女の出現を確認すると、マミは表へ出る。自信に満ち溢れたその顔には、一片の不安要素も存在しない。
そして、魔女の座す椅子に向かって駆け出す。手には逆手に持たれたマスケットが出現する。
「せっかくのとこ悪いけど、」
そしてそのままその椅子の足を蹴り飛ばす。椅子の足はへし折れ、支えを失った小人は特に抵抗もせず落下してくる。
「一気に決めさせて……」
数丁のマスケットがマミの周りに突き刺さる、一方で逆手に持たれていた銃は、そのまま両手で握られると……
「もらうわよ!」
バッティングの要領で、振りぬかれた。銃床が小人の頭部を直撃し、打ち上げられる。
そのまま魔女は近くのお菓子に打ち付けられるが、その瞬間幾つもの銃弾が彼女を貫く。先ほど出現したマスケットを利用した連射だった。
落下してきた魔女にマミが近づくと、マスケットを一撃接射する。そして貫通し、地面に突き刺さった弾丸からリボンが伸び、その小さな体躯を縛り上げた。
「やったぁ!」
さやかが歓声を上げる。魔女を捉えた以上、この後マミが決める技は一つしかありえない。
「ティロ───
高い位置に吊るされた魔女に向けたマスケットを肥大化させる。砲と化したそれを見ても、魔女は抵抗と言う抵抗を見せない。
───フィナーレ!」
砲口から赤いリボンが放たれる。小型目標用に作られたそれは、目標に命中すると即座に絡みつき、対象を圧殺すると言う代物だ。
リボンの先端が、魔女に突き刺さる。その機能に従い、赤いリボンは魔女に巻きつくと、その小さな体を致命的な圧力で押しつぶし、
黒い影が、巴マミへ急速に迫って行った。