ラブライブ!サンシャイン!!~Step! ZERO to OOO~   作:白銀るる

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これまでのラブライブ!サンシャイン!!〜Step! ZERO to OOO~
千歌、梨子、曜、果南はスクールアイドル「Aqours」を結成。耀太はマネージャーとして彼女らを支える役割を担う。
花丸、ルビィ、そして善子がメンバーとして、慎司がマネージャーとして新たに加わる。
様々な試練を乗り越え、Aqoursは遂に東京スクールアイドルワールドへ招待され、参加するもその結果は得票0の最下位。現実は彼女たちを打ちのめす。
だが千歌が本心を打ち明け、梨子たちがそれを受け入れ、ともに歩み直していくことを決意。Aqoursは再スタートを切ったのだった。
そして今、黒く渦巻く欲望が彼らを襲おうとしていた。

カウント・ザ・メダルズ
現在、オーズの使えるメダルは?
タカ×2
バッタ×1
ライオン×1
トラ×1
チーター×1
サイ×1
ゴリラ×1
ゾウ×1
ウナギ×1
タコ×1


破られた約束と決別と悪しき力

 朝、俺はソレを見つけて自分の目を疑った。

 いつものように部室に入り、朝練の準備をしていると、一封の封筒が机から落ちた。

「退部届」差出人は「松浦果南」そう記されていた。

「耀太せんぱーい?どうしたんすか、そんなところで固まって。早く行かないと、梨子先輩に……」

 慎司はそこまで言って黙る。その目線の先は俺の手元。退部届だ。

「それ……果南先輩の……?」

「そうみたいだ」

「どうして退部届なんて……」

 原因があるとすればアレしか考えられない……。スクールアイドルしか。

「耀太くん、慎司くん?遅いよー?」

「ご、ごめん!今行く!」

 梨子ちゃんに呼ばれ、とっさにそれをポケットに突っ込んでしまう。

 本当はこの時に伝えておくべきだった。

 こんなことになる前に。

 こうして今日という最悪な日を、俺たちは迎えてしまった……。

 

 ***

 

 朝のHR(ホームルーム)

 先生が何か話しているが、内容が頭に入ってこない。

 誰もいないとなりの席。本当なら果南ちゃんがいるはずの席だ。

「松浦さん?さっき話したはずだけど、ちゃんと聞いてなかったのね?松浦さんなら休学届が出されたわ」

「休学……ですか」

「そうよ」

 HR後、果南ちゃんのことを尋ねると先生からそう告げられた。

「もういいかしら?それから人の話はちゃんと聞くようにね」

「はい……すいません」

 そういえばPVを撮影したあの時から果南ちゃんのことは見ていない。

 やり取りもメールか電話で精々声を聞くくらいだった。

 事情が分かる人がいるとすれば、ダイヤさんか鞠莉ちゃんだけど、

「ごめんなさい。わたくしもこのところ果南さんの姿は見てませんの」

「そっか…、ダイヤさんも……」

「ただ、前に千歌さんたちの話をした時、一度だけ電話はいたしましたわ。その時に『ごめん』と一言だけ……」

 また「ごめん」か。以前俺が話した時にも言ってたな。もしかしたら、いやもしかしなくてもこのことだったのかもしれない。

「鞠莉さんなら何か知っているかも知れませんが……」

 鞠莉ちゃんはかなり落ち込んでいた。果南ちゃんの休学と関係は……。

「ダイヤさん、放課後、時間空いてる?」

「いきなりなんですの?」

「大事な話がある」

 真剣な表情でダイヤさんを見る。俺の意思が理解出来たのか、

「それなら生徒会室まで来てください。そこで伺います」

「了解」

 ダイヤさんと約束し、千歌ちゃんに部活を休む了承を得るため、メッセージを送ると「了解」の意のスタンプが返ってきた。

 

