私の夫はロケット団のボスだったみたいです 作:なつなつ
「久しぶりだなヨシノ」
現在、目の前にいるのは黒い髪をオールバックにして黒いコートに帽子を被った以前カントー地方を騒がせた悪の組織ロケット団のボスである男、サカキである。
そんな男と対面して赤色の長い髪をポニーテールにした翡翠色の目の女性、ヨシノは女神のように満面の笑顔を浮かべて指の骨の音を鳴らしながら近づく。
「久しぶりだなってとっても面白いこと言うのね。まず、私と再開してすることは土下座して謝罪じゃないの?」
「落ち着け!とりあえず、その件に関してはすまなかつったと思ってる。だから、落ち着いてください。お願いします」
「はぁ!?謝って済むならギガインパクトもはかいこうせんもいらないのよ!!」
サカキは土下座して謝罪するがヨシノには謝罪の効果がうまく決まらなく、現在のヨシノはりゅうのまいを積んだボーマンダ並みに恐ろしい状態だった。
このサカキすら許しを請うヨシノという女性は何を隠そうジョウトリーグの四天王の一人で『紅蓮の女王』という2つ名を持つ凄腕のポケモントレーナーであり、サカキの妻である。
☆
私はヨシノ、前世の記憶がある所謂転生者である。
私の前世ではこのポケモンの世界がゲームとしてあり、私はX,Y、OR,AS、サン,ムーンと最新の物しかやってなかったがその歴史は20年にも遡る由緒正しき人気のゲームだった。
その世界に転生してしまった私は十歳になるとポケモントレーナーとして旅をして、前世の知識を活かしながら毎日ポケモンバトルの研究をしてジョウト地方のジムを完勝して、挙げ句の果てには一回の挑戦でポケモンリーグを制覇した。
聞いた話によるとポケモンリーグを一回目の挑戦で制覇した者はいなかったらしく、私は多くの名声、栄誉を手に入れたが『ポケモンバトルに絶対はない』という名言の元で私は慢心せずに腕を磨き続けた。
そんな中で数年経ったときにリーグ関係者から四天王にならないかというお誘いを受け、私は四天王になった。
四天王になるにあたって私のポジションは最後の四人目の四天王、私は自分が最後の四天王でいいのですか?と聞き返すと私と戦った四天王たちがそれを提案したと聞いてマジかよ。どんだけ私は認められているんだと若干驚いてしまった。
だが、私の元にはチャレンジャーがあまり来ないし、来たとしても前の三人の相手で満身創痍の状態であり、満足に私と戦えるはずもなく、多くのチャレンジャーたちが地面に膝をつくのを見てきた。
確かその頃から私は真っ赤な髪に圧倒的な勝利しかしないことから炎タイプを使っていた訳でもないのに『紅蓮の女王』と呼ばれるようになった。
それから再び数年経って私が十八歳になってもうベテランの四天王になっていた頃に今言えば運命と言っても過言ではない出会いがあった。
そので出会いが私の現在の夫であるあの人だった。
あの人は四天王を軽く蹴散らして、ほぼ無傷で私の元に辿り着いた数少ない人だったが結果は危なげなく私の勝利であったが、その実力は私がこれまで四天王として見てきたなかで屈指の実力者で久々に熱くなれるバトルだった。
そして、彼は勝負が終わったらよくやったとポケモンを励まして、私の元に来て、突如、その強面の顔を私に近づけさせた。
恐らくそのときだったであろう。病気もせずに育った私の胸がドキドキと苦しいほど鳴ったのは…これが所謂一目惚れかと思った私は強くなるコツを聞かれて、特訓に付き合ってあげると即デートのお誘いをして、それを皮切りにして何回か特訓と言う建て前のデートをしていると……なんと告白された。
彼が言うには特訓に付き添っていくうちに好きと言う感情が芽生えたらしく、その一週間後に私たちは結婚し、男の子、名前はシルバーも生まれた。
そのときに私は四天王を引退して、主婦になって暫くは幸せに過ごしていたのだがある日、外から帰ってきたシルバーからあの人についてのことを聞いた。
私はサあの人からジムリーダーとして働いていると聞いていたがそれは表の姿、裏の姿はポケモンの力で世界を支配しようとしているロケット団のボスをやっていたらしい。
まぁ、それは二人の子供によって解散に追い込まれたらしく、それであの人はジムリーダーもロケット団をやめて、修行の旅に出るらしい。
それを聞いて、私の怒りの炎はだいもんじ並みに燃え上がったがそれをぜったいれいどして封じ込めてシルバーの前では笑顔を取り繕ろう。
シルバーの顔が何故か知らないけど青い顔をしていたのでとりあえず、寝ていなさいとだけ言ってあの人を探しに向かった。
とりあえず、この近くの修行スポットと言えばポケモンリーグによって管理されているシロガネ山かなと思い向かうことにした。
☆☆
「ここはポケモンリーグによって認められたトレーナーしか入れません」
「だからぁ、私はポケモンリーグによって認められたトレーナーなんだってば」
現在、シロガネ山の入り口を守る警備員は赤色の髪に真っ赤な瞳の女性の対応に困っていた。確かリストにはこの女性は書いていなかったので恐ろしく強いポケモンがいるのでポケモンリーグに認められたトレーナーしか入れませんと言うと女性は先程と同じことを言って無限にループし続けて、あれこれ30分経った頃に赤い髪にマントの見知り合った青年が通りがかった。
「何事だ?」
「それが……「ワタルン、お久しぶりー。こんなに大きくなってお姉さん嬉しいわ」
赤髪の女性がドラゴン使いの四天王であるワタルに抱きつくといつも冷静な様子のワタルが少し戸惑った表情になる。
「ヨシノさん、どうしてここに……?それとこの状態は苦しいです」
「あ、ごめんね。私シロガネ山に行きたいのだけれど通してもらえなくて」
「確かにヨシノさんが現役の時はシロガネ山に折り入った規制はありませんでしたしね。そこの君、ヨシノさんをシロガネ山に通して貰えないか?」
「は、はぁ」
「ありがとう、じゃあねワタルン、またポケモン勝負しようね」
「はい、待ってます」
赤い髪の毛の女性はワタルに笑顔を向けて手を振りながらシロガネ山に向かっていくのを見ながら未だに困惑気味の警備員は疑問を口に出した。
「あのワタルさん、彼女は何者なんでしょうか?」
「ああ、彼女が現役の頃を君は知らないのか…。彼女は当時『紅蓮の女王』という名で無敗伝説を築き上げた最強の四天王だった女性さ。俺もその頃に何度もポケモンリーグに挑戦したが彼女には手も足も出なかった」
「四天王最強であるワタルさんが……!!」
その言葉に警備員は耳を疑った。ワタルという青年は確か竜の里と呼ばれるフスベシティで育った天才である。そのワタルが手も足も出なかったなんて信じるに信じられなかったが警備員自体もその『紅蓮の女王』の噂を知っていた。
最年少で四天王になりながら一番最後の四天王を任されたり、無敗伝説を築き上げた彼女には誰もが跪くことからその『紅蓮の女王』の名がついたとか、彼女自身でいわくだきやかいりきができたりとか様々な逸話が残っているがその『紅蓮の女王』がさっきの気の良さそうな女性であるとは夢にも思わなかった。
「サイン貰っておけば良かったなぁ」
警備員はボソッとそう呟いた。