 そして約束の時間、生徒会室を訪ねた俺は、

「まあ……そうなるとは思ったよ」

 ダイヤさんの手伝いをしていた。

「みなさん部活との兼任で人手が足りないんです。それに、このくらい手伝ってくれてもバチは当たりませんわ」

「実は寂しかっただけだったりして」

「違います!〜〜〜〜っ!!……そんなことより早く本題に……!」

 机に思いっきり手バンし、その手を押さえ、痛そうにするダイヤさん。

「大丈夫?」

「……早く本題に……」

 あまり迷惑かけるのも良くないので、すぐ終わらせて手伝おう。

「ダイヤさんたちのこと、スクールアイドルをやってたって話だけどさ」

「それならこの間──」

「あれだけじゃ、ないんでしょう?」

「どうしてそう思いますの?」

 いつになく真面目な雰囲気のダイヤさんだ。

 ただ俺がこの答えに行き着いたのはただ単にアニメ時代のことを思い出しただけで、そんなこと言えるわけもなく、彼女が納得できるようなもっともなウソを()いた。

「果南ちゃんってさ、一度や二度の失敗で簡単に何かを諦めるような性格じゃないでしょ?そんな人がたった一回、ライブで歌えなかったからスクールアイドルをやめる、なんて言わないんじゃない。それはダイヤさんの方がよく分かってると思うんだけど」

 しばしの間、室内は静かになり、部活の掛け声が響く。そして、

「──耀太さんの言う通りですわ。わたくしたちがスクールアイドルをやめたのはあのライブが失敗したからではありません。本当の理由は──」

 

 生徒会の仕事が終わり、ダイヤさんと俺は帰路についた。話をしてくれたことのお礼と、遅くなってしまったお詫びも兼ねて彼女の家まで送っている。

「ありがとうございますわ、仕事を手伝っていただいたうえに、送ってくださって」

「本当のこと教えてくれたんだし、これくらいやんないと。それに女の子を一人で帰したらなんて言われるか……

「?何か言いましたか?」

「いや、何にも」

 その話はそこで終わった。

 それからしばらくは雑談を交わしながらの帰宅だった。主にオーズの。

 しかも未だに信じてくれてはいないらしい。

 ダイヤさんに回収されたバッタくんは、ひとまずダイヤさんとの緊急時の連絡手段としてある。そんなことなければいいのだけれど。

 と、そうこうしているうちに、

「ここまで送っていただければ大丈夫です」

「そう、じゃあまた明日」

「はい、おやすみなさい」

 そう言って彼女は家に入っていった。

 それからは早かった。

 近くでライドベンダーを見つけ、走らせる。

 なるべく人気を避けられる場所へ(まあ大分いい時間だし、そこまで人はいなかったけど)。

「タカー」

 タカちゃんが俺のところまで降りてきて缶に戻る。

「さてと、ここまでくればいいかな。出て来いよ、いるのは分かってるんだ」

 学校を出てからずっと俺たちを見ていた、追っていた追跡者。バッタくん不在のため正体は分からないが、大方グリードだろう。

 既に暗くなっているうえ、街灯がほとんど無いのと、生憎の曇り空で誰かはわからないけどが、足音が近づいてくる。そして、

 

「サメ!クジラ!オオカミウオ!」

 オーズ(おれ)と同じく、三枚のメダルの読み込み音と酷似したメダルのエネルギーに包まれた人影は、その変身を遂げた。

「……ごきげんよう、島村耀太くん。いや、オーズ」

 奴は槍、ディーペストハープーンを携えて迫る。

「あんた、何者だ……」

「おかしなことを聞くじゃないか。君は既に知っているはずだ」

「そうか。で、見たところ味方って訳じゃないよな!」

 腰にドライバーを装着してメタルを三枚セット。オースキャナーで読み込む。

「タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!タ・ト・バ!!」

 オーズに変身しヤツを、ポセイドンを睨みつける。

「出来ればあなたが持つそのメダルを渡してもらえれば穏便に済むのですが……」

「はいそうですか、なんて言うと思うか?」

 答えはNOだ。直感が告げている、ヤツにメダルを渡してはいけないと。

「そうですか……残念です。あくまで抵抗するというのですね」

 闇の中でポセイドンの目が光る。

 刹那、ポセイドンから威圧感が放たれる。

 凶悪にして強烈。グリードたちのソレとは一線を画している。

 メダジャリバーで先制攻撃を仕掛けるが、ディーペストハープーンで受け止められる。そして跳ね除けられて、腹部に一閃。

 腹に響く痛みに耐えながら次の攻撃。今度はそれを左腕で受けられる。それ以上斬ることが出来ない。

「何だこの硬さ……くそっ!」

 相手からは余裕すら感じられるのに対して、俺は必死だ。力の差は大きい。

「ふっふっふっ……、流石はオーズの器。その力は素晴らしい。ですが、あなたはわたしには勝てない。絶対に」

「そんなこと言っていいのか?どう考えてもフラグだぞ」

「果たしてそうかな?」

 挑発にも乗ってくれやしない。

 こんな時アンクがいれば……。

「そうそう、君のグリードのお友達のことですが、今かなり危ないかも知れませんねぇ……くっくっく」

「なんだと!?」

 アンクが狙われてるということは必然的に十千万に……。つまり千歌ちゃんや梨子ちゃんが……!

「ならお前を倒してすぐにでも……!」

「それは出来ません。もっとも出来たとしても手遅れだとは思いますが」

「やってみなくちゃ分からないだろう」

 その言葉にポセイドンは頭を抱えながら笑った。

「何がそんなにおかしい」

「失敬、あなたがそんなに非情な方だとは思わなかったもので」

「非情だと?」

「そうです。あなたは自分のお友達をその手にかけることが出来るのでしょう?」

 友達を手にかける?一体何のことだと思考し、その意味に辿り着く。

 考えうる限りの最悪答えに。

「……っ!」

 ポセイドンはその半身をメダルへと還元し、その姿を見せる。

 俺を睨むのはポセイドンではなく、松浦果南だった。

「どうして!?」

 俺の叫びは届かない。再び装甲に覆われ、槍を突き立てる。

「言っておきますが、彼女は自らの意思でこの力を、わたしの半身を纏っていますので悪しからず」

 信じられないことをポセイドンは言い放った。

 彼女自身の意思?自分でその力を……

 衝撃の余り、棒立ちになる。

「スキだらけですよ!」

「くっ……!」

 対処しきれず、斜め斬りが直撃。

 その場に倒れ伏す。

「カハッ……」

 さらに蹴りを加えられて仰向けに。

 一面に広がる黒い空。その隅からポセイドンの姿が現れる。

「そろそろメダルを頂きましょう」

 ポセイドンは槍の先を下に向け、オーズのアーマーを纏う俺の身体へと突き立てる。

「ぎゃぁぁぁぁぁあああっ!!!」

 アーマーは貫かれ、肉を抉られる。

「これは失礼。暗過ぎて手元が狂ってしまいました」

 狂気を感じさせる笑い声が耳に届く。

 二度、三度と刃が肉が裂き、血が溢れる。

 これまでしてきた怪我とは比べ物にならない激痛が腹部から感じる。

「おやおや?苦しそうですね。これはやってしまいました。メダルを取るはずが、身体を刺してしまうなんて」

 意識が朦朧とし始める。この感覚……前にも似たようなことがあったな……。

 だけど前とは違う。明確に死が迫っている。このまま意識がなくなれば、そこで待っているのは誰だろう?ロリ女神さまか、それとも別の誰かだろうか?

 もはやどうでもいいことを思考していると、風が直接身体を打ち始める。変身が解かれたのだ。

「もうすぐ楽にしてあげますよ……」

 ポセイドンが何か言っている。だけどそれを聞き取るだけの力は俺に残されていなかった。

「はぁぁぁぁ!!……まだ抵抗するのですか、自ら選んだ道だというのに」

 もう何も見えない。ただ一つの光を除いて。

「──っ!?なんだ!?この光は!!」

 

 光が収まり、視力が戻り始めると、ポセイドンは困惑した。

 そして何かを悟ったように唸り、たった一人その場で立ち尽くす。

「………の仕業か」

 

 その場に残ったのは一人と半身。

 そして目的を果たし得なかった彼らはこの場をあとにしたのだった。

 

 この世界から、島村耀太という青年の存在は完全に消失した。

 

 




慎司)ポセイドンとの戦いに敗れ、行方不明になってしまった耀太先輩。残された俺たちが出来ることは、彼の無事であることを願うだけだった。
ルビィ)最後に耀太さんと一緒に帰ったお姉ちゃんは一層の責任を感じてしまっていた。
果南)あんなに酷いことしたのに……!どうして!?
???)決まってる。みんなが待っている「あの場所」に帰るためだ!
慎司)次回ラブライブ!サンシャイン!!〜Step! ZERO to OOO〜「願いの涙と約束と炎のコンボ」

カウント・ザ・メダルズ
タカ×2
バッタ×1
ライオン×1
トラ×1
チーター×1
サイ×1
ゴリラ×1
ゾウ×1
ウナギ×1
タコ×1
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